グランプリ直前、MOでもリリースイベントが連日盛況している「ギルド門侵犯/Gatecrash(GTC)」だが、率直に言ってこの環境はかなり面白い。
各ギルドがシナジーを前面に押し出しており、環境がプレイヤーにデッキのトータルデザイン力を問うてくるのが分かる。
このリミテッドジャンキー垂涎の優良セット「ギルド門侵犯」環境がどのようになっているか、まずはおおまかな特徴からピックアップして行こう。
・除去が弱い
・生物が強い
・攻撃時にしか誘発しない、起動しないキーワード能力
大隊や暗号など除去を強くすると機能しないキーワード能力があるせいか、除去の質、量ともに前環境に比べると押さえられていることが分かる。
そしてその反面、生物の質は明らかに向上しており、これによってデッキ内のスペルと生物の比率が明らかに他の環境と事情が異なってくる。
特に他の環境では成功デッキに求められる最低限の除去の枚数というものがあるが、現環境のボロスなどにおいては極端な話生物19体とコンバットトリック4枚などで充分に3勝を狙える構成になっており、その点だけ見ても環境がプレイヤーたちに旧来のリミテッドの構築セオリーを刷新することを求めているのが分かる。
次に各ギルドの特徴をまとめてみよう。
・オルゾフ
タフネスの高い生物で戦線を膠着させた後に飛行と強請で詰めていくのがオルゾフの主な勝ち筋だ。
立ち回りとしてはコントロール的な部類になるが、理想のマナカーブが通常のコントロールよりもだいぶ前寄りになるところが特徴。
最強色である白と除去色であり比較的安く集まる黒のコンビネーションはカードパワー的にも申し分なく特にレアの布陣は強力の一言。
・ボロス
堂々たる環境最強色。コモンだけで4キルが可能なリミテッドにあるまじき速度がボロスの魅力だ。
強さの核は3/2に代表される2マナ域の布陣であり、その高性能2マナ生物群によって組織された大隊の強さである。
最速3ターン目に実現する大隊のアタックが一撃でライフの半分を持っていくことはザラであり、ボロスをドラフトするときはそれを目指してデッキを先鋭化させていくことになる。
ボロスが環境最強になったのには外的要因もある。この環境は前回から引き続き完全にギルドに支配されており、ギルドでないカラーコンビネーションは存在が許されないと言っていい。このため軽量除去を有する赤と黒の組み合わせでデッキを作ることができず、大隊というシステムの天敵であるはずの赤黒青の除去コントロールなどが環境に存在しないのだ。コントロールは唯一オルゾフになり、それも盤面の掌握をタッパーやヒーラーなどではなくシンプルに生物のタフネスの高さに任せることになるので、安いコンバットトリックで脇を固められるボロスがそれに対抗するのは難しくない。さらに言うとレアまで見渡しても最強カードのその多くがボロスに属しており、まさにいたれりつくせりといった感じだ。
そんなボロスも弱点が無いわけではない。ボロス最大の敵はマナトラブルだ。
速度が命な戦略を取りながらボロスの序盤の生物は色拘束がかなりきつい。
リミテッドの理想的なカラーバランスは、一般的に二色だとされるが、ただ二色ならいいというものではない。
具体的には、序盤は主色の単色カードで十分場を構築でき、4マナ以上の生物とスペルを二色目に分担するといった構成の土地配分10:7の二色デッキが理想なのである。
その点ボロスは宿命的に均等二色になりやすく、その上後半から巻き返すようなデッキになりづらいという宿命を背負っている。ボロスをピックするときはマナカーブと同じくらいカラーバランスと門の確保に注意を払おう。
・グルール
デカイ。ただひたすらにデカイ。
しかし悲しいかなそのサイズを活かすには環境が早すぎる。
湧血がブロック時に使えないためどうしても速度で勝る相手にはそのまま押し切られてしまいがちだ。
反対にオルゾフのようにゆっくりとしたデッキ相手にはそのサイズ面での有利を遺憾なく発揮できる。
・シミック
生物同士のぶつかり合いがメインのGTC環境においてサイズと飛行を兼ね備えたシミックは決して無視できる存在ではない。
軽い生物は小さいという常識を覆す進化生物の力強さは青緑という色の宿命である除去の無さを十分カバーできるように設計されている。
そんなシミックをドラフトする上で最も気をつける点はマナカーブである。
軽ければ軽いほど強いといった風潮のボロスと違いシミックのマナカーブはより繊細だ。
軽いところで準備しつつそれらを進化させる中盤もきちんと引けるように組まなくてはいけない。
・ディミーア
軸をずらすことにかけては最優秀だが速度とサイズの両面で他のギルドに劣っているのでその点をレアとアンコモンで補えるかどうかが死活問題になってくる。
今回の環境では負け組み筆頭代表。しかしその分空いているのもたしかなので、オルゾフで上と被っていた場合の逃げ道としては便利だ。
次に具体的なカードの評価に移ろう。
今回は色ごとでなくギルドごとに、そして「上位●●位」というくくりでなく、デッキに入る価値のあるコモンは全て評価するというスタンスで各ギルドを見ていきたいと思う。
▲オルゾフ コモンランキング
1位《忌まわしい光景》
そこまでテンポで押し切るアーキタイプでないため相手の重量級に対抗できる万能除去が最優先。
重さが若干気になるがインスタントで動ける点はやはり強い。
2位《重要人物のペット》
まぎれもなく強請メンバーのエース。
オルゾフが基本的にコントロールであるとはいえ、強請だけで削りきるのはあまりに悠長なので、勝つためには強請で細かく削るのと同時進行で軸をずらして殴れる体制をつくる事が重要。このカードはその両方を一度に解決する超優良カードだ。
3位《徴税理事》
攻める上では《聖堂の金切り声上げ》の方が優秀だが《ウォジェクの矛槍兵》の返しで相打ちを取れるサイズであることを評価してこちらを3位に。
4位《聖堂の金切り声上げ》
強請が重複して強さが増す効果であるという事。起動に追加のマナを要求するシステムであるという事。この2点から2マナ以下の強請持ちは従来のコントロールデッキでの2マナ生物と比較にならない程の重要度を持つ。あればあるだけ投入していい。
《徴税理事》がボロスでも十分に強さを発揮するため確保が難しくなるので、オルゾフはこのコウモリが美味しく回ってくるかどうかで位置取りが成功したかどうかを確認することになる。
5位《天使の布告》
こちらも万能除去ではあるが、《忌まわしい光景》と比べ1マナの増加と湧血を対処できるかどうかの差はあまりにも大きい。
デッキが重いときなど、マナカーブ次第で軽い壁の《聖堂の護衛》と逆転することもあるだろうが、まぁレアケースだ。
6位《肉貪り》
殺す生物をこちらが指定できない不自由さはあるがそれでもこの軽さは魅力だ。
特に対ボロスでは如何に大隊を阻止するかというのが攻防の焦点になってくるので2マナのカードとしては十二分の働きをする。
同率7位《処刑人の一振り》
《肉貪り》と比べてディミーアと取り合うことが無いのでそれほど優先度を上げなくても確保できる。
あまり何枚も集まりすぎてもうれしくないカードなので2枚目からはさらに下方修正を加えていい。
同率7位《オルゾフのギルド門》
すでに位置取りが済んだ感触があるのなら同率の《処刑人の一振り》よりも優先していい。
オルゾフは他のギルドに比べてそれほど門が重要ではないが、それでもやはりあればあるだけうれしいパーツだ。
オルゾフは有力なアーキタイプだ。恵まれたアーキタイプでデッキのポテンシャルの最大値を高めることはそんなに難しくない。
むしろ真に腕が問われるのはどれだけデッキ性能のボトムアップができるかである。
逆に言うと位置取りに失敗した上でもう引き返せないような場合では実を流して門を取るような贅沢は諦めざるを得ない。
そういう時はとりあえず出来る限りデッキのポテンシャルを上げておいて、後は上ブレに期待するという腹のくくり方も時に必要になってくる。
9位《欄干のスパイ》
オルゾフでは《突撃するグリフィン》よりもこちらを優先していい。
オルゾフは強請というシステムの関係上、4ターン目にキャストするカードが4マナより安いカードでもマナを無駄にするということが無いので、序盤の強請持ちを厚く取れているのであれば中堅どころの需要は通常よりも下がる。
とはいえオルゾフをやっていてこのカードが入らないということはまずないだろう。
10位《突撃するグリフィン》
取れたらデッキに入ることはほぼ間違いないし、十分な働きもしてくれるがここまで優先度を下げるとその前にボロスに取られて終わるのでオルゾフで《突撃するグリフィン》が活躍するのは稀だ。
11位《聖堂の護衛》
強さや重要度で言えば《肉貪り》と同等かそれ以上のカードだが優先度としてはこの程度。
《徴税理事》《聖堂の金切り声上げ》と違って住み分けさえきちんと出来ていればこの1/4は頑張って確保するのではなく、黙っていても回ってくるカードだ。堅くデッキをまとめるならばもっと優先度を上げてもいいが、3勝を狙うならある程度図々しく構えることも必要になってくる。
同率12位《死教団のならず者》
ダブルシンボルが気になりはするものの軸のずれた2点クロックは無視できない。
同率12位《強打》
苦手なグルールとの相性差を覆すのに最適。違和感なく構えられるコストなので、できるだけ湧血を誘う形でブロックして2対1を取ろう。
こちらもボロスでは無視されがちなカードなので中盤以降に確保する程度に思っていい。
同率14位《排水路潜み》
環境的にもアーキタイプ的にも2マナ2/2バニラは十分成功デッキの1/40を割く価値がある。
同率14位《航行隊の猛士》
ナイスサイズ。枚数はいらないが下を止める要員として1枚あると心強い。
レアやアンコモンで5マナ以上のサイズのあるカードが一定以上確保できていたり、既に《強打》や《聖堂の護衛》などが厚く取れている時は《組織の処罰者》を優先していい。
しかし強いデッキが組めたときはどちらもベンチ要員になりがちなので隣に他色の優良カードがあればそちらをカットしてしまってもいいだろう。
同率14位《天駆ける進撃》
オルゾフは素のパワーが低い上に他に構えるカードがたくさんあるのであまり欲しいカードではないが、飛行を落とす分には及第点の仕事をするので20~23枚目の穴を埋めるパーツとしては数えてあげていいだろう。
17位《ザリーチ虎》
長期戦を想定するオルゾフにおいてはこの虎の能力はバカにできない。
黙ってても回ってくるはずなので優先度を上げる必要はないがドラフト中「虎があれば万全なのにな」と思うタイミングはままあり、デッキのレア率が高い場合特にその傾向が強まる。
18位《従順なスラル》
次々に豚を投げつけてくるグルール相手のサイドボードとしてかなりいやらしい働きをしてくれる。
特に意識しなくてもサイドボードに1枚くらいいるはずなのでサイドボーディングの際に思い出してあげよう。
▲ボロス コモンランキング
1位《強盗》
ボロスが先手でパワー3の2マナ生物を出して返しのブロッカーを1マナで除去しながらさらに2マナ生物を追加したら、もうそのゲームは7割がた終っていると考えていい。
2位《空騎士の軍団兵》
大隊の成立が1ターン早まることの勝利貢献度は並々ならぬものがある。
さらにそれが継続的なダメージソースとして機能するなら驚異的な強さと言っていいだろう。
3位《徴税理事》
2マナ生物でどれを優先するかは微妙な選択だが微差で《徴税理事》が他二枚に勝るだろう。
シングルシンボルであることとピック序盤ではオルゾフと両天秤にかけられる点が優秀だ。
素のパワーの差は強請の能力で補っていると言える。
同率4位《果敢なスカイジェク》
3ターン目にこいつが飛び始めたら勝利は目前だ。兎に角マナカーブを前に前に寄せる構成を心がけよう。
同率4位《ウォジェクの矛槍兵》
大隊が成立する以前でも普通に強く大隊が成立してしまえば手が付けられない程に強い。
マナ拘束だけが問題になってくるので《ウォジェクの矛槍兵》が複数枚ある場合は門の優先を上げて行こう。
6位《戦心の歩兵》
大隊成立時の《聖堂の護衛》を乗り越えるサイズはかなり魅力。
7位《ボロスのギルド門》
門の価値が最も高いギルドは間違いなくボロスだ。
ボロスの最大の敵はオルゾフでもシミックでもなく上家の色変えと自身のマナトラブルなのだ。
アンコモンまで含めると2ターン目に赤白を要求してくるカードは3種ありそのどれもが均等二色を肯定するだけのカードパワーを持っている。2ターン目にそれらを安定して展開できるようにするためには重めの万能除去よりも土地を優先することは全くもって理にかなっている。構成次第では《戦心の歩兵》より優先してピックするときも珍しくないだろう。
8位《突撃するグリフィン》
性能としては文句無いのだがボロスをやるなら4マナが太るようなマナカーブは絶対に避けなくてはいけないので、マナカーブデザインを優先して下方修正されることは珍しくない。逆にデッキが弱い場合は門よりも優先していい。
同率9位《皮印のゴブリン》
単純なコンバットトリックとしての性能では《軍部の栄光》《天駆ける進撃》の2枚に劣るが、2ターン目に何も出来ないという最悪の事態を回避する保険にもなる点を大きく評価してこの位置に。
同率9位《天使の布告》
ボロスはマナカーブだけ見ると土地16枚で十分にも思えるが、土地の総量でなく平地と山の必要枚数を考えると結局17枚欲しいので5マナの除去でも1枚目なら採用に躊躇は無い。
11位《宮廷通りの住人》
《サンホームのギルド魔道士》が取れた場合は6位タイまで上方修正しよう。
《軍勢の集結》と噛み合ったときは圧巻の一言。
同率12位《大規模な奇襲》
3マナ火力ではあるが実質的に打てるターンは《天使の布告》よりも後になる。
本体に飛ぶのは重要だが過大評価は禁物だ。
同率12位《向こう見ずな技術》
ミスターイージーウィン。《装甲輸送機》につけると相手がいい顔すること間違いなし。
これ系のゲームすることを放棄して勝ちに行くカードは個人的に大嫌いなのだが、有効であることは間違いない。
MOでドラフトをやっていていつの間にか上下と被っていたことに気づいたときや、ふいに英語圏のウィットに富んだ罵声が聞きたくなったりしたらこの2枚の組み合わせで勝ちに行こう。
同率12位《軍部の栄光》
カットやタッチされる心配の無いカードなので強さの割に優先度は低い。
《果敢なスカイジェク》のタフネスを上げつつ付き添いの《くすぶり獣》のパワーが6になるさまを見ていると、思わずこのカードが回ってきた巡目を思い出してボロス以外のギルドが可哀そうに感じたりする。
15位《反逆の行動》
どの環境にもあるようないたって普通のカードなはずだが、ボロスの速度と組み合わさるとこれがどうしようもないエンドカードになる。
しかし枚数はいらないので2パック目まではそんなに早く取らないでもいい。
3パック目でまだ確保できていないようだったら9位まで上方修正を加える。
16位《天駆ける進撃》
ボロスはコンバットトリックに困らないのでドラフト中盤以降の暇なときに拾うくらいの気持ちで問題ない。
同率17位《爆弾部隊》
軽視されがちだが安定して大隊が成立するデッキに組み込まれる前提で評価すれば十分使用に耐える性能だ。
同率17位《騎士の見張り》
5マナ圏の選択はサイズと頭数のどちらを選ぶかが問題になってくる。
大隊の成立に絶対の自信がない場合や《宮廷通りの住人》《正義の突撃》などのシナジーがある場合はこちらを優先していい。
同率17位《航行隊の猛士》
《騎士の見張り》との比較は上記の選択基準に照らし合わせて決めよう。
同率17位《くすぶり獣》
ボロスでは使いにくい《闘技》の投入を肯定してくれるパーツでもある。
ただし働きにムラがあるカードなので過信は禁物。
同率21位《装甲輸送機》
強いカードではないが大隊の成立に寄与するという点では合格点。
《向こう見ずな技術》と組み合わせてゲームを台無しにしよう。
同率21位《焦土歩き》
場に出すよりも湧血で使うことがメインになる。それもコンバットトリックというよりは本体火力的に使うのがいいだろう。
良いカードでもないが入ってて不思議なカードではない。
同率23位《鋳造所通りの住人》
デッキの完成度が高ければ高いほどこの1マナの生物をデッキに投入することが肯定される。
逆に言うと中途半端なデッキで使うには少々パワー不足だ。
同率23位《そびえ立つ雷拳》
5マナ圏の選択肢としては最も劣るがそれでも実用レベルではある。
《闘技》がデッキに入る場合などは投入を検討していい。
同率23位《千年王国のガーゴイル》
兎に角ボロスは大隊を成立させることが正義。そのためには多少カードパワーが足りない生物でも脇を埋める要員として数えあげていい。
▲グルール コモンランキング
1位《強盗》
ブロッカーを退かすというよりは序盤をやり過ごすためのカード。
無事に中盤を迎えるために出し惜しみせず除去していこう。
同率2位《キヅタ小径の住人》
緑系のエースはこのカードで決まりだろう。
カウンターが乗っている生物に効果を付与するアンコモンと合せて場を掌握しよう。
同率2位《両生鰐》
攻めのエースが《キヅタ小径の住人》なら守りのエースは《両生鰐》だ。
1回進化すれば《ウォジェクの矛槍兵》が止まるサイズになるしグルールならばそれ以上の成長も難しくない。
同率4位《旧き道の信奉者》
グルールの2マナ圏のエースで《向こう見ずな技術》と組み合わせるととても強力。
《装甲輸送機》と違って単体でも強いので安心してピックできる。
同率4位《殺戮角》
このカードの存在価値は《皮印のゴブリン》以上に湧血に寄っている。
なので3マナを埋める役目は是が非でも《両生鰐》に任せたい。
同率6位《ザル=ターの豚》
グルールを象徴するとても優秀なカードだが、このカードを早い順目に確保しなきゃいけないような位置でグルールをやるべきじゃない。
同率6位《皮印のゴブリン》
ボロスのそれと比べて何倍も2ターン目にキャストする機会が多いだろう。
グルールは速度で相手を上回る必要は無いのだが、速度で相手についていくのはとても重要だ。
8位《瘡蓋族の突撃者》
最も効果的に運用できるのはシミックなのだが《両生鰐》の返しできちんと進化をトリガーできる点はとても重要なのでグルールでも存在価値は十分ある。
9位《緑側の見張り》
門の数が3以上だった場合4位タイまで優先が跳ね上がる。
相乗的にその後の門の価値もまた上がることは言わずもがな。
同率10位《闘技》
ボロスでは有効に使うためのハードルが高いし、グルールでも効果的に機能するのは平均して5ターン目だ。
除去だからと言って焦って取る必要は無い。
同率10位《グルールのギルド門》
《緑側の見張り》とセットで価値が乱高下する。
この位置は1パック目でまだ《緑側の見張り》が取れていない状態の1枚目の門としての評価。
12位《向こう見ずな技術》
競合が多いボロスではこういうカードで無理やり勝つことも重要だが、グルールをやっているならもっと安定して働くカードが選り取りみどりなはずだろうし、そうでなくてはいけない。
13位《破滅のワーム》
6マナと重くはあるがちゃんと強い。速度で負けなければこいつで轢き殺せる。それでも優先度は最低だ。
▲シミック コモンランキング
1位《ドレイク翼の混成体》
ただただ強い。何か説明がいるだろうか?
2位《雲ヒレの猛禽》
1ターン目に出る飛行生物がその後4ターンで10点を稼ぐ。これがシミックの強さの根幹だ。
《エリマキ眼魔》とは微差だがソート的に遠いのか競合した記憶が無いのでここの優先順はあまり気にしなくてもいいだろう。
3位《エリマキ眼魔》
実質的には青緑のカードである。圧倒的サイズで序盤から後半まで常に活躍する万能キャラ。
4位《キヅタ小径の住人》
グルールには無いオプションとして《シュラバザメ》とのシナジーがある。
シミックは3マナの選択肢が豊富な反面4マナ圏はダントツで《キヅタ小径の住人》がトップなので、《両生鰐》とは明確にこちらを優先して取っていい。
5位《両生鰐》
シミックはグルールに比べてダメージレースを先攻しやすいのと序盤のガッチリ要員は《エリマキ眼魔》が担ってくれるという理由で《キヅタ小径の住人》よりも優先を1段下げて取る。
同率6位《シミックのギルド門》
シミックはボロスほど均等ではないにしろ、テンポのつまづきはボロス以上に許されない側面があるので、やはり門の価値は高くなる。
また、他のギルドに比べて3色目をタッチする戦略が有効なのもあるのでその意味でもマナベースを補強する価値は高い。
同率6位《殺戮角》
《ドレイク翼の混成体》に湧血するときはかなりテンションが上がる。
1ターン目に《雲ヒレの猛禽》を出せていれば、3ターン目に着地させる価値もある。
8位《シュラバザメ》
進化生物でありながら一番輝くのは2ターン目に出て進化を繰り返すパターンよりも、中盤に《キヅタ小径の住人》と組み合わせたときになる。シミックの2ターン目は兎に角《雲ヒレの猛禽》の進化をトリガーすることが重要で、その点では《シュラバザメ》でなくとも代用の利くカードは無数にあるのだ。
9位《瘡蓋族の突撃者》
進化した《両生鰐》を《ドレイク翼の混成体》が乗り越えるためにはこのカードの力が必要になる。
《殺戮角》と比べて遅めに取れるナイスカードとして脇を固めるのに丁度いい。
同率10位《グルールのギルド門》
シミックがタッチしたい色の筆頭代表は赤だ。グルールの不人気を計算に入れると《ゴーア族の暴行者》《地上の突撃》などの優秀なアンコモンが回ってくることはそれほど珍しくない。その受け入れを作るためにも他色の門ではあるが意識して確保するようにしよう。
同率10位《道迷い》
現状、MOではかなり過小評価されている感があるカード。
5マナのバウンスは確かに重いがそれでも《聖なるマントル》に対処する手段はデッキ内にある程度確保したいし、そういったアンチカード的な役割を抜きにしたとしても、ディミーアと違ってただずれてるだけでなく打点が高いシミックは、バウンスが多くの場合恒久的な除去と同じような効果を発揮するのだ。
12位《束縛の手》
ディミーアでは《道迷い》よりも断然こちらが優先されるがシミックでは微差で《道迷い》を優先した方がいいだろう。
同率13位《旧き道の信奉者》
たとえバニラであっても2マナ域は大事。
同率13位《大都市のスプライト》
2ターン目に《雲ヒレの猛禽》を進化させる要員はある程度厚く取りたいし《キヅタ小径の住人》でサイズが一つ上がるととたんに打点が跳ね上がるのでシミックでもある程度需要がある。
同率15位《順応する跳ね顎》
MOで過大評価されている感がある。トランプルや飛行が付かない限りあまり入れたくない。
同率15位《力線の幻影》
黙っていても回ってくるのでそう意識してピックする必要は無いが、本来デメリットである出しなおしが進化と噛みあうのでそこまで悪いカードではない。
17位《呪文裂き》
黙っていても回ってくるが入れればちゃんと機能する系のカードパート2。
▲ディミーア
ここまで各ギルドのデッキに入れる価値のあるコモンを相対的に評価してきたが、最後のディミーアに関してはこのフォーマットを崩したいと思う。
はっきり言おう。コモンのディミーア専用カードで「これがあるならディミーアにいってもいいかな」と思えるカードは皆無だ。
ディミーアで使えるカードをランキングすると上からズラーっとオルゾフの黒のカードが羅列されていくことになる。
なのでディミーア内でコモンの評価を相対化する意味が極めて薄い。ディミーア専用のカードはどれも必要以上に回ってくるのだからそれほど細かいことを考える必要はない。重要なのはオルゾフと競合する黒のタダツヨ系カードの優先順位で、それらはオルゾフの優先順位に沿ってピックするのでかまわない。
そもそも黒をやるならまずオルゾフを見るべきだ。青のカードも一応シミックの優先順位に沿ってピックすることになるのだが、上位にいる青単色のカードが《雲ヒレの猛禽》だけなので、まぁ話にならないと言える。
なのでそのような実用度0のランキングを事務的に並べるのは止めて、ここからはレアリティをコモンに限定せずに全レアリティからディミーアのカードを、
「初手でディミーアに行こうと思うカード」
「オルゾフorシミック狙いで進んでいて、上と被っていたときにディミーアに行くきっかけになるカード」
「他のギルドで使うよりもディミーアで有効に機能するカード」
の3種に分類して評価したいと思う。
●「初手でディミーアに行こうと思うカード」
△《夜帷の死霊》
強い。ただただ強い。オルゾフにトリプルシンボル扱いで投入されても全くおかしくないほどの性能。
単純性能で1-1でこのカードよりも優先するアンコモン以下のカードは存在しない。
しかしギルドの弱さを差し引いて考えると事情は異なる。これはかなり評価を共有し難い問題なのであくまで参考程度にして欲しいのだが、個人的には《夜帷の死霊》より必ず優先して取るアンコモン以下のカードは《サンホームのギルド魔道士》《真火の聖騎士》くらいだろうか。
各ギルドのコモンのトップカードである《忌まわしい光景》《重要人物のペット》《強盗》《ドレイク翼の混成体》はトータルで考えて価値がほぼ拮抗している。
△《破壊的な逸脱者》
ディミーアの最大の弱点はその打点の低さだ。このカードはそこを見事に補っている。ディミーアの数少ない主役を張れるカード。
《夜帷の死霊》と扱い的には同じでいいが、《夜帷の死霊》がまだオルゾフへの渡りを僅かに残しているのに対しこちらは完全にディミーアでないと使えない分、覚悟がいる。
とりあえず取ってみて、上がオルゾフで黒が被っているようだったら、美味しくないのですぐに色変えするくらいの気持ちでいいだろう。
△《ダスクマントルの予見者》
ゲーム展開次第で相手に有利に働く可能性もあることから過小評価されがちだが4マナ4/4飛行は暴力的な強さだ。
これが取れた場合はまったりするのでなく序盤からちゃんと攻められる構成で組むように心がけよう。先攻して殴れていれば相手にカードを与える能力も気にならないはずだ。
アンコモン以下のカードと比較したときは基本的にこちらを優先していいが、《千叩き》と一緒に出た場合は直接対決時にあまりにもクリティカルなのでその限りではない。
●「オルゾフorシミック狙いで進んでいて、上と被っていたときにディミーアに行くきっかけになるカード」
少し条件が抽象的で分かり難いかもしれないので具体例を挙げると、オルゾフからシフトする場合は1~3手目まで《忌まわしい光景》《聖堂の金切り声上げ》《聖堂の金切り声上げ》と取って4手目で《排水路潜み》と比較したときに優先されるカードと思って欲しい。
シミックからいく場合は《氾濫の始源体》《心見のドレイク》《雲ヒレの猛禽》と取った上での《大都市のスプライト》と比較して優先されるカードだ。
△《破滅小径の仲介人》
対オルゾフの消耗戦においてはこれ1枚で勝てるだけの性能がある。
タッチで使ってももちろん強いがやはり早く出ればそれだけ強さが増すカードなのでこれをきっかけにメインカラーを青黒にするのはアリだ。
△《ディンローヴァの恐怖》
《破壊的な逸脱者》と同じく足りない打点を補う素晴らしいカード。
6マナでありマナ拘束も薄いので思い切ってディミーアに舵を切るというよりはオルゾフの3色目にタッチする候補としてカウントするのがいいだろう。
シミックにタッチする必要は殆ど無いが《ディミーアのギルド門》がたまたま複数枚取れていてデッキの強さに疑問がある場合はタッチしてもいい。
△《夜翼の呼び声》
直接場に影響を及ぼす暗号は強い。3ターン目《死教団のならず者》からこのカードに繋げる流れはディミーアの数少ない勝ちパターンだ。
4手目以降にこのカードが回ってくるようであればディミーアに行く価値はある。
△《魂の代償》
このカードは自分が2ドローして相手が2ディスカードするという優秀なハンドアドバンテージカードであるが、決してコンマジ(《支配魔法》)系のスペルではないのでタッチしてまで使う必要はない。
上位の3枚に比べるとこのカードにディミーアに行くことを決定付けるほどの価値があるかは微妙だが、想定されるような状況で回ってきた場合はその場はとりあえず確保しておいて、その後の展開に任せることをおすすめする。
●「他のギルドで使うよりもディミーアで有効に機能するカード」
△《死教団のならず者》
オルゾフでは気になるダブルシンボルだがディミーアではこれ以上ない親切設計だ。
暗号をトリガーする上でも重要な役割を担い《肉貪り》とどちらを取るかは微妙な問題になってくる。
流れて来やすさを考慮すると《肉貪り》を優先するべきだがマナカーブや暗号への依存度を考慮してその時々で微調整を図るべき。
△《地底街の疫病》
《夜翼の呼び声》のところでも言ったが場に直接影響を及ぼす暗号は強い。
そういう意味では同系統に《身分詐称》もあるのだが、こちらは複数回起動しなくても十二分に強すぎるため、特にディミーアに移行する理由にならない。それに比べると《地底街の疫病》ははっきりとオルゾフとディミーアで強さが三段階は違ってくるので注意が必要だ。
オルゾフの場合はほぼ無視していいがディミーアをやっている場合は《聖堂の金切り声上げ》と同等かそれ以上に評価していい。
△《欄干のスパイ》
ディミーアは《死の接近》の関係で墓地を増やすカードの需要がオルゾフに比べて高まる。
《地底街の密告人》《賢者街の住人》も同様にディミーアで価値が急上昇するカードだが、《欄干のスパイ》と違って取り合いになることがないのであまり気にしなくていい。
《死の接近》との直接比較では《欄干のスパイ》を優先する。
△《死の接近》
実質的にディミーア専用除去だ。
あまり固め取っても機能不全を起こす危険があるので余程削るカードばかり入っていないのだったらデッキに入れるのは2枚程度でいい。
△《第6管区のワイト》
6枚以上デッキを削るカードが入っているなら中盤以降活躍が見込める。
△《影切り》
鋭角に対戦相手が死ぬ。
十分に軸がずれているという前提の上でだが、ディミーアには必ず1枚欲しいカード。
このカードに限らずディミーア専用カードは基本的に黙っていても回ってくるので優先順位を気にしなくていい。
△《束縛の手》
シミックでも十分強いがディミーアの場合は強請がトリガーできるのでさらに強い。
複数枚入れる必要は無いが1枚は必ず欲しい。《影切り》と違って競合する可能性が高いので、2パック目ならば《雲ヒレの猛禽》より優先して取っていい。
△《鍵達人のならず者》
使いづらさはすさまじいが暗号勝ちする上で1枚は欲しいパーツ。
△《死体の道塞ぎ》
オルゾフでお呼びが掛かることはかなり稀だがディミーアでは3マナ圏の主要メンバーとしてカウントできる。
ディミーアで《雲ヒレの猛禽》の3回目の進化をトリガーできる数少ないカードだ。
△《暴動用具》
《大都市のスプライト》に装備すると一気に5点までパンプできるようになるので1枚欲しい。
そこまで無理に取りに行く必要はない。
以上、駆け足だが環境の基礎理解には十分だと思う。
この記事を読んでくれたあなたと「GP横浜2013」で対戦することを心から楽しみにしている。
よいリミテッドライフを。