のぶおの部屋 -第3回 エスパー石鍛冶(前編)-

斉藤 伸夫



■ゲスト紹介

今回は、誰のインタビューにするか迷っていました。
そこにはボルト算の土屋と接戦を繰り広げているプレイヤーがいました。

その人こそ、”関東最強の石鍛冶使い”と名高い高橋 徹(東京)。Diarynoteでは「peso」というHNで活動していらっしゃいます。このコラムのことをお願いすると、快く承諾してくれました。

高橋さんの主な戦績は、日本レガシー選手権2012 TOP4、AMC優勝複数回、The Last Sun2013TOP16など。また、The Last Sun 2013予選@晴れる屋レガシー杯では見事全勝優勝で権利を獲得しました。優勝者インタビューは【こちら】です。

斉藤 「今回はインタビューよろしくお願いします。石鍛冶使いとしてトップクラスに上手いので依頼させていただきました。」

高橋 「よろしくお願いします。このコラムを読んでいたので、誘っていただいてうれしく思います。先月はThe Last Sun2013 TOP4おめでとうございます!」(※編注:筆者の斉藤伸夫は、The Last Sun2013で見事ベスト4入賞しました。)

斉藤 「ありがとうございます。プロプレイヤーの方や普段スタンダードをプレイしている方がレガシーを真剣にやっている姿は新鮮でしたね。レガシーを楽しむ方々が増えると嬉しいです。では、インタビューを始めさせていただきます。」



■エスパー石鍛冶デッキとは?

斉藤 「こちらが一般的なレシピになります。」


Charles Gordon 「Esper Stoneblade」 SCGO Oakland (1位)

2 《島》
1 《平地》
1 《沼》
3 《Tundra》
3 《Underground Sea》
1 《Scrubland》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
3 《湿地の干潟》
1 《Karakas》

-土地(23)-

4 《石鍛冶の神秘家》
2 《瞬唱の魔道士》
3 《真の名の宿敵》
1 《ヴェンディリオン三人衆》

-クリーチャー(10)-
4 《渦まく知識》
4 《剣を鍬に》
2 《思考囲い》
1 《コジレックの審問》
1 《思案》
2 《対抗呪文》
1 《名誉回復》
2 《至高の評決》
4 《Force of Will》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《梅澤の十手》
1 《火と氷の剣》
1 《殴打頭蓋》
2 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文(27)-
4 《翻弄する魔道士》
2 《盲信的迫害》
2 《安らかなる眠り》
1 《狼狽の嵐》
1 《流刑への道》
1 《思考囲い》
1 《至高の評決》
1 《謙虚》
1 《墓掘りの檻》
1 《万力鎖》

-サイドボード(15)-
hareruya


斉藤 「エスパー石鍛冶の簡単なデッキ説明をお願いします。」

高橋 「このデッキは青のカウンターとドロー、白の除去と《石鍛冶の神秘家》+装備品パッケージ、黒のハンデスをうまく活用していきながら、装備品のついた生物もしくは、《精神を刻む者、ジェイス》でコントロールしながら勝つデッキです。コントロールデッキですのでアドバンテージを稼ぎやすいデッキですが、生物でもよく勝つのでコンバットもとても大事になります。」

斉藤 「元々はスタンダードで台頭していたカウブレードの派生ですね。レガシーでは、GP Providence2011で初日全勝して、5位入賞することによって注目をあびたデッキです。そのころは純正青白2色でした。」

高橋 「あの頃は黒を足さなくても《精神的つまづき》が使えたので、コンボが息をしづらい環境でしたからね。」





■なぜエスパー石鍛冶?

斉藤 「なぜ普段からエスパー石鍛冶を選択しているのですか?」

高橋 「まず、どんなデッキとも渡り合えることですね。レガシーでよく”ペアリング下手糞だったー”と嘆いている人はこういうデッキを使うべきだと思います。
 あとは単純に《石鍛冶の神秘家》ってカードが好きだからですかね。昔から《けちな贈り物》《神秘の指導》みたいなカードをサーチする能力が好きだったので。」

斉藤 「ドローソースやサーチが多くあるとアドバンテージを稼いだり、相手に合わせて有効なカードを使えますよね。また、レガシーではシャッフルできるという行為自体が大変有効な場合が多いです。《渦まく知識》+フェッチランドとかは有名ですね。」




■メタ上ではどうか?

斉藤 「エスパー石鍛冶はメタ上での立ち位置はどうなのでしょうか?」

高橋 「優良生物・カウンター・ハンデス・アドバンテージの取れるカードによる万能なデッキなので、どんな相手でもプレイングでどうにかなることが多いです。
 レガシーで対処できないといけない基本的なカードの集まりです。丸いカードの集合体なので、基本を極めたデッキの一つとでもいえるのでないでしょうか。」

斉藤 「たしかにそうですね。生物+PW、カウンター+ハンデスと、多面的に仕掛けたり守ったりできるのが強みに感じます。」





■一般的なレシピとの違いは?

斉藤 「では、実際に高橋さんが使っているレシピを踏まえた上で、一般的なレシピとの違いを教えてください。」

高橋 「これが使っているレシピになります。」



高橋 徹 「Esper Stoneblade」

3 《島》
2 《平地》
1 《沼》
2 《Tundra》
2 《Underground Sea》
1 《Scrubland》
4 《溢れかえる岸辺》
3 《汚染された三角州》
2 《湿地の干潟》
1 《Karakas》
2 《ミシュラの工廠》

-土地(23)-

4 《石鍛冶の神秘家》
4 《瞬唱の魔道士》
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《真の名の宿敵》

-クリーチャー(12)-
4 《剣を鍬に》
4 《渦まく知識》
3 《思考囲い》
2 《思案》
2 《呪文貫き》
1 《至高の評決》
3 《Force of Will》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《梅澤の十手》
1 《火と氷の剣》
1 《殴打頭蓋》
2 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文(25)-
2 《翻弄する魔道士》
2 《安らかなる眠り》
1 《エーテル宣誓会の法学者》
1 《外科的摘出》
1 《流刑への道》
1 《狼狽の嵐》
1 《思考囲い》
1 《強迫》
1 《解呪》
1 《盲信的迫害》
1 《至高の評決》
1 《Force of Will》
1 《饗宴と飢餓の剣》

-サイドボード(15)-
hareruya


編注:編集側のミスにより、1《梅澤の十手》が抜けておりました。大変申し訳ありません。


斉藤 「なにがトップメタだと思ってこのレシピのカード選択をされたんでしょうか?」

高橋 「RUGデルバー、スニークショー、ミラーの3つです。」

斉藤 「なるほど。ではそういったメタに合わせて改良した点などを具体的に教えていただけると助かります。」

高橋 「デルバーデッキのためにフェッチランドを減らし基本地形に変えました。またコンボ戦やコントロール戦で大切なクロックにもなるミシュラランド(《ミシュラの工廠》)の採用ですかね。スペルの選択はそこまでの差はありません。一般的なレシピが『《真の名の宿敵》3枚+《ヴェンディリオン三人衆》1枚』に対して、自分は『《真の名の宿敵》2枚+《ヴェンディリオン三人衆》2枚』にすることによりコントロールやコンボに強みをあげています。」





■メタに合わせた変更点

斉藤 「なにかメタにあわせた改良案とかあれば教えてください。」

高橋 「何に当たっても勝てるように丸く丸く作っていますが、メタが偏るのであればこのように変えていくでしょう。

◇ビートが増えた場合
もともと有利なので、大きく変更することはないです。全除去の2枚目を入れるくらいでしょうか。一般的なレシピのように《真の名の宿敵》の3枚目の起用も検討します。

◇コンボが増えた場合
相手側に干渉するハンデスもしくは、《ヴェンディリオン三人衆》を増加します。カウンター、ハンデス、置物と散らすことにより相手は対処しにくいので。

◇テンポが増えた場合
全除去を増加した上で、《もみ消し》+《不毛の大地》を使うデッキに対して今のマナベースに不安があるので《ミシュラの工廠》を基本地形にします。

◇コントロールが増えた場合
奇跡コンが増えた場合、《真髄の針》《精神を刻む者、ジェイス》を増やします。しかし、同型が増えた場合には、《解呪》系を増加したいですね。《未練ある魂》を以前のように採用するかもしれません。」







次回はエスパー石鍛冶の弱点やサイドボードの考え方、事例をあげての小テクを紹介するといったプレイ編をお届けします。

では、次回プレイ編でお会いしましょう。