変わることのない目標がある。
グランプリやプロツアーで初日落ちを繰り返し
プロツアー予選で、あと1勝というところで負けてしまい
数えきれないほどの敗北を繰り返して
しかしそれでも、たった一つの目標が私の心を捉えて離さない。
「Magic: the Gatheringのプロツアーで優勝する」
情熱を傾け、研鑽を積んだ強豪たちとプロツアーで戦うこと。そして勝つこと。
このブログを読んでいる方でも、プロツアーという栄光の舞台を目指してPPTQ(プロツアー予備予選)、PTQ(プロツアー予選)、GP(グランプリ)に挑戦するプレイヤーは多いだろう。
数多くのトーナメントに参加し、負けることもあるし、賞金を獲得することもある。
マジックというゲームを愛し、そのために旅することも愛する。そんなプレイヤーのことを、「グラインダー(Grinder)」と呼ぶ。
自己紹介が遅れたが、私は1月1日より“Hareruya Pros”に加入した、高橋 優太。
プロツアーを目指して東奔西走するグラインダーだ。
“Hareruya Pros”としては4人目だが、プロツアーの権利はなく、4人の中では最も弱い。
しかし、他の3人に負けない情熱、そして戦略がある。
このブログでは、大会に向けての思考過程や、プレイミスが起きる原因などを考えていきたいと思う。
■グランプリに向けて
早速だが、今週1/2~1/4に開催されるGPマニラ(スタンダード)に参加する予定だ。
現環境のスタンダードのデッキを考えるとき、2種類のカードどちらかを使うかという選択を迫られる。
《ゴブリンの熟練扇動者》と《包囲サイ》だ。
《ゴブリンの熟練扇動者》は単色で使いやすいこと、3マナと軽い割に生き残れば1枚で勝てることから、スタンダードで最も強いカードだと考えている。
《包囲サイ》は3色という制限があるが、モダンで通用するレベルの強さだ。テーロスブロックの強力なカードが緑と黒に集中していることから色にも恵まれ、ビートダウン・コントロールのどちらで使っても良い。
どちらもゲーム中に及ぼす影響は大きく、これを引いたから勝った、引かれたから負けたということが起こりやすい。
青黒コントロールやシディシウィップ等のデッキもあるが、結局この2種類どちらかを使うデッキの方が安定しているのではないだろうか。
そして《ゴブリンの熟練扇動者》デッキと《包囲サイ》デッキ対決では、《包囲サイ》側の方が有利と考える。
赤の火力では《包囲サイ》《クルフィックスの狩猟者》を対処しづらく、《胆汁病》《悲哀まみれ》といった効果的なサイドカードが存在するからだ。
スタンダードのカードはどれも強力で、相手の手札すべてに対応するのは困難だ。ターンを制限して、相手が手札を使い切る前に勝ちたい。
そのためには自分から攻める「ブン回り」のあるデッキ、相手が手札4-5枚持っていても押し切れるデッキの方が望ましい。
GPマニラではブン回りが強く、《包囲サイ》を擁するビートダウン、アブザンアグロを使用する予定だ。攻撃することもまたアドバンテージだ。
■プレイングの極み
マジックでは、「想像力」が重要になる場面が多々ある。
・こちらの3/3に対して2/2が攻撃してきた!《巨大化》あるのかな?
・相手が青マナ3つでターン終了。《解消》持っているかな?
・圧倒的に不利な盤面だけど《砂塵破》を引けば勝てるから、それまでは生き残るようにプレイしよう。
・相手が頻繁に墓地の枚数を数えている。《宝船の巡航》《時を越えた探索》が手札にあるのかな?
(あなたが使う側なら、相手に悟られないように墓地の枚数を覚えておこう!)
・相手が青マナ3つでターン終了。《解消》持っているかな?
・圧倒的に不利な盤面だけど《砂塵破》を引けば勝てるから、それまでは生き残るようにプレイしよう。
・相手が頻繁に墓地の枚数を数えている。《宝船の巡航》《時を越えた探索》が手札にあるのかな?
(あなたが使う側なら、相手に悟られないように墓地の枚数を覚えておこう!)
どれも手札やトップデッキの可能性を考えている。
今回のテーマは、そんな「想像力」だ。
問題:「敗北する可能性、0%」
あなたはアブザンアグロで大会に参加中で、対戦相手はティムールを使用している。
1ゲーム目、先攻ダブルマリガンだったが初手に恵まれ、ライフレースで非常に有利な場になっている。余程のことがなければ勝つことができそうだ。
対戦相手 (ティムール) ライフ:6 手札:《シヴの浅瀬》 (《思考囲い》で確認済み) 場: 《開拓地の野営地》(タップ) 《森》(タップ) 《山》(タップ) 《山》 《神秘の神殿》 《ヤヴィマヤの沿岸》 《嵐の息吹のドラゴン》(4/4状態、タップ) 《ゴブリンの熟練扇動者》 《エルフの神秘家》 《爪鳴らしの神秘家》 |
あなた (アブザンアグロ) ライフ:12 手札:《胆汁病》 場: 《砂草原の城塞》 《疾病の神殿》 《森》 《平地》 《羊毛鬣のライオン》(+1/+1カウンターあり、タップ) 《先頭に立つもの、アナフェンザ》(タップ) 《包囲サイ》(+1/+1カウンターあり、タップ) |
このターン引いたカードは《胆汁病》。
相手の手札は《シヴの浅瀬》1枚のみ(《思考囲い》で確認済み)。
攻撃を行い、《先頭に立つもの、アナフェンザ》の能力で《包囲サイ》にカウンターを乗せた。
今はブロッククリーチャー指定前、優先権はあなたが持っている。ライフは6なので、対戦相手は《包囲サイ》以外の2体をブロックしなければいけない状況だ。(上の図を参照)
さて、この盤面でどうプレイするのが正解だろうか。
「想像力」を働かせて、考えて欲しい。
ヒントを最下段に書くので、わからなかった場合は参照するといい。
2 《山》 2 《森》 4 《樹木茂る山麓》 4 《開拓地の野営地》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 3 《シヴの浅瀬》 1 《マナの合流点》 1 《奔放の神殿》 1 《天啓の神殿》 1 《神秘の神殿》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 4 《荒野の後継者》 3 《爪鳴らしの神秘家》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《凶暴な拳刃》 3 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 -クリーチャー(26)- |
4 《火口の爪》 3 《頑固な否認》 2 《稲妻の一撃》 2 《ティムールの魔除け》 -呪文(11)- |
2 《平地》 2 《森》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《疾病の神殿》 3 《静寂の神殿》 3 《ラノワールの荒原》 2 《コイロスの洞窟》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《ラクシャーサの死与え》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4 《包囲サイ》 4 《風番いのロック》 -クリーチャー(20)- |
4 《思考囲い》 3 《胆汁病》 4 《英雄の破滅》 4 《アブザンの魔除け》 -呪文(15)- |
※ヒント:どう計算してもこのターンに勝つことは出来ないので、敗北する可能性を0%にする。つまり何を引かれても勝てるようにすることだ。
解答はまた来週。では、GPマニラ行ってきます!
高橋 優太