RUGデルバーを選んだ4つの理由

井川 良彦

井川 良彦



 こんにちは、井川です。

 久しぶりの、『レガシーMADデッキ開発室』!!

 ……なんてことはありません。楽しみにしていただいている方、ごめんなさい!


 先日開催されたBIGMAGIC OPEN レガシーで、4位入賞することができました!

 なぜRUGデルバーを使ったのか。
 「久しぶりのレガシーだったので、使い慣れているものを。」とトップ8プロフィールには書きましたが、もちろんそれだけではありません。RUGデルバーでないといけない理由がそこにはありました。

 ということで、RUGデルバーを選んだ理由を、RUGデルバーと今流行りのURデルバーとを比較しながら話していきたいと思います。

 RUGデルバーというデッキタイプの細かい解説については、こちらのコラムを読んでいただければ。
 ・のぶおの部屋 -第1回 RUGデルバー(前編)-
 ・のぶおの部屋 -第1回 RUGデルバー(後編)-

 なお、自信満々にこれから語っていきますが、普段レガシーはほとんどプレイしていないので間違っている可能性は大いにあります。
 ご指摘があれば、コメント欄等で教えてください!(笑)



1.今こそ《もみ消し》《敏捷なマングース》

 RUGデルバーを選んだ理由の1つ目。それは《もみ消し》《敏捷なマングース》を使えるのがRUGデルバーだけだからです。

 『タルキール覇王譚』で生み出された、新世代の《Ancestral Recall》とスーパー《衝動》

宝船の巡航時を越えた探索


 この2種類の「探査」スペルは、レガシーでも猛威を振るっています。

 とはいえ「探査」もただではなく、墓地を肥やす必要があります。ですので最近は「探査」のコストを稼ぐために、これまで以上にフェッチランドが多めに採用される傾向があります。(例:URデルバーは土地17枚、フェッチ10枚)

 フェッチランドが多用されているときに強いカード。

 といえば、1マナの《石の雨》《もみ消し》

もみ消し



 《宝船の巡航》《時を越えた探索》をプレイできたとしても、それで引いたカードを使うだけのマナ/時間(ライフ)がなければ意味がありません。

 なので《もみ消し》《不毛の大地》で土地を攻め、時間を稼いでいる間にライフを攻め、相手が「ドローを打つ余裕がない」もしくは「ドローしても手札を使いきれない」状態を作れるようにするべきだ。僕はそう思いました。

 また、《敏捷なマングース》はそもそも対処方法が限られており、カードを引き増しても対処できないパターンが多いので、非常に強力です。

 これらのことから、《もみ消し》《敏捷なマングース》を一番強く使えるRUGデルバーが魅力的に感じました。


 今こそ<もみ消し>と<敏捷なマングース>が強い!



2.《宝船の巡航》《敏捷なマングース》を超えない

 しかしここで重大な問題が生じます。《敏捷なマングース》は「スレッショルド」を持っているのですが、この能力は「探査」と極めて相性が悪いのです。これはすなわち、今流行の《宝船の巡航》《敏捷なマングース》は両立しないということを意味しています。

 《宝船の巡航》《敏捷なマングース》、どちらを取るか。現代の《Ancestral Recall》の方が、こんなちっぽけな生物より強いと皆さんはお思いでしょう。ですが僕は他の人たちが悠々と宝船に乗る中、かわいい哺乳類と戦うことにしました。
 
 その理由は、デルバー系のデッキが目指すべき戦略と《宝船の巡航》の相性の悪さです。

 UWRデルバーやデスブレードのように《殴打頭蓋》という明確なゴールがあるデッキの3ドローは、引く土地すら無駄にならないので強いのは分かります。

 しかし、そもそもURデルバーやBUGデルバー、RUGデルバー(《敏捷なマングース》無し)の《宝船の巡航》は本当に「デッキの方向性に合った」カードなのでしょうか。

 まず基本的な話になりますが、デルバー系のデッキが一番強いのは「最序盤~序盤」です。《秘密を掘り下げる者》という低マナ域最強のクリーチャーを軸にマウントを取りながら、相手のアクションを《目くらまし》《Force of Will》で捌きながら戦うデッキだからです。

秘密を掘り下げる者目くらまし


 なので、《不毛の大地》《もみ消し》のようなマナ否定で土地を伸ばさせなかったり、相手の有効なアクションを落として実質的に時間を稼いだりと、自分が優位に立てる「序盤」をできるだけ長くする工夫をしているのです。

 「カード1枚1枚のカードパワーで勝てないので、相手とのテンポ差で勝つ。こちらが勝つとき、相手は手札を使い切れていない。」

 これがデルバー系のデッキが目指すところなのです。

 「1マナ3ドロー」がカードとして弱いわけがありません。ですが、デッキに合っているかはまた別の問題なのです。入っているカードのほとんどは1-2マナ、中には賞味期限が短いものも多く、後半引いても強いカードはほとんど入ってないといっても過言ではありません。3ドローして《思案》《目くらまし》、土地。本当にその3ドローは強いのでしょうか。

 《宝船の巡航》をプレイしてターンを伸ばすのではなく、《不毛の大地》《もみ消し》で時間を稼いで、《敏捷なマングース》《タルモゴイフ》でゲームのターン数自体を短くする方がいい。


 ドローカードをプレイしている暇があるなら、その間に殴って勝て!



3.URデルバー対RUGデルバー、勝つのはどっち?

 デッキ単体だけでなく、トーナメント視点でも見ていきましょう。

 BMOほどの大規模トーナメントでは、比較的メタゲームに沿った分布になることが予想されます。なので今流行しているURデルバーやデスブレード、スニークショー、そして古典的なRUGデルバーも結構いるだろうと考えました。

 ということは、何を使うにせよ優勝するためにはURデルバーを乗り越える必要があるということです。

 その点、RUGデルバーはURデルバーに有利に戦えるデッキなのです。

 URデルバーとRUGデルバーの最大の違い、それはクリーチャーの質です。

 基本的には同じようなカードで構成されているので、クリーチャーをカウンターし、出たものを除去し、という消耗戦になります。URデルバーの戦力―《秘密を掘り下げる者》《僧院の速槍》《若き紅蓮術士》はRUGデルバーは対処することができます。ですが、RUGデルバーの《敏捷なマングース》《タルモゴイフ》は、URデルバーでは除去できない、もしくは除去するのに多くのリソースを必要とするのです。

敏捷なマングースタルモゴイフ


 もちろんURデルバー側が《宝船の巡航》からの《若き紅蓮術士》という圧倒的なアドバンテージ差で勝つこともあります。しかし引いてもそもそも対処できるカードが入っていないので、《タルモゴイフ》《敏捷なマングース》が更地に降り立つだけで有利だったり、《不毛の大地》《もみ消し》でのイージーウィンのことを考えるとRUGデルバーに有利がつくでしょう。


 2つのデッキで悩んだら、直接対決で有利な方を使え!



4.テンポデッキならコンボに負けるな!

 そしてこれがURデルバーではなくRUGデルバーを選んだ最大の理由です。

 BMOや今週末に行われるエタフェスだと、想定される予選ラウンドは9回戦。コンボデッキに当たる可能性は大です。

実物提示教育再活性


 そしてスニークショーやリアニメイトのように《Force of Will》を搭載しているコンボデッキのことを考えると、《Force of Will》1枚だけでは勝てません。

 《呪文貫き》のような軽いカウンターや《思考囲い》《Hymn to Tourach》のような手札破壊。相手の使えるマナを減らすことにより、自分の殴れる(有利な)ターンを伸ばせる《不毛の大地》《もみ消し》といったマナ否定。これらの枚数を削っているのは、コンボデッキに勝つことを放棄しているのと等しいと思っています。


 そしてそれは、大型トーナメントで勝ち抜くのを放棄するのと同義だと思います。

 なぜジャンドがそこまでレガシーで勝っていないのか。それはどこまでいってもコンボデッキに有利がつかないからでしょう。そしてそれはURデルバーも同じです。

 《秘密を掘り下げる者》《Force of Will》を使うなら、コンボデッキ相手に落とすのはもったいない。


 コンボに勝てないクロック・パーミッションに価値なし!!



5.結論:RUGデルバー!

 ということで、僕はURデルバーではなくRUGデルバーを選びました。

 結果は以下の通りです。

ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 1ベルチャー  ○×○
Round 2オムニテル  ○○
Round 3リアニメイト  ○○
Round 44色デルバー  ○○
Round 5ジャンド  ○××
Round 6デスブレード  ×○○
Round 7URデルバー  ×○○
Round 8オムニテル  ○○
Round 9バント石鍛冶  ○○
QFオムニテル
テキストカバレージは【こちら】
  ×○○
SFデスブレード
ビデオカバレージは【こちら】
  ××



 準決勝でミスって負けてしまいましたが、トップ4まで勝ち残ることができました!

 僕の成績の話だけすると「一日通して非常に運が良かった」という点が大きいのは正直なところです。
 ですが、BMOレガシー・BoMトライアルと2つの大会のトップ8計16人で、RUGデルバーは4人、URデルバーは0人という結果も合わせてみると、RUGデルバーを選んだのは正解だったと思います。





 最後に、BMが誇るプラチナプロ・瀬畑くんこと市川さん、ボルト算マスターつっちーこと土屋さん、そして僕と3者3様のリストがトップ8に残りましたので、少しだけ違いを見ていきましょう。(辻河さんのリストは市川さんの75枚コピーなので省略します)。





市川 ユウキ「RUGデルバー」
BMOレガシー(準優勝)

3 《Tropical Island》
3 《Volcanic Island》
4 《霧深い雨林》
4 《沸騰する小湖》
4 《不毛の大地》

-土地(18)-

4 《秘密を掘り下げる者》
4 《敏捷なマングース》
4 《タルモゴイフ》

-クリーチャー(12)-
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《もみ消し》
4 《稲妻》
2 《呪文貫き》
2 《呪文嵌め》
1 《死亡+退場》
1 《二股の稲妻》
4 《目くらまし》
4 《Force of Will》

-呪文(30)-
3 《水没》
3 《硫黄の渦》
2 《赤霊破》
2 《乱暴+転落》
1 《呪文貫き》
1 《破壊的な享楽》
1 《二股の稲妻》
1 《墓掘りの檻》
1 《真髄の針》

-サイドボード(15)-
hareruya








井川 良彦「RUGデルバー」
BMOレガシー(3位)

3 《Tropical Island》
3 《Volcanic Island》
4 《汚染された三角州》
4 《沸騰する小湖》
4 《不毛の大地》

-土地(18)-

4 《秘密を掘り下げる者》
4 《敏捷なマングース》
4 《タルモゴイフ》

-クリーチャー(12)-
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《もみ消し》
4 《稲妻》
3 《呪文貫き》
1 《呪文嵌め》
1 《二股の稲妻》
1 《四肢切断》
4 《目くらまし》
4 《Force of Will》

-呪文(30)-
3 《水没》
3 《紅蓮破》
2 《乱暴+転落》
2 《墓掘りの檻》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
1 《古えの遺恨》
1 《破壊的な享楽》
1 《硫黄の渦》
1 《無のロッド》

-サイドボード(15)-
hareruya








土屋 洋紀「RUGデルバー」
Bazaar of Moxen Trial(準優勝)

3 《Tropical Island》
3 《Volcanic Island》
3 《汚染された三角州》
3 《沸騰する小湖》
2 《樹木茂る山麓》
4 《不毛の大地》

-土地(18)-

4 《秘密を掘り下げる者》
4 《敏捷なマングース》
4 《タルモゴイフ》

-クリーチャー(12)-
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《もみ消し》
4 《稲妻》
2 《呪文貫き》
2 《呪文嵌め》
2 《二股の稲妻》
4 《目くらまし》
4 《Force of Will》

-呪文(30)-
3 《水没》
2 《紅蓮破》
2 《乱暴+転落》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
1 《被覆》
1 《赤霊破》
1 《古えの遺恨》
1 《森の知恵》
1 《硫黄の渦》
1 《墓掘りの檻》
1 《真髄の針》

-サイドボード(15)-
hareruya




■共通点

 メインを見てみると、クリーチャー12枚、スペル28枚。土地はデュアルランド各3枚にフェッチが8枚、そして《不毛の大地》4枚というところは全員が共通しています。これはRUGデルバーの基本の構成ともいえるものであり、基本こそ最高ということでしょう。

 また、全員が《もみ消し》を4枚入れているところにも注目。先述したように、《宝船の巡航》が流行る→フェッチランドが強い→《もみ消し》が強い、という流れはやはりこのリストからも読み取ることができます。


■相違点

・追加のカウンターは?


2 《呪文貫き》、2 《呪文嵌め》 (市川・土屋)
3 《呪文貫き》、1 《呪文嵌め》 (井川)


呪文貫き呪文嵌め


 4 《Force of Will》、4 《目くらまし》、4 《もみ消し》は全員共通。
 市川さんはサイドに1 《呪文貫き》、土屋さんは1 《被覆》を採用しています。井川はなし。

 サイドボード枚数の余裕にもよりますが、ミラーマッチ(キーカードである《タルモゴイフ》と1対1交換できる数少ないカードです)や《石鍛冶の神秘家》が増えるなら、《呪文嵌め》メイン2がよさそうです。


・追加の除去は?

2 《二股の稲妻》 (土屋)
1 《二股の稲妻》、1 《死亡+退場》 (市川)
1 《二股の稲妻》、1 《四肢切断》 (井川)


二股の稲妻死亡+退場四肢切断


 除去は同じ「4 《稲妻》+2枚」ですが、その追加2枚にはそれぞれの意図を読み取ることができます。

 《若き紅蓮術士》キラーである《二股の稲妻》を2枚採用した土屋さんが一番URデルバーを意識しています。

 逆に《四肢切断》をメインに採用した僕は、ミラーマッチやBUGデルバーなどの《タルモゴイフ》を意識しました。

 市川さんはちょうど2人の中間といったところでしょうか。《死亡+退場》《四肢切断》に近いカードなのですが、軽く打つときは痛くない分、バウンス自体はそこまで《タルモゴイフ》ゲーには寄与しません。ですが、《四肢切断》と違って場に出てしまった《グリセルブランド》などを触れるのはポイント高いですね。





 僕なりにレガシーの記事を書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?

 なお、これだけURデルバーを貶める内容を書きましたが、BMOと同日に開催されたLegacy Championship – 2014ではトップ8に《宝船の巡航》が6人、そして優勝は《宝船の巡航》入りURデルバーでした。

 もしかしたらURデルバーというデッキが僕が考えているよりも遥かに強いデッキなのかもしれませんし、コンボデッキが少なかったのかもしれません。
 ですが、少なくともスニークショーとRUGデルバーが一定数いる日本のレガシーのメタゲームでは、URデルバーはオススメしませんね。

 果たして《宝船の巡航》入りURデルバーが生き残るのか、古典的なRUGデルバーが生き残るのか。

 それは、この後行われるエターナルフェスティバル2014レガシー神挑戦者決定戦、そしてエターナルパーティ2014などの結果を楽しみにしましょう。

 それでは、またの機会に!