はじめに
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
『限界突破スタンダード!』では、大会で入賞した実績のあるローグデッキを紹介します。
- 2024/10/28
- Just Nowスタンダード!vol.36 -優勝はディミーアデーモン!世界選手権で入賞したデッキを紹介-
- 紳さん
メジャーなデッキ、ガチデッキの情報については『Just now スタンダード!』や『スタンダードデッキ紹介』をご覧ください。先日開催されたマジック世界選手権の入賞デッキも紹介しております!
さて、今回は『ダスクモーン:戦慄の館』でフィーチャーされた「部屋」を使ったオモシロ最強ループコンボデッキを紹介したいと思います!
スタンダード:ローグデッキ紹介「ベイBループ」
こちらの「ベイBループ」は先日の晴れる屋TC東京で開催された平日スタンダードで3-0したデッキです。
一見すると普通のアゾリウスエンチャントであり、とてもループコンボするようなデッキには見えないのですが、最短3ターンキルも可能なユニークな構築となっています。
キーカードとなるのは、こちらの「部屋」。……少し、見づらいですね。
よいしょっと。
さて、《絢爛たる劇場》は「あなたが唱えるすべてのクリーチャー・呪文は召集を持つ。」というシンプルな能力を持ったエンチャントです。
召集はマナを支払う代わりにアンタップ状態のクリーチャーをタップさせることでコストを補うことができる能力です。クリーチャーが土地の代わりになるような能力ですね。
クリーチャーが横並びすると爆発的な展開が望めることもあり、スタンダードでもボロス召集やジェスカイ召集がトップメタになった時期がありました。しかし、召集をデッキの軸にするとどうしても全体除去に弱くなったり、対策カードが刺さりやすくなるなど、弱点も目立ちます。
現スタンダード環境ではそこまで強い能力として認識されておらず、ましてや4マナ支払って召集を持たせるだけのエンチャントなど、普通は見向きもされません。
しかし、マジック以外のゲームではどうでしょうか?この召集のような能力はデュエル・マスターズにおいて最強と評価されたことがあります。
実は、このデッキの作成者であるWatanabe Shoさんは晴れる屋2のとり店長。ポケモンカードゲームとデュエル・マスターズをこよなく愛するデッキビルダーです。
とり店長は《絢爛たる劇場》のテキストを読んだとき、デュエル・マスターズの《ベイB ジャック》を思い出しました。
□クリーチャー:ミルクボーイ/イニシャルズ
□バトルゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
□W・ブレイカー
□このクリーチャーは、自分のターンのはじめにアンタップしない。
□自分がカードを引いた時、自分のマナゾーンにあるカードを3枚タップしてもよい。そうしたら、このクリーチャーをアンタップする。
□バトルゾーンにある自分のクリーチャーを、自分のマナゾーンにあるかのようにタップしてもよい。
少しわかりづらいですが、重要なのは一番下のテキストです。《ベイB ジャック》は実質、すべての呪文に召集を持たせる能力を持っていました。
これがデュエル・マスターズでは極めて凶悪な能力であり、《ベイB ジャック》を利用してクリーチャーを次々にチェインさせる通称「ベイBループ」は最強デッキとして君臨し、あまりの強さから《ベイB ジャック》は殿堂(1枚制限)を一気に飛び越えてプレミアム殿堂(禁止)に指定されるほどのカードとなりました。
とり店長:なぜ、マジックでは《絢爛たる劇場》が使われないんだろう?
とり店長:クリーチャーを土地の代わりにできるカードが弱いはずがない。
こうした経緯により、とり店長が考案したマジック版の「ベイBループ」デッキが爆誕しました。ここからは《絢爛たる劇場》によってすべてのクリーチャーが召集で唱えられるという前提でデッキの動きを説明していきます。
一番わかりやすい例は《孤立への恐怖》です。《グレムリンを手懐ける者》or《知りたがりの光霊》 + 《孤立への恐怖》×2で無限コンボ(無限違和感)が成立します。
《孤立への恐怖》Aをタップして《孤立への恐怖》Bを唱え、Aを戻すという感じですね。
《呑気な物漁り》で無限+1/+1カウンター。《精体の追跡者》で無限ドロー。《掻き回す頭蓋蟹》で無限切削。
コンボパーツに《グレムリンを手懐ける者》を使っていた場合は無限グレムリン・トークンも成立しておりますので、全体除去されなければ次のターンに勝利となります。
《孤立への恐怖》が2体必要というハードルの高さはありますが、1ターン目《呑気な物漁り》→2ターン目《知りたがりの光霊》→3ターン目《絢爛たる劇場》という3ターンキルも理論上は可能です。
また、無限コンボ以外の動きもパワフルです。特に強力なのは《亡者の踊り手》と《鏡の間/砕けた世界》のツートップで、ゲームを終わらせるカードパワーが十分にあります。
一番強いパターンは《亡者の踊り手》がいる状態で《鏡の間》をプレイし、《亡者の踊り手》のコピーに成功した場合。
《亡者の踊り手》のコピーがすぐさま《砕けた世界》を開放→誘発型能力がすべて2回分となった結果、飛行3/1トークンが5体並びます。勝ちです。
さらに、このデッキの強みは《精体の追跡者》や《イーオスの遍歴の騎士》などクリーチャーを展開しながらコンボパーツを集めることができる点にあります。手札を減らさずに盤面をつくるため《太陽降下》された場合でもすぐに展開しなおし、ふたたび勝利を目指すことができるでしょう。
とり店長はこれを「相手の対抗札よりも多くの有効札を手札に加え続ければ勝てる理論」と呼んでいました。
無限コンボや豪快なアクションを狙いつつも、1マナ・2マナのクリーチャーたちが優秀なため、ビートダウンプランも可能です。システムクリーチャーはなるべく長生きさせたいので、《呑気な物漁り》でグレムリンを成長させながら戦うと良いでしょう。
ちなみにこのデッキ、サイドボードのカードに関しては検討中とのことです。自分好みにカスタマイズして遊んでみたいですね!
アゾリウスエンチャントの強みを活かし、サイドボードからグルール果敢や赤単を完全にメタった仕様に変えてしまうのも面白いです。《幽霊による庇護》と《天上の鎧》が揃うと、ほとんど勝ちといえる盤面ができます。
現スタンダードのメタゲーム的にはこっちのプランをメインにして、サイド後から無限コンボを搭載するほうが安定するかもしれません。《グリッサ・サンスレイヤー》に触れないと辛そうです。
《永劫の無垢》も追加のドローエンジンとして優秀で、《精体の追跡者》と合わせて8枚体制にしてみたいですね。ブロックされない《静かなる広間這い》は無限+1/+1カウンターが成立したときに即勝ちできる点が魅力です。おおよそ何もしない《掻き回す頭蓋蟹》よりは有能に見えます。
《虚偽への恐怖》は違和感を誘発させる打ち消しです。《イーオスの遍歴の騎士》でサーチしたり、《孤立への恐怖》で戻して再利用するのも無敵感がありますね!
おわりに
今回のローグデッキは他ゲームの最強コンボを真似できないか?という発想から誕生しており、目から鱗でした。
ほかの例についても考えてみたいですね。まだまだ《絢爛たる劇場》のようなカードが埋もれているかもしれません。
さて、来月には『ファウンデーションズ』が登場し、またローグデッキ業界にも新しい風が吹くことでしょう。どんなユニークなデッキと出会えるのか楽しみです!それではまた。