行弘賢と学ぶドラフトセオリー vol.9 ~攻撃でゲームの主導権を握ろう~

行弘 賢



 皆さんこんにちは!先日行われた【グランプリ・千葉2015】に参加された方はお疲れ様でした。僕はというと、【不甲斐なくも初日落ち】でしたが、『モダンマスターズ 2015年版』のドラフトはMOでシャキシャキやってます。皆さんは『モダンマスターズ 2015年版』のドラフトやってますか?

 『モダンマスターズ 2015年版』のドラフトはアーキタイプドラフトが強い環境なので、あまり勝ててないという方は、【行弘賢と学ぶドラフトセオリー vol.6 ~アーキタイプドラフトを覚えよう~】を読み返して、アーキタイプドラフトのセオリーを復習してみてください。


 と、『モダンマスターズ 2015年版』の話題はここまでにして、前回は【行弘賢と学ぶドラフトセオリー vol.8 ~勝敗の鍵を握るのはコンバットトリック~】として、コンバットのセオリーの1つであるコンバットトリックの使い方を教えていきましたが、今回も引き続きドラフトのコンバットのセオリーを解説していきます。

 今回解説するドラフトのコンバットのセオリーは、「攻撃でゲームの主導権を握る」です。








■ 1. 攻撃することが勝ちへの第一歩

 リミテッドにおいて、クリーチャーで攻撃することの目的は、対戦相手のライフを減らして0にして勝利することです。基本的にはこれ以外の方法で勝利することは難しく、原則クリーチャーでのアタックがリミテッドにおける勝ち手段です。

 逆に言えば、攻撃をしなければ「勝てない」とも言えます。

 つまり、戦闘が上手い下手関係なく、「攻撃しない」というのは、「勝てない」と置き換えても過言ではありません。

 攻撃できるのにしなくて負けてしまう、といったときによくありがちなのが、「難しくなった盤面」や「攻撃したら返しで負けそう」といった盤面で攻撃をしなくて、対戦相手が攻撃するまでゲームを動かさなかったパターンです。

 そういうときに「攻撃するかしないか」という判断をするのは実際に難しいものですが、その判断ができない場合は、「攻撃する口実」を作れるかどうか考えてみましょう。



例えば、自分のライフが2、対戦相手のライフが4だとします。

自分の手札には2/2のバニラが2枚で、それをプレイできる土地もあります。対戦相手の土地はフルタップで、手札は1枚でなんの情報もありません。

自分のコントロールしているクリーチャーは4体で、2/2のバニラが2体、2/2の飛行が2体です。

対戦相手がコントロールするクリーチャーは2/3のバニラが1体、2/2の飛行が2体です。







 この場面での選択肢は、後続のクリーチャーを2体とも展開してターンを終了する、つまり「攻撃しない」か、なんらかの攻撃の口実を見つけて「攻撃する」かです。

 では攻撃する選択肢を取ることのできる口実を見つけていきましょう。



◎ 攻撃する口実・その1


 もし返しで除去を引かれてしまうと、飛行クリーチャーを除去されて負けてしまう

 対して、ここで攻撃すると飛行クリーチャー2体がマストブロックになるので、全軍で攻撃する。


◎ 攻撃する口実・その2


 ここで全軍で攻撃すると、こちらのクリーチャー全てがマストブロックなので、対戦相手のライフが2になり、対戦相手のクリーチャーも2/3のみになる。

 その後、第2メインに2/2クリーチャーを2体展開することで、こちらの場には2/2が3体になり、対戦相手の手札が次のドローと合わせて2枚ともクリーチャーか除去でない限りは勝てる



 どちらも全軍攻撃しているので、結果起こる現象は同じですが、異なる「攻撃する口実」を見つけての攻撃となります。

 このように、勝つか負けるか微妙な場だったり、ちょっとでも攻撃できそうな場だったら、「攻撃する口実」を自分で見つけて、攻撃していくことが「勝ち」への第一歩なのです。

 ちなみに、応用として「攻撃できない口実」を見つけるのももちろん必要となりますが、まずは積極的に攻撃していくことを覚えていきましょう。







■ 2. 攻撃し続けることでゲームの主導権を握ろう

 マジックにおいては、自分が攻撃をすると、対戦相手の選択肢は自ずと「クリーチャー単体 or 複数でブロックする」か、「スルーしてライフを失う」か、「クリーチャーをインスタント呪文で対処する」かの3択またはその複合となるため、必然的にたくさんの選択肢を迫られることになります。

 こちらはクリーチャーで攻撃するだけなのに、対戦相手にはこんなにも選択肢ができてしまうのです。つまり、積極的な攻撃は対戦相手のミスを誘う確率を上げることにも繋がります。


例えば、自分のライフが15、対戦相手のライフは15とします。

自分の手札には《巨大化》1枚で、それをプレイできる土地もあります。対戦相手の土地はフルタップで、手札は1枚でなんの情報もありません。

自分のコントロールしているクリーチャーは1体で、5/5のバニラだけで、対戦相手がコントロールするクリーチャーは2/3と3/3のバニラが2体です。





 ここで5/5で攻撃した場合、対戦相手がとる選択肢は「2/3と3/3でダブルブロック」か、「スルーしてライフを失う」かの2択になります。

 つまりこの状況で攻撃するということは、《巨大化》で対戦相手のクリーチャー2枚を除去する」か、「対戦相手のライフを5点失わせる」ということになるのです。

 しかも、これはあくまでこちら視点で分かっている情報というだけで、対戦相手からはそれは分かりません。分からない以上、タダでライフの3分の1を失うわけにもいかず、5/5と3/3の 1 : 1 交換で得ができる可能性があるダブルブロックをしてくる可能性も高いです。

 実際ゲームを進めると、このターン対戦相手はダブルブロックをしてしまい、こちらの《巨大化》によってクリーチャーを2体失ってしまいました。ちなみに対戦相手の残った手札は《送還》だったので、ブロックしなければまだまだ戦うことができたでしょう。マナがない状態でダブルブロックしたのはミスプレイだったといえます。



 このように、攻撃するだけで対戦相手はミスをする確率があがります。これは攻撃側が主導権を握りやすいということの裏付けでもあります。

 攻撃する→対戦相手が選択肢を選ぶ→攻撃する→対戦相手が選択肢を選ぶ……。

 というようにループを続けることができたら、常に主導権を握っている状態です。

 つまり、攻撃をし続けるということは、ゲームの主導権を握り続け、有利にゲームを進めることができるということなのです。

 ここまでで、攻撃し続けることがゲームの主導権を握るということに繋がる、ということは分かっていただけたかと思いますが、ではどういうデッキを作ることができたら実際にこのように攻撃をし続けることができるのでしょうか?







■ 3. 攻撃し続けるためのデッキとは

 【これまで僕が書いてきたリミテッドの記事】で、「2マナ域」や「マナカーブ」の大切さは教えてきたと思いますが、なぜこれらが大事なのかというのは、この「主導権を握る」ということに繋がるからに他なりません。

 こちらがマナカーブ順にカードをプレイして攻撃をすると、対戦相手は基本的には不利な状態でコンバットを進めるしかありません。逆に言えば、マナカーブ順にカードをプレイすることができたなら、攻撃し続けることができるということです。


 
ドロモカの戦士アタルカの獣壊しコラガンの野心家


 マナカーブ順にカードをプレイする際に大事になってくるのが、マナカーブのスタートラインである2マナ域のクリーチャーです。2マナ域のクリーチャーは攻撃し続ける起点ともなりますし、マナカーブ順にプレイする際に、2マナという軽い性質により、2体展開するターンを作ることもできます。

 軽いマナ域から攻撃しはじめることで、クリーチャーを展開することができないターンにはコンバットトリックや除去をプレイし、疑似的にマナカーブを埋めることもできます。

 つまり、2マナが5~7枚からスタートして、3マナ域以降は綺麗なマナカーブを描けるデッキこそが、攻撃し続ける、主導権を握りやすいデッキといえます。

 いくら攻撃が大事とはいえ、攻撃できる構成のデッキになっていなければ、積極的に攻撃することはできません。

 まずは攻めを意識したデッキをしっかり構成し、そこから攻撃できる口実を見つけ、積極的に攻撃する。これがリミテッドにおける、「最大の勝ちパターン」と言っても過言ではありません。

 今まで攻撃することに抵抗を覚えて、攻撃できるチャンスを逃してしまいがちだったと思う方は、是非意識を改めて、「攻撃する口実」を見つけて、積極的に攻撃してみてはいかがでしょうか。







■ 4. 今回のまとめ

 『攻撃できる口実を積極的にみつけて、攻撃しよう!』

 『攻撃することは、主導権を握るということに繋がる』

 『攻めを意識したデッキを作ることが、最大の勝ちパターンとなる』



 これからはぜひ、これらを意識してドラフトしてみてください。今までと違ったドラフトになると思います。

 今回の記事はここまでです。次回もまた僕の「ドラフトセオリー」を余すことなく伝えようと思います。それでは、また来月もドラフトの記事でお会いしましょう!


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