長かったスイスラウンドもいよいよ最終戦。
となれば、フィーチャーマッチは勝負駆けのテーブルからお届けすべきだろう。
すなわち、ここまで18点の金子と、16点の小島。
小島「『豚小屋』の人ですよね?」
金子「はい、『豚小屋』です」
小島「僕PTQとか出ると、毎回『豚小屋』の人に負けてるんですよね……」
とてもマジックの会話とは思えないが、「豚小屋」とは金子が所属するコミュニティの名称だ。
名称の由来は、PWCではスタンディング下位に落ちるとメインの部屋ではなく別の部屋で対戦テーブルにつくことになるのだが、マジックを始めたばかりの彼らがPWCに出たとき、揃ってその別の部屋に隔離されてしまったというエピソードがあり、別の部屋のことを彼らは「豚小屋」と呼んでいたため、自分たちのことを自虐的な意味も込めて「チーム豚小屋」と自称することにした、とのことである。
だが、WMCQ2013トップ8の瀧村をはじめ、4回戦目でフィーチャーした山本も、実は「豚小屋」の一員との話だ。
その山本は、6-0からのIDで一足先にトップ8を確定させている。
また関東のGPTなどの大会でも、最近は「豚小屋」メンバーが頻繁にトップ8に名を連ねるようになっている。
つまり彼らは「豚小屋」に甘んじていた時期からはとうに卒業しており、それどころか関東の草の根を牽引するトップチームになっているのである。
となるともはや「サラブレッド小屋」とかに改名した方がいいのではないかとも思わなくもないが、彼らのアイデンティティの問題なのでここでは深く突っ込まないことにしておく。
対する小島は自称「ブラマスの弟子」。GPトップ8経験を持つ「Blackmaster」伊藤 大明に師事しているとのこと。
ともあれ、グルールの「豚小屋」金子とナヤオーラの小島。
どちらも勝てばトップ8という、まさしくバブルマッチ。
負けられない戦いが、今始まる。
Game 1
先手は小島。セット《豊潤の神殿》から2ターン目に《林間隠れの斥候》を送り出すが、2枚目のセットランドがない。
対して金子は《エルフの神秘家》から2ターン目に《クルフィックスの狩猟者》というロケットスタート。
とここで、3ターン目でようやく《奔放の神殿》を引いた小島。ひとまず《天上の鎧》をつけてターンエンドするが、金子の《クルフィックスの狩猟者》が《ミジウムの迫撃砲》を公開しており、《歓楽者ゼナゴス》が0能力でトークンを生成すると、あまり時間の猶予はなさそうだ。
それでも、続くターンに《向こう見ずな技術》をつけて《歓楽者ゼナゴス》を処理。
何とか金子が6マナに達するまでにこの《オルゾヴァの贈り物》をプレイして、《林間隠れの斥候》のタフネスを5まで引き上げることができれば。
そんな思いに、小島のライブラリはしかし応えない。
そして金子がついに3枚目の赤マナとなる《森の女人像》をプレイした、その返しのターン。
小島は3枚目の土地を、置けなかった。
手札で《オルゾヴァの贈り物》が、小島を悲しそうに見つめていた。
やがて、そのときが来た。
《ミジウムの迫撃砲》「超過」。
金子 1-0 小島
Game 2
金子がダブルマリガン。
さらに小島の1ターン目《林間隠れの斥候》が《向こう見ずな技術》《オルゾヴァの贈り物》と次々と纏っていき、あっという間に「飛行」「呪禁」「絆魂」おまけにブロック制限能力付きの5点クロックが出来上がる。
金子、さすがに抵抗の余地なく撲殺。
金子 1-1 小島
Game 3
今度こそ7枚でキープした金子。対して小島は土地1枚の手札を意を決してキープ。
小島「グルール相手は《魔女跡追い》に《ひるまぬ勇気》付ければ大体勝ちだから、両方揃ってる手札はむしろキープですね」
だが小島、後手2ターン目までの2ドローで2枚目の土地が引けない。
一方、そんな小島を見て俄然勢いづいた金子。
《エルフの神秘家》《クルフィックスの狩猟者》からさらに《クルフィックスの狩猟者》を展開、クロックを刻みつつアドバンテージを取る。
返しに1ターン遅れで2枚目の土地を引き込んだ小島だったが。
4ターン目の《嵐の息吹のドラゴン》が、小島のわずかな希望を粉砕した。
金子、トップ8進出!
金子 2-1 小島