はじめに
みなさん、こんにちは。
今月は、東京と大阪で開催される『MMM Finals 2024』などテーブルトップのイベントが充実していますね。
さて、今回は『Modern Showcase Qualifier』と『Modern Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Modern Showcase Qualifier』 -指輪に魅せられたデッキ-
開催日:2024年11月29日
準優勝 Broodscale Combo
3位 Ruby Storm
4位 Eldrazi
5位 Amulet Titan
6位 Temur Breach
8位 Temur Breach
『Modern Showcase Qualifier』は、『Modern Showcase Challenge』でトップ8に入賞または直前予選を勝ち抜いたプレイヤーのみが参戦できるMOCS本戦への出場をかけたイベントです。
今大会のプレイオフはコンボデッキが中心となっていました。現在のモダンでコンボデッキが強い理由のひとつに、現環境トップメタであるEnergyに強いことが挙げられます。
特に《一つの指輪》を強く使えるデッキが中心で、今大会のプレイオフもRuby Stormを除いたすべてのデッキが《一つの指輪》を採用したデッキでした。
Broodscale Combo
今大会で見事に優勝を果たし、本戦への権利を勝ち取ったのはBroodscale Comboでした。優勝も含めてプレイオフに3名と高い勝率を出しています。
『モダンホライゾン3』から登場した《日を浴びる繁殖鱗》を軸にしたデッキで、このクリーチャーは+1/+1カウンターが置かれるたびにを落とし子・トークンを生成することができます。《血の長の刃》を装備させることで、落とし子・トークンをサクリファイスするたびに+1/+1カウンターが載るため、ループが可能になります。
ゲームに勝つ方法は複数用意されていますが、最も手軽なのは《まばゆい肉掻き》との組み合わせです。無限に無色の落とし子・トークンを生み出せるので相手のライフを削り切れます。また、無限マナからの《歩行バリスタ》による無限ダメージも可能です。
☆注目ポイント
このデッキは多くの無色スペルを採用しているため、《古きものの活性》は有用なサーチスペルとして機能します。《邪悪鳴らし》はコンボに必要なカードを探しつつ落とし子・トークンも生成するので、キーカードがそろったときにスムーズにコンボへ移行しやすくなります。
《コジレックの命令》はコンボによって得た無限マナを利用して、2つ目のモードを使いデッキのすべてのカードを占術してキーカードである《まばゆい肉掻き》や《歩行バリスタ》をサーチすることができます。
《一つの指輪》はおなじみのアドバンテージ源です。《喜ぶハーフリング》からプレイすることで打ち消し無視でき、コンボを決めるまでの時間稼ぎとしても使えます。
Temur Breach
《研磨基地》と《死の国からの脱出》を使ったコンボデッキ。デッキのキーカードでありデッキ名にもなっている《死の国からの脱出》は、現代版の《ヨーグモスの意志》とも呼ばれている強力なカードです。
デッキの動きとしては、まず《研磨基地》と《死の国からの脱出》がそろっている状態で《モックス・アンバー》を場に出します。次に《研磨基地》を起動して《モックス・アンバー》をサクリファイスすることでカードを3枚切削。《死の国からの脱出》によって《モックス・アンバー》を「脱出」することで《研磨基地》がアンタップするので、これをライブラリーが空になるまで繰り返し、最終的に《タッサの神託者》で勝利します。
青赤をベースにタッチ白や緑などいくつかバージョンが存在します。今回入賞したのは緑をタッチしたTemurバージョンです。キーカードを探しつつ墓地も肥やせる《邪悪鳴らし》をはじめ、妨害対策になる《夏の帳》や《耐え抜くもの、母聖樹》など緑の優秀なカードを使えるのが魅力です。
☆注目ポイント
《知りたがりの学徒、タミヨウ》はこのデッキにとって最高のクリーチャーです。伝説なので《モックス・アンバー》が最序盤から使えるようになり、攻撃することで得られる手掛かり・トークンも、追加のドロー以上の効果をもたらしてくれます。
手掛かり・トークンはアーティファクトなので《湖に潜む者、エムリー》のコスト削減に一役買い、ドローしつつ《研磨基地》をアンタップすることもできます。《ミシュラのガラクタ》が4枚採用されているので、変身させることも容易です。
Temur Breachは数あるモダンのデッキの中でも《一つの指輪》を強く使えるデッキです。《モックス・アンバー》や《邪悪鳴らし》の落とし子・トークンを利用することで3ターン目にプレイすることもでき、コンボを対策されても粘り強く戦うことができます。また《湖に潜む者、エムリー》と組み合わせることによって、プロテクションを再利用することも可能です。
《機能不全ダニ》が使えることも緑をタッチするメリットです。《ウルザの物語》からサーチできるのでメインからも使いやすく、Temurが現在ベストなバージョンとされている理由になります。
『Modern Challenge 32』 -環境を支配し続けるBoros Energy-
開催日:2024年12月8日
優勝 Boros Energy
準優勝 Mardu Energy
4位 Boros Energy
5位 Boros Energy
6位 Boros Energy
7位 Boros Energy
最近の『Modern Challenge』はBoros/Mardu Energyの一強状態であり、今大会でもプレイオフに6名という結果になりました。その次に人気があるのがDimir Frogtideで『ダスクモーン:戦慄の館』からも新戦力を獲得しています。
Dimir Frogtide
『ダスクモーン:戦慄の館』は現環境に存在するアーキタイプに影響をあたえており、Dimir Frogtideも新カードによって強化されたデッキです。
Dimir Frogtideはエネルギーに強いコンボデッキと相性が良く、現環境で活躍するデッキの中でも数少ない《一つの指輪》を使用しないデッキになります。
☆注目ポイント
『ダスクモーン:戦慄の館』から登場した《忌まわしき眼魔》は、このデッキに大きな影響を与えました。《濁浪の執政》《オークの弓使い》《緻密》といった定番のクリーチャーを減らしてまで枠が確保されています。
5/5・飛行というスペックに加えて、「戦慄予示」によって毎ターンクロックを並べることができるので、除去されずに数ターン残れば速やかにゲームを終わらせることができます。
墓地に落として《発掘》でのリアニメイトを主に狙いますが、《思考掃き》や《考慮》といった1マナのキャントリップのおかげで、手札からプレイすることも比較的容易です。《濁浪の執政》を除くクリーチャーのマナ総量が3以下なため、状況に応じたクリーチャーを《発掘》できるのもポイントです。
来週の禁止改定で《一つの指輪》やエネルギーのパーツのどれかが禁止になり、《超能力蛙》が残るなら、新環境でも活躍が期待できるデッキになります。
迫る禁止改定
さて、禁止改定が来週にあるので、今回は現在のモダンが抱えている問題と、私が思う来週禁止される可能性のあるカードについて挙げていきたいと思います。今年6月に『モダンホライゾン3』がリリースされて以来、モダンはあまり良い状態とは言えず、多くのプレイヤーが不満を抱いていました。
プロツアー『モダンホライゾン3』を支配していた《有翼の叡智、ナドゥ》、そして以前から問題視されていた《悲嘆》が禁止になったことで環境の健全性が取り戻せたかと思ったのも束の間、今度はエネルギーを活用したBoros Energyが環境を支配しました。現在モダンの大きな大会の上位は、常にエネルギーデッキか、それらに強いRuby Stormなどのコンボデッキで占められています。
禁止候補として挙げられているのが《一つの指輪》です。今やありとあらゆるデッキでプレイされているカードであり、無色のアーティファクトということでどんなデッキでも使えるアドバンテージエンジンになります。
ただ、《一つの指輪》だけを禁止にしてもBoros Energyの圧倒的なデッキパワーはそのままなため、エネルギーデッキの重要なパーツである《色めき立つ猛竜》や《魂の導き手》なども一緒に禁止したほうが良いのでは?という意見もあります。《一つの指輪》に加えてこれらが禁止になれば、エネルギーを弱体化させつつ環境の変化が期待できそうです。
総括
来週の月曜日には禁止改定があり、現在の状況から何かしらのカードが禁止にされる可能性は高いでしょう。
年末に国内で開催されるモダンのイベントは禁止改定後になるので、どのようなデッキが活躍するのか楽しみですね。
以上、USA Modern Express vol.125でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!
おすすめ記事
- 2024/11/25
- 無限パワー!無限トークン!無限ダメージ!「繁殖鱗コンボ」デッキガイド
- 増田 勝仁
- 2024/11/08
- 大量のマナからねじ伏せる!「エルドラージランプ」デッキガイド
- 増田 勝仁