はじめに
みなさん、こんにちは。
今週末には『第28期モダン神挑戦者決定戦』が開催されるなどテーブルトップのイベントが充実していますね。
今回の連載では、先週末に国内で開催された大型イベント『モダンオープン Supported by 楽天ブックス』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『モダンオープン Supported by 楽天ブックス』 -エネルギー対コンボ-
開催日:2024年10月13日
準優勝 Boros Energy
3位 Mardu Energy
5位 Ruby Storm
6位 Mardu Energy
7位 Blue Belcher
8位 Mardu Energy
先週末の『プレイヤーズコンベンション静岡2024』で開催された『モダンオープン』は、参加者350名のスイスラウンド9ラウンドという長丁場なイベントでした。
今大会で高い勝率を出していたのは現環境のトップメタであるBoros/Mardu Energyで、優勝こそ逃したもののプレイオフの半数を占める圧倒的な強さを見せています。
ほかには、Twiddle Breach、Blue Belcher、Ruby StormといったEnergyに強いコンボデッキが中心でした。
Twiddle Breach
今大会で見事に優勝を果たしたTwiddle Stormは、『モダンホライゾン3』によって大幅に強化されたデッキです。
《見えざる糸》や《夢の掌握》《ぐるぐる》《砂時計の侍臣》を使って《睡蓮の原野》をアンタップさせて大量のマナを出し、《一つの指輪》でドローし続けて最終的に《願い》から《タッサの神託者》につなげて特殊勝利を狙います。
コンボの速度こそRuby Stormに劣るものの、《一つの指輪》がもたらすアドバンテージ、スペルをバウンスできる《朦朧への没入》などのおかげで対策されにくくなっています。ただ、デッキの動きが複雑なので使いこなすには慣れが必要です。また現環境トップメタのBoros Energyは妨害が少ないため、コンボデッキはいい立ち位置にあります。
☆注目ポイント
《一つの指輪》はカードアドバンテージに時間稼ぎと、《睡蓮の原野》と並んでこのデッキにとって重要なカードです。パーマネントをアンタップできる各種スペルのほかに、『モダンホライゾン3』で再録された《さびれた寺院》でも《睡蓮の原野》をアンタップすることができ、実質マナ加速として機能します。
《朦朧への没入》はスペルをバウンスするので打ち消されないスペルも対策でき、さまざまな状況に対応できます。スペルとしてもマナ基盤としても機能する大変フレキシブルなカードです。
『モダンホライゾン3』から登場した《記憶への放逐》は、誘発型能力や無色のスペルを使うデッキが多いモダンでは有用なカウンターであり、さまざまなデッキに採用されています。《一つの指輪》や《減衰球》などをわずか1マナで打ち消すことができ、《睡蓮の原野》の土地を生け贄にする能力を打ち消せるためメインからの採用になっています。
Ruby Storm
Ruby Stormは、赤のスペルのマナコストを減少させる《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》を利用して、《発熱の儀式》や《魔力変》などを連打してマナ加速していき、最終的に《願い》から《ぶどう弾》をサーチしてゲームに勝利するデッキです。
《無謀なる衝動》や《レンの決意》といった疑似的に手札を補充できるスペルのおかげで、マリガンによるディスアドバンテージもそれほど気にならないのもこのデッキの強みです。
2ターン目に《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》を置くことができ、除去されずにターンが帰ってくれば3ターン目にはコンボを決めることができます。極稀に2ターン目に決まることもありますが、あまり現実的ではなく、基本的に3~4ターンキルを狙うことになります。
Boros Energyが同型やコントロールとのマッチアップ用に《一つの指輪》をメインから採用するなどミッドレンジ寄りの構成になっており、妨害も少ないので現環境でいい立ち位置にあるデッキになります。
☆注目ポイント
《アノールの焔》はこのデッキにとってさまざまな問題を解決してくれる優秀なスペルです。何も対象にするものがない場合でも2ドローできるので無駄になりにくく、《減衰球》など厄介な置物を対処可能で、5点火力なのでタフネスが4と固く《削剥》に耐性がある《魔道士封じのトカゲ》も処理できます。
《洪水の大口へ》は《蒸気の連鎖》のような軽いバウンススペルで、いろろなサイドカードを対策することができます。魚・トークンを「贈呈」することもこのデッキなら問題にならず、幅広いパーマネントベースの対策カードをバウンスできるほうが重要です。
ダメージ軽減をシャットアウトする《錬金術師の計略》は《一つの指輪》対策になります。《巣穴からの総出》で大量のトークンを並べた後に、追加ターンを得てゲームを決めることができます。
Blue Belcher
ここ最近MOでも結果を残し続けている《現実の設計者、タメシ》を軸にしたコンボデッキ。《現実の設計者、タメシ》と《睡蓮の花》を組み合わせることによって大量のマナを出すことができ、スペルランドのおかげで土地・カードが1枚も入ってないため《ゴブリンの放火砲》を起動すれば即ゲームに勝つことができます。
1ターン目に《睡蓮の花》を「待機」させることができれば、「待機」が終わる4ターン目には《ゴブリンの放火砲》によって瞬殺可能です。コンボに対する妨害手段が限られているBoros Energyに強く、逆に妨害の多いDimir Frogtideなどは不利なマッチアップになります。
☆注目ポイント
《発明品の唸り》はX=0で《睡蓮の花》をサーチしてそのまま場に出せるので、1ターン目に《睡蓮の花》を「待機」できなくても4ターン目にコンボを決めることができます。
《現実の設計者、タメシ》と《睡蓮の花》は素晴らしいシナジーを持ち合わせています。両方が場にある状態で《睡蓮の花》から白マナを出して《現実の設計者、タメシ》を起動すると、墓地から《睡蓮の花》を再利用することができ、土地さえあれば何度でも起動できるのでマナを大量に生成することができます。また、そのマナを利用することで《発明品の唸り》から《ゴブリンの放火砲》を直接サーチしてゲームを決めることもできます。
《海門修復》《朦朧への没入》《水浸しの教え》といったスペルランドは、土地として置いた後に《現実の設計者、タメシ》でバウンスしてスペルとして使うことができます。
特に《水浸しの教え》は、《発明品の唸り》やコンボを確実に通すための《否定の契約》をサーチ可能です。《ゴブリンの放火砲》によってそのターンのうちにゲームが決まるので、《否定の契約》の「契約コスト」も無視でき、フリースペルの恩恵をフル活用することができます。
Mardu Energy
現環境のトップメタであるEnergy。Borosと異なりMardu Energyはハンデスなど妨害スペルにアクセスできるため、Borosと比べると若干コンボに耐性があります。ハンデス以外にも、《オークの弓使い》や墓地対策の《虚無の呪文爆弾》など選択肢も広がっています。
☆注目ポイント
最近は色の負担を減らすために《黄泉帰る悪夢》などの採用が見送られる傾向にあり、《オークの弓使い》や《思考囲い》《致命的な一押し》など黒いスペルは必要最低限の採用になっています。
環境に《一つの指輪》を採用したデッキが多く、ミラーマッチでも《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《色めき立つ猛竜》などタフネス1クリーチャーが多いため、《オークの弓使い》は《思考囲い》と同様に黒をタッチする理由になります。
ハンデスが使えるとはいえ、基本的にコンボデッキとの相性は悪いのでサイドにはStorm対策の《減衰球》や墓地対策が複数枚積まれています。
《除霊用掃除機》は現在あらゆるフォーマットで活躍している墓地対策です。1マナの墓地対策は《大祖始の遺産》や《魂標ランタン》などがありますが、毎ターン継続して特定のカードを追放できるのが《除霊用掃除機》の強みです。
特殊地形対策としては、Borosであれば《血染めの月》が採用されていますが、3色なので《黒曜石の焦がし口》が使われています。トロンとのマッチアップでは、土地を割りつつ圧をかけることが可能です。
コンボを意識した構成になっているので4マナと重い《一つの指輪》はメインでは不採用ですが、ミラーマッチやDimir Frogtide、Jeskai Controlとのマッチアップ用にサイドに採用されています。
総括
『モダンオープン』の結果を見ていきましたが、Boros/Mardu Energyが高い勝率を維持しています。《一つの指輪》は現在のモダンで最もプレイされているカードの1枚であり、Boros/Mardu Energyも主にミラーマッチで優位に立つために採用するようになりました。
Energyと相性がいいRuby Storm、Blue Belcher、Twiddle Breachなどコンボデッキも上位に複数見られました。Energyがモダンで堅実な選択肢になり続ける限り、コンボデッキはよいチョイスになるでしょう。
USA Modern Express vol.122は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!