前回の支配的な「パイオニア神」から激しく変動したメタゲーム
前回、『ブルームバロウ』期に開催された『第15期パイオニア神挑戦者決定戦』では「ラクドスミッドレンジ」と「ラクドス果敢」が圧倒的なシェア率を誇っていた。
- 2024/09/15
- 第15期パイオニア神挑戦者決定戦:メタゲームブレイクダウン
- 晴れる屋メディアチーム
そして、その2つのラクドスの人気は実力に裏打ちされたものであった。
当然のようにラクドスミッドレンジとラクドス果敢は勝ち進み、挑戦者決定戦の決勝で激突。その試合に勝利したラクドス果敢の勢いは止まらず、神の座を奪うまでに至る。
3ターンキルが2度に渡り決められた、あの衝撃のパイオニア神決定戦から2ヵ月。『第16期パイオニア神挑戦者決定戦』のメタゲームは下記に示す通りとなった。
メタゲームブレイクダウン
デッキ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
イゼットフェニックス | 16 | 14.55% |
ラクドスデーモン | 11 | 10.00% |
ジャンドサクリファイス | 6 | 5.45% |
奇怪な具現 | 5 | 4.55% |
セレズニアカンパニー | 5 | 4.55% |
アゾリウスコントロール | 5 | 4.55% |
ラクドス果敢 | 4 | 3.64% |
黒単デーモン | 4 | 3.64% |
ボロスバーン | 3 | 2.73% |
ロータスコンボ | 3 | 2.73% |
ゴルガリフード | 3 | 2.73% |
オーバーロード | 3 | 2.73% |
5色ニヴ=ミゼット | 3 | 2.73% |
ロータスコントロール | 3 | 2.73% |
人間 | 2 | 1.82% |
グルール果敢 | 2 | 1.82% |
不屈の独創力 | 2 | 1.82% |
ディミーア忍者 | 2 | 1.82% |
ジャンド異形化 | 2 | 1.82% |
バードレジェンズ | 2 | 1.82% |
ラクドスミッドレンジ | 2 | 1.82% |
オルゾフコントロール | 2 | 1.82% |
赤単 | 1 | 0.91% |
エルフ | 1 | 0.91% |
ゴブリン | 1 | 0.91% |
緑単信心 | 1 | 0.91% |
陰湿な根 | 1 | 0.91% |
切望の隼 | 1 | 0.91% |
スピリット | 1 | 0.91% |
ボロス召集 | 1 | 0.91% |
発見コンボ | 1 | 0.91% |
グルール機体 | 1 | 0.91% |
エスパー眼魔 | 1 | 0.91% |
ラクドス異形化 | 1 | 0.91% |
オルゾフデーモン | 1 | 0.91% |
アサーラックコンボ | 1 | 0.91% |
イゼットエンソウル | 1 | 0.91% |
マルドゥパルへリオン | 1 | 0.91% |
エスパーパルへリオン | 1 | 0.91% |
ディミーアコントロール | 1 | 0.91% |
グリクシスミッドレンジ | 1 | 0.91% |
アゾリウスアーティファクト | 1 | 0.91% |
合計 | 110 | 100% |
《真昼の決闘》。この一枚のカードがパイオニアのメタゲームを変えた。
ラクドス果敢は強すぎた故、対策されるまでも早かったのだろう。前回、圧倒的なパフォーマンスを披露したラクドス果敢だが、今回の使用者はわずか4名にとどまる。
そして、『ダスクモーン:戦慄の館』『ファウンデーションズ』を迎え、混沌のメタゲームが始まったのである。
イゼットフェニックス 16名(14.55%)
すっかりパイオニアの顔役となった《弧光のフェニックス》。しかし、日々、進化を続けてきたイゼットフェニックスに「古豪」という言葉は似つかわしくないように思う。
《帳簿裂き》が、《錠前破りのいたずら屋》が、《プロフトの映像記憶》がこのデッキに新しい風を運んできた。
そして今、新型のイゼットフェニックスには《美術家の才能》がフル投入されている。呪文を軽くし、ルーティングを促し、能力のすべてがイゼットフェニックスに噛み合ったこのカードの強さは「デッキの潤滑油」どころの騒ぎではない。
さらなる進化を遂げ、堂々のトップメタとなったイゼットフェニックス。最強の不死鳥がふたたび王者としてパイオニアの空に君臨する日は遠くないはずだ。
ラクドスデーモン 11名(10.00%)
かつて「ラクドス吸血鬼」というデッキがパイオニアを支配したことがあった。わりと最近の話ではあるが。
今度のラクドスは悪魔的なデーモンの力を借り、パイオニアのメタゲームを侵攻中だ。
ハンデス・ドロー・除去のすべてを高水準でこなしながら、飛行6/6のデーモンが絶え間なく攻めてくる。
気がつけば手札もライフも風前の灯。まぁ、黒くて赤いデッキを相手にしているなら、パイオニアではよくある光景かもしれない。
《不浄な別室》はデーモンをコントロールするだけで「冷やし中華」のごとく簡単にライフドレインまで始めてしまう。パイオニアでは1マナ支払うだけで土地がデーモンに変身するというのに。
ちなみにデーモン以外のクリーチャーもひたすらに強い。もしかすると「デーモン」とはクリーチャー・タイプのことではなく、ラクドスカラー愛好家の心に潜む残虐性こそが「デーモン」なのかもしれない。
《奇怪な具現》 5名(4.55%)
エンチャント破壊が苦手なデッキに対して強いのが《奇怪な具現》だ。
「イゼットフェニックス」「ラクドスデーモン」どちらもパイオニア最強クラスのデッキではあるが、《奇怪な具現》の着地を許してしまったら苦戦は間違いないだろう。
《奇怪な具現》によってデッキから自在にクリーチャーを呼び寄せるため、シルバーバレット戦略はお手の物。デッキ構成も多様性に溢れている。本来ならば、そういうデッキだった。
『ダスクモーン:戦慄の館』で各種オーバーロード(大主)が登場して以降、《奇怪な具現》の主流はもっぱらオーバーロードに染まった。
戦場に出るだけで大きなアドバンテージを生むオーバーロードだが、《永遠の策謀家、ズアー》と組み合わせるとその価値は跳ね上がる。「兆候」による束縛を解く必要もなく、「接死」「呪禁」「絆魂」を得たオーバーロードたちが一斉に攻撃してくるのだから、並みのデッキではひとたまりもない。
デッキの軸となるはずの《奇怪な具現》がむしろ、サブプランに思えるほどの強力なシナジーである。
多色デッキのため、序盤の土地をタップイン処理する隙は気になるところだが、《逃げ場なし》のような絶好の相性を誇る除去カードも加わり、どんどん強化を続けている。
まだまだ発展途上であることは否めないが、現パイオニア環境でもっとも伸びしろがあるデッキといえるだろう。今後の展開が楽しみである。
以上、『第16期パイオニア神挑戦者決定戦:メタゲームブレイクダウン』をお届けした。
圧倒的トップは不在。群雄割拠となった『第16期パイオニア神挑戦者決定戦』、どんなデッキが勝ち上がるのだろうか。