レガシープレイヤーにとってとても嬉しい知らせがありました。この記事を読んでくださっている皆さんの中には既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、2015年4月18-19日に開催される予定のGP京都のフォーマットにレガシーが選ばれました!
■公式記事:『2015年プロツアー、グランプリのスケジュール公開』
日本で開催されるGPのフォーマットとして採用されるのは今回が初です。これを機にレガシーに興味を持ってくれるプレイヤーが増えるといいですね。
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open(SCGO) DallasとSCGO Syracuseの結果を見ていきたいと思います。
SCGO Dallas ~今大会トップ8の最大勢力のUW Miraclesが優勝~
2014年8月3日
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1位 UWR Miracles/白青奇跡
2位 BUG Delver/チームアメリカ
3位 BUG Delver/青黒緑アグロ
4位 Esper Stoneblade/白青石鍛冶
5位 Dredge/発掘
6位 UWR Miracles/白青奇跡
7位 UWR Miracles/白青奇跡
8位 ANT/むかつきストーム
相変わらず青いデッキが支配する環境ですが、わずかながらANTやDredgeなどのコンボデッキもしばらくぶりに上位に見られました。青いフェアデッキの中でもUWR Miraclesが今大会ではトップ8に3名の入賞者を輩出しており、優勝もMiraclesでした。
SCGO Dallas デッキ解説
「UWR Miracles」「BUG Delver」「Esper Stoneblade」
4 《島》 2 《平地》 1 《山》 3 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 1 《秘教の門》 1 《Karakas》 -土地(23)- 2 《瞬唱の魔道士》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(3)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 1 《思案》 2 《呪文貫き》 2 《天使への願い》 2 《対抗呪文》 1 《議会の採決》 4 《Force of Will》 4 《終末》 3 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- |
2 《翻弄する魔道士》 2 《解呪》 2 《赤霊破》 2 《至高の評決》 2 《安らかなる眠り》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《イゼットの静電術師》 1 《紅蓮破》 1 《真髄の針》 1 《サーボの網》 -サイドボード(15)- |
4 《島》 2 《平地》 1 《山》 3 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 1 《秘教の門》 2 《Karakas》 -土地(23)- 1 《瞬唱の魔道士》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 -クリーチャー(5)- |
4 《渦まく知識》 2 《呪文貫き》 2 《剣を鍬に》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 3 《Force of Will》 1 《誤った指図》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(32)- |
2 《安らかなる眠り》 2 《狼狽の嵐》 1 《イゼットの静電術師》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《Wear》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《議会の採決》 1 《天使への願い》 1 《至高の評決》 1 《誤った指図》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
4 《島》 2 《平地》 1 《山》 3 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 2 《Karakas》 -土地(23)- 2 《石鍛冶の神秘家》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(4)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 2 《呪文貫き》 1 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 4 《Force of Will》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 1 《殴打頭蓋》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(33)- |
2 《石鍛冶の神秘家》 2 《赤霊破》 2 《Wear》 2 《炎の中の過去》※編注 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《イゼットの静電術師》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《紅蓮破》 1 《至高の評決》 1 《真髄の針》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
※編注:引用元であるSCGの記載通りです。
今大会で最も多くのトップ8入賞者を出し優勝もMiraclesでした。
今大会優勝者のShane Remeltのリストはメインは至って普通のリストですがサイドには見慣れないカードが含まれています。 《サーボの網》は《忍び寄るタール坑》などのクリーチャー土地や《Karakas》や《リシャーダの港》といった優秀な土地を止めることが可能で、最近上位でよく目にするDeath and Taxesに効果的です。3色目の赤はサイドのカードのみで最小限に留めています。
SCGOやSCG Invitationalで何度も入賞経験のあるMiraclesの名手のJoe Lossettは今大会でも独特の調整をしたバージョンで入賞していました。《誤った指図》はMiraclesではあまり見ないカードですが、《Hymn to Tourach》や《祖先の幻視》を対象を変更させることが可能で特にShardless BUG戦で強さを発揮しそうです。
Fang Hoのリストは今回Miraclesで勝ち残った3人の中でも特に個性的です。多くのリストではサイドに採られていることが多い<石鍛冶の神秘家>と装備品のパッケージがメインに採られています。BBD(Brian Braun-Duin)がSCGO Columbusで入賞していたリストも《石鍛冶の神秘家》パッケージがメインから積まれていましたが、《天使への願い》は不採用でした。
Miraclesは勝つ手段の薄さからゲームが優位に傾いても勝ちきれず、引き分けてしまうことも多いデッキです。初手に来て欲しくないカードでコンボ相手には遅いカードということで稀に不採用のリストも見られますが、《天使への願い》は中盤以降相手のエンド時に《師範の占い独楽》から「奇跡」を誘発させてキャストすることでゲームを速やかに終わらせることを可能にするので、Miraclesでは必須の勝ち手段だと思います。《石鍛冶の神秘家》パッケージと《天使への願い》の同居は、斬新かつ非常に良い構成ですね。
今回勝ち残った3名が全員サイドに採用している《イゼットの静電術師》は小型のクリーチャーを並べてくるElvesやDeath and Taxesによく効きます。Esper Stonebladeなどが使ってくる《未練ある魂》に対しても有効です。
4 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 2 《Bayou》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《タルモゴイフ》 2 《墓忍び》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《もみ消し》 4 《目くらまし》 4 《突然の衰微》 2 《Hymn to Tourach》 3 《Force of Will》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(26)- |
2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《呪文貫き》 2 《見栄え損ない》 2 《ゴルガリの魔除け》 1 《Hymn to Tourach》 1 《クローサの掌握》 1 《Force of Will》 1 《墓掘りの檻》 1 《無のロッド》 -サイドボード(15)- |
BUG Delverでは珍しく<もみ消し>が採用されています。その枠の確保の為にメインのハンデスの《Hymn to Tourach》の枚数が減量されています。4枚採用でないところを見るに、マナ否定戦略よりも「奇跡」などの誘発能力対策のようです。
サイドには《無のロッド》や《クローサの掌握》、《ヴェンディリオン三人衆》なども見られ、惜しくも決勝戦で負けてしまいましたが本来はMiraclesに強い構成のようです。
2 《島》 1 《平地》 1 《沼》 3 《Tundra》 2 《Underground Sea》 1 《Scrubland》 4 《湿地の干潟》 3 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《忍び寄るタール坑》 1 《Karakas》 -土地(22)- 4 《石鍛冶の神秘家》 1 《瞬唱の魔道士》 1 《悪意の大梟》 2 《真の名の宿敵》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(9)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 2 《思案》 2 《呪文貫き》 2 《コジレックの審問》 2 《思考囲い》 1 《対抗呪文》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 4 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 1 《ヴェールのリリアナ》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(29)- |
2 《翻弄する魔道士》 2 《狼狽の嵐》 2 《安らかなる眠り》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《悟りの教示者》 1 《呪文貫き》 1 《強迫》 1 《外科的摘出》 1 《盲信的迫害》 1 《仕組まれた疫病》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
最近は《死儀礼のシャーマン》を採用した4色のDeathbladeよりも3色のEsper Stonebladeの方が結果を出しているようです。《死儀礼のシャーマン》のカードパワーも捨てがたい所ですが、3色である分基本地形を採用する余裕ができ、アンチ特殊地形カードの<血染めの月>1枚で負けることも減ります。
テンポ寄りであるDeathbladeと異なりメインに《至高の評決》を採用しているなどコントロール寄りの構成ですが、3マナの装備品の対象が《未練ある魂》では無く《真の名の宿敵》です。スイーパーとのアンチシナジーが気になるところではありますが、除去耐性が高い上、《未練ある魂》と異なり必要ならば《Force of Will》のコストになります。
SCGO Syracuse ~UWR Miraclesが連覇!~
2014年8月10日
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1位 UWR MiraclesUWR Miracles/白青奇跡
2位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
3位 UWR Delver/白青石鍛冶
4位 BUG Delver/チームアメリカ
5位 UWR Delver/白青石鍛冶
6位 UWR Delver/白青石鍛冶
7位 Shardless BUG/続唱青黒緑
8位 Burn/赤単
トップ8の半分以上がDelver系というDelver祭りでしたが、優勝を飾ったのは前回のSCGO Dallasを制したUWR Miraclesでした。コンボは皆無で、青いデッキ以外ではBurnが8位に入賞しています。
SCGO Syracuse デッキ解説
「RUG Delver」「UWR Delver」
3 《Tropical Island》 3 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《樹木茂る山麓》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 4 《タルモゴイフ》 1 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(13)- |
4 《思案》 4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 3 《Chain Lightning》 2 《ギタクシア派の調査》 2 《呪文貫き》 2 《呪文嵌め》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 -呪文(29)- |
3 《紅蓮破》 3 《水没》 2 《狼狽の嵐》 1 《真の名の宿敵》 1 《二股の稲妻》 1 《古えの遺恨》 1 《Rough》 1 《森の知恵》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
安定した成績を残し続けているRUG Delver。最近のRUG Delverとしては珍しく《もみ消し》は不採用で 、《呪文貫き》や《呪文嵌め》などカウンターが多めです。 《呪文嵌め》は《石鍛冶の神秘家》、《タルモゴイフ》、 《相殺》など環境の強力なスペルに2マナ域が多く、このカードが無駄になりやすい《実物提示教育》系のコンボデッキも減少傾向にあるため現在のメタゲームだと非常に強力です。メインに《Chain Lightning》が3枚と多めのバーンスペルも特徴的です。
《真の名の宿敵》はこのデッキでは少し重いのがネックとなりますがDeath and Taxesや同系戦では対処されにくい脅威となります。しかし、マナ否定戦略以外にも「奇跡」の誘発を妨害することも可能な《もみ消し》を抜いてしまっているので、Miraclesとのマッチアップは少し不利になってしまった印象です。
4 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 3 《汚染された三角州》 2 《乾燥台地》 2 《霧深い雨林》 1 《溢れかえる岸辺》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(10)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 3 《剣を鍬に》 3 《呪文貫き》 3 《もみ消し》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(31)- |
3 《翻弄する魔道士》 2 《渋面の溶岩使い》 2 《狼狽の嵐》 2 《安らかなる眠り》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《Wear》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《剣を鍬に》 -サイドボード(15)- |
2014年度最優秀新人賞を獲得したアメリカの若手プロのJared Boettcher。今までもSneak and ShowやPainterで結果を残してきましたが、今回はUWR Delverを使用していました。
Jared は既存のデッキに独特のアレンジを施して大会に持ち込むことが多く、今回使用していたUWR Delverも例外ではありません。今回のアレンジはメインの<もみ消し>の存在です。初期のバージョンではテンポデッキの戦略の一つのマナ否定戦略と、当時クロックとして採用されていた《聖トラフトの霊》との相性の良さから採用されていました。しかし《真の名の宿敵》が登場し採用され始めた時を境に《石鍛冶の神秘家》や装備品など他のDelver系のデッキよりもマナを使う構成であるため《もみ消し》を構えたプレイングが困難だったこともあり、徐々にリストから外されていきました。今回の採用理由はマナ否定よりも相手の使用してくる《不毛の大地》によってマナ基盤を壊されるのを防いだり、最近流行のMiraclesの「奇跡」の誘発をカウンターするためだと思われます。
20 《山》 -土地(20)- 4 《ゴブリンの先達》 4 《大歓楽の幻霊》 -クリーチャー(8)- |
4 《Chain Lightning》 4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 4 《発展の代価》 3 《火炎の裂け目》 3 《焼尽の猛火》 4 《裂け目の稲妻》 4 《火炎破》 2 《硫黄の渦》 -呪文(32)- |
2 《難問の鎮め屋》 2 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 2 《粉々》 2 《精神壊しの罠》 2 《大祖始の遺産》 2 《罠の橋》 1 《硫黄の渦》 -サイドボード(15)- |
《大歓楽の幻霊》が加入して以来コンスタントに入賞を続けているBurn。《渋面の溶岩使い》や《地獄火花の精霊》 は不採用で、メインのクリーチャーは《ゴブリンの先達》と《大歓楽の幻霊》の2種類と最低限に絞られています。
メインの《硫黄の渦》はMiraclesを初めとした青いフェアデッキに強いカードです。土地はシンプルに《山》20枚で、《焼尽の猛火》とのシナジーを発揮するフェッチランドが不採用なのは恐らくカード資産の関係だと思われます。
総括
SCGO DallasとSCGO Syracuseは両大会共にUWR Miraclesが優勝を飾りました。安定した成績を残し続けているMiraclesですが、選択肢が多く<師範の占い独楽>を頻繁に起動するため時間を食うので、大きな大会で勝つには要練習です。《大歓楽の幻霊》という新戦力を得て以来コンスタントに上位入賞しているBurnも、普段レガシーに触れないプレイヤーもデッキ予算の関係で選択する可能性があるのでテストデッキに加えることをお勧めします。
日本で初めてレガシーのGPが開催されることにより今まで以上の盛り上がりが期待できそうです。
以上で今回の解説を終わります。
次回の記事ではSCGO Washington DCの解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『SCGO Dallas event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/020814_dallas.html
『SCGO syracuse City event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/090814_syracuse.html