(掲載日 2025/07/29)
はじめに
前回のアミュレットタイタンの記事では、《事件現場の分析者》を使ったループについて解説しました。
- 2024/10/07
- アミュレットタイタンにおける《事件現場の分析者》の使い方
- Piotr Glogowski
この《事件現場の分析者》を使ったループは、時間の経過とともに今ではデッキの重要な要素となっています。前回の記事では《原始のタイタン》を唱えたときに、《精力の護符》が2つ場に出ている状況で、どのように《事件現場の分析者》ループ(以下、分析者ループ)を組み立てるか紹介しました。
今回は、《風景の変容》に注目してもう少し詳しく見ていきたいと思います。《風景の変容》は分析者ループを支える優れたカードですが、その使い方が非常に難しく、直感的ではないため、浸透するまでに長い時間がかかりました。かつてのように《風景の変容》で「山」6枚と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をそろえて終わり、という時代はもう過去のものとなったのです。
それでは、《風景の変容》の主な使い道を解き明かしていきます。まずは、用語の定義から始めましょう。
サンプルリスト
用語の定義
この記事では「シングルアミュレット」という用語を、少なくとも1つの「土地をアンタップする効果を持つカード」がある盤面――つまり《精力の護符》や《洞窟探検》、あるいは《異邦の詩人》などをコントロールしている状態――を指す言葉として使用します。
「ダブルアミュレット」はこれまでどおり、《精力の護符》が2枚ある状況を指します。なお、《洞窟探検》は複数あっても効果が重複しないため、この点には注意が必要です。
いつもの注意喚起をしておきます。《ヴェズーヴァ》は《原始のタイタン》などで同時にサーチしてきた土地をコピーすることはできません。コピーできるのは、すでに戦場に出ていた土地だけです。つまり、《ヴェズーヴァ》は《風景の変容》との相性があまり良くありません。
特に断りがない限り、《風景の変容》を唱える際にはすべてのマナを使い切るものと仮定します。また、追加のマナが浮いていたり、手札や墓地に特別なカードがある前提ではありません。
「《事件現場の分析者》が手札に必要」と述べる場合、それは《召喚士の契約》でも代用可能であることを意味しています。《緑の太陽の頂点》も《事件現場の分析者》の代わりになりますが、1マナ多くかかる点には注意してください。
相手からの妨害をケアする際には、「追加リソースの確保」という話が頻繁に登場します。ここでいう「追加リソース」とは、場に出ている土地の枚数が多いこと、《風景の変容》を唱えるときにマナプールに多くのマナがあること、そして《事件現場の分析者》や《召喚士の契約》、《原始のタイタン》、追加の《風景の変容》、《緑の太陽の頂点》などの有効牌がすでに手札にあることを指します。また、《事件現場の分析者》がすでに墓地にある状態も含まれます。
基本となる《風景の変容》ルート
最も基本的な《風景の変容》ルートは、《精力の護符》が1枚と、土地が4枚ある状態から始まります。説明を簡単にするために、土地はすべて《森》と仮定しましょう。また、対戦相手の妨害がないものとします。
まず《風景の変容》を唱え、すべての土地を生け贄に捧げて《睡蓮の原野》2枚、バウンスランド1枚、《トレイリア西部》1枚を戦場に出します。これで9マナを生成し、バウンスランドの効果で《トレイリア西部》を手札に戻し、残りの土地をすべて生け贄に捧げます。
次に、手札に戻した《トレイリア西部》を「変成」して《召喚士の契約》を手札に加えます。その《召喚士の契約》で《事件現場の分析者》をサーチして唱え、効果で3枚を切削したあとに起動型能力を使います。
能力が解決された時点で、少なくとも13マナ分の土地を戻すことになります。これは、もともと生け贄に捧げた《森》4枚と、《風景の変容》で持ってきた土地9マナ分の合計です。
《トレイリア西部》を再び手札に戻し、再度「変成」して2枚目の《召喚士の契約》をサーチし、今回は《原始のタイタン》を持ってきます。この時点で、4マナ残っているはずです。
唱えた《原始のタイタン》の効果で、《残響する深淵》(《睡蓮の原野》をコピー)と《変容する森林》をサーチします。ここで、《変容する森林》を使って《事件現場の分析者》をコピーし、能力を起動するだけのマナが残っているはずなので、これで無限マナループの完成です。
この時点で墓地には、《風景の変容》(ソーサリー)、《召喚士の契約》(インスタント)、《事件現場の分析者》(クリーチャー)、そして土地があるため、確実に「昂揚」は達成できています。
このあと《トレイリア西部》をもう一度戻して「変成」することで、《天上都市、大田原》を使って《原始のタイタン》を手札に戻し、ほかのループギミックもすべてそろえることが可能になります。
このルートを、この記事では「基本的な《風景の変容》ルート」と呼ぶことにします。初期リソースが異なる場合は、このルートに若干の変化が生じます。それでは、よくあるシナリオを見ていきましょう。
《召喚士の契約》の注意点
用心深い読者の方であれば、基本的な《風景の変容》ルートにはランダムな要素が含まれていることに気づくと思います。それは、《事件現場の分析者》の戦場に出たときの「切削」能力です。
このルートでは、《トレイリア西部》を使って2枚目の《召喚士の契約》を探すことが前提になっています。もし《事件現場の分析者》の切削で残りの《召喚士の契約》をすべて落としてしまった場合、《変容する森林》にアクセスできなくなり、ループが不可能になります。これは、ほぼゲームに敗北することを意味します。
多くのデッキリストでは、《召喚士の契約》が2枚しか採用されていないのが一般的です。《事件現場の分析者》を唱える時点でライブラリーに残っているカードが約40枚だと仮定すると、その瞬間にゲームに敗北する確率はおよそ7〜8%程度です。この点は、アミュレットタイタンを使い始めたばかりのプレイヤーにとって大きな悩みの種であり、私自身もよく質問を受ける内容です。
これだけ聞くと大きな問題のように思えるかもしれませんが、実際にはごくわずかな追加リソースがあるだけで、この失敗の確率を0%に抑えることが可能です。
・土地を5枚コントロールしていれば、2枚目の《召喚士の契約》を必要とせずに《変容する森林》を直接持ってくることができるため、この問題は解消されます。これにより、「魂力」土地のループは保証されますが、無限パワーが保証されるわけではありません(※)。《ウルザの洞窟》が5枚目の土地であれば、分析者ループに必要なすべてのカードにアクセス可能です。
(※《トレイリア西部》の「変成」から魂力土地を手札に加えて《天上都市、大田原》や《耐え抜くもの、母聖樹》を無限に撃つループはできますが、《鏡の池》を何らかの手段で戦場または墓地に用意できない限り、無限トークン→全員に速攻をつけて無限ダメージを与えることができません)
・手札に追加の《原始のタイタン》、あるいは《召喚士の契約》や《緑の太陽の頂点》がある場合も、2枚目の《召喚士の契約》は不要になります。
・《トレイリア西部》がすでに手札にある場合は、最初の《風景の変容》で《変容する森林》を持ってくることができます。
・追加の《風景の変容》を手札に持っていれば、それを使って《変容する森林》を探すことができます。
・追加で土地をプレイできるランプ呪文を持っていれば、その問題も解決します。たとえば、《トレイリア西部》を《変容する森林》に「変成」し、《樹上の草食獣》や《探検》《洞窟探検》でそれを戦場に出せばよいのです。
・すでに《変容する森林》や《ウルザの洞窟》をコントロールしている、またはそれらをゲーム中に切削している場合、《事件現場の分析者》の効果でそれらを戻せます。
・《風景の変容》を唱える前に3マナを余分に浮かせておけば、2枚目の《睡蓮の原野》ではなく《ウルザの洞窟》をサーチできるため、2枚目の《召喚士の契約》は不要になります。
・《事件現場の分析者》の切削で《変容する森林》または《ウルザの洞窟》を落とすことでも問題は回避できます。
上記のいずれの条件にも当てはまらない確率を慎重に見積もっても10%程度と仮定すれば、《風景の変容》が失敗する確率は1%未満になると考えられます。
実際には、《召喚士の契約》を切削してしまう可能性を意識しながらプレイしていれば、この問題はまず発生しません。《召喚士の契約》を3枚採用することで、さらに失敗率を下げることも可能ですが、すでに確率が十分に低いため採用する決定的な理由にはなりません。
《トレイリア西部》の注意点
1枚しかない《トレイリア西部》が墓地に落ちてしまうと、《事件現場の分析者》にアクセスできなくなってしまいます。そのため、《トレイリア西部》が戦場に出ている場合は、《風景の変容》で生け贄にすることができません。
基本のループを実行するには、最低でも追加のマナが1マナ必要になります。以上の理由から、可能な限り《トレイリア西部》以外の土地を優先してプレイするようにしましょう。
《ドライアドの東屋》の問題点
基本のループでは、ループを開始するのに必要なマナがギリギリしか出ません。《ドライアドの東屋》は召喚酔いの影響を受けるため、これが土地のひとつである場合、マナが1マナ足りなくなる可能性があります。
ですが、実際には問題になることはほとんどありません。《事件現場の分析者》の切削能力で土地を墓地に落とすなど、ほかのリソースがあればマナ計算は合うようになり、問題は回避できます。ただし、油断は禁物です。
基本的な《風景の変容》ルートのバリエーション
シングルアミュレット
《事件現場の分析者》/《召喚士の契約》がすでに手札にある場合は?
追加リソースがあれば、わずか土地3枚からでも《風景の変容》で勝利することが可能です。
・《事件現場の分析者》や《召喚士の契約》をすでに手札に持っている場合、《トレイリア西部》を探す工程を完全にスキップできるため、手間を大きく省くことができます。《睡蓮の原野》2枚と《変容する森林》を持ってくることで、墓地の状況にもよってはループにはいれることが多いですが、《ウルザの洞窟》があれば確実にループ可能です。
1つ目の《睡蓮の原野》の能力で2枚の《睡蓮の原野》を生け贄に捧げた後、《ウルザの洞窟》を起動して《残響する深淵》をサーチし、墓地の《睡蓮の原野》になることでより多くのマナを生み出すことができます。そのあと、手札にある《事件現場の分析者》で《ウルザの洞窟》などを再び墓地から戻し、《変容する森林》を持ってきてループを開始しましょう。
・《召喚士の契約》を使っていない場合は、「昂揚」しているかに注意が必要ですが、《事件現場の分析者》の切削で達成できることもあります。もしそれが失敗しても、十分なマナがある場合には、《残響する深淵》を《ウルザの洞窟》として戻し、《ウルザの物語》をサーチして、それを《睡蓮の原野》のコストで生け贄に捧げることで、4種目のカードタイプをそろえることができます。
土地3枚から《風景の変容》を2回唱える
《風景の変容》が2枚手札にあり、戦場に土地が3枚、さらにマナが2マナ浮いていれば、基本ループを組み立てることが可能です。まず1枚目の《風景の変容》から、《崩壊する痕跡》を3枚持ってきて6マナを生み出します。すでに《崩壊する痕跡》が墓地にある場合は、そのうち1枚を《残響する深淵》に置き換えましょう。
次に、マナが3マナ浮いた状態で2枚目の《風景の変容》を使って、《睡蓮の原野》、バウンスランド、《トレイリア西部》を持ってきます。もし《残響する深淵》があれば、すでに《睡蓮の原野》が2枚そろっていることになります。そうでなくても、《崩壊する痕跡》が場に戻ったときの得られる追加マナによって、ループの構築は容易になるはずです。
《睡蓮の原野》が手札にある場合は?
ときには、手札に《風景の変容》と《睡蓮の原野》しか土地カードがない状態で、3枚の土地から《風景の変容》をプレイする場面があります。そういった状況では、まず《風景の変容》をプレイし、《睡蓮の原野》、バウンスランド、《トレイリア西部》を持ってきたあとに、手札から《睡蓮の原野》をプレイすることで9マナに到達できます。
基本的に《風景の変容》を解決したあとに《睡蓮の原野》をプレイしたほうが、多くのマナを得られることが多いです。戦場の土地の枚数が多いほど《風景の変容》を強く使えますからね。
土地2枚から《風景の変容》
《風景の変容》で2枚の土地を《睡蓮の原野》2枚に変える動きは、呪文が多くて土地が少ない手札でよく見られるプレイです。この動きをするには、《事件現場の分析者》と《原始のタイタン》がすでに手札にある必要があります。というのも、このルートでは《トレイリア西部》を完全にスキップするからです。
ダブルアミュレット
「ダブルアミュレット」があると、土地3枚での《風景の変容》が簡単になります。《睡蓮の原野》、バウンスランド、《トレイリア西部》が定番の組み合わせです。これらのいずれかを《ウルザの洞窟》に置き換えることで、ループを確実に成立させることができます。
もし2枚目の《精力の護符》を《ウルザの物語》や《マイコシンスの庭》でサーチしていた場合、戦場に土地が1枚しかない状態で《風景の変容》を唱えることもあります。ただ、手札にフィニッシャーがあれば、それだけで《睡蓮の原野》をサーチして6マナを生み出し、そのまま勝利につながることもあります。
トリプルアミュレット
稀に《精力の護符》が3枚そろうことがありますが、その場合は土地2枚からの《風景の変容》でバウンスランドと《トレイリア西部》を持ってくるだけで、9マナを生み出すことができます。ただし、《睡蓮の原野》がない場合は、《事件現場の分析者》をループさせることができません。また、《トレイリア西部》を《原始のタイタン》のサーチに使ってしまうと、《事件現場の分析者》にアクセスできなくなってしまいます。そのため、最善策は《原始のタイタン》をコピー&速攻を付与して攻めることになります。
最終的には、《変容する森林》を《鏡の池》に変身させることで、《原始のタイタン》を合計4体にするだけの十分なマナが残るはずです。すべてのタイタンに速攻を与えるのは、《洞窟探検》をコントロールしていないなら簡単ですが、コントロールしている場合はやや難しくなります(※)。
(※《洞窟探検》をコントロールしていると、《原始のタイタン》などからタップ状態で土地を戦場に出す場合は、アンタップ状態で置かれます。そのため、《精力の護符》の能力が誘発しません。しかし、土地に「タップ状態で戦場に出る」と書かれている場合は、タップ状態で置くか、アンタップ状態で置くかを選ぶことができます)
⼟地が「タップ状態で戦場に出る」と書かれている能⼒を持っているなら、その能⼒の効果と《洞窟探検》の効果が適⽤される順番をあなたが選ぶ。つまり、あなたはその⼟地をタップ状態で戦場に出すか、アンタップ状態で戦場に出すかを選ぶことができるのだ。置換効果が適⽤されることなく、単にあなたがコントロールしている⼟地をタップ状態で戦場に出すなら、あなたが《洞窟探検》をコントロールしている場合、それは常にアンタップ状態で戦場に出る。
なお、《精力の護符》が3枚ある状態で、より多くの土地がある場合の《風景の変容》は、すでに紹介したルートの単純化されたバリエーションにすぎません。
《風景の変容》のマナカーブ
《風景の変容》を使った展開は、ときにやや噛み合わないことがあります。《ウルザの物語》は《精力の護符》をサーチできますが、自身が土地として使えなくなるため、実質的に土地を1枚失うことになります。バウンスランドは必要な緑マナを2点供給してくれますが、こちらも土地を1枚戻すため、結果的にテンポを損ないます。
この点において、《崩壊する痕跡》と《探検》は《風景の変容》にとって非常に相性の良いカードです。《崩壊する痕跡》は土地を失うことなく、2マナを生み出すことができますし、《探検》は追加で土地を展開できるため、テンポよく盤面を整えられます。
《邪悪鳴らし》によって《精力の護符》にアクセスしやすくなるのは、《風景の変容》にとって重要です。ただし、《召喚士の契約》や《トレイリア西部》を切削してしまうと動きが不安定になるため、扱いには注意が必要です。
《緑の太陽の頂点》で《ドライアドの東屋》をサーチして土地を増やす動きも有用な選択肢です。軽いマナで土地を伸ばす手段として優秀ですが、同時に軽量除去に弱くなるというリスクもあります。
すでに《精力の護符》や《洞窟探検》がある場合は、《ウルザの物語》を手札に温存するのが賢明です。特に《精力の護符》と《洞窟探検》は効果が重複するため、どちらかがあれば十分であり、《ウルザの物語》は土地として使ったほうが有効な場面が多いです。
2ターン目に《探検》を使い、3枚目にバウンスランドでない土地を展開できれば、3ターン目には以下のような展開が可能になります。
・《精力の護符》→《崩壊する痕跡》→土地4枚で《風景の変容》。
・《洞窟探検》→《崩壊する痕跡》→バウンスランド→土地4枚で《風景の変容》。
この動きは、相手のソーサリー・タイミングの妨害に《精力の護符》を晒すことなく、突然3ターン目に勝利するルートになり得ます。
1ターン目に《樹上の草食獣》で《ウルザの物語》を出し、2ターン目に《探検》を絡めて動けば、こちらも同様に3ターン目の勝利が見えてきます。
全体として、《精力の護符》系のカードを温存するのは、それほどコストの高い選択ではありません。《精力の護符》と《風景の変容》を同一ターン中にプレイするのは容易なため、《虹色の終焉》や《静牢》といった対策カードが見込まれるマッチアップでは、不要であればあえて展開しない選択も有効です。
《マイコシンスの庭》は、《風景の変容》的には序盤では評価が難しいカードです。2枚目の《精力の護符》としての価値はありますが、土地1枚を失うという側面もあるため、実質的にリソースの増減はトントンになります。また、緑マナを確保できる保証がないため、《風景の変容》の観点ではあまりうれしいとはいえません。
対策カードのケア
《ウルザの洞窟》の役割
ここまで《ウルザの洞窟》が頻繁に登場したかと思います。必須というほどではありませんが、勝てそうな状況を確実な勝利に変えてくれたり、《事件現場の分析者》で無限マナを生み出した際の勝ち手段を保証してくれます。しかし、私が最も《ウルザの洞窟》を評価しているのは、対策カードをケアする場面です。ここからは、よく見かけるインスタントや妨害系のパーマネントへの対処について説明します。
基本的な《風景の変容》ルートは、意外と脆いことがあります。相手の妨害によって、《事件現場の分析者》のループが止められてしまうこともあるのです。そういった場合には、《原始のタイタン》を呼び出すのが優れたバックアッププランになります。《原始のタイタン》は即座に勝利をもたらすわけではありませんが、次のターンの勝利に向けて盤面を整えてくれます。それで十分なのです。
《減衰球》
《減衰球》を突破して基本ルートを組むには、追加で土地が2枚必要になります。この場合、基本パッケージに加えて、バウンスランドをもう1枚と《耐え抜くもの、母聖樹》を《風景の変容》で持ってくる形になります。《減衰球》の影響を受ける土地からマナを出す前に、《耐え抜くもの、母聖樹》で《減衰球》を除去しましょう。そこから通常通りにコンボを進めていけます。
なお、《真髄の針》で《事件現場の分析者》が止められている場合も、同様の手順で対応できます。
《トーモッドの墓所》
一度きりの墓地対策カードを乗り越えてコンボを決めるには、先述した通りの手順を踏む必要があります。《睡蓮の原野》で土地を生け贄に捧げる前に、《耐え抜くもの、母聖樹》の「魂力」能力を使いましょう。ただし、相手はおそらくこのタイミングで《トーモッドの墓所》を起動してくるため、分析者ループの再構築は、《事件現場の分析者》でのランダムな切削頼みになります。
また、マナが足りなくなる可能性もあります。最初の《事件現場の分析者》の起動で戻ってくるのは、《睡蓮の原野》が2枚、バウンスランドが2枚、《トレイリア西部》が1枚、そして切削されたカード次第です。現実的には、《トーモッドの墓所》を越えてコンボを狙うには、あらかじめ手札に追加リソースを溜めておく必要があります。
もうひとつの対処法として、《耕作する巨躯》で墓地対策を回避するルートもあります。マナが1マナ残った状態で土地5枚を《風景の変容》すれば、バウンスランドを4枚、《トレイリア西部》を1枚サーチできます。これで9マナ、トータル10マナを生み出し、《トレイリア西部》を「変成」して《召喚士の契約》から《耕作する巨躯》をサーチして唱えることができます。
《耕作する巨躯》の誘発型能力を解決する際に、手札にバウンスランドが少なくとも3枚ある場合、確実に勝利が決まるわけではないものの、そのターン中に勝ち切れる可能性が高く、少なくとも圧倒的な有利を築くには十分な展開力を得られます。
このルートは、《大祖始の遺産》をメインデッキに採用している《新たな夜明け、ケトラモーズ》系のデッキに対してよく起こる展開です。墓地を使った《事件現場の分析者》のループが封じられていても、手札のバウンスランドを活かして《耕作する巨躯》から爆発的な展開を狙うことができるのです。
《スレイベンの魔除け》 & 《コジレックの命令》
相手が《スレイベンの魔除け》や大量のXマナで《コジレックの命令》を構えていると感じたときは、《耕作する巨躯》を経由する《風景の変容》ルートが、唯一の現実的な選択肢になることもあります。
どちらのカードも、リソースが潤沢にあれば対処不可能ではありません。しかし実際のプレイでは、相手に墓地を追放されたり、クリーチャーを除去されてコンボを止められたりする“おいしいタイミング”を与えずに立ち回るのは非常に難しいです。
また、《耕作する巨躯》は、ループのキーカードが追放されてしまった場合でも、コンボの手順を短縮できる役割があります。速攻を持つ《耕作する巨躯》が2体いれば、ほとんどの盤面でそのまま勝利に繋がりますし、《事件現場の分析者》のループを一度も行わずにそこまで到達することも十分可能です。
《オアリムの詠唱》
《オアリムの詠唱》は勝利を1ターン妨げる強力な対策であり、正直なところ、できる対処はあまり多くありません。多くの場合、対戦相手はアップキープに先手を打って使ってきますが、もし相手が《オアリムの詠唱》を構えていると感じつつも《風景の変容》を唱えたい場合には、《召喚士の契約》の支払いが可能かを確認しておく必要があります。これはなかなか難しい判断で、ループに入るためには《睡蓮の原野》を生け贄に捧げる必要があるからです。
たとえば、《オアリムの詠唱》があると感じた状況で土地5枚を《風景の変容》した場合、《睡蓮の原野》、2枚の《崩壊する痕跡》、バウンスランド、《トレイリア西部》をサーチするのが選択肢となります。もし《召喚士の契約》をすでに手札に持っているなら、《睡蓮の原野》の生け贄誘発に対応して《召喚士の契約》を唱えることで、相手に《オアリムの詠唱》を強制的に撃たせることができ、その後の判断がしやすくなります。
一方で、《召喚士の契約》が手札にない場合は、《トレイリア西部》での「変成」を行う必要があり、その場合は事前にループに踏み切るかどうかを決めておかなくてはなりません。リソースに余裕があれば、《ヴェズーヴァ》で任意の土地をコピーし、それを《睡蓮の原野》のために生け贄にすることで、相手が《オアリムの詠唱》を持っていなかった場合に、ループへ入れる可能性を残すことができます。
幸いにも、相手はあなたが「変成」を必要としているかどうかを正確には把握していないため、結果的に《風景の変容》に対して早めに《オアリムの詠唱》を打たざるを得ない状況になります。そうしなければ、手札から《原始のタイタン》をそのままプレイされるリスクがあるからです。
《耐え抜くもの、母聖樹》
相手が《耐え抜くもの、母聖樹》を構えて、手札に戻そうとした《トレイリア西部》を破壊しようとすることがあります。もし《精力の護符》を使ってコンボを始動している場合、それに対する有効な対抗策は、単純に追加のフィニッシャーを手札に持っておくことくらいしかありません。
《洞窟探検》をコントロールしていて、かつ追加のリソースに余裕がある場合には、もう1枚の《ウルザの洞窟》をサーチすることで対応できます。バウンスランドで《トレイリア西部》を手札に戻そうとし、相手がそれに対応して《耐え抜くもの、母聖樹》を撃ってきたら、《ウルザの洞窟》を起動して、別のバウンスランドを確保しましょう。
この《耕作する巨躯》を経由するルートが有効になるもうひとつの状況は、《白蘭の幻影》と、一緒に使われる《儚い存在》や《霊気の薬瓶》と対峙している場合です。
《記憶への放逐》
《記憶への放逐》に対しては、《精力の護符》よりも《洞窟探検》のほうが強力です。《精力の護符》は能力が誘発してしまうため、《記憶への放逐》で対応される可能性がありますが、《洞窟探検》は置換効果なのでその心配はいりません。
もし基本的な《風景の変容》ルートで動くと、《記憶への放逐》を「複製」しない状態でもコンボを止められてしまいます。
対戦相手は《記憶への放逐》で以下のようなカードを止めることができます。
・《精力の護符》の誘発を止め、マナを得られなくする。
・バウンスランドの誘発を止め、《トレイリア西部》を手札に戻せなくする。
・《睡蓮の原野》の誘発を止め、場に残った《睡蓮の原野》がループを阻害する。
・《原始のタイタン》や《耕作する巨躯》の誘発を打ち消す。
これらは追加リソースを集めることで対処可能です。特に《記憶への放逐》の強さは、相手がどれだけマナを残しているかによって大きく左右されます。「複製」されていない《記憶への放逐》なら回避しやすいですが、3~4マナを残されている《記憶への放逐》は少なくとも1ターンは妨害される可能性が高くなります。
重要なことに、《記憶への放逐》は《事件現場の分析者》を止めることはできません。土地が少ない状況で《記憶への放逐》に対抗する最善の方法は、《洞窟探検》をコントロールし、《事件現場の分析者》を持っておくことです。
対戦相手は《記憶への放逐》で《睡蓮の原野》の土地を生け贄にする能力を打ち消す必要があります。もしそうされたとしても、《事件現場の分析者》で大量の土地を戻すことができ、場合によっては《ヴェズーヴァ》でループを組み立てたり、《召喚士の契約》で《原始のタイタン》をサーチすることが可能です。
相手が《記憶への放逐》でバウンスランドの誘発を打ち消そうと狙っている場合は、相手の使用可能なマナよりも多くのバウンスランドを並べることで回避することができます。また、《耐え抜くもの、母聖樹》に対応するときに紹介した《ウルザの洞窟》のテクニックを使えば、相手が《記憶への放逐》を何回「複製」できたとしても、それを回避することができます。
土地は十分にあるものの、追加の脅威が手札にない場合、「すべての土地を生け贄に捧げる状況に陥らないようにすること」に集中することが重要です。そのためには、《睡蓮の原野》を1枚だけ探し、あとは通常のマナを生み出す土地を優先して探す、といったプレイが有効な場合もあります。《崩壊する痕跡》は追加のマナを生む手段としてよく使われますが、《ヴェズーヴァ》や《ウルザの洞窟》を探すことも可能です。
《睡蓮の原野》の誘発により《ヴェズーヴァ》や《ウルザの洞窟》を生け贄に捧げ、仮に対戦相手が《記憶への放逐》をまったく持っていなかった場合でも、1回目の《事件現場の分析者》の起動後に《睡蓮の原野》をコピーしたり、もう1枚探すことでループを組み立てられる可能性があります。また、相手が《記憶への放逐》で1ターンあなたを止めてきた場合でも、土地が場に残るため、その後もゲームを継続することができます。
対戦相手が頻繁に《記憶への放逐》を構えているような場合、《風景の変容》を温存しておき、先に《原始のタイタン》をプレイするのが、かなり効果的になることがあります。たとえ《原始のタイタン》が《記憶への放逐》で対処されたとしても、依然として対処しなければならない脅威が場に残るのです。
《対抗呪文》
対戦相手は《対抗呪文》を温存し、《事件現場の分析者》を打ち消そうと待っていることがあります。もしあなたが《魂の洞窟》を採用していて、《原始のタイタン》を手札に持っているなら、《原始のタイタン》を解決できればそれで十分なので、《事件現場の分析者》ではなく《魂の洞窟》や2枚の《崩壊する痕跡》、そしてバウンスラウンドを探すという選択肢も取れます。
《呪文嵌め》
《呪文嵌め》はおそらくサイドアウトされますが、1ゲーム目では警戒して立ち回る必要があるかもしれません。《呪文嵌め》は《事件現場の分析者》にのみ当たり、それ以外にはあまり干渉しません。場合によっては相手が何も持っていないように見えても、基本のループを実行すると《呪文嵌め》に当たってその場で負けることがあります。
これを回避する主な方法は以下の2つです。
・《魂の洞窟》を採用している場合は、追加の土地を出した状態で《風景の変容》を行い、《魂の洞窟》を持ってきて指定を「探偵」にする。
・十分なリソースと大量のマナがある場合は、《変容する森林》を立てておき、《事件現場の分析者》をプレイするときに8マナを浮かせておく。これなら、もし《呪文嵌め》で止められても、墓地から直接ループを開始できます。
また、《緑の太陽の頂点》で《事件現場の分析者》を持ってくる方法でも《呪文嵌め》を回避できます。
《緻密》 & 《否定の力》
《否定の力》は、たいてい《風景の変容》に対して使われますが、相手が駆け引きを仕掛けてくる場合もあります。《緻密》は《呪文嵌め》と同様、《事件現場の分析者》にしか干渉しないタイプのカードです。これに対する明確な対策はなく、あらかじめ《事件現場の分析者》をもう1枚持っておく以外に有効な手段はありません。
大量のマナがあり、ほかのリソースがほとんどない状況、つまり2枚、あるいは3枚の《精力の護符》がそろっているような場合は、《鏡の池》を使って《召喚士の契約》をコピーすることで、《否定の力》や《緻密》を回避することができます。《睡蓮の原野》で土地を生け贄に捧げ終えた後も、《鏡の池》のマナは残しておきましょう。
《否定の力》に対しては、スタックでコピーを狙うのがベストです。一方、《緻密》に対しては積極的にコピーを使い、《原始のタイタン》や《耕作する巨躯》を確保しましょう。
《精力の護符》なしで《風景の変容》を唱える場合
《精力の護符》なしで《風景の変容》を唱えるのは、可能であれば避けたいところですが、手札に《風景の変容》が複数枚溜まっていたり、対戦相手に《精力の護符》を破壊されたりして、やむを得ず即興で動く必要があることもあります。
《精力の護符》に2ターン以内にアクセスしたい場合は、適切だと判断した枚数の土地を《風景の変容》で生け贄にし、《ウルザの物語》をサーチするのが基本です。状況によっては、追加でバウンスランドや「魂力」ランドをサーチし、次のターンの妨害を意識した形にするのも有効です。ただし、これはケースバイケースであり、明確なセオリーを立てにくい部分なので、その場の状況判断が求められます。
《精力の護符》が割られてしまった場合、少ない土地枚数で《風景の変容》を使っていたのであれば、ここでも《ウルザの物語》の設置を目指すことになります。反対に、十分なリソースを持った状態で《風景の変容》を唱えた場合は、もう少し選択肢が広がります。《崩壊する痕跡》によって若干のマナを確保し、《事件現場の分析者》の能力を起動できる可能性もあるのです。
即座にループに入るのは難しいかもしれませんが、盤面に大量の土地と《変容する森林》、さらに《変容する森林》のコピーを用意することで、次のターンに《変容する森林》で《精力の護符》をコピーしてループを開始する準備が整います。
このように、《風景の変容》を使う際の選択肢や判断基準をあらかじめ知っておくことで、さまざまな状況に対応しやすくなると思います。ぜひ参考にしてみてください。