はじめに
みなさん、こんにちは。
12月16日に禁止改定があり、レガシーでは《超能力蛙》と《苛立たしいガラクタ》が禁止になりました。
Dimir Reanimatorは《悲嘆》が禁止になった後も常に高い勝率を維持していました。《虚無の呪文爆弾》など対策カードがメインから採用されているなか、アジア・北米・欧州で開催された『Eternal Weekend』でも複数の上位入賞者を出し、《超能力蛙》の禁止を望む声が多かったため、これは妥当な判断と言えます。
《苛立たしいガラクタ》は最近登場したカードのなかでも特に多くプレイされていたカードで、コンボデッキに対して有効な対抗手段であった《意志の力》《否定の力》《活性の力》《目くらまし》などをシャットアウトするため問題視されており、このタイミングでの禁止となりました。
前置きが長くなってしまいましたが、今回の連載では禁止改定後にMOのリーグで結果を残していたデッキを見ていきたいと思います。
MOリーグ5-0 デッキ紹介
Mystic Forge Combo
《苛立たしいガラクタ》が去り、青いデッキに対して少し弱くなったものの新環境でもMystic Forgeは健在です。
モダンでは禁止になりましたが、レガシーでは許された《一つの指輪》を強く使えるデッキでもあります。このデッキは《古えの墳墓》、《次元の結節点》+《ウルザの塔》、各種マナアーティファクトを利用することによって、早い段階から《一つの指輪》を出してアドバンテージを稼ぐことが可能です。
☆注目ポイント
《苛立たしいガラクタ》が禁止になったことで、その代用品として《防御の光網》がメインからフル搭載されています。しかし、《苛立たしいガラクタ》よりも1マナ重く、ドローに変換もできないので複数枚引きたいカードではなく、《ウルザの物語》でもサーチできないので《苛立たしいガラクタ》のようなフレキシブルさは望めません。
それ以外では大きな変化はなく、このデッキの売りである《まばゆい肉掻き》+《コジレックの命令》のコンボは健在です。《コジレックの命令》は1つ目のモードで落とし子・トークンを大量に生成することによって《まばゆい肉掻き》の誘発能力によってそのままゲームに勝つこともできますが、クリーチャー除去としても機能するなど非常に便利なスペルになります。
Mono Red Prison
『Asia Legacy Championship 2024』を制したMono Red Prisonも5-0していました。
《苛立たしいガラクタ》が禁止になったことで青いデッキに対する耐性が若干落ちていますが、レガシーでは《血染めの月》を場に出すだけで機能不全に陥るデッキが多く、《一つの指輪》など強力なカードが使えるため、新環境でも結果を残しています。
☆注目ポイント
《苛立たしいガラクタ》が退場したことで《虚空の杯》が再びメインから採用されるようになりました。《超能力蛙》に対して効果が薄かったため、旧環境では《虚空の杯》をメインから採用したデッキはあまり見られなくなっていましたが、今後は多くの《古えの墳墓》デッキで採用されることが予想されます。
またEldraziも健在なため、《月の大魔術師》や《血染めの月》といった特殊地形を咎めるカードを1ターン目にプレイできるこのデッキは、新環境でも人気が出そうです。
Cephalid Breakfast
《セファリッドの幻術師》+《コーの遊牧民》のコンボによってライブラリーを空にし、その過程で出た《ナルコメーバ》などをコストに《戦慄の復活》を「フラッシュバック」して《タッサの神託者》をリアニメイトして勝利するクリーチャーベースのコンボデッキ。
優秀な除去やカウンター、ドロースペルなど一通りそろっているため、フェアデッキとしても振る舞うことができます。純粋なコンボデッキではなく、コンボによる勝ち手段を搭載したミッドレンジに近いデッキです。
旧環境でも『Eternal Weekend 2024 Europe』で優勝する活躍を見せたCephalid Breakfast。今回の禁止改定の影響を受けなかったため、新環境でも使われそうです。
☆注目ポイント
今回禁止を免れた《有翼の叡智、ナドゥ》は、『モダンホライゾン3』がリリースされて以来このデッキに大きな影響を与えており、緑をタッチしたバージョンが主流になっています。《コーの遊牧民》や《手甲》といったカードとの組み合わせで多大なアドバンテージをもたらしてくれるので、ミッドレンジプランも成立しやすくなりました。
《ウルザの物語》はコンボパーツである《手甲》をサーチできます。サイド後は追加のカウンターや除去、《知りたがりの学徒、タミヨウ》や追加の《時を解す者、テフェリー》が投入され、よりコントロール寄りにシフトしていく選択肢もあります。
Izzet Delver
Delverデッキが戻ってきました。禁止改定前の環境でもテンポデッキは見られましたが、《超能力蛙》が強すぎたため青黒ベースのものが中心で、古典的な青赤バージョンを見るのは久々です。
青赤ベースのテンポデッキは《稲妻》など除去が火力スペル中心だったため、《超能力蛙》の対処が難しく、禁止改定前の環境で青赤バージョンが衰退していた理由のひとつになります。
《超能力蛙》が禁止になったことで、Izzet Delverタッチ《探索するドルイド》が再びテンポの主流になりそうです。また、《苛立たしいガラクタ》が退場したことで、禁止改定前よりも各種《古えの墳墓》デッキとの相性も改善されています。
☆注目ポイント
《超能力蛙》が退場したことで、《稲妻》がレガシーの主要な除去として復活することが予想されます。ただ《有翼の叡智、ナドゥ》を除去できないのがネックとなるため、今後のメタによっては《邪悪な熱気》のほうが優先されるかもしれません。
《記憶への放逐》は《一つの指輪》デッキを含めたさまざまなデッキに対して使えるカウンターです。《溶融》は各種《ウルザの物語》デッキとのマッチアップで有効なスイーパーで、《虚空の杯》を採用したデッキが増加するのであれば、サイドに用意しておきたいカードになります。
マナを攻めつつ軽いクロックで圧をかけられるDelverは、《古えの墳墓》デッキに有効な戦略として今後よく見かけそうです。《古えの墳墓》によるライフロスも手伝って、《稲妻》でライフを削り切ることも容易です。
総括
最近のレガシーの大規模なイベントの結果から、《超能力蛙》と《苛立たしいガラクタ》が禁止になったのは予想通りでした。Dimir Reanimatorは弱体化はするもののメインのパーツは残っているので、今後もよく見られるデッキになりそうです。
今回禁止を免れたカードのなかでは、《有翼の叡智、ナドゥ》が公式でも挙げられていました。多くの《有翼の叡智、ナドゥ》デッキは、《魂の洞窟》や《アロサウルス飼い》などカウンターを回避する手段が用意されており、除去を撃ってもアドバンテージを取られてしまうため、すぐにゲームに負けないまでも圧倒的なアドバンテージ差を付けられてしまいます。
そのため、お世辞にも楽しいといえないプレイパターンが発生することも一部では懸念されていますが、今回の変更によってほかのデッキにも活躍の機会ができ、メタが動くのでもう少し時間を置くという判断には賛成です。
今月末に開催される『Eternal Party 2024 in Tokyo』は禁止改定直後ということもあり、要注目のイベントになりそうです。
以上、USA Legacy Express vol.246でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!