■“6つ目”のエキスパンション
いよいよラヴニカへの回帰ブロックの第3エキスパンションである『ドラゴンの迷路』が登場しました。「3つ目には強力なカードが多い」という言い伝えの期待を裏切らない、強力な多色カードと魅力的なシステムが満載です。限定構築戦で行われた先日のプロツアー「ドラゴンの迷路」においても《復活の声》や《遠隔+不在》、《ヴィズコーパの血男爵》がぐいぐいとゲームを動かしている姿は印象的だったのは記憶に新しいかもしれません。
そんなに強力なカードが増えたならば、きっとスタンダード環境も激変したに違いない。
新環境ならではの慌ただしさを想像した方も少なくないと思うのですが、実際にスタンダード環境へと目を向けてみると、そこには真新しいアーキタイプが溢れているわけではなく、これまでのメタゲームを構成していたアーキタイプが大部分を占めている状況にあるのです。
この端からすると面白みのない状況は、新エキスパンションのカードの使われ方が関係しています。
(1)これまでのアーキタイプを強化する(《罪の収集者》や《復活の声》など)
(2)新しいアーキタイプを象るための核となる(《ニヴィックスのサイクロプス》など)
大きく分けてこの2つが新エキスパンションのカードの使われ方です。改めて説明するまでもないことなのですが、敢えてここで取り上げるのは、スタンダード環境で使用できるエキスパンションの数が増えるほどに(2)としての使われ方が難しくなることに注目するためです。
最大で「基本セット2つと拡張セット6つ」、最小で「基本セット1つと拡張セット4つ」が使用可能なスタンダード環境は、時期によってカードプールに幅広い差がある事がわかります。そして5つのエキスパンションによるカードプールと8つによるものとではアーキタイプの絶対的な強弱の基準(彼らが環境に存在できる最低のボーダーライン)や選択肢の数には大きな差があるのです。
そして今回のケースを考えると、現在は基本セット1つと拡張セット6つという、スタンダード環境においても大きなカードプールを有している時期にあります。これはつまり既に存在するアーキタイプが強力で、新たな軸を持ったアーキタイプが新たに参入するためのハードルが高い状態にあることを示唆しているのです。先に挙げた(2)としての使われ方が難しいというのは、新たに参入するためのハードルが高いために他ならず、『ドラゴンの迷路』のカードの多くが既存のアーキタイプにどのように関わるのかを焦点に評価されがちなのは仕方のないことなのかもしれません。
しかし、このような厳しい条件下でも挑戦的なアプローチはいくつか見られます。ここまで数ヶ月を戦い抜いてきた歴戦の面々には完成度では見劣りするものの、誰よりも伸びしろがあるという将来性を武器に食らいつくことができるかが期待されています。
今回の記事ではメタゲームを構成しているメジャーなアーキタイプがどのように変化したかを紹介した後に、これからメタゲームに食い込んでくる可能性のある若いアーキタイプに注目してみます。
■メジャーなアーキタイプのあれこれ
11 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 1 《寺院の庭》 -土地(20)- 4 《ラクドスの哄笑者》 4 《流城の貴族》 4 《炎樹族の使者》 4 《火打ち蹄の猪》 4 《火拳の打撃者》 4 《ボロスの反攻者》 4 《ゴーア族の暴行者》 4 《地獄乗り》 -クリーチャー(32)- |
4 《火柱》 4 《灼熱の槍》 -呪文(8)- |
4 《火山の力》 4 《ミジウムの迫撃砲》 3 《頭蓋割り》 2 《ドムリ・ラーデ》 2 《冒涜の行動》 -サイドボード(15)- |
現在のオンライン上で最大のシェアを誇っているのが赤単(タッチ緑)です。驚くことに『ドラゴンの迷路』からは収穫のない構成が主流で、いかにこれまでの構成やコンセプトが強固だったかが伝わってきます。
除去呪文の選択や《火拳の打撃者》の枚数などで揺れが見られるものの、上で紹介したものは中でもシンプルな構成をしたものです。ヴァリエーションとしては《怨恨》を採用して消耗戦も望んだ構成もあります。
新しいカードをテストがてらに組み込んだ試験的なアーキタイプたちが散見されるここ数週間のフィールドにおいては、全く遊びのない構成が大きなエッジを作っているようです。周囲の構成が整うにつれて段々と厳しくなってくるでしょう。
4 《血の墓所》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《草むした墓》 2 《竜髑髏の山頂》 3 《根縛りの岩山》 4 《森林の墓地》 2 《魂の洞窟》 2 《ケッシグの狼の地》 -土地(25)- 3 《オリヴィア・ヴォルダーレン》 4 《高原の狩りの達人》 4 《スラーグ牙》 2 《狂気の種父》 -クリーチャー(13)- |
2 《悲劇的な過ち》 2 《ミジウムの迫撃砲》 1 《戦慄掘り》 1 《突然の衰微》 2 《化膿》 3 《忌むべき者のかがり火》 1 《ラクドスの復活》 2 《地の封印》 3 《原初の狩人、ガラク》 4 《遥か見》 1 《ラクドスの魔鍵》 -呪文(22)- |
2 《吸血鬼の夜鷲》 2 《悲劇的な過ち》 2 《火柱》 1 《ラクドスの復活》 2 《強迫》 2 《地の封印》 2 《死橋の詠唱》 2 《見えざる者、ヴラスカ》 -サイドボード(15)- |
《化膿》、《狂気の種父》、《死橋の詠唱》などを手に入れたジャンドミッドレンジは、これまでの武器であった柔軟な対応力を更に幅広いシチュエーションへと活かせる構成へと変化しました。
豊富な除去のなかで重いながらも強力な《化膿》は、《修復の天使》や《戦導者オレリア》、《雷口のヘルカイト》などの悩みの種にも無理なく対処できる貴重な選択肢です。
注目の《狂気の種父》は大雑把さが目立つものの、ジャンドミッドレンジが好む消耗戦へと強制的に引きずりこんでくれるピーキーな1枚です。限定構築戦での活躍の通り、《スフィンクスの啓示》にとても強く、それに依存したアーキタイプにとっては致命的なカードとなります。ジャンクリアニメイトなどには《堀葬の儀式》などからの逆転パンチを食らうことも少なくないものの、そこはメインボードとサイドボードに合計4枚も採用した《地の封印》がキラリと光るのです。
《死橋の詠唱》はいまいちピンとこない1枚ですが、これまで「不毛中の不毛」と揶揄された同型戦において明確に差を付けられるカードとして注目されています。《狂気の種父》が加わり、よりライブラリの上からカードを叩きつけ合うゲーム展開が増える傾向にある中で、単純な運の勝負を避け、《スラーグ牙》と《オリヴィア・ヴォルダーレン》をリサイクルする機会を手にすることは素晴らしいの一言です。
大雑把な右ストレートが目立つものの、この手のアーキタイプの強さはその右を放つまでのゲームの組立に価値が問われることが多いのですが、《突然の衰微》、《ミジウムの迫撃砲》、《化膿》、《火柱》と、あらゆる状況に柔軟に対応できる選択肢のある今のジャンドミッドレンジは1つの完成形に辿り着きつつあるように思えます。
4 《森》 4 《寺院の庭》 2 《神無き祭殿》 4 《草むした墓》 2 《陽花弁の木立ち》 3 《孤立した礼拝堂》 3 《森林の墓地》 1 《魂の洞窟》 1 《大天使の霊堂》 -土地(24)- 2 《東屋のエルフ》 4 《アヴァシンの巡礼者》 2 《悪鬼の狩人》 2 《ケンタウルスの癒し手》 2 《罪の収集者》 4 《修復の天使》 4 《スラーグ牙》 1 《酸のスライム》 3 《静穏の天使》 1 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(25)- |
1 《突然の衰微》 4 《忌まわしい回収》 3 《根囲い》 4 《堀葬の儀式》 -呪文(12)- |
1 《魂の洞窟》 3 《死儀礼のシャーマン》 1 《悪鬼の狩人》 1 《罪の収集者》 2 《酸のスライム》 1 《幽霊議員オブゼダート》 2 《悲劇的な過ち》 2 《天啓の光》 1 《垂直落下》 1 《突然の衰微》 -サイドボード(15)- |
赤単(タッチ緑)と同じく既に1つのアーキタイプとしての完成形を持っていたジャンクリアニメイトでしたが、『ドラゴンの迷路』から《罪の収集者》、《復活の声》を手にしたことでより欲張りな戦略を目指せる形が模索されています。
旧環境の話になるのですが、メインボードから《酸のスライム》を大量に採用し、サイドボード後にはその部分をアグロ対策へとスイッチする構成が流行してからしばらくジャンクリアニメイトは成長を止めていました。それは赤単(タッチ緑)を筆頭とするアグロと、それ以外の各種中速ではゲームの速度が違いすぎて、そのどちらにも対応できるジャンクリアニメイトは構築できないと考えられたからです。そのため、メインボードをどちらかに寄せて構成し、サイドボードからもう片方へとバランスすることを目指した2種類のメジャータイプが流行していたのですが、《罪の収集者》の登場で新しい選択肢が生まれました。
それは《修復の天使》によるギミックを強化するというアイデアで、アグロには《ケンタウルスの癒し手》と《悪鬼の狩人》を使いまわし、中速にはこれまでのような《国境地帯のレインジャー》ではなく《罪の収集者》を再利用することでより直接的なゲームプランを期待できるようになったのです。
これまでの記事の中でジャンクリアニメイトにおける《修復の天使》は仕事にむらのある不安定なカードだと評したことがあったのですが、赤単(タッチ緑)が流行した際に考案された《悪鬼の狩人》型や、トリコフラッシュなどの中速を見据えた《酸のスライム》型などを経て、いま《罪の収集者》を手に入れたことでしっかりと居場所を見つけられたように思えます。
ただ、このような《修復の天使》を絡めたリソースの稼ぎ方を採用すると、ジャンクリアニメイトというアーキタイプ名にもなっている《堀葬の儀式》の周りのカードがやや不安定かつオーバーパワーに感じてくることも確かなのです。これまでは細かいゲーム作りが難しかったため、思い切って大振りのシナジーを詰め込んでいた構成でしたが、今になっては大振りなゲーム展開を期待しなくても戦えるだけの力をつけている節もあるため、少しずつ《堀葬の儀式》に依存したカードを減らしていく構成も考えるべきなのかもしれません。
そうなってしまえばJunk“NO”ReanimatorあるいはただのJunkにさえなってしまうのかもしれませんが、その方向性を真剣に考えるだけの価値はあると思われます。
2 《森》 4 《神聖なる泉》 4 《寺院の庭》 4 《繁殖池》 3 《氷河の城砦》 2 《陽花弁の木立ち》 3 《内陸の湾港》 -土地(22)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 4 《不可視の忍び寄り》 4 《復活の声》 4 《ロクソドンの強打者》 4 《聖トラフトの霊》 -クリーチャー(20)- |
4 《天上の鎧》 4 《怨恨》 4 《幽体の飛行》 4 《ひるまぬ勇気》 2 《シミックの魔除け》 -呪文(18)- |
3 《近野の巡礼者》 4 《絡み根の霊》 1 《戦慄の感覚》 1 《天啓の光》 2 《否認》 1 《セレズニアの魔除け》 3 《地の封印》 -サイドボード(15)- |
上のリストの原案者であるMike Floresが発言したように、今回の『ドラゴンの迷路』で一番の収穫を得たアーキタイプは呪禁バントなのかもしれません。《復活の声》と《ひるまぬ勇気》がその内容なのですが、どちらのカードもこれまで呪禁バントが抱えていた問題の解決に貢献しています。
《復活の声》は対戦相手のインスタントスピードでの干渉を制限すると共に、《絡み根の霊》と同様の除去耐性を持っていることで一か八かのゲームプランを取る機会を減らしてくれるようになりました。
《ひるまぬ勇気》はやや分り辛い収穫ですが、主にマナベースの面での貢献が大きい1枚です。これまで採用されていた《オルゾヴァの贈り物》は白のダブルコストに不安を覚えているものの、アグロキラーとしての役割的に数を減らすことができないというジレンマを抱えていたカードでしたが、同様の役割でマナ拘束が和らいだ《ひるまぬ勇気》はまさに求めていたカードだったのです。また、《オルゾヴァの贈り物》が付与した飛行能力は貴重だったものの、《ひるまぬ勇気》によるサイズ修正とトランプルは巨大なクリーチャーに擬似的に回避能力を付与するに等しいことなので、多くの場合では《ひるまぬ勇気》のほうが効果的に働くでしょう。
《ロクソドンの強打者》と《剣術の名手》の取捨選択については難しい問題ですが、僕は《ロクソドンの強打者》を推します。《剣術の名手》はアーキタイプのコンセプトを補強するカードですが、《ロクソドンの強打者》はアグロとのマッチアップを劇的に変化させるカードだからです。心細かった2マナ域のアクションも《復活の声》が加わったことで解決に向かっているため、やや重く感じるものの特定のマッチアップで活躍する《ロクソドンの強打者》が魅力的に思えます。
2 《平地》 4 《血の墓所》 4 《神無き祭殿》 4 《聖なる鋳造所》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《孤立した礼拝堂》 1 《断崖の避難所》 1 《魂の洞窟》 -土地(24)- 4 《宿命の旅人》 4 《血の芸術家》 4 《カルテルの貴種》 3 《罪の収集者》 4 《ボロスの反攻者》 3 《ファルケンラスの貴種》 1 《幽霊議員オブゼダート》 -クリーチャー(23)- |
3 《冒涜の行動》 4 《未練ある魂》 2 《オルゾフの魔除け》 4 《悲劇的な過ち》 -呪文(13)- |
1 《魂の洞窟》 1 《罪の収集者》 1 《士気溢れる徴集兵》 1 《幽霊議員オブゼダート》 1 《冒涜の行動》 3 《反逆の印》 2 《電謀》 2 《強迫》 1 《死の重み》 2 《軍勢の集結》 -サイドボード(15)- |
《教区の勇者》からのアグロのスタンスを持っていたアリストクラッツのコンセプト違いのヴァリエーションであるアリストクラッツAct2は、メインボードからの《冒涜の行動》によるコントロールを目論んだコンボアグロです。《血の芸術家》とトークン、《ボロスの反攻者》などでライフをコントロールし、ただのリセットである《冒涜の行動》を効果的にフィニッシャーとしても運用している一風変わった戦略を採っています。
そんなAct2の悩みは対戦相手の盤面にしか干渉できないことでした。除去は多く、クリーチャーも耐久力のあるものばかりですが、《スフィンクスの啓示》やカウンターといった飛び道具を苦手としていたのです。しかし、その状況を変えつつあるのが、もう何回目かの登場である《罪の収集者》になります。
クリーチャースロットを減らさずに中速とのマッチを改善してくれる《罪の収集者》はメインボードもサイドボードでも使いやすい1枚で、これまでのように山ほどの《強迫》を積むことで不安定な構成に変えずとも良くなったことは何よりの収穫でしょう。
以上がメジャーなアーキタイプの『ドラゴンの迷路』導入後の構成についての雑感でした。どれも旧環境からの続投であるアーキタイプであり、真新しい構成は見られませんが、僅かなスロットの変化がゲームの展開や相性を少なからず変えていることには注意が必要でしょう。大して変わっていないと侮る事なかれ。リストの変化は想像以上に大きく作用しています。
もはや強力なアーキタイプはメタゲームから脱落することは考えにくく、メタゲームは複雑さを増していきます。これまでの環境では弱い立場に回ったアーキタイプが姿を一時的に消すことも珍しくはありませんでしたが、現在のような強固なアーキタイプが出揃った状況になるとメタゲームの変化自体がゆるやかかつ小さなものになりやすく、メタゲームと環境がアーキタイプを淘汰することは少なくなります。
強固で多種多様な仮想敵が存在するフィールドにおいて重視される要素は、アーキタイプの欠点の少なさです。特定の何かとの相性差を強みにできるほどフィールドが偏りを見せることは少なく、1つのトーナメントで自分が想定した通りのアーキタイプとマッチアップすることも稀になるため、ランダムなマッチアップに対する勝率、満遍なく戦えるということが強みになります。
そのため、あらゆるアーキタイプが無理することない丁寧な作りへと変わり、そのような均衡状態を打ち破る可能性を残しているものは、これまでのメタゲームには存在していなかった新興のアーキタイプたちです。現在はまだアイデアの一つに過ぎないかもしれませんが、目に止まった2つの期待できるアイデアをボーナスリストとして紹介します。
果たして彼らがメタゲームに食い込んでくるかは未知数ですが、僕はその可能性を十分に秘めていると感じました。気になる方はぜひ触ってみてください。
それではまた次回に会いましょう。
■ボーナスリスト
2 《森》 4 《神聖なる泉》 4 《寺院の庭》 4 《繁殖池》 4 《陽花弁の木立ち》 3 《内陸の湾港》 -土地(21)- 4 《実験体》 4 《若き狼》 4 《雲ヒレの猛禽》 4 《絡み根の霊》 4 《復活の声》 4 《聖トラフトの霊》 -クリーチャー(24)- |
4 《急速混成》 3 《怨恨》 3 《送還》 3 《シミックの魔除け》 2 《呪文裂き》 -呪文(15)- |
3 《近野の巡礼者》 2 《濃霧》 2 《呪文裂き》 2 《根生まれの防衛》 2 《天啓の光》 2 《払拭》 2 《ひるまぬ勇気》 -サイドボード(15)- |
アメリカのWMCQでトップ4に入賞したリストをアップデートしたものです。一見すると呪禁バントと見間違うのですが、《急速混成》や《実験体》が目を惹く内容となっています。
《若き狼》や《絡み根の霊》、《復活の声》と《急速混成》の相性は抜群で、8枚も採用されている進化クリーチャーを確実にバックアップします。他の呪文は戦闘を有利に進めるトリックで、除去耐性のあるクリーチャー陣であることを武器に《怨恨》でごりごりと無理攻めする戦略も用意してあります。
Naya Blitzほどの速度はありませんが、それを彷彿とさせるほどの2-3ターン目の爆発力は魅力的で、一度使ってみると癖になる事まちがいなしです。安っぽいカードの群れにもかかわらずソリッドなゲームプランからは本物の匂いを感じます。
2 《島》 3 《踏み鳴らされる地》 4 《蒸気孔》 4 《繁殖池》 4 《硫黄の滝》 3 《内陸の湾港》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《ニヴメイガスの精霊》 4 《ニヴィックスのサイクロプス》 -クリーチャー(12)- |
4 《巧みな回避》 4 《信仰無き物あさり》 4 《思考掃き》 4 《送還》 3 《ミジウムの外皮》 3 《シミックの魔除け》 3 《肉体+血流》 3 《ルーン唱えの長槍》 -呪文(28)- |
4 《凍結燃焼の奇魔》 4 《火柱》 4 《ミジウムの迫撃砲》 2 《繕いの接触》 1 《ミジウムの外皮》 -サイドボード(15)- |
友人の清水直樹が予選を通過したPTQ姫路のトップ8リストで見つけたデッキを自分なりにシェイプしてみたものです。
基本的には《ニヴィックスのサイクロプス》を育てて殴ることで勝つのですが、《肉体+血流》からの急襲を狙うというプランがあります。見慣れない《ニヴメイガスの精霊》は1マナの呪文でありながらタフネス4まで成長できることを買って採用しています。それぞれのマッチアップで無駄な呪文をバクバクと食べさせることもできるので(《送還》など)、意外と頼りになるいぶし銀なクリーチャーです。
このアーキタイプの魅力は、現在の環境に存在しない瞬殺コンボの要素を秘めている点です。他のアーキタイプはあくまでも地道に手数を稼いで戦うものが多く、基本的により多くより早く呪文を展開できたプレイヤーがその分だけ有利になるゲームが多く見られます。そのような状況で、このアーキタイプでは3ターン目に出た1枚のカードが生き残ってしまっただけで勝敗が決するため異なる尺度でゲームを進めることができるのです。このようにゲームの中の形勢判断の難しさを相手に迫るアーキタイプは、それに慣れていない対戦相手にたいして強力で、その「わけのわからなさ」だけでも十分なエッジを期待できるでしょう。