【スタンダード】準決勝:豊田 和久(東京) vs. 岡田 祥一(愛知)

晴れる屋

By Akira Asahara



 シアトルへの決勝の切符を賭けた、スーパーサンデーシリーズも準決勝。

 黒白赤の《ボロスの反攻者》を絡めたコンボ搭載型のビートダウンデッキが岡田。赤緑白のナヤのクリーチャーデッキを使うのが豊田の対決となった。


Game 1



 先行は岡田。

 両者ともマリガンは無し。

 岡田の黒白赤のデッキは《ボロスの反攻者》《冒涜の行動》でウェルダンに焼き上げ対戦相手に投げつける『BBQ(バーベキュー)』と呼ばれる流行のデッキの一つだ。コンボ派手さだけでなく、《冒涜の行動》を軽くできる《未練ある魂》などのトークン生成カードや《冒涜の行動》から生き残れる《ファルケンラスの貴種》など、それに頼らなくても勝てるようなシナジーが搭載されており、美食アカデミーでも満点も狙えるデッキだ。

 対する豊田のナヤは《スラーグ牙》《修復の天使》などを使った、グットスタッフデッキ。マナ加速を利用したクリーチャーデッキであるためナチュラルに《冒涜の行動》が効果的に働いてしまう、という点で、岡田の方が有利と言えるかもしれない。ただ、もちろん豊田のデッキにも《ボロスの反攻者》が搭載されている。出しておくことで、相手の《冒涜の行動》をけん制できるため、《ボロスの反攻者》が戦いの鍵となるのは間違いないだろう。

 先攻の岡田は多色土地3枚に《ファルケンラスの貴種》《未練ある魂》《冒涜の行動》《悲劇的な過ち》という手札。《ファルケンラスの貴種》で攻めるという明確なプランが見える手札をキープ。

 後手の豊田はマナ加速クリーチャー2枚に《スラーグ牙》2体という高カロリーな手札をキープした。

 岡田の《竜髑髏の山頂》のタップインでゲームスタート。豊田は《アヴァシンの巡礼者》でエンド。岡田は《悲劇的な過ち》《アヴァシンの巡礼者》へ向けて放ち、相手の展開のスローダウンを狙う。しかし、豊田は《東屋のエルフ》を戦場へ送りだし、これによって2マナから4マナへのジャンプアップに成功する。

 岡田の手札が飛行クリーチャー。そして、豊田の手札が地上クリーチャーで埋められている以上、ここからはすれ違いの高速展開となる。

 まず、岡田は《未練ある魂》をキャストすると、豊田は《高原の狩りの達人》で応戦。岡田は4ターン目に《ファルケンラスの貴種》を走らせる。

 5マナを出せるようになった豊田は手札に眠っていた《スラーグ牙》をキャストし、《ファルケンラスの貴種》で負った傷をすぐさま回復する、このときライフは19。しかし、すぐさま、岡田から2体目の《ファルケンラスの貴種》が飛び出し、《ファルケンラスの貴種》2体で8点のダメージを与え、ライフは11。何故、彼女達は伝説のクリーチャーではないのかと思ってしまうのは私だけではないだろう。

 しかし、豊田もまた2体目の《スラーグ牙》で、ライフを16まで回復させ、目まぐるしくライフが変動する。いや、この動物も何故伝説ではないのか。

 再び傷を癒した、豊田は前のターンまでに召喚していた《スラーグ牙》を含むクリーチャー陣で攻撃し、岡田のライフを9まで減らす。これによって、盤面だけを見る分には岡田のライフは危険水域にまで落ち込んだ。

 しかし、豊田の戦場に《ボロスの反攻者》が居ない、かつ、岡田が初手にあってあのスペルを考えれば、次に想像できることは容易かもしれない。

 岡田は《スラーグ牙》の1体を《灼熱の槍》でトークンと化すと、戦場に9体のクリーチャーが居る状態で《冒涜の行動》を1マナでキャスト、スタックで《ファルケンラスの貴種》×2体を破壊されない状態にし、そのまま攻撃して8点、次のターンに8点を与え、豊田のライフを一瞬で0にした。

岡田 1-0 豊田


Game 2



 先手の豊田は力強くキープ。

 後手の岡田はまずワンマリガン。

豊田 「1勝くらいはできるかな」

 とそう話していると、岡田はマリガン後の色の合わないハンドを悩んだ後にダブルマリガン。

 ダブルマリガン後の手札は即座にキープ。

 先手の岡田は《東屋のエルフ》から《ボロスの反攻者》を2ターン目にキャストする最高の立ち上がり。しかし、豊田も、それに対して《灼熱の槍》で軽く炙って対処する。火力での対処は良くはないが、こちらの戦場にクリーチャーが居なければ、《ボロスの反攻者》もただ、本体に3点を与えるのみだ。1回くらい殴りたかったと言う豊田だが、良く考えると3点を与えるだけでも結構強い。

 そして、お返しとばかりに、ギルドランドから2点を払い、《ボロスの反攻者》をキャストする岡田。これに対して、豊田は《ボロスの魔鍵》をキャストするのみで後続が続かない。

 岡田はこの隙に《血の芸術家》をキャストし、バーベキューセットを揃えにかかる。この時点で豊田のライフは充分にあるが、《ボロスの反攻者》《血の芸術家》が揃っている状態で、《冒涜の行動》を打ち込まれると、豊田の戦場のクリーチャー分も加味すると一瞬で0になってしまう。恐るべきは《ボロスの反攻者》であろう。

 それが分かっている豊田は祈るようにターンエンドを宣言するが、ダブルマリガンの影響もあって、岡田は《冒涜の行動》を引き込めておらず、《ファルケンラスの貴種》をキャストするに留まる。

 そこで、豊田は岡田のターンエンドに《修復の天使》キャスト、さらにブロックに回さざるを得ない《ファルケンラスの貴種》《雷口のヘルカイト》を走らせてタップ状態にし勝負を決めた。

岡田 1-1 豊田


Game 3

 お互いにマリガンは無し。

 先手は再び岡田、《町民の結集》で人間トークンを2体出すのが初動。

 対して豊田はマナクリーチャーを引いておらず、2ターン目までにはギルドランドをタップインで置くのみ。岡田が、3ターン目に《未練ある魂》で2体の飛行クリーチャーを出すと、豊田はひとつの鍵である《ボロスの反攻者》をキャストした。

 しかし、ここで刺さるのが岡田の《戦慄掘り》

 火力ではいくらでもおいしい《ボロスの反攻者》であるが、破壊されてしまってはおいしくない。

 「直接除去かぁ」とこちらも不味いといった表情の豊田。

 さらに、岡田は《ボロスの反攻者》《未練ある魂》《血の芸術家》と並べて、今度こそはとバーヘキューへ向けて準備を進める。

 豊田は《雷口のヘルカイト》《未練ある魂》のトークンこそ排除するが、同時に陰鬱の条件を満たした《悲劇的な過ち》によって除去される。それならばと2体目の《雷口のヘルカイト》を繰り出すが、ライフを攻められており、攻勢に転じることができない。さらに《ボロスの反攻者》に対処もできないので、またしても《冒涜の行動》が無いことを祈るしかない状況だ。

 しかし、こんがり焼けた《ボロスの反攻者》が飛んでくるのは次のターンのことであった。

岡田 WIN

岡田 2-1 豊田