皆さん明けましておめでとうございます。今年も引き続きアメリカの大規模な大会であるStarCityGames.com Open Series(SCGO)の情報を中心にお届けしていきたいと思います。今年もよろしくお願いいたします。
さて、今回の記事では昨年末に行われたGP静岡と、新年早々開催されたSCGO Indianapolisの解説をしていきたいと思います。
GP静岡 トップ8 デッキアーキタイプ
2013年12月22日
1位 BW Aggro/白黒ビートダウン
2位 Esper Human/エスパー人間アグロ
3位 Mono Blue Devotion/信心青単
4位 UB Control/青黒コントロール
5位 Mono Blue Devotion/信心青単
6位 RG Midrange/赤緑怪物
7位 UWr Control/白青コントロール
8位 Esper Control/白青黒コントロール
去年の大会になってしまいますが、日本で開催された大規模なスタンダードの大会です。環境終盤にもかかわらず、Esper Humanなど新しいタイプのデッキが入賞していたのが印象的でした。
GP静岡 デッキ解説
「BW Aggro」「Esper Human」「UB Control」
7 《平地》 1 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《静寂の神殿》 2 《オルゾフのギルド門》 4 《変わり谷》 -土地(22)- 4 《万神殿の兵士》 4 《ボロスの精鋭》 3 《ドライアドの闘士》 4 《果敢なスカイジェク》 4 《管区の隊長》 3 《威圧する君主》 4 《放逐する僧侶》 3 《ザスリッドの屍術師》 -クリーチャー(29)- |
4 《精霊への挑戦》 3 《オルゾフの魔除け》 2 《ヘリオッドの槍》 -呪文(9)- |
3 《罪の収集者》 3 《闇の裏切り》 3 《破滅の刃》 2 《思考囲い》 2 《利得+損失》 1 《ザスリッドの屍術師》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
GP静岡で優勝を果たしたのは、GP DallasでBen Starkが使用していたBW Aggroと良く似た構成のデッキです。
基本的に白ウイニーですが、黒を足したことによって除去スペルの《オルゾフの魔除け》や《破滅の刃》、除去相手にアドバンテージを取り易い 《ザスリッドの屍術師》、ハンデスの 《思考囲い》や《罪の収集者》へのアクセスが可能になり、コントロールやMono Blue Devotionとの相性が以前と比べてかなり良くなっています。《精霊への挑戦》は相手の除去を無効化するだけでなくエンドカードにもなります。
他にも、ミラーマッチや、準決勝で対戦した今大会で最も注目を受けたEsper Humanに対しても有効な、《Profit》もしっかりサイドに採用されています。
3 《平地》 1 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《神聖なる泉》 4 《湿った墓》 4 《静寂の神殿》 3 《欺瞞の神殿》 2 《変わり谷》 -土地(25)- 4 《万神殿の兵士》 3 《果敢なスカイジェク》 2 《威圧する君主》 1 《カルテルの貴種》 4 《ザスリッドの屍術師》 4 《リーヴの空騎士》 3 《冒涜の悪魔》 3 《幽霊議員オブゼダート》 -クリーチャー(24)- |
1 《破滅の刃》 1 《究極の価格》 1 《遠隔+不在》 2 《至高の評決》 4 《拘留の宝球》 2 《エレボスの鞭》 -呪文(11)- |
3 《思考囲い》 3 《破滅の刃》 2 《否認》 2 《地下世界の人脈》 1 《ヴィズコーパの血男爵》 1 《無視》 1 《異端の輝き》 1 《遠隔+不在》 1 《至高の評決》 -サイドボード(15)- |
今大会で最も印象に残ったデッキのEsper Human。白黒ミッドレンジに《拘留の宝球》や《至高の評決》のために青を足したデッキのようです。デッキの動きとしては、序盤は軽いクリーチャーを展開してダメージを稼ぎ、《幽霊議員オブゼダート》でゲームを終わらせます。メインの《至高の評決》はデッキの正体が明らかになっていないスイスラウンドでは相手に見切られにくく活躍したようです。《ザスリッドの屍術師》がこちらの場にある状態で《至高の評決》をキャストすれば、相手の場だけ綺麗に流した後にゾンビトークンで攻め続けることが可能です。
メインは白黒アグロ寄りの構成ですが、サイド後は《思考囲い》と 《地下世界の人脈》も投入され本格的にミッドレンジになります。Mono Blue Devotionに対してはメインから《至高の評決》を採用しているために有利です。Mono Black Devotionも《拘留の宝球》で《群れネズミ》などの厄介なパーマネントを除去することが可能で、《ザスリッドの屍術師》があるので相手も除去を余計に使わなければならず、比較的有利にマッチを進めることができます。今後の活躍が楽しみなデッキです。
7 《島》 5 《沼》 4 《湿った墓》 4 《欺瞞の神殿》 2 《ディミーアのギルド門》 4 《変わり谷》 -土地(26)- 2 《波使い》 2 《予知するスフィンクス》 -クリーチャー(4)- |
3 《中略》 2 《思考囲い》 2 《歪んだ体形》 1 《破滅の刃》 1 《本質の散乱》 1 《究極の価格》 1 《肉貪り》 3 《解消》 3 《英雄の破滅》 2 《好機》 2 《家畜化》 3 《漸増爆弾》 2 《悪夢の織り手、アショク》 4 《思考を築く者、ジェイス》 -呪文(30)- |
4 《潮縛りの魔道士》 3 《群れネズミ》 3 《強迫》 2 《反論》 1 《破滅の刃》 1 《否認》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
世界的なデッキビルダーの八十岡さんも今回オリジナルの青黒コントロールを持ち込み、見事にトップ4に入賞を果たしました。メインのクリーチャーは《波使い》と《予知するスフィンクス》の2種類のみで、《悪夢の織り手、アショク》と 《思考を築く者、ジェイス》の2種類のPWを搭載しています。《悪夢の織り手、アショク》は最近はあまり見られなくなりましたが、除去を多く搭載したこのデッキでは戦闘で破壊されにくく、相手のクリーチャーを奪い取ればマナを消費せずに展開していくことが可能になるのも勝ち手段がやや薄いこのデッキでは重要です。
残りはカウンターと除去、ドロースペルでまとめられています。《漸増爆弾》は最近よく目にする白系のビートダウン戦で活躍が期待できます。メインの《家畜化》も《夜帷の死霊》などパワーが2以下のクリーチャーが多く存在する現在のスタンダードのメタでは無駄になることが少ないカードです。サイド後は《群れネズミ》で地上を固めてPWでアドバンテージを稼いでいくという展開も可能です。
SCGO Indianapolis トップ8 デッキアーキタイプ
2014年1月5日
1位 Mono Black Devotion/黒単
2位 GW Aggro/緑白ビートダウン
3位 GR Monsters/赤緑怪物
4位 GR Monsters/赤緑怪物
5位 Mono Blue Devotion/信心青単
6位 UW Control/白青コントロール
7位 Mono Black Devotion/黒単
8位 RW Devotion/赤白ビートダウン
前回のSCGO Las Vegasに引き続いてMono Black Devotionが優勝を果たしました。Mono Blue DevotionやRW Devotion、UW Controlや最近流行の兆しのあるGR Monstersと、現在のスタンダードの主要なデッキがひととおり揃ったトップ8でした。冬の嵐の中700人以上の参加者を出した今回のSCGOは、スイスラウンド11回戦という長丁場でした。
SCGO Indianapolis デッキ解説
「Mono Black Devotion」「GW Aggro」「GR Monsters」「Mono Blue Devotion」
18 《沼》 4 《欺瞞の神殿》 4 《変わり谷》 -土地(26)- 4 《群れネズミ》 4 《夜帷の死霊》 4 《冒涜の悪魔》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(16)- |
4 《思考囲い》 4 《肉貪り》 2 《ファリカの療法》 4 《英雄の破滅》 4 《地下世界の人脈》 -呪文(18)- |
4 《強迫》 3 《生命散らしのゾンビ》 3 《死者の神、エレボス》 3 《闇の裏切り》 2 《ファリカの療法》 -サイドボード(15)- |
昨年GP連続優勝など絶好調のOwenは、今年に入っても変わらず使い慣れたMono Black Devotionで見事優勝を果たしました。リストは完成されているようで、前回のSCGO Las Vegasから《欺瞞の神殿》が4枚になっている以外は特に変化はないようです。
このデッキにとって厄介な《ヴィズコーパの血男爵》対策に4枚の《肉貪り》と、追加の除去枠に 《ファリカの療法》が2枚採られ、ビートダウンを意識した構成です。赤単等の速いデッキとの対戦では活躍し難い《死者の神、エレボス》もサイドに落とされています。
8 《森》 8 《平地》 4 《寺院の庭》 3 《セレズニアのギルド門》 -土地(23)- 4 《実験体》 4 《万神殿の兵士》 3 《霧裂きのハイドラ》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《復活の声》 2 《空殴り》 4 《放逐する僧侶》 4 《加護のサテュロス》 -クリーチャー(29)- |
4 《セレズニアの魔除け》 4 《ワームの到来》 -呪文(8)- |
3 《異端の輝き》 3 《ひるまぬ勇気》 2 《空殴り》 2 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 2 《今わの際》 2 《根生まれの防衛》 1 《霧裂きのハイドラ》 -サイドボード(15)- |
SCG Invitational Las Vegasでも同様のデッキを使用していたAndrew Shrout。《霧裂きのハイドラ》や《空殴り》をメインに採用するなどMono Blue Devotionをメタった構成です。これらのクリーチャーに《ひるまぬ勇気》を付けばMono Blue Devotionに対してイージーウインができます。
SCG Invitational Las Vegasでは《霧裂きのハイドラ》と《空殴り》がメインにフル搭載されている等かなり尖った構成でしたが、色々なデッキと当たる可能性の高いSCGOのメタに合わせてプロテクション(青)のクリーチャーをメインから減らして《羊毛鬣のライオン》や《万神殿の兵士》をメインにフル搭載するなど、Invitationalの時と比べて丸い構成になっています。このデッキの《実験体》は、《羊毛鬣のライオン》、《加護のサテュロス》、 《ワームの到来》と展開していけるこのデッキでは、Evolveによるサイズアップが容易です。《至高の評決》等のソーサリースピードのスイーパーに対しても、《加護のサテュロス》などの『瞬速』持ちのクリーチャーがメインに多数採用されているため、耐性があります。
が、それでも除去を多数搭載したMono Black Devotionとの相性はあまり良くないようです。除去に耐性を付ける為に《根生まれの防衛》をメインに採用してみるのも考慮に値します。《ワームの到来》や《復活の声》から出るトークンとの相性の良さも魅力です。
8 《森》 5 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《奔放の神殿》 2 《変わり谷》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 3 《漁る軟泥》 3 《森の女人像》 3 《加護のサテュロス》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《ゴーア族の暴行者》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 -クリーチャー(25)- |
2 《ミジウムの迫撃砲》 2 《肉体+血流》 4 《ドムリ・ラーデ》 3 《歓楽者ゼナゴス》 1 《獣の統率者、ガラク》 -呪文(12)- |
4 《霧裂きのハイドラ》 2 《ショック》 2 《ミジウムの迫撃砲》 2 《垂直落下》 2 《破壊的な享楽》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 1 《自由なる者ルーリク・サー》 -サイドボード(15)- |
環境初期から存在する、緑と赤の優秀なクリーチャーとPWを多数搭載した中速デッキ。《エルフの神秘家》や《森の女人像》から《嵐の息吹のドラゴン》や《歓楽者ゼナゴス》を展開していきます。《エルフの神秘家》経由の2ターン目の《ドムリ・ラーデ》は青白系のコントロールデッキにとって脅威です。
このデッキに採用されている《肉体+血流》は、ソーサリースピードですが《ゴーア族の暴行者》と組み合わせれば相手に大ダメージを与えることができます。サイドの《垂直落下》は除去の薄いこのデッキにとって厄介な《冒涜の悪魔》や《夜帷の死霊》対策になります。サイドには4枚の《霧裂きのハイドラ》や追加のPWの《紅蓮の達人チャンドラ》、《拘留の宝球》対策の《破壊的な享楽》が採用されているため、青白系のコントロールとの相性が良く、Mono Blue Devotionともサイド後は互角以上に戦えそうです。
20 《島》 4 《変わり谷》 1 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(25)- 4 《雲ヒレの猛禽》 4 《審判官の使い魔》 4 《凍結燃焼の奇魔》 4 《潮縛りの魔道士》 4 《夜帷の死霊》 4 《海の神、タッサ》 4 《波使い》 -クリーチャー(28)- |
2 《急速混成》 1 《サイクロンの裂け目》 2 《タッサの二叉槍》 2 《思考を築く者、ジェイス》 -呪文(7)- |
4 《反論》 3 《否認》 2 《家畜化》 1 《急速混成》 1 《サイクロンの裂け目》 1 《本質の散乱》 1 《豚の呪い》 1 《タッサの二叉槍》 1 《思考を築く者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
自身初のプロツアーであるプロツアー・テーロスで11位に入賞するという快挙を成し遂げた、ライジングスターのRaymond Perez。ミシガン出身で筆者とも交流があります。残念ながらトップ8のマッチ終了後に天候が荒れ始めていたために早々に帰ってしまいましたが、Facebook上でインタビューをすることができました。
筆者:今回のデッキ選択理由について聞かせてもらえないかな。
Raymond Perez:今回のデッキはMono Blue Devotionで12月に開催されたSCG Classic Columbusでも優勝してデッキには満足していたから今回も使うことにしたんだ。今大会に向けての準備はマジックオンラインの8人構築やDaily Eventが中心で、リアルでの練習は時間が無くてあまりできなかった。
筆者:普通のリストとの違いは?
Raymond Perez:メインは至って普通のリストでサイドはコントロール対策に《否認》を多めに採って《本質の散乱》も入れてみた。対コントロール用によくサイドに見られている追加の大きいフィニッシャーの 《霊異種》や《記憶の熟達者、ジェイス》が採用されていないのも他のリストとの違いかな。サイド後はMono Blue Devotionの戦略をそのままに《タッサの二叉槍》を追加してカウンターを構える展開になる。
筆者:今回一番印象に残ったマッチは?
Raymond Perez:今回印象に残ったマッチは9回戦目のOwenとのカメラマッチかな。Mono Black Devotionとのマッチは良く練習してきて理解していたから勝てる自信があった。今大会中最高のマッチだったよ。
筆者:今年の目標は?
Raymond Perez:今年の目標は3つある。
1:Starcity Openで優勝する事
2:今年開催されるプロツアーの権利を全て獲得する事
3:Rookies Of the Year
筆者:なるほど。今回はインタビューに応じてくれてありがとう。Starcity OpenにGPそしてプロツアーと、忙しいと思うけど目標達成に向けて頑張って。
ボーナストピック
SCGO Indianapolisには筆者もプレイヤーとして参加しました。残念ながら戦績は振るいませんでしたが、初マジックを思う存分楽しむことができました。
しかし、日曜日の夜はアメリカの中西部で記録的な低気温となり、特にIndianaは-30度を下回る有様で、冬の嵐により交通機関が荒れ車が雪に嵌るアクシデントに見舞われたこともあり、火曜日の夜にようやくミシガンに戻ることができました。
総括
GP静岡は環境末期にもかかわらずEsper Humanなど新しいタイプのデッキが活躍を見せました。Esper Humanは惜しくも決勝戦でBW Aggroに敗れてしまいましたが、準優勝という優秀な成績を収めました。そして新年早々開催されたSCGO IndianapolisはMono Black Devotionの優勝で幕を閉じました。
以上GP静岡とSCGO Indianapolisの解説でした。
次回の記事ではSCGO OrlandoとSCGO Coloumbusの解説を予定しています。SCGO Columbusには筆者もプレイヤーとして参加することを予定しています。良い成績を目指してベストを尽くしていきたいと思います。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!