最新のスタンダード大会結果をチェック!
こんにちは!晴れる屋メディアの紳さんです。
【速報】
— 晴れる屋 (@hareruya_mtg) June 29, 2025
晴れる屋に勤務する平林 和哉選手が念願のタイトル獲得!
かつてともにグランプリで切磋琢磨した行弘 賢選手のPT優勝を先週現場で見届け、今度は自分が生涯初のタイトル獲得!!
マジックとは?
「すべてですね。説明しにくいんですが……とにかくすべてです」
優勝おめでとう!! https://t.co/Nci96vtrco
先日開催された『マジック・スポットライト:FINAL FANTASY』で、古豪プレイヤーである平林 和哉選手が優勝し、悲願の初タイトルを手に入れました。
平林選手は先週のプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』を優勝した行弘 賢(@death_snow)選手と師弟関係にあり、インタビューでは「行弘選手の活躍を目の前で見たことが、スタンダードの環境を理解することに繋がった」と話していました。2人揃っての快挙ということで、なんともドラマティックな結末でしたね!
それでは、スポットライトのメタゲームと結果を振り返りながら、最新のスタンダード環境を追っていきたいと思います。
『マジック・スポットライト:FINAL FANTASY』

スタンダードで開催されたメインイベントは2日間に渡って行われ、なんと2,248名(エントリーは2,265名)ものプレイヤーが参加しました。外国人プレイヤーの参加も多く、日本国内で開催されたマジックの大会としては最大規模の盛り上がりです。
初日は予選ラウンド10回戦、2日目は予選ラウンド5回戦 + 決勝トーナメントという長丁場で、多くの熱戦が繰り広げられました。
メタゲームブレイクダウン
デッキ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
イゼット果敢 | 463 | 20.4% |
赤単アグロ | 395 | 17.4% |
アゾリウス全知 | 204 | 9.0% |
ディミーアミッドレンジ | 102 | 4.5% |
オーバーロード | 94 | 4.2% |
ボロスアグロ | 86 | 3.8% |
アゾリウスコントロール | 59 | 2.6% |
オルゾフピクシー | 58 | 2.6% |
黒単デーモン | 49 | 2.2% |
グルールアグロ | 48 | 2.1% |
ゴルガリルーツ | 46 | 2.0% |
イゼット《アガサの魂の大釜》 | 43 | 1.9% |
グルール昂揚 | 36 | 1.6% |
ジェスカイ眼魔 | 32 | 1.4% |
ゴルガリデーモン | 31 | 1.4% |
オルゾフデーモン | 27 | 1.2% |
アゾリウスアーティファクト | 23 | 1.0% |
ジェスカイコントロール | 21 | 0.9% |
ナヤユウナ | 21 | 0.9% |
ゴルガリ切削 | 19 | 0.8% |
オルゾフライフゲイン | 13 | 0.6% |
黒単アグロ | 13 | 0.6% |
ディミーアコントロール | 11 | 0.5% |
その他 | 371 | 16.4% |
総計 | 2265 |
トップメタはやはり、最強デッキのイゼット果敢。さらに、先週のプロツアーで大活躍したことにより、赤単が全体的にシェアを伸ばしました。3番手にはアゾリウス全知と、人気上位はプロツアーと同様のメタゲームという印象です。
そのほか、気になるところでは《稲妻のらせん》と《幽霊による庇護》がライフレースを有利に進めるボロスアグロや、ゴルガリルーツのような赤単やイゼット果敢に対して強いデッキが急激に数を増やしています。
トップ16デッキリスト
トップ16の結果は、以下のようになりました。
『マジック・スポットライト:FINAL FANTASY』
優勝 イゼット果敢
準優勝 アゾリウス全知
3位 イゼット果敢
4位 赤単
5位 ディミーアミッドレンジ
6位 イゼット果敢
7位 ゴルガリルーツ
9位 イゼット果敢
10位 ゴルガリルーツ
11位 ディミーアミッドレンジ
12位 イゼット《アガサの魂の大釜》
13位 ディミーア眼魔
14位 イゼット果敢
15位 イゼット果敢
16位 ジェスカイコントロール
厳しいマークにあいながらも、トップ16に6名を送り込んだイゼット果敢が優勝し、現スタンダード環境最強を証明しました。
また、《アガサの魂の大釜》コンボも加えると、トップ16のうち半分が《迷える黒魔道士、ビビ》を採用したデッキということになります。本当に強いカードですね。
意外にも赤単とアゾリウス全知のトップ16入賞は各1名だけに留まりましたが、それぞれトップ4、準優勝と素晴らしい成績を残しています。
イゼット果敢
先日のプロツアーにおいて、弟分の行弘選手が赤単で優勝するのを目の前で見届けた兄貴分、平林選手。
弟子が得た教訓である「イゼット果敢では赤単に勝てない」という主張に対し、師匠は優しく微笑みかけるようにイゼット果敢を使用デッキに選びました。予選ラウンドではしっかりと赤単相手に勝利しており、最終的に優勝という栄光を手にしています。
メインとサイドに1枚ずつ採用している《この町は狭すぎる》が要所要所で活躍し、とくに決勝戦では2枚の《この町は狭すぎる》を連打することで《一時的封鎖》をバウンスしつつ、とりかえした《嵐追いの才能》と《コーリ鋼の短刀》のポテンシャルを爆発させ、一瞬の隙をついてライフを削りきる好プレイが光りました。
ひとえにイゼット果敢といってもさまざまな構成のデッキがありますが、《洪水の大口へ》に加えて《この町は狭すぎる》まで採用の手を伸ばしている構築は、ミラーマッチや白系のデッキとのマッチアップで優位に立てている印象があります。特に火力呪文で倒しにくいサイズのクリーチャーや厄介なエンチャントを対処するのに重宝し、ロングゲームになると《嵐追いの才能》とのシナジーも強力です。
《呪文貫き》もメインとサイドに1枚ずつの採用。序盤に《陰湿な根》などクリティカルな呪文を弾けるほか、あらゆる局面で対戦相手に「ケアさせる」という狙いがあります。平林選手のような古豪プレイヤーは当然、この見えない《呪文貫き》によるプレッシャーの威力を心得ており、1マナを浮かせておくことの重要性を改めて教えてくれました。
マジック歴25年目にして初のタイトルとのことですが、平林選手の実績から考えれば、これまで優勝していないのが意外なくらいです。「孤高のデッキビルダー」15年ぶりのプロツアーでの活躍も楽しみにしております。優勝、おめでとうございます!
イゼット《アガサの魂の大釜》
やや珍しいデッキがトップ8に入賞していました。《アガサの魂の大釜》によって《迷える黒魔道士、ビビ》や《ヴォルダーレンの興奮探し》を追放するテクニックは以前から話題になっていましたが、現スタンダード環境では《コーリ鋼の短刀》を意識した「アーティファクト対策」と《アブエロの覚醒》を警戒する「墓地対策」がどのデッキにも施されています。
コンボが決まれば強いのですが、その両対策が刺さる《アガサの魂の大釜》コンボは本来、かなり立ち位置が悪いデッキのはずでした。
しかし、実際は《アガサの魂の大釜》に頼らずともクリーチャーで押し切れるほどビートダウンプランが強いデッキということが判明し、今大会でも怒涛の快進撃を見せました。
ルーティングを繰り返すことで爆発的に打点を上げていく《略奪するアオザメ》に加え、昂揚を達成した《逸失への恐怖》と《プロフトの映像記憶》のシナジーは一撃でゲームを終わらせてしまう破壊力があります。
実は、最初から《アガサの魂の大釜》を囮にして、《プロフトの映像記憶》でゲームを決めることが本筋の狙いというデッキなのかもしれません。なんだか、メインルートの勝ち筋が2つある最強デッキのようにも思えてきました。
ただし、《アガサの魂の大釜》と「昂揚」の達成を同時にケアできる継続的な墓地対策は天敵なことに変わりありません。そのほか、デッキの構成上、メイン戦力のほとんどが《一時的封鎖》に引っかかるマナ域であることも気がかりであり、弱点が多いデッキでもあります。
一方で《ヴォルダーレンの興奮探し》以外は7月24日のローテーション以降も使えるカードばかりということもあり、このデッキの将来性はかなり有望に思えます。今後の活躍が楽しみですね!
ディミーアミッドレンジ
『チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド1』の覇者である増門 健太選手が持ち込んだディミーアミッドレンジは、予選ラウンド無敗の1位通過という素晴らしい成績を残しました。それにしても、ここ1-2年の増門選手の勝ちっぷりは凄まじく、類を見ない安定感です。
環境的にタフネス4の《分派の説教者》の信頼性は高く、赤単、イゼット果敢に対してはアタッカーとしてもブロッカーとしても最上級の性能です。攻撃時に誘発する能力は押されている盤面、押している盤面のどちらでも強力で、《地底の大河》でこまかくライフ調整(対戦相手のライフと自分のライフを同じにする)することで最大限のポテンシャルを引き出すことができます。
ポイントとなるのは《群青の獣縛り》をメインから3枚採用しているところです。ディミーアネズミ以外ではあまり見かけない、ややユニークなクリーチャーといえます。
アーティファクトを破壊できないディミーアミッドレンジですが、《群青の獣縛り》で攻撃することで厄介なアーティファクトを封じ込めることが可能です。地味ながらパワー2以下のクリーチャーにブロックされない能力も有用で、攻撃して能力を誘発させたあと《悪夢滅ぼし、魁渡》とバトンタッチすることができます。デッキにめちゃくちゃ噛み合ってますね。
アグロデッキ相手に気軽にアタックできる「警戒」も頼もしく、今後、評価を上げていくクリーチャーではないでしょうか。
ディミーア眼魔
かつての神、『第27期スタンダード神』の磯ヶ谷 怜雄選手も、滅多に見かけないディミーア眼魔を持ち込み、予選ラウンド12勝、TOP16入賞という素晴らしい成績を残しました。
アゾリウス眼魔でおなじみの《救いの手》に比べると実質的に1マナ重い《誰も置き去りにしない》で《忌まわしき眼魔》を釣り上げる狙いがあります。では、アゾリウスではなくディミーアにすることでどんなメリットがあるでしょうか。
ハッキリとわかるのは、「1ターン目の動きの強さ」が段違いということです。とりわけ、ピーピングハンデスが強力なのは言うまでもないことですが、メインから4枚フル投入されている《切り崩し》は赤単に対して後手1ターン目の最高の除去札となるでしょう。アゾリウスカラーでは、こうはいきません。
そして、ルーティングと相性が良い《プロフトの映像記憶》はこのデッキでも切り札となり、リアニメイト以外の勝ち筋もしっかり用意されています。この「伝説のエンチャント」はもともと評価が高いカードではありましたが、ここまでいろんなデッキに採用されるほど汎用性が高いとは驚きです。
《カワウソボールの精鋭、キッツァ》と《蒸気核の学者》はどちらも「警戒」を持っており、《プロフトの映像記憶》で成長させたときのバリューが大きいですね。「調和」で墓地から唱えられる《冬夜の物語》は気軽に捨てて再利用できるため、ロングゲームでも役に立つ優秀なドロースペルです。
ルーティングしまくるということは、カードをたくさん引くということです。《黙示録、シェオルドレッド》もしっかりと存在感を示しており、攻めと守りの両面で活躍します。
最初にリストを見たときは「なぜ、わざわざディミーアカラーで《忌まわしき眼魔》デッキを?」と思いましたが、高速環境となっている現在のスタンダードでは、むしろこっちのリストの方が対応力が高そうです。強豪プレイヤーが使用するデッキは一味違いますね。
おわりに
さて、大型大会が2週連続で続きましたが、さらなるビッグニュースがあります。なんと、ウィザーズ公式から予告されている次の禁止制限告知は6月30日、つまり今夜(明日の早朝)です。
はたしてスタンダードで禁止、あるいは解禁されるカードはあるのでしょうか!?まったく予想がつきません。
来週の「Just Nowスタンダード!」も楽しみにしてくださいね!それではまた!