ついに新エキスパンション、『新たなるファイレクシア』が発売になりましたね。
新しいカードの登場により、これまで日の目を浴びなかったデッキが急浮上してきたり、また逆に衰退していくデッキがあったりと、メタが動いていくのがマジックの面白いところ。
レガシー・スタンダード・リミテッドなど、フォーマットを問わずマジックに触れあい、新環境ならではの変化を楽しんでいきたいですね。
ということで、今回は『新たなるファイレクシア』のカードを中心にデッキを組みます!
…と意気込んでカードリストに目を通したものの、あまりレガシーのカードとコンボったり、デッキの核になるようなカードがなくてガックリ。《精神的つまづき》や《四肢切断》のように、一線級の活躍をしそうなカードは目につくけど、俺が探しているのはそういう当たり前なカードじゃないんだ。もっと自己主張の激しい、心躍るヤツはいないのか!!?
エントリーナンバー1番:《ファイレクシアの抹消者》?
黒黒黒黒っていうマナコストと5/5ってサイズはかっこいいし、元祖(《ファイレクシアの抹殺者》)と違って能力は完全なるメリット。《暗黒の儀式》から出せば相手もタジタジしてくれること間違いなし!除去しようにも、ダメージ与えたらパーマネントが減っていくわけだからね!!
…ん?《剣を鍬に》だって?聞こえなーい。
エントリーナンバー2番:《殴打頭蓋》?
5マナで+4/+4、警戒、絆魂。生体武器。しかも再利用可能。しかも装備品だから《石鍛冶の神秘家》でサーチ可能だって?確かに。こりゃ凄い。君強い。
でも、石鍛冶は第二回の記事でもう使ったんだよねー。ちょっと空気読んで貰わないと困ります。残念!
エントリーナンバー3番:《倦怠の宝珠》?
確かに君は優秀だ。《ゴブリンの女看守》を始めとしたゴブリン軍を紙の束にできるし、スタンダードだけでなくレガシーでも頭角を現し始めた《戦隊の鷹》、《石鍛冶の神秘家》にも強い。マーフォークにも多少効く!!でもね、君は所詮サイドカード。主役にはなれないさ。スタンダードで《原始のタイタン》の能力でも止めていてくれ。君の居場所はスタンダードにあるはずだ。
…
……
………
ダメか。このエキスパンションには主役はいないのか。新たなるファイレクシアのカードを使うとは告知したけど、普通のデッキに《精神的つまづき》だけ入れたデッキなんか作ったら間違いなく怒られる…。
第4回にして…打ち切りなのか…ッッ!!
諦めかけたその時、1枚のカードが呼びかけに答えてくれました。
『新たなるファイレクシア』のヒロインであり、なんかいじめられっこみたいな名前の彼女。そう、《シルヴォクののけ者、メリーラ》です。今やミラディンの希望の光なんですから『ミラディンの希望、メリーラ』や『残されし希望、メリーラ』のような名前でも良かったはずなのに、Wizardsはなぜ彼女にこんな名前を付けたのでしょうか。
まぁ名前はどうでもいいとして、ヒロインとしてのその実力に注目してみましょう。
まずは2マナ2/2と自然界の格闘王である《灰色熊》とタイマンを張れるボディ!!《女の子/Little Girl》とは違うのだよ!《女の子/Little Girl》とは!!と言わんばかりの戦闘能力ですね。
そしてさすがはヒロイン、その豊満なボディには、豪華3種類ものメリット能力が詰め込まれているようです!超破格です!ですが、ヒロインだからといって手抜きは無用、レガシー基準の厳しい目でその能力を順に見ていきましょう。
1.「あなたは毒カウンターを得られない。」
→レガシーでは毒デッキは少数派ですねー。
2.「あなたがコントロールするクリーチャーは、その上に-1/-1カウンターを配置できない。」
→レガシーで《伝染病の留め金》や《黒の太陽の頂点》使われてるとでも?
3.あなたの対戦相手がコントロールするクリーチャーは感染を失う。」
⇒レガシーでは(以下略)
戦闘力…たったの5か…ゴミめ…。
レガシー的結論:ただの《灰色熊》。
君とは縁がなかったようだ。他を当たってみるよ。え、なんだって?私を良く見てって?ただのくm、、、あーごめん、ただの人間に用はないんだけど。
なになに、《大いなるガルガドン》さんと《台所の嫌がらせ屋》さんが居れば実力を発揮できるって?それは彼らが強いだけでしょ。さぁ、帰った帰った。
え、なんだって?無限ライフができるって?無限ダメージも頑張ればできるって??君、ただの熊じゃなかったんだね!やるじゃーん!
《シルヴォクののけ者、メリーラ》さん、採用!!
レガシー的結論(再):無限コンボ要員の《灰色熊》。
ということで茶番はここまでにして、今回紹介するデッキはこちらです。
1.無限メリーラ
2 《森》 1 《平地》 1 《山》 2 《Taiga》 2 《Plateau》 2 《Savannah》 1 《Bayou》 1 《Scrubland》 2 《地平線の梢》 4 《樹木茂る山麓》 4 《吹きさらしの荒野》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 4 《獣相のシャーマン》 3 《大いなるガルガドン》 3 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 3 《台所の嫌がらせ屋》 3 《ルーンの母》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《傷跡の地のトリナクス》 1 《残忍なレッドキャップ》 -クリーチャー(23)- |
4 《生ける願い》 2 《緑の太陽の頂点》 2 《森の知恵》 3 《精神的つまづき》 3 《剣を鍬に》 1 《Berserk》 -呪文(15)- |
1 《Maze of Ith》 1 《Karakas》 1 《ヴォルラスの要塞》 1 《叫び大口》 1 《月の大魔術師》 1 《大いなるガルガドン》 1 《台所の嫌がらせ屋》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 1 《フェアリーの忌み者》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《平和の番人》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 -サイドボード(15)- |
コンボに関してはいたってシンプル。《シルヴォクののけ者、メリーラ》と《大いなるガルガドン》(もしくは《傷跡の地のトリナクス》)が揃っている場で、頑強持ちの生物(《台所の嫌がらせ屋》、《残忍なレッドキャップ》)を生贄に捧げるとアラ不思議。《シルヴォクののけ者、メリーラ》の効果によって-1/-1カウンターが乗らずに、頑強生物が無傷で帰ってくるのです!
《大いなるガルガドン》の能力は「クリーチャーを生贄に捧げる」のがコストで「待機カウンターを減らす」のが能力なので、「待機カウンターを減らす」をスタックに載せたまま、頑強生物を生贄に捧げ続ける=無限ライフorダメージを決めることが可能なのです。
コンボ以外の勝ち筋がほとんどない&クリーチャーを主体とした3枚コンボという非常に脆いデッキなので、デッキのほとんどがコンボパーツを集めるor守るカードで構成されています。
《思案》《渦まく知識》のような優秀なドローがない分、必死になってコンボパーツをかき集めるために《生ける願い》、《獣相のシャーマン》、《緑の太陽の頂点》、《森の知恵》を搭載。
大事な大事なコンボパーツを守る《精神的つまづき》。
《渋面の溶岩使い》だけで投了するのを防ぐため、紳士の嗜みとして、《剣を鍬に》も搭載してます。
メインに1枚だけ入っている《Berserk》は、緊急時用の必殺技。無限コンボを決めるのが厳しそうなとき、相手が油断している時に、《大いなるガルガドン》+《Berserk》で18点!瞬殺!!
…正直に言うと、僕がスタンダード時代の《大いなるガルガドン》+《致命的な激情》が好きだっただけなんですけどね。懐古厨乙。
そして、サイドボードには《生ける願い》の力をフルに活かすために豪華15種類のカードを揃えました。コンボパーツ以外にも、状況に合わせて最善のカードをサーチしましょう。中でも新顔である《ファイレクシアの変形者》は様々な場面で活躍してくれるでしょう。
とまぁ解説はしてみたものの、実際このデッキはどうなのかって?
正直に言いましょう。今回のデッキはこれまでのデッキに比べると、少し、いや、かなり弱く見えるかもしれません。実際に一人回ししてみても、なかなか無限コンボは決まらないですし、簡単に妨害されてしまいます。「ローグデッキ」ではない、ただの「ファンデッキ」の臭いがプンプンします。しかし、マジックはメンタル面が非常に大事です。デッキを信じることができなければ、ゲームに勝利することなどできないでしょう。
だから、僕はこのデッキを信じます。
参加者12名のスイスドロー3回戦。さぁ、戦の幕開けだ。
このデッキこそが至高!
このデッキこそが今日の王者!
新環境のレガシー環境で、《シルヴォクののけ者、メリーラ》で新たなる伝説を作る!
無限ライフ&ダメージでドヤ顔をするんだッッ!!
2.負けたということが、いつか大きな財産になる時がくる。
R1:対黒緑リアニメイト ×○×
R2:対ZOO ××
R3:対青赤コントロール ○○
信じたってデッキの強さが変わるわけじゃない。現実は非情なのだ。
1-2と連載の中で一番悪い成績に終わってしまいましたが、これまでの「二連勝の後敗北」と違って、最後勝って一日を終えたので妙に清清しいです。マジックに限らず、ゲームにおいて「勝利したときの喜び」というのは大きな醍醐味ですね。
デッキがデッキなだけに勝ったゲーム数=無限ライフを決めた回数なのですが、実際に無限ライフを決め、コンボの説明をしていた時は、きっとかなりのドヤ顔をしていたことでしょう(笑)
実際にデッキを回してみた感想としては、予想していた通り「クリーチャーを主体とした3枚コンボ」、「コンボスポードがあまり速くない」っていうのがかなり厳しかったですね。簡単には揃わないし、カウンターはされるし、少数のカードを除けば基本的には無抵抗主義。いやー、弱い弱い(笑)
デッキの改良案としては、《シルヴォクののけ者、メリーラ》をサーチ用の1枚まで減らして、《タルモゴイフ》、《聖遺の騎士》などの優良クリーチャーを入れることでしょうか。
《シルヴォクののけ者、メリーラ》は所詮《灰色熊》で盤面への影響が小さいですが、《台所の嫌がらせ屋》、《大いなるガルガドン》は単体でも優秀なカードなので、基本はグッドスタッフとして動いておいて、隙があれば《シルヴォクののけ者、メリーラ》を探してきてコンボを決めて勝つ、ぐらいの方が勝率が高そうです。
サイドボードも、いわゆる「ウィッシュボード」枠は10枚程度に抑えて、空いたスペースにはコンボ対策や墓地対策、追加の除去辺りを採用した方が、サイドボードの貢献度は高くなると思います。15枚のウィッシュボードは、《生ける願い》さえ引いていれば、非常に柔軟性の高い形になりますが、どうしても1アクション挟んでの行動になるので、特にサイドボード後は対策カードを直接引きたいマッチアップも存在しますので、全てをウィッシュボードにするのは、少し厳しいかもしれません。
また、最近スタンダードでは流行しそうな予感がある、《呪文滑り》ですが、このデッキにもマッチしていると思うので、投入を検討してもいいかもしれません。
あとは、デッキの感想というよりはカードの感想となるのですが、前評判通り《精神的つまづき》は非常に優秀でした。今回はコンボ要員を守るため&『新たなるファイレクシア』のカードということで使ってみましたが、色を選ばずに使える0マナカウンターというのは本当に強いですね。
先週末の第二回HOTで31人で73枚使われたように、これからもトーナメントで頻繁に見られることでしょう。
しかし、《精神的つまづき》が流行するだけではなく、《精神的つまづき》が効きづらい○○Stompy系のデッキや赤単系が勝ち上がってくるかもしれません。冒頭にも述べたように、そういう風にメタが回るのがマジックの面白さですよね。
今回はここまでとなります。
しばらくパーマネントに依存するデッキが多く、正直飽きました。なので、次回は僕の凝り固まったマジック観に革命をもたらした、伝説のデッキをご紹介したいと思います。
それでは、また再来週!そして、さよなら《シルヴォクののけ者、メリーラ》!また会う日まで!