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私の尊敬する、過去の偉人はこう言った。
「プレイングにいいプレイや悪いプレイなどない。あるのはたった一つの正解だけだ」 -Jon Finkel-
マジックは常に選択を迫られるゲームだ。ゲームが複雑になるほど選択肢も増える。複数の選択肢の中から正解を見つけ出すのは難しく、すべてを一概にミスと言い切ることはできない。
「相手が○○を引いていたから、こちらは△△からプレイしていたら良かった」や「次のドローが土地なことに賭けて◇◇をプレイしたが、土地を引けなかった」など、「結果論」的なミスもあるだろう。
今回のテーマは、その「選択」だ。
「カードを捨てる」2つの例題をもとに、第1回の記事で述べた「自分のデッキの動きを理解する」「対戦相手のデッキを予測する」ことを考えていこう。どちらかだけのことを考えても仕方がない。情報を的確に分析して、「理想」からではなく「現在」から勝利への最善手を探すよう努力してほしい。
それでは、質問だ。
Case.1 青同系。ドローゴー。
4《天界の列柱》 4《金属海の沿岸》 4《氷河の城砦》 5《島》 4《平地》 4《地盤の際》 1《墨蛾の生息地》 -土地(26)- 4《石鍛冶の神秘家》 4《戦隊の鷹》 1《太陽のタイタン》 -クリーチャー(9)- |
4《定業》 3《呪文貫き》 3《マナ漏出》 3《乱動への突入》 2《四肢切断》 4《精神を刻む者、ジェイス》 3《ギデオン・ジュラ》 1《饗宴と飢餓の剣》 1《戦争と平和の剣》 1《殴打頭蓋》 -呪文(25)- | -サイドボード()- |
盤面1:後手
相手のデッキ:同系?
相手:手札7枚
戦場:《天界の列柱》、《島》×2枚、《平地》、《墨蛾の生息地》
墓地:《地盤の際》×2枚
自分:手札8枚
戦場:《氷河の城砦》、《島》、《平地》、《墨蛾の生息地》
墓地:《天界の列柱》、《金属海の沿岸》
手札:《呪文貫き》×2枚、《マナ漏出》、《四肢切断》、《精神を刻む者、ジェイス》×2枚、《ギデオン・ジュラ》×2枚
「新たなるファイレクシア」発売後、《戦争と平和の剣》《殴打頭蓋》の加入により、ますます隆盛を極めるCaw-Blade。
あなたもそのCaw-Bladeを使い、大会に参加している。序盤はドローゴーが続き、土地から判断するに相手はミラーマッチのようだ。お互い序盤に《石鍛冶の神秘家》、《戦隊の鷹》をプレイしなかったため、カウンターをケアして大きなアクションが取りづらくなっている状況だ。
ターンはある程度進んだものの相手の土地の伸びが良く、《地盤の際》で土地を攻められたこともありこちらからは仕掛けづらい展開になっている。
前回の記事でも述べたとおり、Caw-Blade同系対決での大きな分岐点は2つ。
1.《石鍛冶の神秘家》+装備品をめぐる攻防
2.《精神を刻む者、ジェイス》をめぐる攻防
ある程度マナが伸びた現在なら、ここに《戦隊の鷹》という要素も加わるだろう。
相手は《石鍛冶の神秘家》《戦隊の鷹》がなくても初手をキープしていることから、序盤をさばけるカウンターや除去、そして《精神を刻む者、ジェイス》を持っている可能性は高い。
現在、自分の手札はリアクションとプレインズウォーカー。勝つためにはプレインズウォーカーの力が必要だが、マナが多いぶん相手のほうが行動に出やすく、少し不利な状況だ。
現在、あなたの手札は8枚で、ターン終了時にディスカードしなければならない。さて、どれを捨てるだろうか。
2枚ずつのカードが多いが、「これは2枚目不必要」と安直に捨てるのではなく、今後どのようなゲームプランを組み立てるのか、どのカードが必要でどのカードが不必要か考えてみてほしい。
Case2.能動的ゲームプラン
4《忍び寄るタール坑》 4《水没した地下墓地》 4《闇滑りの岸》 4《地盤の際》 4《島》 4《沼》 1《霧深い雨林》 1《新緑の地下墓地》 -土地(26)- 3《墓所のタイタン》 -クリーチャー(3)- |
4《定業》 3《コジレックの審問》 3《強迫》 4《マナ漏出》 2《破滅の刃》 3《喉首狙い》 3《四肢切断》 2《乱動への突入》 2《ジェイス・ベレレン》 4《精神を刻む者、ジェイス》 1《リリアナ・ヴェス》 -呪文(27)- | -サイドボード()- |
盤面2:先手
相手のデッキ:Dark Blade
戦場:《忍び寄るタール坑》(タップ状態)
手札:《氷河の城砦》、《湿地の干潟》、《コジレックの審問》、《喉首狙い》、《戦隊の鷹》、《石鍛冶の神秘家》、《精神を刻む者、ジェイス》
戦場:《忍び寄るタール坑》(セットランド前)
手札:《忍び寄るタール坑》、《闇滑りの岸》、《沼》、《強迫》、《喉首狙い》、《精神を刻む者、ジェイス》
プレイ:《コジレックの審問》プレイ中
まだメタゲームが固まっていない新スタンダード。
あなたは《欠片の双子》コンボなどを意識して、手札破壊・単体除去の多くて受けの広い青黒コントロールで大会に参加している。
1ターン目は《忍び寄るタール坑》をタップインで置き、2ターン目に《コジレックの審問》で手札を覗き込んだところだ。除去・クリーチャー・プレインズウォーカー・そして十分な土地と、相手の手札は充実している。ここから何を捨てさせて、どうゲームプランを立てるのかを考えてみよう。
どんなカードも、相手次第では強くなったり弱くなったりする。相手のターンを自分にとって都合の良いものに置き換えて、ゲームの主導権を握る。手札破壊の長所は、相手の手札からその後のプランを立て易くなるところだろう。
はっきり言って、相手の手札は強い。
青対決での鍵になる《戦隊の鷹》《精神を刻む者、ジェイス》を持ち、青黒コントロールは《饗宴と飢餓の剣》を対処しづらいので《石鍛冶の神秘家》も脅威になる。
この2ターン目の《コジレックの審問》の選択次第で、ゲームの行方は大きく変わってしまうだろう。
自分の手札を効率良く使い切り、相手は逆にイマイチな回りにするためにはどうすれば良いか。相手からの視点を考えつつ、正解を導き出して欲しい。