Caw-Goの基本

高橋 優太

高橋 優太


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マジックは運が絡むゲームでもある。日常では使わない「土地事故」という言葉があることからも、このゲームに土地にまつわる運の要素(マナフラッド、マナスクリュー)が存在することは否定できない。
「土地事故った~」「相手ブン回った~」と、敗因を運のせいにすることは簡単だし、実際どうしようもなかったゲームもあるだろう。

しかし自分はこう考える。実際は運だけでなく、ミスで負けてしまったゲームも同じくらいあるのではないかと。
事故と呼ぶもののうち、何割かはマリガンミスだった試合もあるのではないだろうか。赤緑ヴァラクートで緑マナの無い初手、青対決で《定業》+土地1枚の初手をキープしてしまったりといった具合にだ。もちろんそれをキープしなければいけない瞬間もある(既にマリガンをしている、引きさえすればブン回る等)が、そういった初手キープは大抵リスクの方が大きい。

マリガンの話に限らず、マジックはゲーム中にたくさんのことを考えるゲームだ。ゲーム中の選択肢は複雑に絡み合い、何度も対戦したデッキであろうと「初めて見る盤面」になることも多い。そしてマジックはGoodプレイによる加点よりもBadプレイによる減点が敗因になりやすい、減点方式のゲームだ。ミスをすればするだけ、それはゲームの敗北につながる。

スタンダードは最も競技人口が多いフォーマットであり、「マジック強くなりたい」と思う負けず嫌いなプレイヤーも多いだろう。
強くなるにはミスを減らし、プレイの質を高めることが重要だ。この記事ではそんな「強くなるためのマジック」を紹介していきたいと思う。

ステップ1:自分のデッキの動きを理解する。


今週フライデーナイトマジックに参加すれば、「Caw-Go」「赤緑ヴァラクート」の姿を見かけることになるだろう。強そうなデッキを見たら自分で組んでみたくなるのはマジックプレイヤーの常であり、コピーデッキもよく見かける。
しかしデッキだけコピーしても、プレイが追いついていなければ意味が無い。まずは自分のデッキを1時間ほど回してみて、動きを理解しよう。そして大会に出たら、どんなときに悩んだかを覚えておこう。思考と試行を繰り返し、「あ、これ前あったな」と盤面をパターン化し、自分のデッキの動きを理解すること。それこそが練習する意味だ。

ステップ2:対戦相手のデッキを予測する。


マジックは情報戦である。このHappyMTGがそうであるように、検索すれば多くのデッキリストを見ることが出来る。
あなたが研究熱心なプレイヤーなら、3ターン目までのセットランドで相手のデッキはある程度予想できるだろう。予想した上で、出されてもいいカード・出されたら嫌なカードを把握しよう。

例)
相手の場にあるのは《山》《山》《森》《カルニの心臓の探検》で、おそらく赤緑ヴァラクートだろう。あなたが「Caw-Go」を使っているとしたら、対戦相手のデッキの中で、最も打ち消したいカードは《原始のタイタン》なので、相手が6マナ揃う頃にはカウンターを構えたい。逆に言えば、こちらが《石鍛冶の神秘家》《精神を刻む者、ジェイス》を仕掛ける場合は相手が6マナ揃う前のターンが望ましい。

どんなカードも状況次第では強くなったり弱くなったりする。ビートダウン相手の《呪文貫き》や、青対決での《審判の日》などがそうだ。相手の場からデッキの中身を把握できれば、《定業》で何を下に送るかの判断も楽になるだろう。
また相手のデッキ予想ができれば、相手の視点で考えることができる。相手が悩んでいる素振りを見せたら、何で悩んでいるのか、相手の視点になって考えてみよう。

ステップ3:トップデッキ


これは何も運だけのことを言っているわけではない。何を引いたら有利になれるか、逆に相手が何を持っていたら不利になるか、現在のターンだけでなく2,3ターン先を見据えた思考をするということだ。
不利な盤面のときにこそ、この思考になることが多い。《稲妻》を引いたら勝てるから損なアタックでも相手ライフを3にする、次のターン《謎めいた命令》を引いたら勝てるからトークンでチャンプブロックするという風に、デッキを把握し、勝てる状況を作り出そう。

ここからは具体的な例として、試合の一場面を紹介していこう。

CASE1


あなたのデッキ:Caw-Goサンプル


5《島》
4《平地》
4《天界の列柱》
4《氷河の城砦》
4《金属海の沿岸》
1《霧深い雨林》
4《地盤の際》

-土地(26)-


4《戦隊の鷹》
4《石鍛冶の神秘家》

-クリーチャー(8)-

4《定業》
4《呪文貫き》
3《マナ漏出》
2《未達への旅》
4《審判の日》
1《肉体と精神の剣》
1《饗宴と飢餓の剣》
4《精神を刻む者、ジェイス》
3《ギデオン・ジュラ》

-呪文(26)-


-サイドボード(0)-
hareruya




盤面その①

対戦相手の手札 6枚

対戦相手の場

《島》《闇滑りの岸》《地盤の際》《忍び寄るタール坑》

自分の場
《島》《平地》《氷河の城砦》《天界の列柱》

自分の手札
《未達への旅》《ギデオン・ジュラ》《精神を刻む者、ジェイス》《饗宴と飢餓の剣》《審判の日》《平地》《地盤の際》

あなたは青白Caw-Goでスタンダードの大会に参加している。対戦相手のデッキは青黒コントロールで、青対決らしく序盤はお互い土地を置きあうだけ。こちらはビートダウン用の初手をキープしたため残念ながら《石鍛冶の神秘家》《戦隊の鷹》どちらも引けていない状況だ。
現在は後手4ターン目で、土地はすでに置いている。現在のところ、あなたの手札に打ち消し呪文はない。さて、このターンあなたは《精神を刻む者、ジェイス》をプレイすべきだろうか。













CASE1-Answer

相手が《マナ漏出》を持ってないことに賭けて《精神を刻む者、ジェイス》を出すプレイヤーもいるかもしれないが、答えはNoだ。
お互いカウンターを擁するデッキ同士の対決の場合は特殊で、「最悪のパターンは何か」「相手にこちらの手札はどう映るか」を考えてプレイした方がよいことが多い。
《マナ漏出》された上で次のターン相手に《精神を刻む者、ジェイス》を出されたら、その時点でかなり不利になる。こちらの手札は現在7枚で、相手から見たら1~2枚はカウンターがあるように見えるだろう。自分のこの盤面での回答は「何もせず、ターンを終了する」ことだ。青対決は何もせず、マナが延びるのを待つのが良いゲームだってある。7マナまで行けば少なくとも《マナ漏出》1回分はケアできるし、カウンター合戦で負けて相手に《精神を刻む者、ジェイス》を出されたとしても《天界の列柱》で攻撃する、といった選択肢も生まれるからだ。

手札破壊を引かれたときを考えると、《精神を刻む者、ジェイス》をプレイするという意見もあるだろう。現在青黒コントロールが使う手札破壊は《コジレックの審問》が一般的であり、もし撃たれたとしても《未達への旅》を落とされるのは影響がない。《饗宴と飢餓の剣》を落とされるのはその後の《戦隊の鷹》の価値が少し下がるが、まだライブラリーには《石鍛冶の神秘家》《肉体と精神の剣》が残っており、今の盤面は《精神を刻む者、ジェイス》《ギデオン・ジュラ》のプレインズウォーカーをめぐる攻防なので、そこまで大きな影響があるわけではない。これも先ほど述べたように、相手のデッキを把握することがプレイの基準になるわけだ。


それと青対決における《地盤の際》を巡る攻防について書いておこう。このターンこれを置かないのには理由がある。4つめの土地を置いて優先権をパスすると、相手がこちらの《地盤の際》を対象に《地盤の際》の能力起動した場合に相手の土地が3枚になるため、こちらの《地盤の際》が起動できなくなる。今は土地が多い手札なので、「7マナまで伸ばして《精神を刻む者、ジェイス》」のためにもなるべくならドローゴーを続けたい場面であり、こちらからすぐさま《地盤の際》を起動したい場面ではない。そして土地の置き合いなら今の手札でも勝機がある、という判断だ。 また起動コストの軽さから対プレインズウォーカー性能は《天界の列柱》《忍び寄るタール坑》であり、こちらの《天界の列柱》が破壊されるぶんには構わないが、《忍び寄るタール坑》はなるべく《地盤の際》で破壊したいこともある。

基本的なことだが、相手に《地盤の際》がある場合は特殊地形から使う必要がある。残った特殊地形を《地盤の際》で破壊されると、ブラフの効果が薄れてしまうからだ。この盤面で《戦隊の鷹》をプレイする場合は《氷河の城砦》《天界の列柱》からマナを出す必要があるだろう。

では次の問題。


CASE2




盤面その②

相手の手札7枚(うち2枚は《戦隊の鷹》

相手の場

《戦隊の鷹》(タップ状態)
《氷河の城砦》《地盤の際》《島》《平地》

自分の場

《石鍛冶の神秘家》《肉体と精神の剣》
《天界の列柱》《島》《島》《金属海の沿岸》

自分の手札
《呪文貫き》《マナ漏出》《精神を刻む者、ジェイス》《未達への旅》《島》

これは筆者が実際に遭遇した場面で、青白Caw-Goミラーマッチの1本目の話。2ターン目は《戦隊の鷹》《石鍛冶の神秘家》、3ターン目はお互いマナを構えてエンド、そして問題となるのは4ターン目だ。相手は《戦隊の鷹》で攻撃し、土地を置き、4マナを立ててターン終了。次のターンに装備品つきの《石鍛冶の神秘家》で攻撃されるのがわかっているというのにチャンプブロックの様子も無く、対戦相手の挙動は不自然だ。ここから相手の手札を予想し、なぜ攻撃してきたのかを考えてみよう。















CASE2-Answer

自分はまず仮説を立ててみた。

仮説
①相手は《石鍛冶の神秘家》の攻撃を対処することができ、その上でこちらのカウンター呪文にも対処できる。
②むしろこちらに装備コストを払わせることによってマナを使わせることで、次のターンに自分がビッグアクションを通すことができる。あえて不利な場を作ることでこちらの選択肢を狭める、「引っかけ」かもしれない。

ここから手札を予想すると、まず装備した《石鍛冶の神秘家》の攻撃を対処できるものが1枚。こちらのカウンターをカウンターし返すことを考えると2マナ以下のカードだろう。これは環境にそんなに多くないので絞り込める。おそらく《糾弾》または《乱動への突入》だろう。カウンターしかえすためには《呪文貫き》《マナ漏出》のどちらか、あるいは両方だ。
そしてこちらの攻撃を誘ってマナを使わせたあとのビッグアクションは《精神を刻む者、ジェイス》《ギデオン・ジュラ》、もしくは《饗宴と飢餓の剣》《肉体と精神の剣》などの装備品による攻撃だろう。

自分がとった行動は《肉体と精神の剣》を装備、そしてターンを終了した。
これなら返しに《精神を刻む者、ジェイス》《呪文貫き》と持たれていた場合でも《石鍛冶の神秘家》はプロテクション(青)によってバウンスされず、ブロッカーの鷹は《未達への旅》で除去でき、《精神を刻む者、ジェイス》を+2能力で使われた場合にも対消滅することができる。《ギデオン・ジュラ》と装備品は2マナあるので打ち消すことが可能だ。
実際相手が持っていたのは《糾弾》《呪文貫き》《精神を刻む者、ジェイス》で、5ターン目に《精神を刻む者、ジェイス》を通されたものの返しで《未達への旅》経由で《精神を刻む者、ジェイス》を破壊でき、そのまま有利にゲームを運ぶことができた。こういう「読み」が当たった瞬間も、マジックの面白さの一つだろう。

ではこの場合、対戦相手側の正しいプレイはなんだったのだろうか。対戦相手は、こちらに《糾弾》を感じ取らせること無く自然に攻撃させる必要がある。
そのための行動は「《戦隊の鷹》で攻撃しない」もしくは「《戦隊の鷹》2体目をプレイして、通ったのを確認してから1体目で攻撃する」ことだろう。そうすれば不自然さを出すことなく、こちらの《石鍛冶の神秘家》の攻撃を誘うことができる。相手の視点で考えることもまた、重要だ。

プレイング考察記事、参考になっただろうか。自分が出した回答と違うももあるだろう。今回示したのはプレイングの一例に過ぎないので、「自分はこの場面はこうする」というものがあったら、遠慮なく書き込んで欲しい。
プレイングについては議論して他人の考えを知ること自体に価値があり、議論できることはマジックの魅力の一つだ。異論反論含め、どんどんコメントして欲しい。次回の記事で、コメントに対するレスポンスも行う予定だ。
それではまた。