USA Legacy Express vol.250 -《聖遺のワイト》と《大鎌猫の仔》がブレイクの予感?新型クレイドルコントロールが優勝-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさん、こんにちは。

食糧補充

《食糧補充》など、『霊気走破』のカードがレガシーにも影響を与えています。どんなデッキに採用されているのでしょうか。

今回の連載では『4Season Winter Main Event @ARCI Benassi』と『Legacy Showcase Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。

『4Season Winter Main Event @ARCI Benassi』 -安定のリアニメイト-

『4Season Winter Main Event @ARCI Benassi』

優勝 Dimir Reanimator

準優勝 Mono Red Prison

トップ4 Bant Nadu

トップ4 Dimir Reanimator

トップ8 Dimir Reanimator

トップ8 Doomsday

トップ8 Azorius Control

トップ8 Omni-Tell

トップ8デッキリスト

ヨーロッパで開催された大規模なテーブルトップのイベント、『4Season Winter Main Event @ARCI Benassi』は270名が参加し、大盛況でした。

今大会で上位に残ったのは神決定戦でも優勝したDimir Reanimator、禁止改定後の環境でも常に上位で見られるMono Red Prison、Naduなどが中心です。

Dimir Reanimator

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超能力蛙

《超能力蛙》が禁止になる前のリストと比較すると、確実に弱体化していますが、それでもDimir Reanimatorは現在のレガシーにおいてベストデッキの一つと考えられています。

リアニメイトプランが対処された際に有効なフェアプランでは、《超能力蛙》こそ使用できないまでも、《バロウゴイフ》など軽くて優秀なクリーチャーが健在です。

☆注目ポイント

カザド=ドゥームのトロール偉大なる統一者、アトラクサ残虐の執政官

『指輪物語:中つ国の伝承』で登場して以来、Reanimatorの主力として採用されている《カザド=ドゥームのトロール》は、沼サイクリングによって安定して必要な色マナの出る土地を確保することができます。

また、《偉大なる統一者、アトラクサ》《残虐の執政官》といったフィニッシャーと異なり、墓地に落とすためにリソースを費やす必要がなく、気軽に釣り対象を確保できるため、デッキの安定性を高めてくれるカードです。

意志の力思考囲い再活性

墓地対策が薄い傾向にあるメイン戦は、基本的にカウンターやハンデスを駆使して強引にリアニメイトコンボを決めるプランがベストです。

BarrowgoyfMurktide Regent

そして、墓地対策が投入されるサイド後は、追加のクリーチャーをサイドインしてミッドレンジプラン寄りにシフトしていくことになります。《超能力蛙》禁止前ほどの安定感はなくなったものの、《バロウゴイフ》《濁浪の執政》といったクリーチャーで攻めるテンポ、ミッドレンジプランへとシフトする動きは強力で、対戦難易度が高いデッキとなります。

※今回優勝したリストに《濁浪の執政》は採用されていませんでしたが、よく採用されているクリーチャーの例として挙げさせていただきました。

Omni-Tell

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Dig Through TimeShow and TellStock Up

《時を越えた探索》が禁止になる前の環境では《実物提示教育》系のコンボデッキが人気でした。ソーサリータイミングになり確認できるカードも2枚少なくなりましたが、《食糧補充》《時を越えた探索》を彷彿とさせる占術系手札補充スペルで、このカードの登場によってOmni-Tellが復権の兆しを見せています。

騙し討ちVeil of Summer花の絨毯

また、Sneak and Showと異なり、現在の《実物提示教育》系のコンボデッキは青単がベースで、カウンターに強い《夏の帳》やサイドボードのカードのために緑をタッチしたバージョンが主流になっています。

引き裂かれし永劫、エムラクール全知

Sneak and Showはファッティを高速展開してゲームに勝つコンボデッキでしたが、Omni-Tellは《実物提示教育》からのコンボに重点を置いています。《実物提示教育》から《全知》を出し、《狡猾な願い》から《呼応した呼集》をサーチして勝ち手段へとつなげることができるため、《真髄の針》《封じ込める僧侶》といった対策カードに耐性があります。

☆注目ポイント

食糧補充オークの弓使いAncient Tomb

『霊気走破』の新カード、《食糧補充》はソーサリーで3マナと、一見するとレガシー基準では重く感じますが、ライブラリートップから5枚見て2枚手札に加えるというカード選択は複数のキーカードを有するコンボデッキと相性がいいスペルです。

また、「カードを引く」のではなく、「手札に加える」ため、《オークの弓使い》に引っ掛からないのもこのスペルの強みになります。《古えの墳墓》が使えるデッキではプレイしやすく、Omni-Tellは《食糧補充》を最も強く使えるデッキの一つといえるでしょう。

Veil of SummerUro, Titan of Nature's WrathCarpet of Flowers

《夏の帳》はハンデスとカウンターの両方を対策できるカードで、《実物提示教育》が通りやすくなるため、緑をタッチする価値は高いです。

コンボ以外の勝ち手段となる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や、Delver系など青いデッキとのマッチアップで有効な《花の絨毯》にもアクセスできるようになりました。

《花の絨毯》によってマナに余裕が生まれ、《目くらまし》《呪文貫き》といったソフトカウンターにも耐性があります。

『Legacy Showcase Challenge』 -新カードが大活躍-

3月8日開催 『Legacy Showcase Challenge』

優勝 Cradle Control

準優勝 Death and Taxes

トップ4 Sneak and Show

トップ4 Esper Tempo

トップ8 Azorius Tempo

トップ8 Mono Red Stompy

トップ8 Mono Green Post

トップ8 Izzet Delver

トップ8デッキリスト

先週末にMOで開催された『Legacy Showcase Challenge』にも、《食糧補充》を採用したデッキが複数入賞していました。

猛威を振るっていたDimir Reanimatorは今大会でも人気のアーキタイプでしたが、《虚無の呪文爆弾》《忍耐》といった墓地対策をメインから採用したデッキが複数勝ち残っていたこともあり、今大会のプレイオフには残っていません。

大鎌猫の仔聖遺のワイトガイアの揺籃の地

そんななか、優勝したのは《大鎌猫の仔》をフィーチャーしたCradle Controlでした。

Cradle Control

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貴族の教主下賤の教主ガイアの揺籃の地緑の太陽の頂点自然の秩序偉大なる統一者、アトラクサ

マナクリーチャーや《ガイアの揺籃の地》から大量のマナを出し、《緑の太陽の頂点》によって状況に適した緑クリーチャーをサーチしながらゲームをコントロールするデッキです。最終的に《自然の秩序》《偉大なる統一者、アトラクサ》をサーチし、ゲームに勝利します。

大鎌猫の仔聖遺のワイト

『モダンホライゾン3』からの新戦力《聖遺のワイト》や、『ファウンデーションズ ジャンプスタート』で登場した《大鎌猫の仔》などが採用されています。

☆注目ポイント

聖遺のワイトガイアの揺籃の地

《聖遺のワイト》は警戒持ちのため、盤面に圧をかけながら必要な土地をサーチできる点が優秀です。サクリファイスに必要なクリーチャーを確保できれば、マナ加速としても機能します。

おもにサーチする土地は《ガイアの揺籃の地》ですが、状況に応じて《マダラの鉤爪門》をサーチするなど、様々な選択肢があります

マダラの鉤爪門Sejiri SteppeWight of the Reliquary

《マダラの鉤爪門》《セジーリのステップ》のようにブロッカーを退かしたり、クリーチャーを除去から守ったりできる土地ですが、《セジーリのステップ》と異なりアンタップインできる点が優れています。《聖遺のワイト》がいればインスタントタイミングでフェイズ・アウト能力が使用でき、全体除去からクリーチャーを守ることもできます。

大鎌猫の仔

《大鎌猫の仔》は「上陸」するたびに+1/+1カウンターを置く《棘を播く者、逆棘のビル》と似た能力を持つ猫です。フェッチランドや《聖遺のワイト》と相性がよく、このデッキにおいては短時間でフィニッシャー級のサイズまで育ちます

トランプルを持っていて、伝説でもないため複数並べることができ、2度目の上陸によって誘発する「+1/+1カウンターを倍にする」能力も強力であるため、《棘を播く者、逆棘のビル》よりも優れています。

EnduranceBojuka Bog

このデッキはメインから《忍耐》《ボジューカの沼》といった墓地対策を使えるのも強みで、Dimir Reanimatorがトップメタの現環境に合っています。

想起でプレイした《忍耐》を生け贄に捧げる前に、スタックで《聖遺のワイト》の起動型能力のコストに充てられることは覚えておきましょう。

Dimir Tempo

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食糧補充

同大会でトップ16に入賞したDimir Tempoに《食糧補充》が採用されていました。Show And Tell系のコンボデッキだけでなく、フェアデッキでもアドバンテージ源として注目されています。

超能力蛙

Dimir Reanimatorと同様、Dimir Tempoも《超能力蛙》禁止の影響が大きかったアーキタイプですが、しっかりと現環境でも活躍しているようです。

NethergoyfOrcish BowmastersTamiyo, Inquisitive StudentBarrowgoyfFatal PushThoughtseize

《ネザーゴイフ》《オークの弓使い》《知りたがりの学徒、タミヨウ》《バロウゴイフ》といった現代の強力なクリーチャーが中心で、《致命的な一押し》《思考囲い》といった低コストの優秀なスペルにアクセスできるところが特徴です。

Kaito, Bane of NightmaresNihil Spellbomb

今回のリストには不採用ですが、最近は《悪夢滅ぼし、魁渡》を採用したリストも見られます。また、メインから採用しやすいキャントリップ付きの墓地対策の《虚無の呪文爆弾》が使えることもDImir Tempoを選択する理由の一つとなるでしょう。

☆注目ポイント

食糧補充Painful TruthsMystic Sanctuary

中盤以降にカードアドバンテージを得る手段である《食糧補充》は、かつてGrixis Delverなどに採用されていた《苦い真理》を彷彿とさせます。

《苦い真理》と異なりライフを失うこともなければ、《オークの弓使い》の影響も受けず、青いカードなので《意志の力》のコストにもできる点が優れています。また、《神秘の聖域》で使いまわすことでさらにアドバンテージを稼ぐことも可能で、ロングゲームにも強い構成です。

虚無の呪文爆弾

墓地対策の《虚無の呪文爆弾》はキャントリップ持ちなのでメインから採用しやすく、Dimir Reanimatorのリアニメイトプランを牽制できることはこのデッキの強みの一つとなります。

Tamiyo, Inquisitive StudentBarrowgoyfMurktide Regent

《知りたがりの学徒、タミヨウ》《バロウゴイフ》《濁浪の執政》といったマスト除去のクリーチャーが中心で、それらを対処されても追加の脅威を《食糧補充》で引き当てることができるため、息切れがしにくいです。

《知りたがりの学徒、タミヨウ》は直接的なダメージソースにならないため、《古えの墳墓》デッキに対してはそこまで強くないものの、アドバンテージを稼ぎつつ、奥義を決めればほぼ勝ちが確定するカードで、青いフェアデッキやコンボデッキとのマッチアップにおいて重宝します。

《バロウゴイフ》が使えることもDimirの強みで、Izzet Delverなど、ほかのテンポデッキとのマッチアップで特に強さを発揮します。

総括

EnduranceAncient TombTamiyo, Inquisitive Student騙し討ち

『Legacy Showcase Challenge』では《忍耐》をメインから搭載したCeadle Control、定番の《古えの墳墓》デッキのMono Red Stompy、《知りたがりの学徒、タミヨウ》を採用した青いフェアデッキ、新カード《食糧補充》の恩恵を受けたSneak And Showなど様々なアーキタイプが入賞しました。

カザド=ドゥームのトロール再活性納墓

トップメタのDimir Reanimatorはトップ8に残らなかったものの、トップ32に7名と安定した勝率を残しており、強いデッキであることは変わりません。今後も対策を徹底していくことが推奨されます。

USA Legacy Express vol.250は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら