0.はじめに
こんにちは。金民守です。
いつも晴れる屋では新エキスパンションの発売に合わせて【リミテッドの環境分析の記事】をお届けしている所ですが、今回は先日開催された【グランプリ・千葉2015】のレポートをお届けしたいと思います。
今回は「新エキスパンション発売翌週のグランプリ」ということで練習する時間はかなり少なかったわけですが、環境初期の方が勝率に差がつきやすい点を考えれば、1回1回の練習の経験値効率はかなりいいと思い、スケジュールをなんとか調整してHareruya Prosの皆さんを筆頭とする【強豪プレイヤーとドラフト合宿】を行いました。
この合宿の効果はとても大きく、リストを見た段階での環境把握と、合宿終了時の環境把握は大きく異なっていていました。
ですので、まずはトーナメントレポートに入る前に合宿で得たセオリーといいますか、環境のアウトラインを簡単にまとめたいと思います。
1.『モダンマスターズ 2015年版』のドラフトについて
この環境の特徴を端的にまとめると以下のようになります。
・完全なアーキタイプ環境である
・ゲームスピードは驚くほど速い
・上記の理由から上下との住み分けが最優先
・白緑と親和の二強である
・青赤が最弱であり青黒は成立しない
・スタンダードと同等かそれ以上にサイドボードが重要な環境である
・ゲームスピードは驚くほど速い
・上記の理由から上下との住み分けが最優先
・白緑と親和の二強である
・青赤が最弱であり青黒は成立しない
・スタンダードと同等かそれ以上にサイドボードが重要な環境である
そして各アーキタイプの評価は以下のようになります。
S級 :「白緑」「親和」 ←卓に2人でも離れてるならやりたい
A級 :「黒緑」「赤緑」「白黒」←S級ができなかった場合、卓に1人ならやりたい
B級 :「赤白」「赤黒」 ←卓に1人、かつレアがないとやらない
——————————————————————————
C級 :「緑青(黒)」 ←緊急避難
D級 :「赤青」「ドメイン(5色)」←断固拒否
戦力外:「青黒」
A級 :「黒緑」「赤緑」「白黒」←S級ができなかった場合、卓に1人ならやりたい
B級 :「赤白」「赤黒」 ←卓に1人、かつレアがないとやらない
——————————————————————————
C級 :「緑青(黒)」 ←緊急避難
D級 :「赤青」「ドメイン(5色)」←断固拒否
戦力外:「青黒」
上記のような環境理解のもとこの環境のリミテッドセオリーの最適化と具体化を進めていたのですが、『グランプリ本戦はこの環境の経験の少ないプレイヤーが、通常のリミテッドのセオリーに従って、アーキタイプの軸のカードよりも除去を優先して取るケースが頻出するのではないか』という予想のもと、赤と黒の除去色を使ったアーキタイプの理解は最低限にとどめ、その分のリソースを「親和」と「白緑」の理解を深めることに裂くという方針で練習を進めました。
二つのアーキタイプを掘り下げていって分かったことは、本質的には二強ながらも、このタイミングのGPでは最適解はおそらく「白緑」戦略だろうということです。
「白緑」の強さはメインでは揺るぎないものがあります。展開力と圧倒的なサイズの両面を併せ持ち、ボムの受け入れ枚数も他のカラーコンビネーションよりも多く、間違いなく環境をリードするアーキタイプだと言えるでしょう。
唯一つけ込むスキがあるとすればサイド後は《減縮》が致命的に刺さるという点ですが、環境初期でサイドボードの重要性まで理解が追い付いているプレイヤーがそうはいないはずなので、少なくとも予選ラウンドは強めに主張する価値ありと判断しました。
そして二強の片割れである「親和(金属術)」ですが、「白緑」がアーキタイプとして動きが固定されているのに対して、「親和」は《金属ガエル》や《マイアの処罰者》などの純粋親和パーツをどれくらい盛り込むかによってデッキの動きがかなり大きく変わるアーキタイプであるということが分かりました。
《マイアの処罰者》などを採用せず、その他のアーティファクトシナジーでデッキを構成するメリットは「優秀なアドバンテージソース」「豊富な飛行」「《錆びた秘宝》による高い打点」の三つ。端的に言うと普通に強いカードが沢山使えるということになります。失敗デッキが少なくデッキの強さボトムラインが高いと言い換えてもいいでしょう。
対して「親和」に寄せることでどんな変化があるかというと、まず《ダークスティールの城塞》の重要度が上がるため色事故の危険性が高まります。青の飛行やアドバンテージソースの運用を安定させるため《ダークスティールの城塞》の優先度を下げると、《金属ガエル》や《マイアの処罰者》など完成度が低いデッキでは3マナ2/2バニラ以下の働きしかしない点で、0-3デッキが出来上がる可能性が出てくるというデメリットがあるのです。
しかしそれらのデメリットがトレードオフに扱えるほど完成した「親和」デッキの展開力は圧倒的なものがあり、それは構築デッキを相手にしても轢殺できるほどのポテンシャルの高さです。
なので「親和」を組む場合は、
・中途半端に《金属ガエル》や《マイアの処罰者》を取らない。
・「親和」に寄せる場合は青を切るくらいの思い切りが必要。
・「親和」に寄せない場合は4ターン目に《錆びた秘宝》が安定して生物化(「金属術」を達成)できる程度のアーティファクト率を目指すが、それ以上に先鋭化させるよりもカードパワーを優先していい。
・「親和」に寄せる場合は青を切るくらいの思い切りが必要。
・「親和」に寄せない場合は4ターン目に《錆びた秘宝》が安定して生物化(「金属術」を達成)できる程度のアーティファクト率を目指すが、それ以上に先鋭化させるよりもカードパワーを優先していい。
こういった把握の元、ドラフトは『「白緑」と「親和」で上家のやってない方に行く、それ以外の選択肢はレアからしか行かない』という方針を固めてGP本戦に臨みました。
2.『モダンマスターズ 2015年版』のシールドについて
練習時間の大半をドラフトの環境理解に裂きましたが、シールドで勝ち残れずドラフトラウンドに進出できないと何も意味がないので、シールドについても最低限の研究はしました。
勿論シールドは与えられたカードプールに依存するのであまり戦略を絞れないのですが、何度か練習と意見交換を繰り返す中で、普遍的なシールドマナーに加えて現環境独自の注意点として以下のような点に気を付けるべきだという結論に落ち着きました。
・生物の線が細いデッキを組まない
・中途半端な「ドメイン」は組まない
・ビートダウンでなければエルドラージが使える形を確認する
・《骨の粉砕》は三色目タッチを考慮する
・《大修道士、エリシュ・ノーン》があったらどんなに無理やりでも使う
・《大修道士、エリシュ・ノーン》を引く
・《大修道士、エリシュ・ノーン》を出されないように祈る
・中途半端な「ドメイン」は組まない
・ビートダウンでなければエルドラージが使える形を確認する
・《骨の粉砕》は三色目タッチを考慮する
・《大修道士、エリシュ・ノーン》があったらどんなに無理やりでも使う
・《大修道士、エリシュ・ノーン》を引く
・《大修道士、エリシュ・ノーン》を出されないように祈る
基本的には「ボムを使う」「ボムに対応できるようにする」「ポテンシャルの最大値よりも最低値の高さを重視する」という思想ですね。
3.GP初日 ~シールド~
そういうわけで迎えたGP初日、《大修道士、エリシュ・ノーン》降臨を願いながらパックを開封したのですが、残念ながら願いは届かず。
しかしそう悲観するようなカードプールではなく、先手後手でプラン分けがしやすく白に《天羅至の掌握》が3枚あったりとサイドプランも豊富で、土地がないのは不満でしたがそれでも100点満点中80点はつけられる及第点プール。
色の候補は緑が確定で赤と黒のどちらを二色目にするか、以下の二つの形で時間ぎりぎりまで悩みました。
8 《森》 7 《山》 1 《沼》 1 《進化する未開地》 -土地(17)- 1 《ゴブリンの投火師》 2 《巣の侵略者》 2 《水辺の蜘蛛》 1 《煙束ね》 1 《魂光りの炎族》 1 《嵐血の狂戦士》 1 《黙示録のハイドラ》 1 《血のオーガ》 2 《コジレックの捕食者》 1 《血まみれ角のミノタウルス》 1 《狼茨の精霊》 1 《雷叫び》 1 《恨み唸り》 1 《コジレックの職工》 -クリーチャー(17)- |
1 《骨の粉砕》 1 《噴出の稲妻》 2 《名も無き転置》 2 《獣性の脅威》 -呪文(6)- |
8 《森》 7 《沼》 1 《山》 1 《進化する未開地》 -土地(17)- 1 《病に倒れたルサルカ》 2 《巣の侵略者》 2 《水辺の蜘蛛》 1 《ナーリッドの群れ》 1 《血の座の吸血鬼》 1 《組み直しの骸骨》 1 《黙示録のハイドラ》 1 《短剣爪のインプ》 1 《陰極器》 2 《コジレックの捕食者》 1 《狼茨の精霊》 1 《戦慄の徒食者》 1 《コジレックの職工》 -クリーチャー(16)- |
1 《骨の粉砕》 1 《噴出の稲妻》 2 《名も無き転置》 1 《不気味な苦悩》 2 《獣性の脅威》 -呪文(7)- |
最後までどちらにするか迷いましたが、以下の点を考慮してメインは「赤緑」に。
・3種の「狂喜」生物と《雷叫び》で相手がレアを出す前にゲームを決めに行ける構成である
・タッチ黒の場合、《煙束ね》から2枚入っている《名も無き転置》の黒マナをプロデュースできるので、マナベースの面で優秀
・《煙束ね》《魂光りの炎族》《巣の侵略者》のマナブーストから最速4ターン目《コジレックの職工》が可能になるサブプランを評価
・タッチ赤の場合《黙示録のハイドラ》の魅力が半減する
・タッチ黒の場合、《煙束ね》から2枚入っている《名も無き転置》の黒マナをプロデュースできるので、マナベースの面で優秀
・《煙束ね》《魂光りの炎族》《巣の侵略者》のマナブーストから最速4ターン目《コジレックの職工》が可能になるサブプランを評価
・タッチ赤の場合《黙示録のハイドラ》の魅力が半減する
しかし実際に回してみると、ダイスが6/7で負けて後手スタートばかりだったこともあり、先手後手で強さが大きく変わる「狂喜」生物を厚くとった赤緑ベースの構成はリスキーだということをこれでもかと思い知らされてしまい反省しきり。メインは先手後手で強さの差が少ない「黒緑」ベースにして先手が確定した時だけ「赤緑狂喜」にシフトチェンジするのが正解でした。精進が足りません。
とはいえサイドプランの豊富さに助けられる所が大きく、初日は2Byeからの6-1で二日目に希望をつなぐ形でまとめられました。
負けた一戦は8回戦で、同じ色でレアソートも同じというシールドでは珍しい同系戦でした。
お互いに回りあって1本ずつ取った3本目、相手は1ターン目《貴族の教主》から3ターン目「X=4」の《キマイラ的大群》の回りでライフレースを先行されるキツイ展開。こちらも6ターン目に《コジレックの職工》を出して盤面上は形勢が逆転したのですが、返しで《雷叫び》が出てきてしまい相手に耐える道ができてしまいます。
その後《黙示録のハイドラ》を「X=3」で出されて頭数で押し込む目が薄くなり、敗色が濃くなった所で損切りをして相手のライフを1にするアタック。しかしライフ1から《ペラッカのワーム》で一気に安全圏に戻ってしまい、その後マナフラッドしてしまった自分に再度巻き返すプランがなく敗北しました。
終了後はあまりの口惜しさに隣にいた津村君をはじめ色々なプレイヤーと延々プレイングの検討を繰り返していましたが、結局4回あった選択肢(《コジレックの職工》を出すターン。《コジレックの職工》に向かって殴ってきた《キマイラ的大群》のブロック方法。《コジレックの職工》で殴るかどうか。最後のアタック。)はどれも検討して出した答えと実際に選択したプレイに差がなく、単純に相手が強かったということで納得しました。
この時の対戦相手はプレイも堅実で本当に強かったです。負けはしましたがこの対戦が今大会のベストバウトだったと思います。
(編注)気になって調べてみたところ、対戦相手はGPトップ8やPTトップ16入賞経験のある強豪・山口 聡史(愛知)さんでした。
4.GP二日目 ~ドラフト~
そして迎えた二日目。待望のドラフトラウンドは2番卓で【ドラフト合宿】を一緒に行った渡辺(雄也)君と同卓でした。
ファーストドラフトで他のプレイヤーのドラフト理解度も不明なため、やはり意識するのはジャパニーズジャガーノートの渡辺君です。隣り合ってお互いが卓一の「白緑」と「親和」をできれば理想で、次点で対面でお互いに空いているアーキタイプを独占する展開が希望でしたが、実際の席順は僕の二個下が渡辺君という微妙な位置関係でした。
何が微妙かというと、環境最強アーキタイプである「白緑」と「親和」は卓に二人でも十分勝てるデッキが組めるのですが、渡辺君とは練習結果を共有してるのでカードの優先順位がほぼ同じで、席が近い状態では同じアーキタイプに進むリスクが他の人よりも段違いに高く、完全に住み分けるには間に一人入る分で意思疎通がしがたいという二つのポイントです。
しかし幸いなことに上家は自分なので、周りとのカード評価の違いに起因して強いカードが中盤で取れるという環境最初期だからこそのボーナスを渡辺君よりも多く享受できるので、ドラフトのイニシアティブは自分にあるといえるでしょう。
そんな位置関係で始まったドラフト、開封パックでは《原始のタイタン》と《頭蓋囲い》の二択でした。
強さの分かりやすい「親和」系よりも「白緑」の方がネタバレしてない可能性が高いので本命は「白緑」だったのですが、最強「親和」パーツである《頭蓋囲い》が引ければ文句があるはずがありません。《原始のタイタン》は色こそ「白緑」にあっていますが、「白緑」ではアーキタイプのコンセプトに貢献しないカードなのでこれを取って目指すのは「黒緑」か「赤緑」のエルドラージをフィーチャーしたデッキになります。単体性能の化け物ぶりは記憶に新しいですが、アーキタイプの優先度から言って文句なく《頭蓋囲い》をピック。
そして迎えた二手目。ここが最大の分岐点でした。なんと二手目で《磁石マイア》と《セレズニアのギルド魔道士》の2枚が流れてきたのです。
初手を生かすなら勿論レアの《磁石マイア》です。装備品とのシナジーも強力でこのまま最強アーキタイプに向かって走ることも十分肯定される流れですが、横の《セレズニアのギルド魔道士》はレア以上の明らかなシグナルです。この環境は完全なアーキタイプ住み分け環境なので、初手のS級カードと二手目のA級カードでは二手目の方を重視していいというのが持論です。しかも流れてきたのは文句なく「白緑」の最高クラスのカード。勇気のいる選択でしたが練習の結果を信じて「親和」を切って《セレズニアのギルド魔道士》をピックしました。
三手目は「親和」パーツも「白緑」パーツも無い中に《名も無き転置》が。気の間違いで初手で《原始のタイタン》を取っていれば結果論的に噛み合ったなとバカなことを考えながら、粛々と上家のいうことに従って《名も無き転置》をピック。その後は「親和」パーツの流れが枯れて、逆に「白緑」と「白黒」が空いている状態で土地が2枚取れたこともあってタッチカラーも怖くない状態で両天秤のまま1パック目終了。
2パック目は《不退転の大天使》と《苦花》(フォイル)の二択。「白緑」でも「白黒」でも使える《不退転の大天使》を取るか、相手によっては実質2ターンキルもありえる《苦花》を取るかの二択。
悩ましいのですが、1パック目中盤以降、《セレズニアの聖域》や《印章の祝福》など「白緑」のパーツはいい巡目で取れたのですが、緑単色のカードが流れてこない状態であることと下に《原始のタイタン》を流していることからデッキのベースを「白黒」にする前提でいた方がよいと判断し《苦花》をピック。
この判断が大当たりで「白黒」パーツがどんどん溢れてきて無事席どり完了。あとは高得点カードを取りながら《減縮》と《天羅至の掌握》を集める作業的なピック。ドラフト中のミスは3パック目六手目で最終形のマナカーブと生物枚数のカウントが微妙に曖昧になってしまい、きちんと把握していればカットできた《減縮》を流してデッキに必要のない生物を保険ピックしてしまった点が挙げられます。
完成したデッキは以下のようなものでした。
7 《沼》 6 《平地》 1 《森》 2 《セレズニアの聖域》 1 《オルゾフの聖堂》 -土地(17)- 1 《病に倒れたルサルカ》 2 《セレズニアのギルド魔道士》 1 《血の座の吸血鬼》 1 《ミラディンの十字軍》 1 《安息無き亡霊》 1 《月明かりの徘徊者》 1 《吸血鬼ののけ者》 1 《藻のガリアル》 1 《議事会の密集軍》 1 《戦慄の徒食者》 -クリーチャー(11)- |
1 《骨の粉砕》 1 《急報》 1 《名も無き転置》 1 《印章の祝福》 3 《不気味な苦悩》 2 《幽体の行列》 1 《苦花》 1 《皮剥ぎの鞘》 1 《鎌切り》 -呪文(12)- |
「お帰り土地」が3枚なので土地16も若干検討したのですが、《セレズニアのギルド魔道士》2枚と《安息無き亡霊》のパンプマナを考えると終盤でもマナの使い道はあるので、《幽体の行列》2枚の3色デッキであることをケアしてこの形がベストと判断しました。その他迷った点は《皮剥ぎの鞘》と《ウラモグの破壊者》のどちらを採用するかですが、3マナ域が強烈なので早いゲームを想定した方が無駄にならないと判断して《皮剥ぎの鞘》を優先しました。
結果は初戦が黒緑青にダブルマリガンからの《影魔道士の浸透者》と《ディミーアのギルド魔道士》のアドバンテージ祭りで1本落とすも、7枚キープと6枚キープで無事取り返して1勝。
2戦目、赤青相手に3マナ域のレアリティが高いカードで押し続けて2勝。
3戦目はドメインコントロール。1本目を《ミラディンの十字軍》で取って、2本目《苦花》→《幽体の行列》の回りを、《大竜巻》→《熟考漂い》→《全ての太陽の夜明け》で回収、除去体制のある《ミラディンの十字軍》と《安息無き亡霊》は《睡眠発作》と完璧に裁かれてしまい負け。3本目は《使徒の祝福》と《ウラモグの破壊者》をサイドインして臨んだのですが、あまりそれは関係なく先手で気持ちよく回ってそのまま勝ちでした。
勝ちはしたものの、対戦相手が自分が切り捨てた「ドメイン」で完成度の高いデッキを組んでいて、やはり環境習熟度が足りていないのは自分も例外ではないなと思い知りました。
そしてついにプレイオフ進出をかけたセカンドドラフト。
戦略は変わりません。初手はめぼしいものが無いパックから《硬鎧の群れ》で「白緑」を希望。二手目は「白緑」パーツがないパックから《急送》をピックし、想定していた両天秤。三手目に《幽体の行列》が取れてどうやら白は固定して良いことが分かりました。
四手目は赤しか取るべきパーツがないパックからこの巡目に取るには少し不満な《補強》。その後も赤が空いている状態が続き、「親和」は《きらめく鷹の偶像》《錆びた秘宝》《宮廷のホムンクルス》などの基本パーツは全く出ず不穏な流れのまま1パック目が終わりますが、《ダークスティールの城塞》と《金属ガエル》だけは回ってきます。赤が空いているという以外全く上の状況が読めずどんなアーキタイプを上がやっているのかが想像がつかないまま2パック目へ。
分岐点は二手目でした。
《オルゾヴァの幽霊議員》と《幽体の行列》が回ってきて、ここまで勝てるパーツが《幽体の行列》だけの状態なので1枚で勝てるカードである《オルゾヴァの幽霊議員》はかなり魅力的な選択肢に映りました。損切をするのならギリギリのタイミングですが、1パック目終盤に流れてきた《ダークスティールの城塞》を信じて2枚目の《幽体の行列》で「親和」路線を維持。
結果的にこれが上手くいってその後は無事「親和」ができる流れに乗れました。最終的に1パック目に実ではなく、《ダークスティールの城塞》や《金属ガエル》などの仕込みカードばかり出ていたのが怪我の功名となり、出来上がったのは以下のような極端に「親和」に寄った完成度の高い白単ビート。
13 《平地》 3 《ダークスティールの城塞》 -土地(16)- 4 《宮廷のホムンクルス》 4 《金属ガエル》 1 《太陽の槍のシカール》 1 《ミラディンの十字軍》 1 《マイアの処罰者》 -クリーチャー(11)- |
2 《急送》 2 《補強》 2 《幽体の行列》 1 《銅の甲殻》 2 《きらめく鷹の偶像》 1 《帆凧》 2 《鎌切り》 1 《錆びた秘宝》 -呪文(13)- |
単色である上に40枚デッキで基本パーツが4枚ずつ取れているのでデッキの動きとしてはかなり安定し、6枚以上で始められたゲームは全て危なげなく取ることができました。
【観戦記事】第14回戦:岡田 渉(東京) vs. 金 民守(神奈川)
サイドボードプランとしては2本目以降、相手が茶破壊を大量にサイドインしてきてスピードで押し込むプランが難しくなった場合のため、《黄昏の守護者、秘加理》と《使徒の祝福》をピックしてありますが、2回ともメインボードのまま押し切ることができ、無事トップ8を確定させることができました。
5.GP二日目 ~決勝ドラフト~
そして迎えたベスト8ドラフト。
席はモリカツ(森 勝洋)と隣りでした。環境の二強が「白緑」と「親和」であるという基礎理解は共有している状態だったので上手く二人でその二つをシェアできれば決勝対決が望めるな、などと考えながら開封したファーストパック。レアは「黒緑」のボムである《練達の育種師、エンドレク・サール》。「親和」パーツも「白緑」パーツも同居していないため、選択肢もなくこのレアをピック。
そして迎えた二手目。選択肢は《希望の盗人》と《呪文滑り》でした。初手を活かす「黒緑」路線ならばもちろん《希望の盗人》で、二強のアーキタイプに寄せるならば《呪文滑り》と、今日のファーストドラフトを彷彿とさせるシチュエーション。もちろん今回も初手よりも上のシグナルを優先して《呪文滑り》をピックしました。
そして報われる三手目、なんと《頭蓋囲い》が流れてきました。目論見通り「白緑」と「親和」で住み分け完了です。
そのまま流れに乗って快調に「親和」パーツを集める…予定だったのですが、途中で何か流れが悪くなります。後から分かったのですが上家は確かに「白緑」ではあるものの、途中から「白緑」の出の悪さと「親和」の空き具合を見て「白緑」と「親和」をハイブリッドした形に舵を切った様子です。ここら辺は下家の辛いところですね。
結果的に上方向に「白青親和」、「赤単」、「白緑親和」、「白青親和」(自分)という3/4の「親和」密集地帯の最下手になってしまい辛い状況ではありましたが、2パック目で大きくパーツを補充できたこともあって、セカンドドラフトのような圧倒的クオリティではないものの及第点の白青金属術デッキができました。
デッキリストはこちらです。
7 《平地》 6 《島》 1 《アゾリウスの大法官庁》 2 《ダークスティールの城塞》 -土地(16)- 1 《宮廷のホムンクルス》 1 《突風掬い》 1 《マイア鍛冶》 1 《呪文滑り》 1 《陰極器》 1 《フェアリーの機械論者》 2 《厳粛な空護り》 1 《マイアの処罰者》 -クリーチャー(9)- |
1 《蒸気の絡みつき》 1 《使徒の祝福》 2 《物読み》 1 《拘引》 3 《皮剥ぎの鞘》 2 《きらめく鷹の偶像》 1 《頭蓋囲い》 1 《帆凧》 2 《鎌切り》 1 《錆びた秘宝》 -呪文(15)- |
準々決勝の観戦記事はこちらをどうぞ。
【観戦記事】準々決勝:砂田 翔吾(神奈川) vs. 金 民守(神奈川)
残念ながら一没、トップ8でフィニッシュとなりました。
【準々決勝の観戦記事】を補足すると、やはり一番重要だったのはマリガン判断です。
1本目は《錆びた秘宝》・《頭蓋囲い》・《使徒の祝福》・《平地》×3・《ダークスティールの城塞》というハンド。デッキの最も強いカード2枚があるもののこのままだと3ターン目に空白のターンができてしまうハンドです。
この時の自分の思考としては「受け入れは15枚あるのだから後手で3回ドローがあることを考えると、1-(15/32の3乗)で概算で87.5%でアベレージ以上の回りができる」「序盤に特化したデッキではないため4マナまで安定して供給されるマナが無駄ではない」という2点でキープしました。結果はドローが《物読み》・《フェアリーの機械論者》・土地と見事に12.5%を引き当てて何もできずに死亡。
2本目は《鎌切り》・《拘引》・《平地》×3・《島》・《ダークスティールの城塞》というマナ過多なハンド。
これをキープしたのですが、これは完全にミスですね。甘えていたというか、疲れもあって朦朧としていたのかキープを宣言した瞬間に後悔し、その後は生物を1枚も引かずに5ターン目に9枚の土地を公開して投了という結果。情けないことに自分のキープ宣言に自分で動揺してしまい、プレイも雑になって、カバレージを取ってくれていた平林(和哉)に申し訳ない気持ちでした。
しかしこのトーナメント最大の反省点はこのマリガンミスよりも、ベスト8を確定させたIDにありました。
自分は予選最終ラウンドのスタンディングで1敗の中ではオポ(オポネント・ウィン・マッチパーセンテージ)が最も低く、そして環境最強のアーキタイプを稀にみる完成度でドラフトできているのです。後から渡辺君をはじめ色々な人から「あれはやらなきゃだめだよ」とアドバイスを受けて、その時は卓に《ハーキルの召還術》が2枚出ていることを言い訳にIDを肯定しましたが、やはり優勝を狙うならIDをせずにガチる(試合をする)のは割のいい賭けだったと思います。
勿論準々決勝のマリガンミスは大きなミスではありますが、ああいった類のイージーミスはあまり気に病んでもそれ以上得るものがないので、拘泥するだけ損です。
それに対してこういうIDミスの方は悔やむことで反省が今後の行動に反映できる類のミスなので、ある意味悔やみ得です。
ちなみに9位だったフジケンさん(藤田 憲一)はここで自分がIDを蹴っていると、対戦結果いかんによらず順位が繰り上がってトップ8に入っていたので、この場を借りてフジケンさんにも謝っておきますね(苦笑)
6.総括
という訳で、色々と反省も多かったですが、とはいえトータルでは勿論トップ8入りができたのはうれしい限りですし、ドラフトに関しては自分の与えられた中で最適解を出し続けた自信があるので、反省点については「伸びしろ」として前向きに捉えたい思います。
それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させていただきました。
『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』
http://mtg-jp.com/
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