ジェイスを制する者はスタンダードを制す【回答編】

高橋 優太

高橋 優太


happymtg.com当時はコメント欄がありましたが、現在は見ることができません。あらかじめご了承ください。


前回の記事では自分が予想していた以上の反響をいただいた。コメント欄でもさまざまな意見が飛び交い、筆者自身でさえ考えさせられる意見も散見された。諸兄には、この場をかりて謝意を表明しよう。
他人の考えを知り、自分の考えと比較し、その上で正解を探す。議論することはマジックのプレイング上達の近道だ。コメント欄を通して、共に研鑽を積んでゆき、さらなる「極」を目指そうではないか。

さて、既に一週間経っているので、もう一度問題を確認してみよう。
高橋優太のプレイングの極み:ジェイスを制する者はスタンダードを制す

それでは、至高の《精神を刻む者、ジェイス》の使い方を、とくとご覧あれ。


CASE 1



1-1.CASE 1コメント欄での意見と正しいプレイ

1 《精神を刻む者、ジェイス》プレイ+相手に+2
1 《精神を刻む者、ジェイス》プレイ+《恐血鬼》バウンス
5 《精神を刻む者、ジェイス》プレイ+自分に+2
10 《精神を刻む者、ジェイス》プレイ+ブレインストーム
6 《漸増爆弾》+《マナ漏出》構える

これは自分が思っていたよりも意見が別れた問題だった。実際「case1の方が難しい」という意見も多数頂いたし、人によって取る選択も大きく異なった。
コメントの意見を踏まえつつ、自分の考える正解は

このターン《精神を刻む者、ジェイス》をプレイする。そして、使用するのは「+0能力【ブレインストーム】」だ。

手札の残り3枚のうち、1枚は《稲妻》だと知っている。
そして残りの2枚は、展開してこなかったことを考えると
《喉首狙い》のような除去
・追加の火力
・こちらのデッキを青黒感染と勘違いしていて、《マラキールの門番》を温存している。

のどれかと予想した。
このターン、+2能力でジェイスの忠誠値を5にしたとしても《稲妻》+アタックによりジェイスを失ってしまうし、《恐血鬼》を「バウンス」したとしても結局《溶岩爪の辺境》or《稲妻》で対処されてしまうので、もはや何をしてもジェイスを生き残らせるのは不可能な状態だ。+2能力を自分に使っても土地なら上のままだが5ターン目は何もしないターンになってしまうだろうし、相手のトップを見てもクリーチャー、土地、火力、どれも引かれて困る状態だ。+2能力では、明確なプランが生まれない。

そして相手が引いたカードが何であろうと、このまま待っているだけではライフを削られるだけの展開になってしまう。
残りの手札である《マナ漏出》《墓所のタイタン》も現状では機能していない状態だ。《漸増爆弾》《恐血鬼》に対して効果は薄く起動にターンもかかるので、今この場で必要なカードではない。
だが《墓所のタイタン》《マラキールの門番》に耐性があることもあり、赤黒吸血鬼相手には「出せば勝ち」のクリーチャーであると言える。このゲームは「《墓所のタイタン》というゴールに到達する前にいかにライフを安全圏に保つか」という点に焦点を絞るべきだろう。

1-2.最短距離

自分の到達すべきゴールが設定出来たら、次はそこまでの最善の道のりを考えるべきだ。今は追加の土地2枚が欲しい場面であり、「ブレインストーム」によってそれを探しに行くべき場面だ。もし引いた3枚が土地でないにしろ、除去呪文であれば返しのターンのクリーチャーを対処できるし、《定業》《広がりゆく海》などのドロースペルが撃てれば土地につながる可能性は高い。または1枚目が対処されることで2枚目の《精神を刻む者、ジェイス》の価値が上がることもある。どれにせよ、場の解決になっていない《マナ漏出》《漸増爆弾》よりは強い行動ができるという判断だ。
実際のゲームでこの行動を取ったところエンド時に《稲妻》でジェイスが破壊され、次のターン土地セットから《恐血鬼》《溶岩爪の辺境》アタックによりライフ9。その次のターンは《広がりゆく海》《溶岩爪の辺境》を対処しつつ《定業》から、《墓所のタイタン》2連続とつなげることができ、ギリギリでゲームに勝利した。
後で確認したところ、3ターン目の相手の手札は《稲妻》《稲妻》《喉首狙い》だったそうだ。

今回は《コジレックの審問》によって《稲妻》があると知っている状態だが、これを知らない状態だとしたら、どうプレイするだろうか。
その場合でも、自分は変わらず「ブレインストーム」能力を使う。
赤黒吸血鬼相手には《恐血鬼》が速攻を持つことを考えると、なるべくライフを10以下にしたくないし、今はジェイスを3点ゲインの《渦まく知識》と割り切るべき状況だ。ライフが10前後のまま6ターン目を迎えることが出来れば、このゲームは勝利することができるだろう。これも第1回の記事内(ステップ2)で述べたように、相手のデッキを把握することがプレイの基準になるわけだ。

ビートダウン相手にはあえて忠誠値を3のままにすることで相手に《稲妻》を撃たせてライフを守る展開もある。ライフを残すことが大事なのか、それともプレインズウォーカーを残すことが大事なのか、2,3ターン先を見据えた思考のもとに、ジェイスで「ブレインストーム」「消術」「バウンス」どれなのかを考えよう。

今回のように、ゲーム中は勝つための道筋を考えて、どうやればそのゴールにたどり着けるかを意識するべきだ。
大会などで「ジェイスをプレイ」したあとで「どの能力を使うか考える」光景を見かけることがある。だが実際の手順は逆で、「このターンにどう動くか考える」→「ジェイスをプレイして能力を使う」べきだ。そうすればプレイに一貫性がでるし、プレイミスも少なくなっていく。「プレイ→考える」ではなく「考える→プレイ」であり、その後のゲームの流れを計画してから、ターンの行動に移すべきだろう。



CASE 2



2.CASE 2コメント欄での意見と正しいプレイ

4 《広がりゆく海》+《マナ漏出》を構えているブラフ
15 《精神を刻む者、ジェイス》プレイ+自分に+2
2 《精神を刻む者、ジェイス》プレイ+ブレインストーム

実際、多くのプレイヤーがこんな場面に直面したことがあるだろう。ヴァラクートがTier1で居続けることもあり、この問題は比較的意見がまとまっていた。
コメントの意見を踏まえつつ、自分の考える正解は

このターン《精神を刻む者、ジェイス》をプレイ、そして「+2能力【消術】」起動、対象は自分だ。

ジェイスが「消術」で+2するタイミングは、ジェイスを場に残らせることに意味がある、もしくはジェイスを出した次のターンに既にプランがある場合だ。
「赤緑ヴァラクート」vs「青黒コントロール」での《精神を刻む者、ジェイス》は、ビートダウンを相手にしたときとは比較にならないほど重要な存在だ。中盤~終盤にかけてアドバンテージ手段となり、相手が9マナ以上になって、《マナ漏出》が実質無価値になるような場面でも相手のトップデッキを防ぐことが出来る。

対象が相手ではなく自分な理由は、相手の場には《広漠なる変幻地》というライブラリーシャッフル手段があるため相手のトップを見ることの効果が薄いからだ。そして自分が今一番欲しいカードは2枚目の《マナ漏出》であるため、少しでもはやくそれにたどり着く目的もある。
ライブラリーを掘り進める方法として「ブレインストーム」と「消術」の二つがある。2枚目の《精神を刻む者、ジェイス》があるから1枚目は《稲妻》されても良いという意見もあるかもしれないが、それは間違いだ。もしこのターン「ブレイン」能力を使って《稲妻》された場合、次の5ターン目にも《精神を刻む者、ジェイス》をプレイする必要がでてくる。だがそれだと返しの《原始のタイタン》が通ってしまうので、あなたが5ターン目にすべき行動は「2マナ以上アンタップしたままターンを終了」することだろう。「ブレインしてジェイスがいない5ターン目」よりも「ジェイスがいてマナを構えたままターン終了」の方が、ゲームの勝率はぐっと高まる。

今はまだゲームは4ターン目で、相手の手札が6マナばかりで土地やマナブーストを必要としているのか、それともマナばかりでタイタンを必要としているのかはわからない状態なので、相手のトップを見たとしてもそれを下に送るべきか判断が難しいこともある。

ライブラリーの期待値が薄いときも、ジェイスの「消術」を使うことは多い。引いてよいカードがかなり少ない状態のときに起動することも多いだろう。
例)
このままゲームが進み、1枚目の《原始のタイタン》《マナ漏出》で退けたとしよう。しかしその後の《耕作》《カルニの心臓の探検》で相手は9マナに到達してしまった状態だ。自分のデッキに入っているカウンターは《マナ漏出》4枚のみであり、「ブレイン」してもライブラリーに2枚しか残っていない《マナ漏出》を2枚とも引ける確率はとても低い。それならば、自分のドロー3枚よりも相手のトップデッキを防ぐことの方が重要になる。
赤緑ヴァラクートは素引きの《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》《広がりゆく海》《地盤の際》で対処してしまえばあとのはマナブーストがほとんどなので、ジェイスの「消術」なら相手のトップデッキ確率を極力下げることが出来る。

2-2.攻撃は最大の防御なり

もし相手が《砕土》を持っていると、次のターンには《原始のタイタン》をプレイされてしまうだろう。
それを考えると《広がりゆく海》をプレイし、ブラフのために2マナを立ててターン終了、という意見もあるかもしれないが、自分はこれには反対だ。
赤緑ヴァラクートのほうがデッキ内に「土地を出す」という効果のカードが多く、マナを伸ばすことに長けたデッキなので、このままターンを繰り返すとマナ差をつけられてしまい、ジェイスをプレイして安全なターンがどんどん遠くなっていく。そして相手が9マナになったらこちらの《マナ漏出》の価値は大きく下がってしまう。

実際のゲームでは《砕土》《原始のタイタン》と持たれていおりその後ゲームに負けてしまったが、それでもこのターンは《精神を刻む者、ジェイス》を出すべき場面だろう。逆に言うと、このターンを過ぎるとどんどん出せるターンが少なくなってしまう。
カウンターが入っているデッキだからといって、待っているだけではゲームに勝つことは出来ない。有利になるためには仕掛けなければいけないターンも必要だ。どんな展開ならば自分が有利で、逆にどんな展開が不利になるのかゲーム全体を考えてプレイを進める。それこそプレイングのステップアップだ。

・おまけ
一般的に言って、ジェイスの「消術」能力をプレイされてトップに置かれたままだったときは「不要なカード」と考えるだろう。
この相手の心理を利用して、自分は「消術」のブラフをよく使う。赤緑ヴァラクート相手のときなど多いのだが、相手がシャッフル手段(フェッチランドなど)を場に出しているときに「消術」を使用、そしてノータイムで戻すと、相手はシャッフル手段を使ってくれることが多い。例えそれが実際は引かれてはまずいカードであってもだ。これは相手がある程度強くなければできないブラフだが、シャッフル手段を使わせたい場合は試してみると良いかもしれない。

3.議論が人を磨く

コミュニケーションを活発に行う事が互いのレベルを向上させるというのは、先人達の言を見ても明らかだ。結果として、自分の考えが正解と異なるという事もあると思う。だが、”下手糞の上級者への道のりは己が下手さを知りて一歩目”と、とある偉人が言っていたように、ミスや恥を恐れずに、コメント欄で自説を存分に展開してもらいたい。私自身も、もっと活発に意見交換をする事で「極」を目指していきたい。この記事が、諸兄らのプレイング技術向上の一役を担えれば、恐悦至極である。

また来週も、諸兄らと議論が出来る事を楽しみにしている。