Translated by Yoshihiko Ikawa
(掲載日 2018/10/05)
皆さん、こんにちは!僕の名前はアーネ・ハーシェンビス/Arne Huschenbeth。ドイツ・ベルリン在住のゴールド・レベル・プロです。
僕が一番好きなフォーマットはスタンダードで、僕自身もっとも成功しているフォーマットでもあります。近い内に、僕自身の新しいスタンダードのデッキについての洞察やテクニック、メタゲームなどについての記事を晴れる屋にお届けできるでしょう。
新エキスパンション発売後の最初期の、特にローテーション直後のスタンダードはいつだってエキサイティングですよね。デッキビルダーにとっての楽園であり、第1週目はデッキ構築技術が本当に輝くタイミングです。1からスタートし、メタゲームがどのようになるか考え、それに応じて準備する必要があります。
僕は直近でスタンダードの大会に出る予定はありませんが、スタンダードのことが大好きなので、とにかく時間と情熱をスタンダードに注いでいます。今回は、新しいデッキやメタゲームについての僕の所見を、皆さんにお伝えしたいと思います。今週末に大会に出る方や、単にスタンダードがどうなるか知りたい方たちの助けになると思いますよ。それでは、さっそく始めましょう!
「レベル0」のメタゲームが、僕が考えている新たなメタゲームの前提であり、スタート地点です。一番よく目にするデッキは、緑単系ストンピィ(大抵はタッチ黒でしょう)、赤単、ボロス・アグロ、そしてターボ・フォグでしょう。またセレズニア・トークン、ゴルガリ「宿根」(モダンでも活躍している《縫い師への供給者》が支えています)、そして青白/ジェスカイ・コントロールも見かけるでしょう。
緑黒ストンピィ
緑黒ストンピィはこの環境のベストデッキの1つですし、トップメタの一角になるであろうと僕は想定しています。《生皮収集家》は信じられないほど素晴らしいカードだと思いますし、《無効皮のフェロックス》は見た目よりも遥かに強力です。《無効皮のフェロックス》を対処するには同じ程度、もしくはそれ以上のマナの支払いが常に必要になりますし、クリーチャーデッキ、特に赤いデッキ相手ではその強大なサイズで相手を打ちのめしてくれます。
1 《沼》
4 《草むした墓》
4 《森林の墓地》
-土地 (24)- 4 《生皮収集家》
4 《ラノワールのエルフ》
4 《クロールの銛撃ち》
4 《茨の副官》
4 《鉄葉のチャンピオン》
4 《打ち壊すブロントドン》
4 《無効皮のフェロックス》
2 《蔦草牝馬》
3 《原初の飢え、ガルタ》
-クリーチャー (33)-
赤単
新環境の赤単も強力です。赤単はすべてのカードを失ったと考えている方も多いでしょうが、「マナカーブを低めにしてバーンに寄せた赤単」を構築するのに十分なピースが揃っているのです。《危険因子》、《遁走する蒸気族》、そして《実験の狂乱》といったカードたちは本当に素晴らしいです。最後にあげた《実験の狂乱》については、土地を切り詰めていてマナコストも全体的に低いデッキなので、《前哨地の包囲》よりも素晴らしいカードといえます。
もしあなたがコントロールデッキをプレイしていて、赤単が多いようであれば、まず初めに大量の火力からライフトータルを守るプランが必要になり、そしてその次に《実験の狂乱》を対処する手段が必要になります。この2つの別角度からの攻撃に対処するのは、決して簡単なことではないでしょう。
こちらがデッキリストです。このリストは、僕の親友の1人でありグランプリによく参加しているサーシャ・シュワルツ/Sascha SchwarzがMagic Online上で使って勝ち続けているリストに近いものです。
一般的に、ボロスはストンピィ、ターボ・フォグ、そしてコントロールデッキに対しては相性が悪いように見えます。僕は今のところボロスについてはそこまで好きではないですが、多分正解のリストがまだ見つかってないだけだと思いますね。ボロスはここ数日でとても注目されていますので、きっと今週末は多くのプレイヤーがこのデッキをプレイすることでしょう。デッキ自体はそこまで悪くないですし、《正義の模範、オレリア》は本当に優れたカードです。
ターボ・フォグは最近使っていませんし、対戦もしていません。ですがこのデッキはほとんどローテーションで被害を受けておらず、失ったカードも替えが利くカードです。なので、プレイヤーたちはこのデッキを持ち込むと予想しています。特にコントロールが好きな人は、このデッキに注目するでしょう。
コントロール
メタゲームの予想ができた後は、そのメタゲームにどう対抗できるか考えていきましょう。僕はまず青白コントロールとジェスカイ・コントロールを試してみました。これらのデッキは手応えがよく、プレイに値するデッキではありました。ですが、青白コントロールは《軍勢の戦親分》や《協約の魂、イマーラ》といったクリーチャーへの対処手段に問題を抱えていました。また、ジェスカイは「ショックランド」を大量に採用せざるを得ないため、赤系のアグロデッキとの対戦で困りました。
これらの問題への解答は黒にありました。黒は僕が求めていたすべての要素を持っていたのです。《煤の儀式》がその事実を表しています。このカードは控えめな能力に見えますが、僕が今求めているすべての要素を満たしています。また実際、黒という色には優良カードが豊富にありますし、特に多色のカードは優れています。
僕が早くに学んだことは、戦場に出てしまった《実験の狂乱》を対処できないデッキは使わないだろうということです。これが意味するのは、グリクシスという色の組み合わせは選択肢から消えたということです。
そして、前環境ですでに成功体験がある ―グランプリ・ブリュッセル2018でトップ8に入賞したのです― エスパー・コントロールにたどり着きました。着手してすぐに、このデッキこそが僕の求めていたものだと感じたのです。
こちらが、僕が今使っているデッキリストです。
4 《沼》
1 《平地》
4 《湿った墓》
3 《進化する未開地》
4 《水没した地下墓地》
3 《氷河の城砦》
3 《孤立した礼拝堂》
1 《廃墟の地》
-土地 (27)- 1 《変遷の龍、クロミウム》
-クリーチャー (1)-
3 《喪心》
3 《渇望の時》
2 《本質の散乱》
1 《軽蔑的な一撃》
4 《悪意ある妨害》
4 《薬術師の眼識》
3 《煤の儀式》
3 《ヴラスカの侮辱》
2 《アズカンタの探索》
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (32)-
2 《強迫》
2 《否認》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《神聖の発動》
1 《菌類感染》
1 《渇望の時》
1 《煤の儀式》
1 《最古再誕》
1 《アルゲールの断血》
-サイドボード (15)-
《ドミナリアの英雄、テフェリー》は依然として狂った強さです。《薬術師の眼識》もまた、僕が予想していたよりもずっと、信じられないほど素晴らしいカードでした。《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ》は最高の攻撃的なサイドボードカードで、僕はほとんどのマッチアップに対して彼女をサイドインすることにしています。《栄光をもたらすもの》と《反逆の先導者、チャンドラ》がスタンダードから去った今、ついにこの素晴らしいカードが日の目を浴びるときが来たのです。
このエスパー・コントロールは、特に緑系のデッキと他のコントロールデッキを倒すように最適化されています。赤単に対しては五分といったところです。赤単側の、こちらに対するベストカードは《危険因子》と《実験の狂乱》です。サイドボード後は《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ》や《神聖の発動》といった、それらのカードの強さを緩和できる対抗策があります。
僕が好んでいるもう1枚のカードが《軽蔑的な一撃》です。これは対戦相手が使用してくるであろうサイドボードカードに対する、最高のカウンター呪文です。大抵のデッキはサイドボード後、プレインズウォーカーや対処しづらいパーマネントといった4マナ以上のカードでコントロールデッキを倒そうと試みてきます。《軽蔑的な一撃》は、そういった様々な角度からの攻撃に対して効率よく対応できるのです。
まとめ
【選択肢1】 ストンピィか赤単を使いましょう。まだ攻略されていないなら、余計なことを考える必要はなく、素直に使うべきです。プロアクティブ(※自発的にプレッシャーをかけていく戦略)であることが、発売1週目で悪い選択肢だったことはありません。もし攻撃的なデッキが使いたい方がいれば、僕はこれら2つのデッキをオススメします。
【選択肢2】 予想したメタゲームを打倒できるデッキを使いましょう。エスパーコントロールを使うのです。
読んでいただきありがとうございました!もし何かご質問やご提案がありましたら、いつでも僕のTwitterまでご連絡くださいね。
アーネ