この連載はPTQプレイヤーがネクストステップに進むための手助けというのがコンセプトなので、毎回ある程度以上のドラフトをこなして環境に対する理解を深めてから執筆させていただいている。
だが今回はPTQや国内プレミアイベントのフォーマットにM14がないことから、いつもと趣向を変えて、内容の深さよりも鮮度を優先しM14環境のファーストインプレッションという形式でお届けしたい。
▲環境の特徴
まず環境が遅い。
システムとして賛美がなくなったかわりにライフ回復手段が多くなり、《モグの下働き》や《ケンタウルスの狩猟者》などの3マナ以下の優秀なアタッカーが退場し、主戦力のマナ域が一段階上がったことでテンポは明らかに緩まったと言える。
このような環境では往々にして戦線が膠着しがちなのだが、アンコモン以上のフィニッシャーに頼らずにそういった状況を打破するためにはオーラ戦略が有効になるということは覚えておいて欲しい。
▲最強色と最弱色
環境最強色は黒と緑で意見が分かれるところかと思う。
今回の黒は生物のサイズが緑に次ぐ逞しさになっており、オーラも後手からまくるのに十分の性能で、黒らしく除去も搭載できる万能色と言っていい。
緑はとにかく生物の性能が素晴らしい。《トロール皮》も押し込むのに十分な性能で、緑をやれていればとりあえずデッキの形にならないということはないだろう。
赤は除去の質こそいいものの、生物のラインナップで明らかに黒と緑の後塵を拝む形になる。レアや除去から赤に参入した際は黒か緑のどちらが空いているかに注意してピックを進めることになる。
青はバウンスが2種に増量されたことで対オーラ戦略が強化されているが、主色にするには生物のサイズに若干の不安が残るので《大気の召使い》のようなサイズのあるアンコモンから入る以外は、戦線の構築を任せられる色を2色目にしたい。贅沢な二択だが、パートナーとして黒と緑がどちらも選べる場合は緑と組んだほうがいい。
青緑で《巻物泥棒》に《トロール皮》を付けるのはダイレクトに勝ちに繋がるし、《霜のブレス》が最も有効に運用できるカラーコンビネーションは明らかに青緑だ。
住み分け的に黒も緑もきつい場合は青白も選択肢の中にあっていい。その場合、自分を含んだ上下4人で青が自分だけという分布が理想。上上と下下がどちらも青を触っていた場合では生物の線に不安が残る。
今回、白は受難の色になる。《ルートワラ》や《轟くベイロス》など緑の戦線を止めるにはタフネス5が必要となる環境で壁役がことごとくタフネス4なのはデザインの意図が読めない。緑を止めるサイズがなく、ヒーラーもタッパーもいない白は間違いなく不人気色の筆頭代表だ。
慰めとしては高いレアリティのカードは強力なものが揃っていることと、環境的にマナベースが脆弱で多色化が困難なので(《地勢》と《不屈の自然》の差は果てしなく大きい)シングルシンボルの除去である《平和な心》が他のデッキにつままれにくくなっていうという点だ。
《セラの天使》などから白に走る場合は多少強引にでも黒と組みたい。《荒廃唱え》と《平和な心》のシナジーは魅力的だし、《オーラ術師》が除去を回収する動きをするかどうかは勝敗にダイレクトにかかわってくる。
余談だが、前述の通りマナサポートが脆弱な環境なので多色スリヴァーはアーキタイプとして存在しえないだろう。スリヴァーの種族シナジーはあくまでオプション的な扱いどまりだ。
▲各色のコモントップ3
白
1位:《平和な心》
強い+軽い=偉い。
2位:《突進するグリフィン》
基本的な打点は期待できるのだが、2/4到達を超えない点と、後手を踏んだ展開だと頼りにならないので黒との性能の差に眉をしかめざるを得ない。
3位:《天界のほとばしり》
ダブルシンボルがネックであるがそれでも除去は偉い。
青
1位:《本質の散乱》
オーラ勝ちが多い環境なので《閉所恐怖症》との優先をどうするかは悩んだが、青はバウンスでも対処可能なので序盤から終盤まで安定の働きを見せる《本質の散乱》を優先。
2位:《閉所恐怖症》
1パック目の位置取りの段階ではこの優先度でいいが、《閉所恐怖症》を必死になって確保しなければいけない位置で青をやるのは得策ではない。
位置取りが終わったあとはマナカーブをきれいに埋めることを優先して考え、《閉所恐怖症》は位置取りの結果として回ってきたものを確保するくらいの構えでいい。
3位:《伝書ドレイク》
4マナ域が埋まりやすい環境なので生物の中では単純な性能で《伝書ドレイク》が最優先。
既に5マナが混んでいる状況ならもちろん優先度を下げて考えるように。
黒
1位:《泥沼病》
《荒廃唱え》や《オーラ術師》とのシナジーは強力。
2位:《吸血鬼の印》、《血の儀式文》
《吸血鬼の印》は除去されたとしても1度殴るだけでライフレースが一気に有利になるので1枚は欲しい。2枚目以降は大きく優先度を下げる。特に緑と組んだ場合は《トロール皮》とスロットを食い合うので注意。
《血の儀式文》はいつもならばこの位置にすえるには重すぎるコストだが、環境が遅いので間に合わない展開はいつもより随分と少ないだろう。
3位:《死体運び》、《夜翼の影》
《グレイブディガー》と比較するのではなく、2マナ2/1につくオマケとして考えれば破格の性能。《夜翼の影》は最大でも2体までだが《死体運び》は無限に採用したい。
しかし受け入れ枚数の差を考えたとしてもこの環境における《夜翼の影》の突破力は無視できないので同率に。
赤
1位:《チャンドラの憤慨》
タフネス4を落とせるのは偉い。
2位:《ショック》
定番。コメントする必要もないだろう。
3位:《無法の槌角》
打点十分。マストアタックなのは基本的にデメリットなはずだが、基本的にチャンプになることは考えなくていいので、むしろコンバットトリックを持っていたときに派手な多対一交換が行われる可能性が高くシナジー無しでも評価できる。
緑
1位:《轟くベイロス》
シナジーなしでも十分すぎる性能なので便宜上1位になっているが、上位3枚はほぼ同率だ。
2位:《トロール皮》
《夜の子》、《巻物泥棒》をターゲットに出来ればそれだけで勝ち手段として十分な働きをする。
レアケースだが白緑をやっていた場合は最優先で取っていい。《グリフィンの歩哨》や《暁駆けの聖騎士》につけてイージーウィンが狙える。
3位:《獣の代言者》
《轟くベイロス》と同時に出た場合の優先度を考えてこの位置にしたが、既にビーストが3体いる場合は4体目のビーストよりも優先度を上げる。
2体であればマナカーブで考えていい。
以上がM14環境のプレリリースの段階での印象になるが、参考になっただろうか?
MOのリリースイベントはこれからなので、そこでこの記事があなたの助けになったらうれしい。
では、よいリミテッドライフを。