はじめに
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
- 2024/9/16
- 第28期スタンダード神決定戦カバレージ
先日、107名の参加によって『第28期スタンダード神挑戦者決定戦』が開催されました。
今回の記事では大会結果を振り返りながら、ベスト16入りした注目デッキをまとめて紹介したいと思います。
9/14(土)『第28期スタンダード神挑戦者決定戦』
- 2024/9/14
- 第28期スタンダード神挑戦者決定戦:メタゲームブレイクダウン
今大会において、使用者数21名、使用率19.09%と圧倒的なシェアを誇ったのがゴルガリミッドレンジでした。2位のジェスカイ召集が使用者数7名、使用率6.36%ということを考えれば、ゴルガリミッドレンジが圧倒的なトップメタであったことがわかります。
メタゲームの詳細はメタゲームブレイクダウンの記事をぜひ、ご参考ください。
さて、実際の大会結果、ベスト16のラインナップを見ていきましょう。
9/14(土)『第28期スタンダード神挑戦者決定戦』
優勝 ディミーアネズミ
準優勝 アゾリウスアグロ
トップ4 5色レジェンズ
トップ4 ディミーアミッドレンジ
トップ8 ナヤ雄姿
トップ8 ゴルガリミッドレンジ
トップ8 ジェスカイコントロール
トップ8 《もがく出現》
トップ16 アゾリウスコントロール
トップ16 ファルコンギャンビット
トップ16 ボロスハツカネズミ
トップ16 ジェスカイ召集
トップ16 シミックテラー
トップ16 ボロスハツカネズミ
トップ16 アゾリウスメンター
トップ16 《無慈悲な殺戮》ランプ
注目のゴルガリミッドレンジでしたが、トップ16に残ったのはわずかに1人だけ。アグロ・ミッドレンジ・コントロール・ランプ・コンボとあらゆるアーキタイプがバランスよく入賞したなか、優勝は完全にメタ外のデッキ、ディミーアネズミでした。
- 2024/09/10
- 限界突破スタンダード! vol.6 -「わからん殺し」に要注意!知っておきたいローグデッキ対策-
- 紳さん
また、大会直前に限界突破スタンダード!で注目のローグデッキとして紹介したKuroiwa Satoshiさんのファルコンギャンビットも10位に入賞と健闘しております。
ディミーアネズミ
こちらが優勝したディミーアネズミのリストです。このデッキ、挑戦者決定戦優勝の勢いをそのままに、なんと神の座も獲得しています。
ネズミは『ブルームバロウ』でフィーチャーされた種族の1つとはいえ、まったく認知されていないローグデッキが神決定戦で勝つとは想像を超えており、シンデレラ・ストーリーを目の当たりにしました。
特に強力なネズミが《ネズミの王、カルモニクス》と《下水王、駆け抜け侯》という2匹の「王」です。
《ネズミの王、カルモニクス》は出たとき能力でライブラリーの上から5枚を見て、望む数のネズミを手札に加えるというリソース補充能力を持ちます。さながらボロス召集における《イーオスの遍歴の騎士》のようなバリューがあるクリーチャーです。
《下水王、駆け抜け侯》は毎ターン、戦闘の開始時に1/1のネズミ・トークンを戦場に追加するアドバンテージ源です。ブロックに参加できない1/1とはいえ、《縫い合わせの旗》で全体強化すれば十分すぎる脅威となります。墓地対策を兼ねている点も見逃せません。
《情け知らずのヴレン》が着地後は、相手は自分のクリーチャーが死ぬようなブロックをすると盤面がどんどん不利になる展開となります。特に終盤は毎ターン墓地から攻撃した状態で出てくる《しつこい湿地忍び》を1/1トークンでブロックすることすら良い選択肢といえず、状況は悪化するばかりです。
フェアデッキにとって《情け知らずのヴレン》はマスト除去のクリーチャーとなるでしょう。
《ネズミの王、カルモニクス》の性能を最大限に活かすのであればネズミ以外のカードはあまりデッキに入れたくありません。しかし、現スタンダード環境で除去をまったくしないというわけにもいかず、実際は除去関連のカードがかなり多めに採用されています。
贅沢を言わず、《ネズミの王、カルモニクス》で1~2枚のネズミが補充できれば十分ということなのでしょう。アドバンテージを得る方法はほかにいくらでもありますし、終盤は土地の《泥干潟村》もリソース補充に一役買います。かなり粘り強く戦えそうなデッキです。
サイドボードにはハンデス&打ち消しとディミーアならではの定番カードが用意されており、《太陽降下》にも対抗できそうです。
少し意外なことに《悪意ある覆い隠し》が3枚と多めに採用されております。このデッキが予選で負けたのはアゾリウスアグロのみでしたが、アグロデッキにはやや不利ということなのでしょうか。トカゲ・ボロス召集・雄姿系のデッキを警戒しているようです。
ちなみに、唯一の黒星をつけられたアゾリウスアグロとは挑戦者決定戦の決勝で再戦し、見事勝利しております。
メイン戦力のネズミたちがタフネス3以上で、《悪意ある覆い隠し》はなかなか良いチョイスなのかもしれません。
厄介なクリーチャーを《群青の獣縛り》の攻撃時能力で2/2バニラに変え、《悪意ある覆い隠し》で追放除去するというコンボも狙えますね。
ネズミといえば『ダスクモーン:戦慄の館』で《闇の中の研究者、ナシ》が追加され、ますますアドバンテージを稼ぎやすくなりそうです。
将来有望のディミーアネズミ。今後は使用者が増えそうな注目のアーキタイプですね!
5色レジェンズ
こちらはスイスラウンドを1位で通過したデッキです。『ブルームバロウ』のカードは採用されておらず、ローテーション前の環境で活躍していた「スライムローム」から《大スライム、スローグルク》と魂力ランドが抜けた構築となっております。
このデッキは「伝説の呪文」シナジーを活かしており、《侵攻の伝令、ローナ》と《伝説の秘宝》がデッキの軸となります。
伝説の呪文を唱えるたびに《ローナ》がアンタップするため、《伝説の秘宝》との組み合わせでマナを出すことでテンポよく伝説のクリーチャーを展開したり、《ローナ》がルーティング能力を持っているため、必要なカードを探しにいけるところも強みです。
また、《ローナ》+《伝説の秘宝》+《正直者のラトスタイン》2体が揃うと、レジェンドルールで墓地に置かれた《正直者のラトスタイン》を回収することで永遠と唱え続けることができ、さらに《チビボネの加入》があればライフを奪いとってゲームに勝つというコンボも狙うことができます。
強力なコンボを内蔵しながらも、《太陽の執事長、インティ》や《黙示録、シェオルドレッド》など強力なクリーチャーによるビートダウンプランが強く、コンボ一辺倒のデッキではありません。
《チビボネの加入》があれば「悪事を働く」ことは容易で、《死のディーラー、マルチェッサ》が生き残ればたくさんのアドバンテージを稼げます。
思えば、今大会の断トツトップメタであったゴルガリミッドレンジもビートダウンとコンボの両面から攻めることができるデッキでした。
この5色レジェンズデッキも同様で、ゲームに勝つプランが複数あるデッキは強いということなのでしょう。
ただ、多色デッキゆえにマナベースは少し気になります。今回のデッキはファストランドが9枚と多めに採用されており、序盤のアンタップインを優先しているようです。《伝説の秘宝》によるマナサポートがあることを考えれば、これで十分なのかもしれません。
新しく「伝説の呪文」が登場するたびに強化されるアーキタイプであるため、『ダスクモーン:戦慄の館』でどんなバージョンアップをするのか楽しみですね!
ナヤ雄姿
つづいて、トップ8に入賞したナヤ雄姿を紹介させていただきます。
ハツカネズミを中心とした果敢・雄姿を持つクリーチャーを強化して攻撃するデッキは現在、スタンダード環境を席巻しております。
ハツカネズミ以外にも《精鋭射手団の目立ちたがり》のような攻撃的なクリーチャーを採用し、《巨怪の怒り》や《亭主の才能》で強化しながら、最終的には《無感情の売剣》の出来事面で投げ飛ばし、大ダメージを狙う戦略も人気です。
このナヤ雄姿もそういったデッキとほぼ同様のコンセプトですが、グルールカラーに頑張って白をタッチしたことで《稲妻のらせん》と《露滴療法》が使えるようになっています。とてもユニークなアプローチですね。
《稲妻のらせん》はミラーマッチ含むアグロデッキ全般との戦いで大いに活躍しそうです。
《露滴療法》は終盤に活躍するカードで、贈呈することで墓地にあるクリーチャーを最大3体、戦場に呼び戻すことができます。マナ総量2以下のクリーチャー限定のリアニメイトではありますが、このデッキのマナ総量2以下のクリーチャーはいずれも強力です。
パイオニアでは現在、ラクドス果敢がトップメタとなっており、『第15期パイオニア神決定戦』でも大活躍しました。採用されているクリーチャーはほとんどスタンダードの雄姿デッキと変わりません。
そのラクドス果敢において、《立身/出世》によるリアニメイト戦略がとても強力であることが証明されており、やや重いですがスタンダードでも《露滴療法》が強いことは間違いないでしょう。
今後、このリアニメイト戦略を狙う雄姿系のデッキが増えるかもしれませんね。
シミックテラー
13位に入賞したシミックテラーのリストです。この構成で《傲慢なジン》を不採用とするのは、かなり思い切った判断ではないでしょうか。
このデッキはまず、軽量のインスタントやソーサリー呪文を唱えながら、切削によって墓地を肥やします。《蓄え放題》は墓地を肥やすついでにフィニッシャーとなるクリーチャーを手に入れることができる便利なカードです。
墓地の状況がよくなれば、少ないコストで《トレイリアの恐怖》《渦泥の蟹》といったクリーチャーをプレイすることができ、《豆の木をのぼれ》があればドローまでついてきます。
この《トレイリアの恐怖》、いわゆる「テラー」を軸とした構成のデッキはパウパーなどではおなじみのアーキタイプで、デッキがうまく回れば早期に《トレイリアの恐怖》や《渦泥の蟹》を複数体並べた上で打ち消しを構える動きが狙えます。
《花粉の分析》は面白い1枚で、このデッキのリストを見た直後は「証拠収集8」があまりにも重い上に、墓地を肥やすこのデッキにおいてアンシナジーなカードかと思っていたのですが、墓地にある《トレイリアの恐怖》《渦泥の蟹》を証拠収集コストにすることで《トレイリアの恐怖》や《渦泥の蟹》を探しにいけるという、「俺の屍を越えて行け」スタイルであることに気がつきました。
たしかに、これなら虎の子のフィニッシャーが倒されてしまっても、すぐに新たな刺客を送り込むことができますね。よく考えられています。
デッキパワーは高そうなのですが、シミックカラーの宿命でしょうか。除去がどうしても不得意となりそうです。
《渦泥の蟹》がクリーチャー2体をタップさせることができるので、切り札となるでしょう。ややプレイングが難しそうですが、腕が出るタイプのデッキで楽しそうです。
今後、ここに赤や黒をタッチして除去呪文を増やしたアーキタイプなどは開発されるかもしれません。追加のアタッカーとして《かまどの精》はピッタリですね。
《豆の木をのぼれ》ファンの方にもぜひ、オススメしたいデッキです。
おわりに
さて、今週末からは『ダスクモーン:戦慄の館』のプレリリース期間となり、新カードがまたガラリとスタンダード環境を変えるかもしれません。
それまでは話題のディミーアネズミを回しながら、種族デッキのシナジーの強さを感じてみるのも一興でしょう。
ちなみに《縫い合わせの旗》は思ったよりも遥かに強力なカードかもしれません。ネズミ以外の種族についても、あらためて研究の余地がありそうですね。《縫い合わせの旗》を含め、マナを伸ばしていくという意味ではアライグマなんてどうでしょうか。
それでは、次回の大会結果もお楽しみに!