5月2日(金)発売の新セット、『ニクスへの旅』。
読者諸兄はもう既にカードリストには目を通されたことだろう。
お気に入りのカードは見つかっただろうか?カードの予約はお済みだろうか?
今回もhappymtgでは『神々の軍勢』に引き続き、『MTGSHOP 晴れる屋』が設定した『ニクスへの旅』のカードの初動価格について、豪華3名のレビュアーに「高い/妥当/安い」といった判断をしてもらう。
とりわけ、自分が「安い」と判断したカードが1~2か月後に暴騰したりするとかなり恥ずかしい。
はたしてレビュアーたちは、一見しただけでカードの強さを正確に見極めることができるのか。
それでは、今回のレビュアーを紹介しよう。
・ 津村 健志
4月から晴れる屋に入社した、言わずと知れた殿堂プレイヤー。
今後は”Hareruya Pros”としてプロツアーやグランプリで精力的に活動していくとのこと。
最近ではニコニコ生放送で「津村健志のゴキゲン!MO生活」という配信も始めたとか。
・ 齋藤 友晴
前回に引き続き、「MTGSHOP 晴れる屋」の店主がレビュアーに名乗りを上げた。
プロプレイヤーとしての経験に加えてショップオーナー独自の目線と、トレーダーとしての確かな評価眼をあわせ持っているため、今回も信頼できる意見をくれそうだ。
津村同様、”Hareruya Pros”としての今後の活動にも注目したい。
・ 冨澤 晋
プレイヤーとしてはレガシーのエルフ使いとして強豪に名を連ねる彼だが、例えプレイヤーとしての彼を知らないとしても、晴れる屋のツイートなどでこの顔を見たことがあるという方も多いのではなかろうか。
そう、プレイヤーとしての姿は仮の姿。彼の正体は、晴れる屋専属の
クソコラを生かしたアクロバティックなコメントに期待だ。
……以上3名が今回のレビュアーとなる。強者、曲者を取り揃えた完璧な布陣だ。
はたして彼らのカード評価はいかに。
それでは『ニクスへの旅』に、さあ出かけよう。
※記事内に掲載した価格は初動価格となりますので、現在の価格とは異なる場合があります
神送り/Godsend
・ 津村の意見
「高いですね。まず僕は『装備品』というものが嫌いです。それに、3マナで出してからさらに3マナでやっとこさ装備して、修正値は《ヴァルショクの戦具》なのに、各種『剣』と違って通ったときのボーナスがないというのはちょっと……やはり攻撃を通せないくらいのプレッシャーが欲しいところですね。現実的なコメントをすると、構築で使われるにはちょっと能力が弱いかな……と思います」
「ただ、セット内で一番絵が格好良いのは間違いないですね。絵とフレーバーは格好いいので、Foilになると需要はありそうですね」
・ 齋藤の意見
「高いよ。まず今回、『ニクスへの旅』のカードの値付けに関しては、担当スタッフに『安めにして』って、サービス寄りにしてってお願いしたんだよね。なのにこの値段は何だよ!w そもそもこんなの装備したって《太陽の勇者、エルズペス》のトークンを越えられないじゃん!あとは名前が気に食わない。『神送り』って、武器の名前としておかしくない?剣なんだから『~の剣』とか付けてよ!」
「ただ一応評価できる点も挙げておくと、《寄せ餌》持ちクリーチャーに持たせたら強いかな。それとテーロス的には『信心』が2個稼げるのは割と良いね。《ニクスの祭殿、ニクソス》を絡めれば装備コストの重さも気にならないかもしれない。でもいずれも活躍する場面が限定的だし、せいぜい1200円くらいの強さかなぁ」
・ 冨澤の意見
「これは妥当。能力にはそんなに期待してないが、とにかく格好良い。この俺の伊達ワルコーデによく似合う」
饗宴の主/Master of the Feast
・ 津村の意見
「妥当なところだと思います。引かせるタイミングが『あなたのアップキープ』なので、ソーサリー除去だとデメリットにならないのは評価できますね。あとはさりげなくエンチャントなので、《結界師ズアー》から出せるというのは覚えておいた方がいいポイントかもしれません。ただ、僕はカードを引くのが誰よりも好きなので、相手に引かせるなんてもっての他ですけどね。《概念泥棒》とセットじゃないと使わないと思います」
・ 齋藤の意見
「これは妥当かな。多くの人がワクワクするカードだし、前回も話に出たけど、日本人は黒好きが多いので。このカードがガチレベルで見てどうかっていうと、デメリットを緩和するだけの使い道があれば、というところだけど、単純に思いつくところとしては、《パーフォロスの槌》で《冒涜の悪魔》をはじめとしたマナレシオが良いクリーチャーと合わせて『速攻』を持たせて投げつけるみたいなのは考えられるね」
「そもそも《年季奉公のジン》だってトーナメントで一瞬使われたりしたわけだから、これくらいのデメリットは意外と平気なのかもしれない。《地下世界の人脈》で一方的にカードを引かれてても勝てるゲームはあるわけだし、相手のデッキや自分が使うデッキによっては頼もしいフィニッシャーになりうるかもしれない」
・ 冨澤の意見
「饗宴の主をうまく使う方法
・相手のクリーチャーを除去する
・ハンデスで安全確認をする
・相手のクリーチャーを除去する
そしてとどめにデュレスすれば妥当」
「それにそもそも相手のデッキにこれを対処するカードが入っていなければ何枚引かれても関係がないので、アグレッシブサイドに向いている。サイドから除去を抜ききってるといくら引いても対処できないし、例えばレガシーだとANTがサイド後1ターン目《暗黒の儀式》からプレイするとかは面白そうだ」
最悪の恐怖/Worst Fears
・ 津村の意見
「安いと思いますよ。単純に僕が《精神隷属器》を好きというのもありますが、やっぱり『相手のターンを得る』というインパクトはすごいです。きっと楽しいことが色々起こるでしょう。何より、これを撃てば黒単でも相手の《霊異種》を殺せるんですよ!」
・ 齋藤の意見
「妥当かな。スタンダードではまあ弱いだろうし。《静穏の天使》が全然使われなくなってる環境で8マナのカードがそんなに使われる理由がないからね。カウンターもハンデスもぶっ刺さるし、追放されちゃうので回収して無限スレイバーみたいな悪さができないのもマイナスポイント」
「ただカジュアル的には人気ありそうだし、神話レアでしかも他にない効果だから、総合的にはまあこんなもんじゃないのかな」
・ 冨澤の意見
「ウホッ、いいスペル…。これは安い。神話レアなのでもし使われたときには《波使い》みたいに高騰する期待が持てる。この値段なら最初に買っておいていいんじゃないか」
大歓楽の精霊/Eidolon of the Great Revel
・ 津村の意見
「これは安いでしょう。除去しようとすると概ね2点飛びますし、下の環境だとストームやエルフなどのコンボも止まるので、かなり強いと思います。ダブルシンボルは『信心』的にもナイスですね」
・ 齋藤の意見
「妥当だね。確かにすごく強いカードなんだけど、レガシーやモダンでも強い効果の割にコストが赤赤というのは、赤という色自体が弱いので、入るデッキが少ないと思う。それにスタンダードでは返しで《思考を築く者、ジェイス》出されたらどうなってしまうのかとか、そもそもクリーチャー出されたらビタ止まりとか、不安な要素は尽きないね」
・ 冨澤の意見
「これは安いと思うねぃっ!イキのいいピッチピチした奴らを出しまくるデッキに『へイ、ラッシャイ!』って出してぇな!」
予言の炎語り/Prophetic Flamespeaker
・ 津村の意見
「安い!カードを2枚も引ける(編注:引けません)なんて、素晴らしすぎる!出された相手の立場に立ってみても、『二段攻撃』と『トランプル』というのはコンバットトリックを合わせられたときのリスクが大きいので、殴られるとものすごくブロックしづらいから、なんだかんだで結構攻撃が通るんじゃないかと思いますよ」
・ 齋藤の意見
「安すぎでしょ!誰が値段つけたんだこれ(笑) 赤らしい凶暴さや危険性を備えている上にアドバンテージまで取れてしまうカード。コストも現実的だし、出されたらプレッシャー半端ないと思うよ。3000円を超える可能性すらあるカードだと思う。今はまだぴったりフィットするデッキがないだけで、『神々の軍勢』が出た当初の《クルフィックスの狩猟者》みたいなものじゃないかな。是非使ってみたい1枚だね」
・ 冨澤の意見
「安い。ヴィンテージという環境を利用して闘うのにピッタリだ」
英雄の導師、アジャニ/Ajani, Mentor of Heroes
・ 津村の意見
「高いですね。《荒ぶる波濤、キオーラ》だろうが《ラル・ザレック》だろうがプレインズウォーカーといえば全部大好きで優しめに評価する僕が見てもきつい。まず5マナという重さ、そして1番強い効果はクリーチャーがいないと機能しない場に依存する能力であるということ。このカードで2個目の能力使ってる段階で終わってると思いますね。おまけに奥義の弱さ。他のプレインズウォーカーは大抵奥義で勝てるのに、100点って手抜きか!まあでも一応エンチャント探せるんで、呪禁オーラには入るかもしれないですね」
・ 齋藤の意見
「高いでしょ。こんな値段だと『ぼれる屋』って呼ばれちゃうよ!(笑) カードの能力的には結構強いと思うけど、よほどの強さじゃないとこの値段にはならないね。白緑2色縛りでかつクリーチャーがいっぱいいないと弱いということを考えると、1000円くらい高いかな。ただ、さっき挙がった《予言の炎語り》と組み合わせると強いかもね。あとプレインズウォーカーだから当たり前だけど、《至高の評決》に対しては強いね」
・ 冨澤の意見
「高い。奥義の100点という数字を見るたびに、いつかのGPで北山さんが浅原さんと当たったとき、無限ライフコンボ決まってるのに『100点ゲイン』としか宣言しなくて、その後ぐだって結局100点削りきられて負けてしまったというエピソードを思い出す」
通行の神、エイスリオス/Athreos, God of Passage
・ 津村の意見
「高いです。端的にいうと、『タッサを見習ってくれ』w ただ白黒っていう色の組み合わせは白も黒も『信心』を稼ぎやすいので、そういう意味では活躍する機会は多いかもしれない。それでも、前のめりなデッキじゃないと3点ルーズの選択肢を板挟みとして迫っていけないので、使うデッキが限定されているという残念感がどうにも拭えないですね。安易ですが、とりあえず白いビートダウンに入れるのが一番良いのかなーって思います」
・ 齋藤の意見
「高いよ。理由は大体津村さんと同じ。お、よく考えたらレガシーのSamblackデッキ……とは特に噛まないな。《恐血鬼》とか《墓所這い》とか手札に戻ってきて欲しくないし。3マナだからそんなに求めちゃいけないんだろうけど」
・ 冨澤の意見
「高いと思いますが、3マナの強力な能力持ちの神ってそれだけで特別な気分に浸れて僕は好きです」
勝利の神、イロアス/Iroas, God of Victory
・ 津村の意見
「妥当だと思います。今回の神だと、《嵐の神、ケラノス》かこいつがイチオシですね。色的に攻めっ気が強くてかつパーマネント色で《ボロスの反攻者》もある上に、白赤は4マナ域がちょうど空いてそうですし。赤白のミッドレンジが出来るかもしれませんね。《岩への繋ぎ止め》で『信心』を稼ぐみたいな」
・ 齋藤の意見
「安い!(おもむろにデッキを作り始める)」
11 《山》 4 《聖なる鋳造所》 4 《凱旋の神殿》 3 《ボロスのギルド門》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(25)- 4 《炎樹族の使者》 4 《灰の盲信者》 3 《凍結燃焼の奇魔》 4 《ボロスの反攻者》 4 《予言の炎語り》 3 《勝利の神、イロアス》 2 《鍛冶の神、パーフォロス》 2 《嵐の息吹のドラゴン》 1 《戦導者オレリア》 -クリーチャー(16)- | 3 《岩への繋ぎ止め》 2 《ドラゴンのマントル》 2 《軍団の戦略》 1 《パーフォロスの槌》 -呪文(8)- | -サイドボード(0)- |
・ 冨澤の意見
「答:妥当。
ポーズが被ってるのだけが許せない」
嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms
・ 津村の意見
「高い。カードが引けるという意味で一番能力が好きな神なんだけど、青赤は顕現させるためにパーマネントを揃えるのがしんどい色 ですし、あと《勝利の神、イロアス》よりは弱いだろうというところなのに同じ値段というのはちょっと。ただ、もしかしたら青単信心タッチ赤とかできるかもしれませんね。単体でこれだけいろいろやってくれるカードはフィニッシャーとして悪くないですし」
・ 齋藤の意見
「妥当。書いてあることはただ強い。単体でアドバンテージ取れるし、顕現したら強すぎだし。ただ5マナだからオーバーキル感があるので、この値段かなというところ。4枚は絶対は入らないしね。一応『信心』系だけじゃなくてコントロールのメインかサイドに除去されにくいフィニッシャーとして採用できるのは評価に値する。追加の《思考を築く者、ジェイス》みたいなカードとして使えるから、安い寄りの妥当かな」
・ 冨澤の意見
「ケラノスくん ダメなんだよ……! そういうのが実にダメ……!
せっかく土地を引こうが相手のターンだろうが何でも3点与えてスカッとしようって時に…… その妥協は傷ましすぎる……!
というわけで妥当。」
苦悶の神、ファリカ/Pharika, God of Affliction
・ 津村の意見
「安いでしょう。他の神に比べて圧倒的に安い。個人的にはテーロスブロック構築にようやく来た墓地対策というところですが、そういった視点を差し引いてもお買い得なんじゃないかなーと。能力はちょっと使いづらいけど息切れ防止になるし、緑黒は占術土地も出てこれから時代が来ると思うので、がんばれファリカ!」
・ 齋藤の意見
「安い……安いよー……(ため息) 《通行の神、エイスリオス》と比べてこっちの方が強くない?ただまああんまりコメントすると今回値段をつけたスタッフが登校拒否になってしまうので(笑) モダンで墓地を肥やす《復讐蔦》系のデッキとも噛み合いそうだし、スタンにも《ゴルガリの死者の王、ジャラド》が入ったリアニがあるくらいだし、《ボロスの反攻者》みたいにお手軽に『信心』を稼げるクリーチャーがいない色とはいえ、それでも強いと思うよ」
・ 冨澤の意見
「お前は根性なしだ、ファリカ……相手の墓地をリムーブしたら相手にトークンが出るとかただの根性なしじゃねぇか 根性なしのくせに何が全国制覇だっ! 夢見させるようなこと言うなあっ!……でも安いと思います」
マナの合流点/Mana Confluence
・ 津村の意見
「高いですね。僕はいつもコントロールデッキの視点でカードを見るのですが、このご時世にマナを出すのに毎回1点は払えないでしょう。デッキを組もうと思ったときに入れるかって考えたらなかなか入れるに至らないですし。今はスタンの土地は充実しているから、ローテーション後に期待ですね。ただ絵は超絶綺麗です。《神送り》の次くらいに綺麗ですね」
・ 齋藤の意見
「妥当。このカードの出現によって2色以上の軽量ビートが組みやすくなったね。『神々の軍勢』まではミッドレンジかコントロールばかりで占術土地は入れ得みたいな環境だったけれど、1マナパワー2からの《とげの道化/Spike Jester(DGM)》みたいな、1→2→3と展開できる2色ビートは、相手が攻めてこないメタなら有効なんじゃないかと思う。また、モダンやレガシーではこれが入ることで5色土地の種類が増えた、という見方もある。総じて、ノーマルレアとはいえこの値段は妥当なところだと思うよ」
・ 冨澤の意見
「いつからだ…?
ショックランドをタップインで出すようになったのは、一体いつからだ
多色土地が充実してきてダメージを食らわなくなり、軽く強くなったクリーチャーに
ビビッて、ライフを支払わなくなったのは?
そんなんじゃねェだろ!!オレが求めた多色土地の極みは
敗色濃い難敵にこそ、全霊を以てライフを支払う事!!なので妥当」
いかがだっただろうか。
このレビューが、読者の方々がカードを購入する際に判断の参考になれば幸いだ。
最後に、例によってレビュアーの3名にそれぞれの個人的なオススメのカードを聞いておこう。
・ 津村のオススメ
「新キーワード能力である『奮励』との相性はもちろん、《呪詛》や《オレリアの憤怒》などなど、噛み合うカードはかなり多いこのカードが僕のイチオシです。200~300円なら買っておいていいかも」
・ 齋藤のオススメ
「普通にスタンダードで一線級の《管区の隊長》《オレスコスの王、ブリマーズ》《太陽の勇者、エルズペス》といったカードと噛んでて、しかもこのカードも含めて全部ダブルシンボルだし、ついに白信心に現実味が出てきたかも。《太陽の神、ヘリオッド》から出たトークンや《変わり谷》も化け物クラスに変身するので、デッキを作ってみたい1枚だね」
・ 冨澤のオススメ
「クソコラで使いやすそう」
それでは、良い『ニクスへの旅』ライフを!