日本選手権及びレガシー選手権が終了しました。
スタンダードでは、尖った形の環境最速「白単《鍛えられた鋼》」が三日間合わせて11-0という史上最高のスコアで駆け抜け、一方レガシーでは、全てを裁き切れる環境最遅のコントロール「青黒緑Landstill」が栄冠を掴みました。見事優勝した石田さん、安田さん、おめでとうございます!
僕自身の話をさせてもらいますと、奇跡的にベスト8に滑り込み、またもや奇跡的に準々決勝を勝利するものの、『山王工業との死闘に全てを出し尽くした湘北は、続く3回戦愛和学院にウソのようにボロ負けした。』と言わんばかりに準決勝、3位決定戦と連続で敗北してしまい、4位で終わりました。
日本選手権で好成績を残せたことは非常に嬉しいのですが、3位or4位=日本代表か否かはまさに雲泥の差。凄く凄く悔しかったです。
来年こそは頂点まで登り詰めて、日本代表の一員として世界選手権で戦いたいです。
そんな前置きはこれくらいにして、今週のMAD行ってみましょう!
1.再就職支援
レガシー選手権のベスト8を御覧になってもらっても分かるように、やはり青いデッキの、《精神を刻む者、ジェイス》のカードパワーは頭一つ抜けているように思えます。
手札の補充、盤面への対処、そして自身がそのままフィニッシャーになるという自己完結っぷり。このカードの強さを今更語るのも野暮というものでしょう。スタンダードで禁止になったのも頷けます。スタンダードで禁止になったあともレガシー・ヴィンテージで第一線にいる《精神を刻む者、ジェイス》はまさにプレインズウォーカーの鑑であり代表と言えるでしょう。
では、他のプレインズウォーカー達はエターナル環境でどう暮らしているのでしょうか?
《遍歴の騎士、エルズペス》はその堅実な力を買われ、Bantなどのビートダウンから青白コンロトール、青白Landstill、白Staxなどのコントロールにまで幅広く雇われています。《求道者テゼレット》はときたまアーティファクトをメインとしたデッキに使われることもありますが(僕も連載第6回で使用しました)、基本はヴィンテージ環境を根城にし、《Time Vault》、《通電式キー》コンボと睦まじく共生しています。
他にも《ギデオン・ジュラ》、《エルズペス・ティレル》、《ジェイス・ベレレン》、《復讐のアジャニ》等はピンポイントで採用されることはあるものの、その他のプレインズウォーカー達は基本的にお通夜状態と言ってもいいでしょう。
特に黒・赤・緑のプレインズウォーカー達はその能力だけでなく、色の特性や重さのせいもあり、ほとんど使われていないのが現状です。《ニッサ・レヴェイン》?《チャンドラ・ナラー》?ご冗談を(笑)
しかし、これは彼らが悪いわけではないのです。雇用がない社会が悪い!何もしない《ソリン・マルコフ》と《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》が悪い!そんな不遇なプレインズウォーカー達に陽の目を浴びさせてやりたい!お前達だって、きっと輝ける場所があるはずだ!いや、俺がお前たちの居場所を作って見せるッッ!!
ストレージの中に埋もれていた《チャンドラ・ナラー》や《サルカン・ヴォル》を見つめながら、そう叫んでいたところ、ニートプレインズウォーカーを神のカードへ変えてくれるカードを思いつき急遽作成したのが、今回紹介するこのデッキです。
2.サルカン/リリアナ/ガラク/チャンドラ「明日から本気出す。」
5 《森》 3 《沼》 3 《山》 4 《樹木茂る山麓》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《新緑の地下墓地》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 4 《水蓮のコブラ》 4 《桜族の長老》 -クリーチャー(12)- |
2 《思考囲い》 3 《耕作》 1 《喉首狙い》 1 《四肢切断》 1 《大渦の脈動》 2 《師範の占い独楽》 2 《破滅的な行為》 3 《倍増の季節》 3 《はじける子嚢》 2 《チャンドラ・ナラー》 1 《野生語りのガラク》 1 《原初の狩人、ガラク》 1 《サルカン・ヴォル》 1 《狂乱のサルカン》 1 《リリアナ・ヴェス》 -呪文(25)- |
3 《仕組まれた疫病》 3 《破壊的な流動》 2 《思考囲い》 2 《根絶》 2 《古えの遺恨》 2 《喉首狙い》 1 《大渦の脈動》 -サイドボード(15)- |
今まではうだつがあがらなかった、ダメダメなプレインズウォーカー達も、これさえあれば超優秀なヒーロー(ヒロイン)に生まれ変わる!ラヴニカが誇るトンデモカード、それが《倍増の季節》です!!
《倍増の季節》の効果で各プレインズウォーカーの忠誠カウンターが倍の状態で出るので、《チャンドラ・ナラー》や《リリアナ・ヴェス》のように初期忠誠度が高いプレインズウォーカーはその恩恵を最大限に受けることができます。一度このデッキをプレイすれば、出したターンに奥義である10点ビームを飛ばしまくる《チャンドラ・ナラー》さんや、即座に超《黄昏の呼び声》を行使する《リリアナ・ヴェス》さんにメロメロになること間違いなし!《精神を刻む者、ジェイス》にできないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!
男性陣も女性陣に負けず劣らず派手に戦います。《サルカン・ヴォル》は出したターンになんと4/4ドラゴントークンを10体も量産!!即座に40点クロックを出せるデッキもそうないでしょう。最高のドヤ顔を決めるチャンス!
《狂乱のサルカン》はその《闇の腹心》能力でデッキを回しつつ、用済みになった《極楽鳥》、《水蓮のコブラ》などを5/5ドラゴントークン2体に変える暴れっぷり。
基本セット2012で新登場の《原初の狩人、ガラク》も勿論このデッキではエースです。即座に6/6トークンを生み出して良し、ドローしても良しの万能選手。《野生語りのガラク》だけはちょっと地味ながらもマナブーストと3/3トークンでデッキを支えます。ドラゴントークンやワームトークンを奥義であるオーバーランで強化して殴るのもアリですが、往々にしてオーバーキルでしょう(笑)
また、《倍増の季節》と相性の良いカードとして《はじける子嚢》も採用しました。
消散カウンターも倍になって出てくるので、場に出して消散14。1回起動すると13/13が2体。もう1回起動すると12/12が4体…という風に普段のマジックとは全く別のゲームを楽しめます。《はじける子嚢》でトークンを並べて《サルカン・ヴォル》で速攻を付与すれば、往年のFiresを思わせる動きで心が温まり、懐古話に花が咲くかもしれませんね。
今回はスペースの都合上採用できなかったのですが、プレインズウォーカーや《はじける子嚢》との組み合わせだけでなく、《倍増の季節》には沢山の夢が詰まっています。もし良ければ試してみてください。
〔コンボ例〕
・《倍増の季節》+《伏魔殿》+《歯とかぎ爪》=無限ダメージ
・《倍増の季節》+《季節の導き、節貴》+《爆破基地》=無限トークン+無限ダメージ
・《倍増の季節》+《トリスケラバス》+《アシュノッドの供犠台》=無限トークン+無限マナ+無限ダメージ
・《倍増の季節》+《目覚めの領域》などトークン系カード+《獣使いの昇天》=即昇天で大ダメージ
デッキの解説に戻ると、今回のデッキはマナベースも特徴的です。3色なのに《Taiga》《Badlands》などのデュアルランドが0枚!?
…この理由はただ一つ。レガシー特有のランデス=《不毛の大地》を構築段階で回避するためです。5マナ圏が勝負のこのデッキは、一度でも《不毛の大地》を喰らったが最後、二度とその紙束をプレイできずに負けることが明白。なので、各種マナブーストと12フェッチに頼ってデュアルランド0枚の構築にしてみました。全て基本地形の強みを活かしてサイドボードには《破壊的な流動》も搭載。《血染めの月》でも良かったのですが、フェッチが起動できず色マナに困るのを嫌い《破壊的な流動》を今回は選びました。
デュアルランド0の弊害として、プレインズウォーカー界きってのイケメン、《ソリン・マルコフ》を諦めざるを得なかったのが残念ですね。黒黒黒はさすがに厳しい。まぁ、彼は偉い人のようなので、僕が力を貸すまでもなく、1人で何とかしてくれるでしょう。
あとはPVのLandstillを真似て除去を散らしてみたり、相性のいい《破滅的な行為》、《師範の占い独楽》を採用したりしてデッキ完成!
ということでいつも通りトーナメントに参加してきました。参加者20名のスイスドロー3回戦。
3-0が表の目標なら、裏の目標は各種プレインズウォーカーの奥義を使って勝つこと。
派手に、楽しく、強く(?)をモットーに、勝ち上がって見せましょうじゃありませんか!
3.サルカン/リリアナ/ガラク/チャンドラ「働いたら負けだと思ってる。」
R1:対青赤コントロール ○××
R2:対青単ユーロブルー ○○
R3:対青白緑赤CTG ×○‐
1-1-1。3-0はなりませんでしたが、青いデッキ相手は基本的にゲームスピードが遅いため、身が多いこちらが少し有利な感触がありました。普段使われてなくても、やはりプレインズウォーカーのカードパワーは高い!
○R1
G1は相手が確定カウンターを余り引けなかったため、《師範の占い独楽》に《Force of Will》撃たれた後に《倍増の季節》→《チャンドラ・ナラー》と通って勝ち。これぞ分からん殺しって奴ですね。チャンドラの奥義を決めることができて、既に満足。
G2は、相手の《渋面の溶岩使い》《ヴェンディリオン三人衆》を《仕組まれた疫病》で封じ込める形でスタート。しかし、《仕組まれた疫病》は《仕組まれた爆薬》X=3で破壊されてしまう。相手の手札を《思考囲い》で確認してから《倍増の季節》→《サルカン・ヴォル》でドラゴン10体出して攻め立てるものの、《渦まく知識》で《仕組まれた爆薬》2枚目を引かれてしまい、《精神を刻む者、ジェイス》で負け。でもドラゴンたくさん出せて満足。
G3も土地が少ない手札をキープしたため、《仕組まれた疫病》を出すものの3Tの《ヴェンディリオン三人衆》にかなり削られてしまい、最終的に《仕組まれた疫病》割られてからの《渋面の溶岩使い》と《稲妻》で負け。マリガンミスか。
○R2
復帰したばかりで久々のマジックとのこと。
G1《桜族の長老》を《魔力の乱れ》、《師範の占い独楽》を《無効》、こちらのエンド前に《衝動》、《ミューズの囁き》と懐かしい動き。《袖の下》を撃たれるものの《水蓮のコブラ》しか盗るものがなく、返しに《リリアナ・ヴェス》が着地。《ネビニラルの円盤》ではプレインズウォーカーを破壊できずにやりたい放題やって勝ち。
G2《プロパガンダ》出されて「奥義でトークン並べてフルパン大作戦」が完全沈黙。ドローゴーを続ける相手に対して《桜族の長老》《水蓮のコブラ》で4マナ払いながらチマチマ殴っていき、マナブーストのおかげで差が付いたところで《思考囲い》絡めて攻める。《リリアナ・ヴェス》が無双して手札を空にさせ、最終的には《倍増の季節》《原初の狩人、ガラク》《リリアナ・ヴェス》《チャンドラ・ナラー》揃い踏みの場になり、《チャンドラ・ナラー》奥義10点で勝ち。
○R3
G1カウンターでバックアップされながら《タルモゴイフ》、《ヴェンディリオン三人衆》と攻め立てられるが《喉首狙い》《四肢切断》《破滅的な行為》《はじける子嚢》《チャンドラ・ナラー》でなんとか食い止め、五分な盤面まで持って行く。が、序盤にダメージを食らいすぎており、相手《師範の占い独楽》でマナを伸ばした後に《赤の太陽の頂点》X=6で昇天。く、悔しい。
G2《粗石の魔道士》で《強欲のトーテム像》をサーチされる。相手もMAD!で、《はじける子嚢》を奪われるものの《思考囲い》のバックアップもあり《倍増の季節》が無事着地し、《強欲のトーテム像》を返さないまま《野生語りのガラク》、《はじける子嚢》、《倍増の季節》と次々通って勝ち。
《倍増の季節》×2+13個載った《はじける子嚢》+《野生語りのガラク》オーバーラン可能という場だったので、投了されなかったら何点入ったのかちょっと気になるところ(笑)
G3《破壊的な流動》が《自然の要求》され、《はじける子嚢》は《罠の橋》でシャットアウト。《思考囲い》で《赤の太陽の頂点》を落として突然死を防ぐものの、2T後に《精神を刻む者、ジェイス》出されて雲行きが怪しい…。というところでタイムアップ。3Gともお互い《師範の占い独楽》をコントロールしていた上に、僕のプレイングが遅く、時間がなくなってしまいました。
という感じで、コンボデッキに運良く当たらなかったため、レガシーにしては重いこのデッキでもしっかりとゲームを作ることができました。コンセプトをしっかり固めたデッキなら、好きなデッキでもある程度戦える&楽しめるのがレガシーの魅力の一つかもしれませんね。
次回も派手に楽しく、レガシーMAD道を突き進んで行きたいと思います!
それでは、また再来週。