最新のスタンダード大会結果!
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
- 2024/12/21
- THE LAST SUN 2024 カバレージ
- 晴れる屋メディアチーム
先日、年末最大のマジックの祭典、『THE LAST SUN 2024』が開催されました!
世界選手権覇者やプロツアー優勝者なども参加するハイレベルな大会となり、昨年の準優勝者である小坂 和音 選手が見事、悲願の優勝を勝ち取るというドラマティックな結果が待っていました。
今回は『THE LAST SUN 2024』で好成績を収めたデッキを紹介したいと思います!
『THE LAST SUN 2024』
強豪プレイヤー220名が参加した『THE LAST SUN 2024』はスタンダード7回戦+モダン7回戦の混合フォーマットにて開催されました。
- 2024/12/21
- メタゲームブレイクダウン(スタンダード)
- 晴れる屋メディアチーム
メタゲーム的にはディミーアミッドレンジとグルール果敢の圧倒的な二強となりましたが、メタ外のデッキもしっかりと勝ち上がるなど興味深い大会となっております。
また、混合フォーマットの関係で上位入賞デッキのなかにはスタンダード4勝3敗といった成績のものが含まれます。ここでは上位入賞者が選択したデッキの傾向に注目していただければ幸いです。
開催日:2024年12月21-22日(土・日)
優勝 グルール果敢
準優勝 黒単デーモン
トップ4 ティムールカワウソ
トップ4 グルール果敢
トップ8 グルール果敢
トップ8 ディミーアミッドレンジ
トップ8 グルール果敢
トップ8 ジェスカイ召集
トップ16 ディミーアミッドレンジ
トップ16 グルール果敢
トップ16 ディミーアコントロール
トップ16 《もがく出現》
トップ16 シミックテラー
トップ16 ディミーアミッドレンジ
トップ16 ボロスハツカネズミ
トップ16 ディミーアミッドレンジ
トップ16の内、グルール果敢は優勝者含む5名が入賞という結果となりました。使用率18%に対して入賞率31%ということで、今大会の圧倒的な勝ち組デッキと言えるのではないでしょうか。
トップメタのディミーアミッドレンジは4名が入賞しました。使用率26%に対して入賞率25%ということで、ほぼ期待通りのパフォーマンスを発揮したと考えられます。
ディミーアミッドレンジ
220名中、唯一のスタンダードラウンド全勝を成し遂げたのが小林 友哉 選手のディミーアミッドレンジです。小林 選手は総合でもトップ8に入賞しています。
《遠眼鏡のセイレーン》のような軽量クリーチャーを展開し、忍術によって《悪夢滅ぼし、魁渡》を早期ターンに着地させることを狙います。《フラッドピットの溺れさせ》でブロッカーをタップさせ、《悪夢滅ぼし、魁渡》と入れ替える動きも強力です。
タップや除去で盤面を制しつつ、《永劫の好奇心》を着地させればクリーチャーの攻撃が通るたびに1ドローという絶大的なアドバンテージ源が手に入ります。《永劫の好奇心》は瞬速でプレイできる上に一度破壊されても戦場に戻ることができるなど、非常に対処されづらいカードです。
小林 選手のリストで特徴的なのは《大洞窟のコウモリ》と《逃げ場なし》でしょうか。《大洞窟のコウモリ》はピーピング手札追放が強力ですが、除去されるとすぐに手札に戻ってしまう点と、環境に《遠眼鏡のセイレーン》が多すぎて攻撃がほとんどできない点がネックとなり、最近のリストではあまり見かけないクリーチャーです。
赤系アグロ相手にはプランを狂わせつつ、絆魂でペチペチ1点ずつ攻撃しながらライフ回復できる点が評価されたのかもしれません。
《逃げ場なし》は戦場にあると《蛇皮のヴェール》を無視して除去ができたり、《心火の英雄》を安全に除去できるといった利点があります。
流行中のアゾリウスアグロやボロスハツカネズミに対しては、《幽霊による庇護》によって護法を得たクリーチャーを貫通して除去できる点が有効です。
また、メインとサイド合わせて《ティシャーナの潮縛り》が4枚フル採用されております。
《ウラブラスクの溶鉱炉》のようなディミーアカラーで対処しづらいカードを止めることができるなど、お守りとして重宝します。
グルール果敢
こちらは優勝した小坂 和音 選手のグルール果敢のリストです。6勝1敗という成績でした。
《心火の英雄》と《多様な鼠》のコンビネーションは圧巻で、これに《巨怪の怒り》を組み合わせるだけでゲームに勝ててしまうほど強力なダメージを叩き出せることがあります。
相手からするとグルール果敢相手にタップアウトはしたくありませんが、1-2マナで展開されるクリーチャーが優秀すぎるため、どうしても強力なブロッカーを用意するためにマナを使うことになります。《巨怪の怒り》は、その隙を見逃しません。
《叫ぶ宿敵》はチャンプブロックすら許さず、《ドロスの魔神》相手にも平然と突っ込ませることができる強力な速攻3/3クリーチャーです。
「残りのゲームの間、そのプレイヤーはライフを得られない」能力を誘発させれば、アグロデッキでありながら時間をかけて戦っても十分に勝利することができます。《噴出の稲妻》は本体火力&クリーチャー除去として働きながら《叫ぶ宿敵》の能力を無理矢理に誘発させる手段としても最適です。
《探索するドルイド》はアグロデッキが苦手なリソース補充をしつつ、戦場に出てからもかなり早い速度で成長し、驚異的なアタッカーとなります。特に除去が強力な黒系のミッドレンジデッキ相手にはサイドから《探索するドルイド》を増量し、あえてロングゲーム(リソース勝負)を挑むことも可能です。
サイドボードの《脚当ての陣形》はクリティカルなエンチャントやクリーチャーを対処することができる便利なカードで、相性が改善するゲームがかなり多くなることでしょう。
ちなみに小坂 選手のリストでは《蛇皮のヴェール》が採用されていません。
相手の除去をピンポイントで弾ける点は強力ですが《逃げ場なし》の採用も増えていますし、なにより《蛇皮のヴェール》のような「受け」のカードを減らすことでデッキ全体の出力を上げ、上振れの確率も高くなることが大きなメリットだと思いました。
黒単デーモン
準優勝した奥野 篤哉 選手の黒単デーモンは完全にメタ外のデッキでありながら6勝1敗という好成績で注目を集めました。
決勝ではスイスラウンド1位抜けの奥野 選手にフォーマットを選ぶ権利があり、小坂 和音 選手のグルール果敢のリストを確認した上で堂々と黒単デーモンをぶつけています。
- 2024/12/22
- デッキテク:『THE LAST SUN 2024』初日全勝者の「黒単デーモン」(スタンダード)
- 晴れる屋メディアチーム
《沼》が17枚など、ほとんどの土地をアンタップインでプレイできるため、スムーズにパワーカードを叩きつける気持ちよさがあります。
また、メインから《強迫》が4枚というのはかなり珍しく、黒単ならではの構築ではないでしょうか。
《強迫》と《大洞窟のコウモリ》で除去を抜きながら、《分派の説教者》や《黙示録、シェオルドレッド》を安全に着地させることができます。
そのほか、《魂石の聖域》を4枚フル採用できるのは単色デッキならではの強みとなります。
土地が永続的に警戒3/3クリーチャーとして攻撃に参加できるのは強く、すべてのクリーチャー・タイプであるため《不浄な別室》とのシナジーも抜群です。
さらに《噴水港》まで3枚採用してロングゲームに備えています。単色デッキは土地を強く使えるのが良いですね!
一方、『THE LAST SUN 2024』の決勝でもあったように、ハンデスのタイミングや相手のトップデッキ次第では、どうにもならない盤面を作られてしまうこともあるようです。
《ウラブラスクの溶鉱炉》だけは本当にご容赦願いたいカードですね。
《もがく出現》
スタンダード6勝1敗の《もがく出現》もかなり尖ったデッキです。使用者のワキ ナオヤ 選手は総合で12位に入賞しました。
素早く墓地を肥やして大型クリーチャーを吊り上げるリアニメイト戦略を狙います。2ターン目に《第三の道の創設》から《錠前破りのいたずら屋》を出来事でプレイすれば、最速3ターン目に《偉大なる統一者、アトラクサ》を戦場に出すことも可能です。
ただ、ワキさんの構築はソーサリーやインスタントも多く採用しており、そこまで最短で《もがく出現》をプレイすることにこだわっていないようです。《偉大なる統一者、アトラクサ》以外に白マナを必要とするカードがないにも関わらず、当然のように《平地》が採用されています。
また、とても地味なアップデートではあるのですが、『ファウンデーションズ』で《ゾンビ化》が再録されたことも、このデッキの好成績を支えているようです。これまではスタンダードのリアニメイト呪文の基準は5マナでした。
ちなみに現スタンダードは墓地対策カードが強く、アゾリウス眼魔の活躍によって墓地利用デッキはけっしてノーマークではない存在です。
そんな状況でも好成績を収めたということは、「手札からクリーチャーを叩きつける展開」を現実的に考えたワキ 選手の今回の構築がハマったということではないでしょうか。
ディミーアコントロール
最後にご紹介するのは、スタンダード神の座に就いたこともある強豪プレイヤー、矢島 広道 選手のディミーアコントロールです。こちらもメタ外のデッキながら6勝1敗という好成績を収め、矢島 選手は総合で11位に入賞しています。
今年の世界選手権を制したディミーアデーモンに近しい構成のコントロールデッキで、ライブラリーアウトを狙いながらクリーチャーによるビートダウンの勝ち筋を残した形です。
序盤から防御札として使える《有角の湖鯨》は、高速アグロ環境である現スターンダードのフィニッシャーにピッタリです。
また、《不浄な別室/祭儀室》を採用せず、ライフルーズの心配がない《精神迷わせの秘本》をドローエンジンとして採用しています。地味ながら最終的に4点ライフゲインできるのも偉いですね。
序盤・中盤は除去と打ち消しで乗り越えます。《音を立てるな》の採用は珍しいですが、おおむね《かき消し》のような活躍はしてくれそうです。
置き物を通してしまうと対処が難しいディミーアカラーのデッキですが、《豆の木をのぼれ》や《世話人の才能》を使ってくるデッキに対してはそもそも相性勝ちできるため、《ウラブラスクの溶鉱炉》さえ対処できれば問題なさそうです。
ゲーム終盤は《終末の加虐者》が着地すればほとんど勝ちと言って良いでしょう。クリーチャーデッキではないのに《魂の洞窟》を採用しているのがシビれます。
ちなみに相手のディミーアミッドレンジが《不穏な浅瀬》を置いている場合、手なりで《終末の加虐者》をプレイすると逆にライブラリーアウト負けしてしまいます。忠誠度を2以上残した《完成化した精神、ジェイス》と合わせて即勝利が狙えるタイミングがくるまでコントロールを続けることになるでしょう。
また、このタイプのデッキで《死人に口無し》を採用していないことは意外でした。単体除去と打ち消しで盤面をコントロールするようです。メタゲーム的にインスタントタイミングの除去が重要だと判断した結果でしょうか。
ジェスカイ召集はかなり厳しいマッチアップとなりそうですが、サイドには2枚の《ぎらつく氾濫》があり、最低限の準備はできているようです。
おわりに
以上、『THE LAST SUN 2024』を振り返りつつ、好成績を収めたデッキを紹介しました。
最有力デッキはグルール果敢ですが、意外なデッキの入賞も確認でき、かなり奥深い環境だと感じます。
ちなみに再録カードの《精神迷わせの秘本》は奥野 選手の黒単デーモンと矢島 選手のディミーアコントロールという、メタ外で入賞した両デッキに採用されていたカードです。今後、さまざまなデッキで採用されるかもしれませんね。
年末の大イベントも終わり、2024年もまもなく終わりを迎えます。来年はどんなデッキが活躍するでしょうか。新年最初の「Just Nowスタンダード! 」は1月6日(月)を予定しています。
それでは良いお年を!