Just Nowスタンダード!vol.39 -サイドボードに《沼》1枚。新型シミックテラーが大躍進!-

紳さん

スタンダードの最新大会結果!

こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。

薄暮の聖人、エレンダ

最近、《薄暮の聖人、エレンダ》実はめちゃくちゃ強いんじゃないかと考えております。

「インスタントからの呪禁」って、それ、ほぼ呪禁ですよね? そんな強い除去回避能力を持つクリーチャーが4/4絆魂、場合によっては5/5、10/10になるなんて!

さて、今週もMOの大会結果を振り返りながら、最新のデッキテクニックについて学んでいきましょう。現在、MOがクリエイター・プログラムのメンバーとコラボ中で、一部のスタチャレ(『Standard Challenge 32』)はプライズ(賞品)が豪華になるなど、盛り上がっています。

11/29(金)『Standard Challenge 32』#1

金曜日に2回開催されたスタチャレの結果を見ていきましょう。まずは58名が参加した1回目の大会から。

トップ8のほとんどをフェアデッキが埋め尽くすなか、カワウソコンボ(ティムール果敢)が優勝しました。

優勝したデッキについては、詳しく書かれた記事がございますので、ぜひ、そちらをご参考ください。

ここでは4位に入賞した謎のデッキセレズニアミッドレンジに注目しました。

セレズニアミッドレンジ

デッキリストページ

こちらが4位入賞のリストです。かなり珍しい構築で、新デッキだと思われます。

脚当ての補充兵勇敢な旅人、ケランけだものの友、トビー

トークンシナジーに寄せているわけでもなく、+1/+1カウンターを置くカードがかなり多いものの、《亭主の才能》《光の模範》は採用されていません。なにかに特化させようとした感じのデッキではなさそうです。

収集家の檻

おそらく、狙いは4枚採用された《収集家の檻》でしょう。

《収集家の檻》 1W

アーティファクト

秘匿5(このアーティファクトが戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上にあるカード5枚を見て、そのうち1枚を裏向きで追放し、その後、残りを一番下に無作為の順番で置く。)

1,T:あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。その後、あなたがパワーが異なる3体以上のクリーチャーをコントロールしているなら、その追放されているカードを、マナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。

《収集家の檻》を最大限に強く使うためには、3体以上のクリーチャーを並べたうえで、それらのパワーがすべて異なる状況にする必要があります。また、《収集家の檻》の起動型能力は対象にしたクリーチャーが除去されてしまうと能力が不発に終わり、簡単に踏み倒しはできそうにありません。

幽霊による庇護忠義の徳目ミストムーアの大主

そこで役立ちそうなのが《幽霊による庇護》の護法2です。過信はできませんが、このデッキがかなり前のめりであることを考えると、対戦相手も対処に追われることが想定され、マナに余裕がない場面も多いことでしょう。

状況次第では安全に《収集家の檻》を起動することができ、《忠義の徳目》《ミストムーアの大主》を「秘匿」していれば、ビッグターンがつくれます。

脚当ての補充兵けだものの友、トビー

「新生化」を持つ《脚当ての補充兵》《けだものの友、トビー》1枚のカードでパワーが異なるクリーチャーを2体用意できる便利なカードです。

トークン・クリーチャーがたくさん並べば、《けだものの友、トビー》によってすべて飛行を持つなど、セレズニアらしからぬ航空戦力を有します。

一見すると全体除去に弱そうですが、「兆候」の《ミストムーアの大主》が残ったり、1枚で複数体のクリーチャーを並べられるカードが多いなど、復帰は早そうです。

月揺らしの騎兵隊

ちなみに《収集家の檻》といえば、パイオニアの人間デッキで「秘匿」から《月揺らしの騎兵隊》を踏み倒す勝ちパターンが存在しました。《月揺らしの騎兵隊》は現スタンダードでも使えますし、このデッキでは《孔蹄のビヒモス》と見まがうほどの暴力性があるため、上振れ狙いで採用を検討したくなるカードです。

11/29(金)『Standard Challenge 32』#2

つづいて、まずは72名が参加した2回目の大会結果です。

この大会ではアグロデッキの名手、Hamuda 氏のボロスオーラが優勝しました。

ここ最近のHamuda 氏はディミーアミッドレンジを使用していたイメージですが、「アグロに強いアグロ」ということでボロスオーラを選択しているようです。

準優勝&3位入賞のシミックテラーが同一リストで好成績を収めています。

シミックテラー

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こちらが準優勝&3位入賞のリストです。サイドボードに《沼》を1枚採用し、黒の除去が使えるようになっています。かなりユニークな構築です。

嵐追いの才能この町は狭すぎる

最近のシミックテラーは、カワウソコンボでおなじみの《嵐追いの才能》《この町は狭すぎる》のパッケージを採用するのが定番です。カワウソコンボのように無限パターンには入れませんが、繰り返し使えるバウンスとして機能します。

《この町は狭すぎる》《豆の木をのぼれ》が反応するので、ドローも稼ぐことができますね。

薮打ち沼逃げ場なし喉首狙い苦痛ある選定

また、サイド後は《沼》を1枚追加し、黒の除去を使えるようにしています。《グルームレイクの境界》《薮打ち》からサーチした《沼》で「どうにかして黒いカードを使おう」というチャレンジングな試みです。

《逃げ場なし》《この町は狭すぎる》と相性がよく、繰り返し使える除去として機能します。パーマネント・カードなので《希望の種子》《蓄え放題》で探しにいける点も見逃せません。

これまでは除去が苦手なりにバウンスでごまかしていましたが、赤単のようなデッキにはバウンスがあまり通用しないということもあり、黒をタッチするという判断に至ったようです。しっかりと結果を残しているのは見事ですね。

新型シミックテラーが今後、どのような進展をするのか楽しみです。

11/30(土)『Standard Challenge 32』

つづいて、土曜日のスタチャレの結果を見ていきましょう。コラボ企画が始まる直前ということもあり、99名とかなり多くの参加がありました。

赤系アグロデッキは激しくメタられたこともあり、軸をずらしたボロスバーンが6位に入賞した以外はトップ8から姿を消しています。

ここでは優勝を含め、ディミーアミッドレンジが多く入賞するなど圧倒的なパフォーマンスを見せました。

ディミーアミッドレンジ

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こちらが優勝したリストです。

不穏な浅瀬魂石の聖域悪夢滅ぼし、魁渡

いたってオーソドックスな構成ですが、定番のミシュラランドである《不穏な浅瀬》の採用枚数を抑え、代わりに《魂石の聖域》が3枚と多めに採用されています。

色マナが出にくくなる反面、アンタップインであることでテンポ損を避けやすく、なおかつ《悪夢滅ぼし、魁渡》の紋章とかなり相性が良いです。強力な「ミシュラ忍者」として頑張ってくれそうですね。

使用者のAzja 氏はパイオニア・モダンを中心に活動しているプレイヤーのため、《変わり谷》から着想を得ているのかもしれません。

群青の獣縛り

ディミーアミッドレンジにおいて、おそらく「もっとも採用されたりされなかったりするクリーチャー」といえば《群青の獣縛り》ですが、直近のスタチャレで入賞しているリストを見る限りでは「採用されない」よりです。

苔森の戦慄騎士止められぬ斬鬼グリッサ・サンスレイヤー

2ターン目に「置き除去兼アタッカー」としてなかなか便利な性能のクリーチャーで、単体のクリーチャー性能が高いゴルガリミッドレンジのようなデッキを相手にするには頼もしいカードなのですが、さすがに高速環境になりすぎて、現スタンダード的にうまみが減っているようですね。

永劫の無垢永劫の好奇心永劫の活力

ただ、ここ最近の大会結果を見る限りでは赤系アグロの入賞率が下がっており、《群青の獣縛り》の価値がまた上がりそうです。永劫シリーズを後腐れなく《切り崩し》で処理できるのはかなり優秀ではないでしょうか。

12/1(日)『Standard Challenge 32 Birds of Paradise』

それでは最後にクリエイターとのコラボで行われた大会、『Standard Challenge 32 Birds of Paradise』の結果をチェックしていきましょう。123名が参加するなど、大きな盛り上がりを見せました。

アグロ・ミッドレンジ・コントロール・コンボとさまざまなデッキが入賞するなか、優勝したのはジェスカイ召集でした。

スタチャレでジェスカイ召集が優勝したのは10/25以来ですが、今大会では優勝以外にも6位入賞を果たしており、復権の兆しが見られます。

ジェスカイ召集

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こちらが優勝したリストです。昔ながらのスタイルで、かなりオーソドックスな構成のデッキといえるでしょう。

幽霊による庇護

ものすごく強力なメタカードが採用されているわけではありませんが、フル投入された《幽霊による庇護》は現スタンダード環境のメタに合っている選択といえるでしょう。

あらゆるパーマネントに触ることができ、「絆魂」がアグロデッキとの戦いで重宝します。仮に護法2を支払いながら《幽霊による庇護》ごとクリーチャーを除去されたとしても、ジェスカイ召集は1体あたりのクリーチャーの価値が高いデッキではないため、そこまで大きなロスになりません。

ひよっこ捜査員遠眼鏡のセイレーン毅然たる援軍

赤系アグロデッキの隆盛により単体除去が多く採用されているなか、ジェスカイ召集の主力は実に除去しがいのないクリーチャーが集まっています。

上機嫌の解体門道急行の事件イモデーンの徴募兵

かといって除去をせずにいると、横並べから《門道急行の事件》《イモデーンの徴募兵》で「わからされる」ことになります。

ジェスカイ召集が特別強化されたわけではなく、メタゲーム的に立ち位置がよくなったことが今回の優勝につながっているのでしょう。

一時的封鎖悪意ある覆い隠し

さらに、ジェスカイ召集に有効な軽めの全体除去は瞬速クリーチャーを多く採用しているディミーアミッドレンジに刺さらず、かなり採用しづらいことも味方しています。少し前まではどのデッキにも採用されていたほど、召集デッキが恐れられていました。

ガードが下がっていたところに「久々の一撃」を叩き込んだジェスカイ召集。改めて存在感をアピールすることになりそうです。

おわりに

巨怪の怒り悪夢滅ぼし、魁渡上機嫌の解体

全体的に「押しつけの強いフェアデッキ」の活躍が目立ち、コントロールはなかなか難しい立ち位置にいます。

赤系アグロデッキ・ディミーアミッドレンジ・ジェスカイ召集のすべてを見ながら、シミックテラー・アゾリウス眼魔・版図ランプへのガードも下げられないなど、コントロールにとっては厳しい環境がつづくことになりそうです。

永劫の無垢世話人の才能跳ねる春、ベーザ

唯一、白単トークンはかなりコントロール寄りの構成で結果を残し続けています。《完成化した精神、ジェイス》を使ったデッキがほとんどいないことから、相対的に勝率が高くなっていそうです。ディミーアデーモンは世界選手権を優勝したデッキですが、あまり人気はないようですね。

白単トークンと《叫ぶ宿敵》の睨み合いは今後もよく見かけることになりそうです。

さて、今週末は『第29期スタンダード神挑戦者決定戦』が開催されます。2024年の集大成となる大会で勝利するのは、どんなデッキなのでしょうか。

来週の『Just Nowスタンダード!』はスタンダード神スペシャルでお送りしますので、お楽しみに!

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紳さん マジック愛に生きるフリーライターです。モダン、パイオニア、スタンダードでローグデッキを使い、勝利を目指す! 至って真剣勝負の毎日です。 紳さんの記事はこちら

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