Fight it out!!【質問編】

高橋 優太


happymtg.com当時はコメント欄がありましたが、現在は見ることができません。あらかじめご了承ください。


 これまでの連載では、Caw-Blade、《精神を刻む者、ジェイス》、マリガン、ディスカードと、コントロール的な要素が強い題材を扱ってきた。これは単純明快な話で、現在のスタンダードでCaw-Bladeをはじめとする、コントロール的な要素が強いデッキが跋扈していたからだ。
 だが、状況は変わりつつある、日本選手権予選で鮮烈なデビューを飾った《焼身の魂喰い》+《投げ飛ばし》という古典的とも言える爆弾を搭載した赤単や、赤単ゴブリン、白緑ビートダウン等の、ライフを詰めるデッキが成績を残し始めている。そうすると、ビートダウンデッキ同士の、屍山血河のライフレースがトーナメント会場で頻発するのは自明の理である。
 コントロールデッキ同士の、いつ終わるともしれない読み合いがマジックの醍醐味だと言う者もいるだろう。だが、いつどちらかのライフが0になるかという、闘争本能をむき出しにした雄同士のヒリついたダメージレースもまた、マジックの醍醐味だ。

 ちなみに、UBフェアリーというデッキは、相手の挙動を全て見透かす程の洞察力と、”肉を切らせて骨を断つ”を地で行くような鋭いダメージ計算力が問われる、マジックの醍醐味を全て味わえるデッキだと言う事を付け加えておこう。
 話が少し逸れてしまった。それでは、本題に入ろう。


CASE1.漢の赤単

あなたのデッキ 赤単ビートダウン
CASE1.漢の赤単
あなたのデッキ 赤単ビートダウン

「Mono Red」
/
15《山》
2《乾燥台地》
3《沸騰する小湖》
4《ぐらつく峰》

-土地(24)-

4《ゴブリンの先達》
4《焼身の魂喰い》
4《窯の悪鬼》

-クリーチャー(12)-
4《稲妻》
3《噴出の稲妻》
4《焼尽の猛火》
3《四肢切断》
3《投げ飛ばし》
3《よろめきショック》
4《槌のコス》

-呪文(24)-

-サイドボード()-
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相手のライフ 12
相手の手札 2枚
墓地
《稲妻》
《窯の悪鬼》
《焼身の魂喰い》
《沸騰する小湖》
相手の場
《槌のコス》(忠誠値4)
《ゴブリンの先達》(アンタップ)
《山》(アンタップ)
《山》
《山》
《山》
《ぐらつく峰》

自分のライフ 12
墓地
《噴出の稲妻》
《焼尽の猛火》
《窯の悪鬼》

自分の場
《山》
《山》
《山》
《ぐらつく峰》
《ゴブリンの先達》

自分の手札
《稲妻》
《投げ飛ばし》
《四肢切断》
《槌のコス》




 Caw-Bladeが同型を意識して《四肢切断》を取り始めたなら、ライフを攻めるビートダウンを使えば良い。あなたはそう考えて、赤単で大会に参加している。奇しくも対戦相手も同じ考えだったのだろう、赤単の同型対決だ。
 序盤はクリーチャーを火力で除去し合う展開。お互いに間隙を突いて、《ゴブリンの先達》《ぐらつく峰》で4点ずつ痛み分けをしている。こちらの《ゴブリンの先達》の攻撃だけ土地がめくれてしまい、リソースが同じ状況で《槌のコス》を出されてしまった。
 青対決がジェイスゲーと言われるように、赤単同型対決でもプレインズウォーカー《槌のコス》は重要な存在である。対処しなければ、すぐにゲームを決めてしまうだろう。
 しかし、相手のライフを削ることに特化したこのデッキの場合は、プレインズウォーカーにダメージを与える事はそのぶんダメージを軽減されている事と同義である。眼前にある《槌のコス》をどう対処して、勝ち筋を見出すか。ライフとアドバンテージ両方を天秤にかけた上で、このターンの行動を決定してほしい。

 参考までに、ゲームの推移を全て表にしてみた。参考にしながら、行動を検討してほしい。



Case2.Life or Poison?

 複雑な戦闘は、構築戦よりも寧ろリミテッドで多く発生する。求極者であるところの諸兄は、日本選手権への参加を目指し、それだけでは飽き足らず、上位入賞を目指し日々研鑽していることだろう。ご存知かとは思うが、例年通りであれば日本選手権では6ラウンドのブースタードラフトがある。そして、恐らくフォーマットはミラディンの傷跡ブロックのブースタードラフトであろう。「毒」というシステムがフィーチャーされているこのブロックは、勝利への道筋が一つ増えたことにより、より多様性のある戦闘が展開される。これを制せずして、日本選手権での活躍は無い。
 今回は、趣向を変えてリミテッドでの「極」について諸兄に検討して貰いたい。

 それでは、設問。

 あなたはNPH-MBS-SOMドラフトの試合中だ。



相手のライフ:6
相手の毒カウンター:6個
相手の手札:なし
相手の場
《まばゆい魂喰い》
《まばゆい魂喰い》
《テル=ジラードの堕ちたる者》
《荒廃のマンバ》
相手の土地
4《平地》(2枚アンタップ)
4《森》(2枚アンタップ)

あなたのライフ:16
あなたの毒カウンター:2個
あなたの手札:森
あなたの場
《腐食獣》
《ゴブリンの戦煽り》
《剃刀の豚》
《腐敗狼》
土地(すべてアンタップ)
4《山》
3《森》

装備品(すべて装備されていない状態)
《ダークスティールの斧》
《縒り糸歩き》
《銀皮の鎧》

 あなたのデッキは赤緑ハーフ感染で、毒とライフの両方向で攻める「ライフが30点」の戦い方をしている。序盤のリードもあり、ライフ面でも毒面でも有利な状況だ。だが相手の場には2体の《まばゆい魂喰い》《荒廃のマンバ》が立ちはだかり、易々と攻撃を通せそうにない。現在はあなたの第1メインフェイズで、装備品を駆使すれば攻撃が出来そうな状況だ。
 戦闘フェイズはクリーチャーが増えれば増えるほど難解になるものだ。だが、相手がどう考えるかを予想できれば、自分にとって有利になるように誘導することは出来るだろう。
 これは何もリミテッドに限った話ではなく構築戦でも当てはまる。この記事で何度も述べていることだが「相手の視点で考える」ということ。よく「戦闘が上手い人はマジック上手い」という言葉を聞くように、戦闘フェイズに慣れる事は上級者への道のりの第一歩だ。
 相手の思考を計算のうちに入れ、どう装備すれば最も効率よく攻撃できるかを考えてほしい。