斉藤 「前回はデッキについて紹介していただきましたが、今回は弱点やプレイするにあたって上手い人がどんなことを考えているかを紹介していきたいと思います。
では、今回も土屋 洋紀さんよろしくお願い致します。」
土屋 「よろしくお願い致します。」
■弱点・やられて嫌なことは?
斉藤 「RUGデルバーを使っていて、やられたら嫌なことやきついカードを教えてください。」
土屋 「このデッキは生物と火力で相手のライフを削りきるデッキなので、生物を除去されるのがとりあえず辛いです。早い段階に展開したクリーチャーへの除去に対してカウンターすることもしばしばあります。」
斉藤 「1ターン目の《秘密を掘り下げる者》に対する《剣を鍬に》をカウンターして《秘密を掘り下げる者》を守りきるとかよくあることですよね。《秘密を掘り下げる者》の攻撃が本当に止まらないのはレガシーをやったことがある人ならわかるでしょう。」
斉藤 「相手の土地が並びマナ否定カウンターである《目くらまし》や《呪文貫き》が腐るようになると厳しくないですか?」
土屋 「デッキのカウンターの大半が限定カウンターですからね。そのための《不毛の大地》や《もみ消し》です。」
斉藤 「相手する時、デッキによっては基本地形を並べていくことも基本テクですね。単体のカードで苦手なものはありますか?」
土屋 「カードとしては、カウンターできない《突然の衰微》、《敏捷なマングース》や《タルモゴイフ》を一斉に除去する《非業の死》《至高の評決》、《安らかなる眠り》、マナ否定カウンターを無駄にする《花の絨毯》とかです。」
斉藤 「そうですね。ただし苦手なカードには裏目があるのでかわし方もあります。《突然の衰微》デッキには数を並べれば簡単に勝ってしまいますし、《突然の衰微》を使うデッキはマナ基盤がきつい傾向にあるので《不毛の大地》や《もみ消し》が刺さりやすいです。《非業の死》は《呪文貫き》に引っかかりやすい3マナというスペルですし、《至高の評決》は白のダブルシンボルを要求するので意識して白2つ目を出させないようにできます。《大祖始の遺産》や《安らかなる眠り》は《秘密を掘り下げる者》には効かない上に《もみ消し》をあてることもできますしね。《花の絨毯》もマナを伸ばす代わりにRUGの盤面の生物には干渉してきません。
《相殺》+《師範の占い独楽》は軽いデッキだからこそ負けに直結する天敵と感じています。」
■各主要デッキに対するサイドボーディング
斉藤 「大まかに対ビート、コンボ、テンポ、コントロールを相手する時のサイドチェンジの考え方を教えてください。」
土屋 「こちらがRUGデルバーの基本サイドボーディングの考え方です。」
●対ビート
土屋 「《Force of Will》や《呪文貫き》などを抜き、《水没》や《乱暴/Rough》をいれます。盤面に触れるカードを入れてビートしていきます。」
斉藤 「《Force of Will》はアド損をしますし、《呪文貫き》は生物には意味ないですもんね。」
●対コンボ
土屋 「生物と除去を抜き、追加のカウンターや対策カードを入れます。」
斉藤 「カウンターを構えながら戦うので、生物は何枚もいらないですもんね。複数枚生物を重ねて引いてしまうと負けてしまいます。」
●対テンポ
土屋 「お互い捌きあいのゲームになります。サイドチェンジは先手後手であまり変わらない代わりに、ゲーム中の意識が先手か後手かで変わります。先手の場合は土地を先におけるメリットを生かしてテンポで嵌めるゲームを狙い、後手の場合は1枚多く引けるのを活用するために1対1交換を繰り返すイメージです。
斉藤 「嵌めるか捌くかで意識していることが変わるのは面白いですね。生物をいかに盤面に残すかがポイントになります。」
●対コントロール
土屋 「《紅蓮破》など明確に効くものを入れます。《石鍛冶の神秘家》デッキには装備品を割る《古えの遺恨》を入れ、生物の少ないコントロールでしたら除去を減らします。」
斉藤 「《石鍛冶の神秘家》デッキは装備品を潰せばクロックの細いもっさりしたデッキになりますからね。」
3 《Tropical Island》 3 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(12)- |
4 《思案》 4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 3 《もみ消し》 3 《ギタクシア派の調査》 2 《呪文貫き》 1 《死亡+退場》 4 《目くらまし》 1 《四肢切断》 4 《Force of Will》 -呪文(30)- |
3 《水没》 2 《ファイレクシアの破棄者》 2 《狼狽の嵐》 2 《被覆》 2 《発展の代価》 2 《乱暴+転落》 1 《紅蓮破》 1 《古えの遺恨》 -サイドボード(15)- |
斉藤 「では、各主要デッキに対するサイドボーディングを教えてください。」
土屋 「実際に使っているリストを基に、具体的にみていきましょう。」
●対RUGデルバー
in 1 《紅蓮破》 3 《水没》 |
out 1 《目くらまし》 1 《Force of Will》 2 《呪文貫き》 |
土屋 「RUGミラーで意識することは、いかに生物と土地をしっかり場に出すかにかぎります。場に生物が出ている方が有利になります。生物をめぐる攻防で意識しているのは、《秘密を掘り下げる者》には《稲妻》を、《敏捷なマングース》にはこちらも《敏捷なマングース》を、《タルモゴイフ》には《Force of Will》をです。サイド後の《水没》で相手の《タルモゴイフ》に干渉できるようになりますので、カウンターを少し抜きます。《呪文貫き》より、《紅蓮破》の方が強いので変えます。」
●対スニーク・ショー
in 2 《ファイレクシアの破棄者》 2 《被覆》 2 《狼狽の嵐》 1 《紅蓮破》 1 《古えの遺恨》 |
out 1 《タルモゴイフ》 2 《敏捷なマングース》 1 《四肢切断》 1 《死亡+退場》 2 《稲妻》 1 《不毛の大地》 |
土屋 「相手の呪文をカウンターしながら生物でライフを削って勝ちいくことになります。まず、腐る除去と生物を減らします。《稲妻》はキルターンを早くするために少しは欲しいので2枚だけ抜くことに。《古えの遺恨》はスニークからサイドインされやすい《防御の光網》のために入れれます。」
●対ANT
in 2 《ファイレクシアの破棄者》 2 《被覆》 2 《狼狽の嵐》 1 《紅蓮破》 |
out 1 《タルモゴイフ》 2 《敏捷なマングース》 1 《四肢切断》 1 《死亡+退場》 1 《稲妻》 1 《不毛の大地》 |
土屋 「《むかつき》を打つ相手なので《稲妻》は有効になるタイミングがある上、相手のサイドから入ってくる可能性のある《闇の腹心》や《ザンティッドの大群》のために残しておきます。入ってこなかった時に他のカードより必要性が落ちるカードなので3枚です。」
●対BUG続唱
in 2 《発展の代価》 1 《紅蓮破》 2 《水没》 |
out 4(3) 《Force of Will》 1(2) 《呪文貫き》 |
土屋 「BUG続唱と戦うコツとしては、生物を早い段階で複数体出すことが重要になります。《突然の衰微》や《ヴェールのリリアナ》など1体ずつしか処理してこないだけでなく、時間が経てば経つほどアドバンテージを稼がれてしまうからです。
もしも捌かれてしまい、相手とのハンドアドバンテージ差がついても《発展の代価》だけで勝てるので諦めないように。 《水没》を2枚しかいれないのは、戻したい生物が《タルモゴイフ》か1ターン目の《死儀礼のシャーマン》だけなのでこの枚数です。 」
●対エルフ
in 3 《水没》 2 《被覆》 2 《乱暴+転落》 2 《ファイレクシアの破棄者》 1(0) 《古えの遺恨》 |
out 3 《ギタクシア派の調査》 3 《もみ消し》 2 《敏捷なマングース》 1 《タルモゴイフ》 0(1) 《目くらまし》 |
土屋 「エルフは生物コンボデッキなので少し特殊になります。除去やカウンターを増やしながら生物を減らす構成になります。
《ギタクシア派の調査》は抜くほどのカードではないですが、inが多いので抜くことになります。《古えの遺恨》は《大祖始の遺産》、《梅澤の十手》、《弱者の石》などの対策カードを割ることができます。 エルフ戦ではコンボを阻害するのはもちろんですが、《緑の太陽の頂点》X=2からでてくる《漁る軟泥》には注意が必要です。1:墓地依存の生物を小さくする、2:《稲妻》できないサイズになる、3:ライフを回復される、と1枚だけに負けたりもします.。」
●対ミラクル
in 2 《被覆》 2 《ファイレクシアの破棄者》 1 《紅蓮破》 1 《古えの遺恨》 |
out 2 《稲妻》 1 《ギタクシア派の調査》 1 《死亡+退場》 1 《四肢切断》 1 《不毛の大地》 |
土屋 「ミラクルは、《終末》などのスペル主体で守りを固めてから《天使への願い》に繋げるコントロールデッキなので除去は減らします。《古えの遺恨》は《罠の橋》や《仕組まれた爆薬》のために入れます。」
●対UW石鍛冶
土屋 「UW石鍛冶戦は、《石鍛冶の神秘家》をちゃんと除去しながらテンポを刻みながら勝ちにいきます。《紅蓮破》は、《瞬唱の魔道士》や《精神を刻む者、ジェイス》へ。《古えの遺恨》は装備品対策です。」
●対デスブレード
in 2 《発展の代価》 2 《乱暴+転落》 1 《古えの遺恨》 |
out 4(3) 《Force of Will》 1(2) 《呪文貫き》 |
土屋 「デスブレードは《石鍛冶の神秘家》を使うデッキですがUW石鍛冶とは別物と考えていいです。UW石鍛冶はスペル主体ですが、デスブレードは生物が多いです。《タルモゴイフ》などの大きな生物が少ないので《乱暴+転落》はとても有効になります。また、土地基盤にも違いがみえます。基本地形が少ないので《発展の代価》を入れましょう。
先手や後手によって《もみ消し》や《目くらまし》の枚数も変動しやすいです。」
※枚数に()がある場合、先手後手や1戦目に見た相手のタイプによる差異によって変わります。
■細かいテクニックや初歩テクニック
斉藤 「RUGデルバーを使うにあたり、なにか小テクや気を遣っていることがあれば教えてください。」
土屋 「このデッキは色の出る土地が14枚しか入っていません。デッキそのものが軽く組まれているので土地はそんなに引きたくないからです。そのせいで初手に土地がフェッチ1枚しかないということはよくあります。その時に1ターン目にサーチする土地は《Tropical Island》が多いです。」
斉藤 「なぜ《Tropical Island》なんですか?」
土屋 「1ターン目のアクションとして《秘密を掘り下げる者》や《敏捷なマングース》に必要であることはもちろん、マスト除去の生物が出てきた時に次のターンには《Tropical Island》から《思案》などを打ち、《Volcanic Island》を手に入れて赤マナで焼くからです。」
斉藤 「確かにそうですね。《ルーンの母》や《死儀礼のシャーマン》は焼きたいので《思案》などで除去を探しますね。ちなみに、《思案》はシャッフル手段にもなるので《渦まく知識》などでフェッチランドを探しにいってない時の保険にもなりますよね。土地が少ないと相手の《不毛の大地》などはどう対処するのですか?」
土屋 「《もみ消し》は単に相手のフェッチや能力をカウンターする以外にも、《不毛の大地》から守るという役目もあります。小テクの一つとして、相手からの《不毛の大地》スタック中に相手に呪文を唱えさせることができると、狙われている土地を《目くらまし》(コストで島を戻す)で回避することができます。」
斉藤 「具体的に教えてもらえますか?」
土屋 「同系とかである例ですが、相手は《不毛の大地》と《もみ消し》で、こちらの土地基盤を狙っています。
(1)相手が《Tropical Island》に対して《不毛の大地》をするスタックで、(2)フェッチを切ろうとすると、相手は《もみ消し》を切ってきます。そこの《もみ消し》に対して、(3)《Tropical Island》を戻しながら《目くらまし》を打つと、(4)《不毛の大地》がフィズった上にフェッチが解決します。これだけでゲームが勝ちにつながります。
斉藤 「これは凄いですね。同系だと先手と後手で意識する点が違うみたいですが、このような状況になれば先手後手の意識が逆転してしまいますね。」
土屋 「また《もみ消し》でよくあることですが、1ターン目《ギタクシア派の調査》+《汚染された三角州》と置くとコンボだと思われて安易にフェッチを切ってくれるので、そこをもみ消すと簡単にゲームに勝ってしまったりもします。」
斉藤 「青黒、青白(《汚染された三角州》、《溢れかえる岸辺》)ってフェッチランドはコンボやコントロール色の土地なので最初は警戒されないかもしれませんね。緑赤フェッチランド(《樹木茂る山麓》)は、ビートの色なのに構えることで疑われる可能性があります。
《引き裂かれし永劫、エムラクール》の滅殺も誘発型能力なのでもみ消せます。《実物提示教育》でがでてしまっても、こちらが《タルモゴイフ》を出してライフを詰めていれば勝つことができる場合もあります。」
土屋 「《グリセルブランド》の絆魂をもみ消せないのだけが残念ですね。」
斉藤 「他になにか意識していることとかはありますか?」
土屋 「テンポらしく、ゲーム終了時の手札の枚数を意識しています。また戦闘はできるかぎりフルパンで。
《不毛の大地》をすぐ切る人をよく見かけますが、即切りしないで《タルモゴイフ》を出してから《不毛の大地》セットから2枚割ったりクロックを先に用意することは特に大事だと思います。」
斉藤 「クロックは出す勇気が要りますが、出したらかなりゲーム楽がになったりしますもんね。RUGデルバーは《渦まく知識》とフェッチを合わせて使えば、その場に必要なものを何でも調達できるデッキなのが僕も好きですね。」
■まとめ、RUGデルバーに興味がある人へ
斉藤 「今日は土屋 洋紀さんを招待しての『RUGデルバー』デッキを紹介しました。とても熱く語っていただきました。RUGデルバーは固定のパーツは多いですが、少し変えるだけでいろいろなデッキの相性が変わる対応力のあるデッキだと感じました。
RUGデルバーに興味がある人へなにか一言お願いします。」
土屋 「RUGデルバーは派手なカードが無く、痩せたカードの集まりなので、勝つと”俺強えー”感が味わえるとても楽しいデッキです。相手のライフを少しでも多く削る事に貪欲になれる方にオススメします。
レガシーの対戦は、最終的に相手が○○を持っていたら負け、持ってなかった勝ち!というゲームになりやすいです。特にRUGデルバーは、相手にそんな選択(《目くらまし》、《呪文貫き》、《稲妻》、《もみ消し》等)を強いる事が多いデッキです。」
斉藤 「RUGデルバーは、クロックが早い上にカウンターが入っているので、逆に相手が何を持っていても勝ちと言う状況も作りやすいですよね。
今回は本当にありがとうございました。」
次回は、《実物提示教育》のデッキを使っているあの人を招待して、一緒に解説していきたいと思います。
それでは、また第2回でお会いしましょう!