0. 前回までのおさらい
前回の記事はこちら→Rush Met a “Tusk” vol.2
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《スラーグ牙》を環境のキーカードに据えてアグロとコントロールという2つの視点からデッキを分析しました。結果、《スラーグ牙》を利用するコントロール側に若干の優位が見え、既存のアグロは不利を強いられていることがわかりました。
ただ、あらゆる《スラーグ牙》に対するアプローチが挙げられる中で、『無視する』という新しい選択肢をとり自身の速度を高め続ける一部の“アグロ”と、重い呪文に有効なカウンターによってバックアップされた“青白テンポ(以降は青白フラッシュ)”には希望が残されているようでした。
現状のコントロール優位のまま環境が進んでいくのか、環境の楔である青白フラッシュがそれを抑えるのか、アグロ復権の鍵とは何か。
今回の記事では、これらのトピックに触れて現在のスタンダード環境の姿に迫ろうと思います。
その上で今回の記事で話す内容は、前半部分と後半部分の2つに分かれます。まずは簡単に、その2つの概要について触れましょう。
1. 前半部分の概要
前回の記事の状況から環境は少しばかりの進展を見せ、アグロを倒すためのコントロールが増えつつありました。それらは「単体除去+《スラーグ牙》」のジャンドであったり、「マナクリーチャー+《スラーグ牙》 or 墓地活用+《スラーグ牙》」のリアニメイトといった中速のコントロールが多く、基本的には《スラーグ牙》に加えての妨害要素でコントロールHすることを目的としたものです。これらはどうしてもソーサリータイミングでの行動に偏ったボードコントロールになりやすく、よく言えば重厚、悪く言えば鈍重な構成が多く見られました。
そしてこの鈍重さを咎めたものが、前回の記事の最後で注目すべきとした青白フラッシュでした。
これは《修復の天使》をメインアタッカーに据え、《聖トラフトの霊》を切り捨ててまで動きを軽くした青白のテンポデッキです。流行していた中速デッキの行動に柔軟に対応できることが評価され、一転して最大勢力にまで躍進しました。
この青白フラッシュの流行により中速デッキの代表格であるジャンドは影を潜め、青白フラッシュが使用する《瞬唱の魔道士》や《ルーン唱えの長槍》といった墓地利用カードを咎めるために墓地対策が加熱したことでリアニメイトも厳しい状況に追い込まれていきます。
このように環境の支配的な立場にいた幾つかのアーキタイプを蹴落とした青白フラッシュは、その他の既存のアーキタイプにも影響を与えました。特に速度の面においての影響は大きく、青白フラッシュを中心にしてそれぞれのアーキタイプは二極化していったのです。
1つは前回の記事の中で紹介した『無視する』系統の自身の速度を追求したものです。これは青白フラッシュの速度よりも極端に早いゲームプランを提示しています。人間型の緑白や、赤単などがその一例です。
もう1つは、逆に極端に遅いゲームプランを提示したものです。中途半端な速度のコントロールは青白フラッシュには不利であり、青白フラッシュを相手取ってでも長期戦で有利を持てるような構築が求められたためです。この結果、バントカラー(白青緑)の重コントロールが作成されました。《スフィンクスの啓示》を幾度も重ねて撃つことで、勝利を目指すと言うよりは、負けないことを目標とした構成になっています。後の項で詳しくレシピを見ることにしましょう。
速さを求めて自己の最適化を目指したアグロ
中速デッキを攻略した柔軟性に定評のある青白フラッシュ
環境の誰よりも遅いことで中途半端なデッキを食い物にするバントコントロール
この3者に環境は整理されていきました。
2. 後半部分の概要
最速を目指す一群、青白フラッシュ、最遅を目指す一群。環境は大きく3つに分かれてバランスが取られました。それぞれに極端な相性差などはなく、どれもが均等に存在する環境だからこそ、偏った構築を避けて意図的に安定した勝敗を保つような構築が推奨されていました。三つ巴というとわかりやすいでしょうか。勢力図が拮抗していることが変化を妨げているという歪な均衡がとられていたのです。
ただ、この安定したメタゲーム環境は、とあるデッキの登場によって崩されてしまいました。それがラクドスミッドレンジです。詳しくは後述するのですが、青白フラッシュとバントコントロールに有利を持つこの新種のデッキは、環境のバランスを大きく塗り替えました。青白フラッシュは周囲からの研究が進んだことで一時期ほどの勝率を保てておらず、その状態でラクドスミッドレンジが登場したことは彼らをより窮地へと追い込んでいきました。
こうして青白フラッシュは劣勢に追い込まれ、青白フラッシュによって抑圧されていた幾つかの中速デッキにも希望が見えている状況が現在のメタゲームです。特にラクドスミッドレンジを対策した緑白赤系の中速コントロールが数週間ぶりに復権したのが目新しいところでしょうか。
一時は青白フラッシュによってバランスされた環境でしたが、ラクドスミッドレンジの登場とともにメタゲームは再び移り始めました。
それでは、これまでの様子を詳しく追ってみましょう。
3. 環境がバランスされるまで
この節においては、青白フラッシュが流行しメタゲーム環境がバランスされ、それが崩れるまでの様子を取りあげていきます。
9 《島》 3 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 2 《魂の洞窟》 2 《ムーアランドの憑依地》 -土地(24)- 4 《ボーラスの占い師》 3 《瞬唱の魔道士》 4 《修復の天使》 -クリーチャー(11)- |
3 《送還/Unsummon(4ED)》 4 《思考掃き》 2 《熟慮》 2 《本質の散乱》 2 《雲散霧消》 2 《巻き直し》 4 《アゾリウスの魔除け》 2 《至高の評決》 2 《スフィンクスの啓示》 2 《ルーン唱えの長槍》 -呪文(25)- |
3 《暁の熾天使》 2 《空召喚士ターランド》 3 《墓場の浄化》 3 《払拭》 2 《月の賢者タミヨウ》 1 《拘留の宝球》 1 《至高の評決》 -サイドボード(15)- |
上に挙げたものが青白フラッシュのサンプルレシピです。サイドボードに数枚の違いが見られるかも知れませんが、メインボードの構成は大きく変わることはないでしょう。前回の記事においても簡単な紹介はしましたが、とにかくインスタントタイミングの行動を重視することで中速のボードコントロールへの優位を確実なものにしているデッキです。
厄介なカウンター呪文はもちろん、戦闘を複雑にする《修復の天使》、現状維持でターンを返せば《スフィンクスの啓示》で大量ドローと、マナさえ揃ってしまえば翻弄できる構築がされており、とにかく対戦相手よりも柔軟かつ細かい動きができる点がメリットです。
当時のメタゲームは、前回の記事のテーマでもあったアグロによるコントロールの攻略は達成されず、多くの中速のコントロールと我関せずを貫いたわずかなアグロが混ざった環境でした。そのため、青白フラッシュが得意とするアーキタイプは多く存在しており、青白フラッシュが一大勢力となるまでの時間は長くかかりませんでした。
まず、この隆盛とともに数を減らしたのはジャンド(黒赤緑コントロール)でした。
典型的なボードコントロールの代表格だったことが青白フラッシュの標的になったこと、有利だった中途半端なアグロが姿を消したこと。この2点がジャンドにとっては致命的で、特に大きく構成を変えられない不器用さも相まって段々と数を減らしていきました。
その後に不利に追い込まれたデッキはリアニメイトです。
青白フラッシュの1つの特徴として、《瞬唱の魔道士》や《ルーン唱えの長槍》、《ムーアランドの憑依地》といった墓地利用が挙げられます。リアニメイトだけでない墓地攻撃の対象ができたことで、これを対策するために多くの白いデッキは墓地対策を強化し、この墓地対策の採用はその他多くのデッキにも広く伝わっていきました。《死儀礼のシャーマン》がメインボードで使用されるような時期が訪れたあたりでリアニメイトが持つ魅力は半減し、半ば巻き添えを喰った形でゆっくりと数を減らしていったのでした。サイドボードで確実にプランの変更を求められ、メインボードでさえも決定的でないのであれば仕方がない結末でしょう。決して弱いデッキではなかっただけに意外な退場でした。
こうして中速デッキが退場した後は、冒頭で述べたとおりです。極端に早い緑白アグロや赤単アグロと、翻って極端に遅いバントコントロールが環境に残りました。
次にこれらの残留したデッキにスポットライトを当ててみましょう。
4 《森/Forest(LRW)》 6 《平地》 4 《寺院の庭》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《魂の洞窟》 2 《ガヴォニーの居住区》 -土地(24)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 4 《教区の勇者》 4 《アヴァブルックの町長》 4 《管区の隊長》 4 《銀刃の聖騎士》 3 《修復の天使》 1 《スラーグ牙》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 1 《鷺群れのシガルダ》 -クリーチャー(29)- |
4 《怨恨》 3 《セレズニアの魔除け》 -呪文(7)- |
3 《スラーグ牙》 2 《ケンタウルスの癒し手》 2 《地の封印》 2 《獰猛さの勝利》 2 《原初の狩人、ガラク》 1 《天啓の光/Ray of Revelation(JUD)》 2 《安らかなる眠り》 1 《金輪際》 -サイドボード(15)- |
これが最速を目指した形の緑白アグロです。特に明確な速度勝負をする対象もいないので、サイドボード後は対戦相手に応じてギアを変えられるように幅広いマナコストのカードが散りばめられています。メインボードにおいて速度を意識している理由は、環境的な強さの追求と言うよりもデッキのポテンシャルを追求した結果だといえます。
《魂の洞窟》や、1マナから始まる人間シナジー、《スレイベンの守護者、サリア》は青白フラッシュとバントコントロールに対して有効で、マナベースには若干の不安が残るものの十分に強力な構成に組み上がっています。
一応、速攻に弱い青白フラッシュへの意識もありますが、バントコントロールに対しては十分すぎるほどの速度を有しているため、やや過剰とも取れる構成となっています。ただ、《至高の評決》次第でもあるゲーム展開を、スピードに特化することでよりゆらぎのない極端な形へと組み上げていると考えると納得の変化でしょう。
最後に取り上げるのは、最遅を目指したコントロール最後の希望であるバントコントロールです。
1 《平地》 1 《島》 3 《神聖なる泉》 4 《寺院の庭》 1 《草むした墓》 4 《氷河の城砦》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《内陸の湾港》 2 《魂の洞窟》 1 《ネファリアの溺墓》 1 《錬金術師の隠れ家》 -土地(26)- 1 《修復の天使》 4 《スラーグ牙》 -クリーチャー(5)- |
1 《終末》 4 《熟慮》 4 《雲散霧消/Dissipate(MIR)》 1 《材料集め》 1 《思考を築く者、ジェイス》 1 《月の賢者タミヨウ》 4 《遥か見》 2 《アゾリウスの魔除け》 1 《拘留の宝球》 4 《至高の評決》 4 《スフィンクスの啓示》 1 《不死の霊薬》 1 《真髄の針》 -呪文(29)- |
4 《ケンタウルスの癒し手》 2 《鷺群れのシガルダ》 2 《終末》 2 《払拭》 2 《否認》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 1 《拘留の宝球》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
以前の形は、大量に《静穏の天使》が搭載されていたりしたのですが、現在では環境に対して重すぎることから多くても1枚見られるかどうかといった構成が増えています。未だに決定力のあるカードなのですが、バントコントロールも最遅を目指す変化をし、そのコンセプトを固いものへと変えるなかでそぎ落とされたのです。
そのコンセプトとは、《スフィンクスの啓示》以外は常に軽く機能するカードで固めるというものです。勝利を目指すと言うよりは、とにかく負けないことに焦点を絞り、負けなければいつか勝つとした構築がされているのです。ゲームプランは非常に長く設定されているのですが、その他のデッキに置き去りにされないよう、その他がひたすらに勝利を目指す中でバントコントロールだけが同じ手数をもって負けないことに注力しているといった様相です。
このコンセプトを支えるためには、《スフィンクスの啓示》以外は全て防御手段あるいはそれにたどり着くカードで構成されるべきであり、実際に上で紹介したレシピはそのように構築されています。半ば対戦相手のギブアップ待ちに近いものがあります。
他のデッキとのマッチ相性に目を移すと、青白フラッシュとは《ムーアランドの憑依地》や《ルーン唱えの長槍》、緑白アグロとは《スレイベンの守護者、サリア》と、特定の1枚が重く響くマッチアップは多く見られます。ただ、雑多に存在するマイナーなデッキや、相手の初動が悪かったゲームを安定して拾うことができるだけのポテンシャルは持っているため、決してコンセプト面においても引けをとらない強力なデッキだと言えます。
以上の2つのアーキタイプを筆頭に青白フラッシュを中心として両極端に分かれた環境でした。どれもデッキの速度的には綺麗に住み分けがなされており、それぞれの間での相性差の関係が薄かったことから、この極端なバランスは長続きしないように思われましたが、事態は予想を裏切って長く続くこととなります。
基本的にメタゲームは、どこか速度の重なったデッキ同士の利害関係を中心に動き、より重くを目指したチキンレースや、重くなりすぎたデッキたちを咎める最速による奇襲などでバランスされるものです。ただ、この環境は両極端にそれぞれメジャーなデッキが存在し、それらの速度における関係を辛うじて繋ぎ止めるように中心にポツリと青白フラッシュが存在するのみで、各アーキタイプ同士の相性や相関図を語るには希薄すぎる環境だったのです。
それだけ各デッキのコンセプトが強固で、攻略に挑んだマイナーなデッキを退け続けた結果なのかも知れません。ただ、そのコンセプト面で多くのデッキに一歩劣るものが青白フラッシュだったため、この一時的なバランスはより不思議なものだといえます。
なぜ青白フラッシュが陥落しないのか。
この疑問を誰もが抱えつつ時間は進むのですが、青白フラッシュが完全に攻略されることはないままバランスは続きました。そんな状況の中で幾つかのグランプリが開催され、その理由は段々と明らかにされていくこととなりました。
青白フラッシュの立場を支えていた1つの理由として、青白フラッシュというデッキの構成の完成度が当時点で最も高かったことが挙げられるのです。他のデッキの構成が雑多で整理されておらず、おおまかなコンセプトだけが固定されている中で、青白フラッシュだけは、コンセプトの強弱にはかかわらず、コンセプトとデッキの構成共に環境初期とは思えないほどに整理されていました。
この整った構成こそが青白フラッシュの強みであり、なんとなく勝率が落ちずに環境の中で戦えていた要因です。コンセプト上のビハインドはあっても、デッキの構成の完成度では優っているため、事故や機能不全を起こした相手をわずかに差しきることが可能だったのです。
4. アンバランスの始まり
しかし、この取りこぼしを拾うことでの青白フラッシュの勝利はグランプリのような大規模トーナメントが開催されるたびに減っていき、ついにとあるデッキの参入によって不可思議な均衡は崩れることとなったのでした。
7 《沼/Swamp(10E)》 1 《山/Mountain(INV)》 4 《血の墓所》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《ラクドスのギルド門》 4 《魂の洞窟》 -土地(24)- 4 《戦墓のグール》 4 《墓所這い》 4 《悪名の騎士》 4 《ゲラルフの伝書使》 4 《ファルケンラスの貴種》 3 《地獄乗り》 3 《雷口のヘルカイト》 -クリーチャー(26)- |
4 《火柱》 4 《灼熱の槍》 1 《究極の価格》 1 《夜の犠牲》 -呪文(10)- |
4 《吸血鬼の夜鷲》 2 《士気溢れる徴集兵》 2 《死体焼却》 2 《脳食願望》 1 《地下世界の人脈》 1 《炬火の炎》 3 《忌むべき者のかがり火》 -サイドボード(15)- |
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それがラクドスミッドレンジです。マナサポートもなしに1マナ域から5マナ域まで万遍なく投入されたクリーチャー群が目立つこのデッキは、バントコントロールと青白フラッシュを否定するには十分なポテンシャルを持っていたのです。
どこかクリーチャー選択がかつてのキスキンを思い出させるマナカーブですが、あえて重く作られている点こそが以前から存在する黒赤ゾンビなどとの大きな違いです。青白フラッシュが柔軟だと評価されていた点は、アグレッシブにゲームを作りにいく選択肢と、《至高の評決》を軸にしたボードコントロールとして振る舞う選択肢をもっていたところにありました。緑白アグロなどは《至高の評決》を苦手にしており、コントロール側がアグロを制するための《スラーグ牙》に並ぶ象徴的な1枚だったのですが、このカードをラクドスミッドレンジはものともしないのです。
それは《墓所這い》、《ゲラルフの伝書使》、《ファルケンラスの貴種》、《地獄乗り》、《雷口のヘルカイト》といった除去耐性あるいは速攻能力を持ったクリーチャーが採用されていることが大きな要素になります。特に《ファルケンラスの貴種》は飛行によって《スラーグ牙》を避けてゲームを展開し、《修復の天使》をも乗り越え、除去耐性も持っており現環境をたった1枚で攻略してしまうほどのポテンシャルを秘めています。
マイナーなデッキから飛び出てくる《未練ある魂》さえも《雷口のヘルカイト》が撃ち落としてしまうという死角の無さも魅力です。緑白アグロ以外の2つに有利なこのラクドスミッドレンジの登場は、不自然にバランスされていた環境を再び動かすこととなりました。
わかりやすく数を減らしたのは青白フラッシュでした。バランスされていた当時で既に対策されており、なおかつラクドスミッドレンジという明確に不利な要素が登場すれば已む無しなのかもしれません。環境のデッキが極端さを求められている中で、柔軟性を武器にした青白フラッシュはどこか環境の動きに背いているデッキの1つであり、環境がバランスされている段階ですでに不自然に多く存在していた状況だったように思えます。
逆に数を増やしたのは緑白アグロを筆頭にした最速組です。ラクドスミッドレンジは粘り強さを重視し、コントロールをアンチした取捨選択がされていた分だけアグロへの意識は薄まっていました。そのため、ラクドスミッドレンジの参入はアグロにとっては喜ばしいことでした。
ただ、ラクドスミッドレンジの参入を心待ちにしていたのはアグロたちだけではありません。
青白フラッシュの登場によってメタゲームのメインストリームからはじき出されたデッキたちを覚えているでしょうか。青白フラッシュの衰退は彼らのカムバックを意味します。特にラクドスミッドレンジや最速のアグロを意識した緑白系のコントロールなどはその代表格だといえるでしょう。
2 《平地》 1 《山/Mountain(INV)》 2 《森/Forest(LRW)》 4 《寺院の庭》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《根縛りの岩山》 4 《魂の洞窟》 2 《ケッシグの狼の地》 -土地(23)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 4 《国境地帯のレインジャー》 4 《ケンタウルスの癒し手》 4 《修復の天使》 3 《高原の狩りの達人》 4 《スラーグ牙》 3 《静穏の天使》 -クリーチャー(26)- |
2 《忌むべき者のかがり火》 4 《遥か見》 2 《原初の狩人、ガラク》 3 《セレズニアの魔除け》 -呪文(11)- |
4 《ロクソドンの強打者》 2 《忌まわしきものの処刑者》 1 《高原の狩りの達人》 2 《鷺群れのシガルダ》 3 《安らかなる眠り》 2 《忘却の輪》 1 《原初の狩人、ガラク》 -サイドボード(15)- |
この懐かしさすら覚えるナヤカラー(緑白赤)のコントロールなどは、アグロとラクドスミッドレンジを意識した作りとなっています。《魂の洞窟》などのおかげで青白フラッシュとも悪くないゲームはできそうですが、かつてバランスされた環境においては中途半端さは拭えなかったデッキの1つでしょう。
このようなナヤの亜種が流行したことや、墓地利用デッキが減ったことで、やや墓地対策のガードが下がった流れを狙ったリアニメイトも静かに復権を狙っています。
4 《神聖なる泉》 4 《寺院の庭》 2 《草むした墓》 3 《氷河の城砦》 1 《水没した地下墓地》 2 《陽花弁の木立ち》 1 《孤立した礼拝堂》 4 《内陸の湾港》 2 《魂の洞窟》 -土地(23)- 4 《ボーラスの占い師》 4 《ケンタウルスの癒し手》 4 《修復の天使》 4 《スラーグ牙》 2 《静穏の天使》 1 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(19)- |
4 《遥か見》 4 《根囲い》 4 《禁忌の錬金術》 4 《堀葬の儀式》 2 《至高の評決》 -呪文(18)- |
2 《魂の洞窟》 3 《死儀礼のシャーマン》 1 《邪悪な双子》 1 《酸のスライム》 1 《静穏の天使》 2 《究極の価格》 1 《突然の衰微》 2 《拘留の宝球》 2 《至高の評決》 -サイドボード(15)- |
前回の記事の終わりで紹介した青リアニと呼ばれるタイプのデッキです。サイドボードからの墓地対策を、コントロールにシフトすることで避けることが強みでしたが、上のレシピではそれをより強く演出しています。その鍵となっているのは《ボーラスの占い師》です。メインボードはアグロへの足止めと潤滑油ですが、サイドボード後には変形サイドボードの構成上の負担を抑えてくれるという効果を発揮する絶妙な1枚です。上のレシピでは4枚採用されており、その枚数はやや疑問ではあるものの、それだけ魅力がある工夫であることは確かです。
また、異なるリアニメイトとしてはこのような形もあります。
2 《神聖なる泉》 4 《寺院の庭》 4 《蒸気孔》 4 《根縛りの岩山》 1 《硫黄の滝》 2 《断崖の避難所》 4 《内陸の湾港》 2 《魂の洞窟》 -土地(23)- 4 《ベラドンナの行商人》 1 《甲冑のスカーブ》 4 《イゼットの静電術師》 1 《黄金夜の指揮官》 4 《高原の狩りの達人》 1 《士気溢れる徴集兵》 4 《栄光の目覚めの天使》 -クリーチャー(19)- |
4 《信仰無き物あさり》 3 《慢性的な水害》 4 《根囲い》 3 《イゼットの魔除け》 4 《堀葬の儀式》 -呪文(18)- |
3 《大聖堂の聖別者》 4 《ロクソドンの強打者》 1 《黄金夜の指揮官》 1 《クローン》 1 《士気溢れる徴集兵》 1 《孔蹄のビヒモス》 1 《墓場の浄化》 1 《戦慄の感覚》 2 《天啓の光》 -サイドボード(15)- |
これは人間型のリアニで《イゼットの静電術師》と《ベラドンナの行商人》のコンボを採用しています。《栄光の目覚めの天使》によって墓地に落とした人間を一気に場に戻すことで、《黄金夜の指揮官》による強化での大ダメージや、前述した2枚によるピンガーコンボでコントロールすることを目的にしています。
このコンボチックな戦略はバントコントロール以外には効果的で、特に除去のない緑白系には理想的なゲームを展開できます。かつての一般的なリアニメイトは《スレイベンの守護者、サリア》を苦手にしていましたが、この人間型では《イゼットの静電術師》と《イゼットの魔除け》のお陰でいくらか緩和されている点も見逃せない魅力の1つです。
ラクドスミッドレンジが環境にもたらした変化は、さらなる変化を呼び、今では多種多様の新しいデッキがメタゲームへと参入しています。そして現在のメタゲームの簡略図は、最速を目指したアグロとラクドスミッドレンジは緑白系のコントロールを苦手にし、緑白系のコントロールは最遅のバントコントロールに分が悪いという構図です。
このように互いに後ろを追いかけ合う構図が成立し、メタゲームは再び動き始めたのでした。
5. まとめとこれから
11月最終週では緑白系コントロールが支配的となりましたが、その推移への回答は既に目の前に用意されています。どこで再びバランスが取られるのか、それともこのまま転がり続けるのか。週末に迎える「グランプリ名古屋2012」では、このサイクルのどの局面が見られるのでしょうか。
見かけ上のバランスに惑わされ、アンバランスな現在を迎えた転がり続ける環境への理想的な回答を目にできることを祈って、今回はここで筆を置かせてもらいます。それではまた次回に会いましょう。