第2回 前編は【こちら】
斉藤 「前回はデッキについて紹介していただきましたが、今回はデッキの弱点や、プレイするにあたって上手い人がどんなことを考えているかを紹介していきたいと思います。
では、今回も大久保 雄輝さんよろしくお願い致します。」
大久保 「よろしくお願い致します。」
■弱点・やられて嫌なことは?
斉藤 「スニークショーを使っていて、やられたら嫌なことをやきついカードを教えてください。」
大久保 「スニークショーは必ずコンバットが必要な非即死型コンボです。大型クリーチャーが場に出たからといって必ず勝利できるわけではありません。このデッキの最大の脅威は、大型クリーチャーのコンバット自体を封じてしまう《謙虚》や《罠の橋》といった置物系カードです。《謙虚》や《罠の橋》はそこまで頻繁に見るカードではないものの、《実物提示教育》にあわせて出すこともできますし、1枚で《実物提示教育》と《騙し討ち》の両方に対応することができます。また一度出てしまえばデッキに数枚しか入っていないバウンスでしか対処されないので、置物が有効だと思います。」
斉藤 「たしかに置物を処理できるカードが少ないですね。自分もミラクルデッキにメインから《罠の橋》を積むことによって耐性をつけています。」
大久保 「《実物提示教育》に合わせることのできる置物はやっぱりきついですね。」
■各主要デッキに対するサイドボーディング
斉藤 「大まかに対ビート、コンボ、テンポ、コントロールを相手する時のサイドチェンジの考え方を教えてください。」
大久保 「こちらが基本的なサイドボーディングの考え方です。」
●対ビート
大久保 「基本的に盤面に触れるカードを入れます。対策生物を除去するための《紅蓮地獄》や、《真髄の針》をバウンスするカードを入れます。」
●対コンボ
大久保 「速度勝負になりやすいです。先に勝負にいくのか、カウンターで弾いてから勝負にでるかは相手や先手後手によって変わります。
ミラーに限っては《騙し討ち》から生物を発射させることが目標になりますが、ゲーム自体は遅くなるので生物は減りやすいです。」
●対テンポ
大久保 「クリーチャーが着地さえすればかなり勝ちにつながります。相手はカウンターが増量されてきますので、こちらは《防御の光網》でカウンターを封じ込める形になります。」
●対コントロール
大久保 「レガシーのコントロールはカウンターと置物で対策してくるので、バウンスや《裂け目の突破》が大事になります。ゆっくりな戦いでも問題ないため《水蓮の花びら》は減りやすいです。」
3 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 1 《霧深い雨林》 1 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(19)- 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 2 《定業》 4 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 2 《誤った指図》 4 《騙し討ち》 4 《水蓮の花びら》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(33)- |
3 《墓掘りの檻》 3 《防御の光網》 2 《赤霊破》 2 《拭い捨て》 2 《紅蓮地獄》 1 《青霊破》 1 《紅蓮破》 1 《裂け目の突破》 -サイドボード(15)- |
斉藤 「では、各主要デッキに対するサイドボーディングを教えてください。」
大久保 「実際に使っているリストを基に、具体的にみていきましょう。」
●対RUGデルバー
in 2 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 3 《防御の光網》 |
out 1 《グリセルブランド》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 2 《呪文貫き》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 |
大久保 「RUG相手には《赤霊破》系のカウンターと《防御の光網》を全てインします。
《赤霊破》はこのマッチではほぼ《呪文貫き》の上位互換で、《秘密を掘り下げる者》を除去することでターンを稼ぐこともできます。
《防御の光網》は場に出てさえしまえばほぼ妨害なく《実物提示教育》や《騙し討ち》を通すことができますし、相手がサイドインしてくる可能性が高い《赤霊破》や《狼狽の嵐》をかわすことができます。また、《防御の光網》キャスト時に2マナ以上浮かせてキャストすれば、相手は《目くらまし》と《呪文貫き》の組み合わせか《Force of Will》くらいしか打ち消せるカードがないので、打ち消されたとしても必ず1:2交換できますのでその後の展開を有利に進めることができます。
このマッチでは《精神を刻む者、ジェイス》はほぼ無力ですのでサイドアウト。《呪文貫き》は代わって《赤霊破》が入るので枚数を減らします。他にサイドインするカードがある場合はマナコストの高い《騙し討ち》を1枚サイドアウトすることもあります。」
●対スニーク・ショー
in 2 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 1 《青霊破》 1 《裂け目の突破》 |
out 2 《グリセルブランド》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 2 《水蓮の花びら》 |
大久保 「ミラーマッチはお互いに《騙し討ち》を探しにいくマッチになります。十分に土地を伸ばしてから仕掛けるため短期戦にはなりにくいです。そのためクリーチャーはその過程で1枚引ければ十分であるため3~4枚サイドアウトします。またブッパすることも少ないため《水蓮の花びら》も数枚サイドアウトします。《赤霊破》は説明不要で全てイン。同じく《青霊破》も。」
●対エルフ
in 2 《紅蓮地獄》 2 《墓掘りの檻》 |
out 2 《誤った指図》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 |
大久保 「ほとんどの場合1対複数交換が可能な《紅蓮地獄》をイン。《自然の秩序》からの危ない生物や《緑の太陽の頂点》からの《ガドック・ティーグ》などクリーチャーサーチは負けに直結しますので《墓掘りの檻》をサイドイン。相手がサイドインしてくる《陰謀団式療法》のフラッシュバックを止める役割もあります。
クリーチャーが多く並びやすいため《精神を刻む者、ジェイス》をサイドアウト。エルフはハンデスをサイドインしてきますが、そのほとんどが《陰謀団式療法》であり、当てどころがほとんどない《誤った指図》もアウト。」
●対ミラクル
in 2 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 2 《拭い捨て》 1 《裂け目の突破》 |
out 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 1 《グリセルブランド》 1 《誤った指図》 3 《水蓮の花びら》 |
大久保 「ミラクルは先程説明した《罠の橋》や《謙虚》などの置物をインしてくる可能性があるので《拭い捨て》をインします。また、コントロール系デッキはクリーチャーによるこちらのライフ減少が遅く、こちらも急いで仕掛ける必要がないので、クリーチャーとマナ加速の《水蓮の花びら》を数枚アウトします。」
●対エスパー石鍛冶
大久保 「エスパーは、ハンデス、カウンター、ヘイトベアーといろんな方向からコンボを妨害してきますので対策が立てづらいのですが、《瞬唱の魔道士》、《ヴェンディリオン三人衆》、《精神を刻む者、ジェイス》、カウンターと当てどころの多い《赤霊破》をインします。
また、クリーチャーの線が細いのでほぼ《紅蓮地獄》で流して時間を稼ぐことができます。
アウトするカードに関しては、確定で抜きたくなるような不要なカードが少ないため、デッキバランスが崩れないように万遍なくアウトしています。」
●対ジャンド
in 2 《紅蓮地獄》 1 《裂け目の突破》 (0~2) 《拭い捨て》 |
out 0(1) 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 1 《水蓮の花びら》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 |
大久保 「ジャンドはメインがビートやコントロール系に強く作られている分、サイドボードにはコンボ対策カードが多くとられています。《赤霊破》系のカウンターや追加のハンデス、さらには《真髄の針》や《罠の橋》などのアーティファクトがとられている場合もあります。
通常ハンデスに強い《精神を刻む者、ジェイス》ですがジャンドのようなBRカラーのハンデス系デッキは《赤霊破》や《稲妻》など《精神を刻む者、ジェイス》を簡単に除去できるカードがたくさん入っていますのでサイドアウトします。
《紅蓮地獄》は相手の《闇の腹心》に対して当てます。《闇の腹心》は《Force of Will》でしか対応できない上に野放しにしておくと追加でハンデス、《赤霊破》を大量に引かれてしまいます。 サイド後はクリーチャー以外はほぼコンボ対策カードですので、なるべくカードを引かれないように早めに対処する必要があるのです。
またジャンドは《騙し討ち》を非常に苦手にしているため《真髄の針》の採用率も高いです。《真髄の針》で《騙し討ち》指定されてもいいように《裂け目の突破》やバウンスを入れると良いでしょう。
サイドに《神聖の力線》をとっている場合は当然サイドインすることになります。」
■細かいテクニックや初歩テクニック
斉藤 「スニークショーを使うにあたり、なにか小テクや気をつかっていることがあれば教えてください。」
大久保 「特にキープ基準は気を付けていますね。まずこのデッキがやるべきことは、《実物提示教育》なら3マナ、《騙し討ち》なら4マナを確保することです。その次に、クリーチャーと《実物提示教育》or《騙し討ち》の2枚の組み合わせを揃えることです。すなわち、最低3マナを確保することが大前提なので、マナ確保が厳しいハンドはマリガンの対象になります。
例えば、《騙し討ち》、《グリセルブランド》、フェッチ、《Volcanic Island》、《Force of Will》2、《精神を刻む者、ジェイス》みたいなハンドはマリガンです。デッキに2マナランドがあるとはいえ、ドロースペルがないこのハンドでは《騙し討ち》の設置が見えてきません。また、《Volcanic Island》や2マナランドは《不毛の大地》されるリスクがあるので初手の土地には十分注意が必要です。」
斉藤 「土地をしっかり並べることと、ドロースペルの使い方は本当に大切ですね。自分は《渦まく知識》と《思案》が初手にある場合、1ターン目に《思案》撃たず、2ターン目に《渦まく知識》プレイ→フェッチを起動→《思案》という動きをよくします。ハンドの内容にもよりますけどね。土地を起こして構えることによって、《思考囲い》《コジレックの審問》のようなハンデスに対応して《渦まく知識》や《呪文貫き》を打てるのもメリットです。」
大久保 「土地を起こして構えることで相手が《もみ消し》ケアとかをしてくれると、土地が並びやすいゲームになるのも利点ですね。」
■まとめ、スニークショーに興味がある人へ
斉藤 「レガシー最強コンボといわれるスニークショー。ファッティで勝ちたいと思っている人に一言あればお願いします。」
大久保 「レガシーの魅力のひとつであるパワーカードを存分に使えるデッキです。サイドボードの固定スロットも比較的少なく自由度も高いので、自分なりのスニークショーを構築してみてはいかがでしょうか?」
斉藤 「コンボの動きもできるし、コントロールの動きをするデッキでもあります。《グリセルブランド》を使う側に回るか、使われる側に回るかはあなた次第です。レガシーならではのコンボデッキも楽しそうですね。
大久保さん、今回は本当にありがとうございました。」
大久保 「ありがとうございました。」
次回は、《石鍛冶の神秘家》デッキを使っているあの人を招待して、一緒に解説していきたいと思います。
それでは、また第3回でお会いしましょう!