USA Standard Express vol.10 -SCGO Oakland, GP Dallas, SCG Invitational/Open Las Vegas-

Kenta Hiroki



皆さんこんにちは。
いよいよGP静岡が今週末に開催されますが皆さんのデッキは決まりましたか?

さて、今回の記事ではSCGO Oakland, GP Dallas, SCGO Las VegasとSCG Invitational Las Vegasの解説をしていきたいと思います。
まずはSCGO Oaklandから見ていきます。



SCGO Oakland トップ8 デッキアーキタイプ

2013年12月7日
1位 UW Control/白青コントロール
2位 RW Devotion/赤単
3位 Mono Blue Devotion/信心青単
4位 Mono Blue Devotion/信心青単
5位 GB Aggro/黒緑ビートダウン
6位 Mono Blue Devotion/信心青単
7位 WR Aggro/白単ビートダウン
8位 Mono Black Devotion/黒単

優勝はUW Controlでした。相変わらずMono Blue Devotionが多く、次点で準優勝したRW Devotionといった所です。



SCGO Oakland デッキ解説

「UW Control」


Joe Lossett 「UW Control」 SCGO Oakland (1位)

6 《島》
6 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《アゾリウスのギルド門》
2 《欺瞞の神殿》
2 《静寂の神殿》
2 《変わり谷》

-土地(26)-


-クリーチャー(0)-
2 《中略》
3 《アゾリウスの魔除け》
3 《今わの際》
1 《本質の散乱》
4 《スフィンクスの啓示》
3 《解消》
2 《予言》
4 《至高の評決》
4 《拘留の宝球》
1 《不死の霊薬》
4 《思考を築く者、ジェイス》
3 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(34)-
4 《反論》
3 《天界のほとばしり》
2 《真髄の針》
1 《霊異種》
1 《今わの際》
1 《否認》
1 《隔離する成長》
1 《記憶の熟達者、ジェイス》

-サイドボード(14)-
hareruya


GP ViennaでStanislav Cifkaも使って入賞していたUW Controlです。メインは《中略》を採用している以外はStanislav Cifkaのリストとほぼ同様ですが、サイドは追加のフィニッシャーとして《霊異種》《記憶の熟達者、ジェイス》を採用している点が異なります。追加の除去として採用されている《天界のほとばしり》は、各種God等破壊されないクリーチャーや《嵐の息吹のドラゴン》《ヴィズコーパの血男爵》のようにプロテクション(白)を持ったクリーチャーも処理できる可能性のある優秀な除去です。

Mono Blue Devotionが多いメタでは、同デッキのほとんどのクリーチャーを除去できる《今わの際》や全体除去にアクセスが可能な上、青単にとってカウンター以外では対処が困難な《太陽の勇者、エルズペス》《思考を築く者、ジェイス》を搭載したこのデッキがベストな選択の一つだったと言えます。

思考を築く者、ジェイス太陽の勇者、エルズペス天界のほとばしり




GP Dallas トップ8 デッキアーキタイプ

2013年12月8日
1位 BW Control/白黒コントロール
2位 UW Control/白青コントロール
3位 RG Devotion/赤単
4位 WB Aggro/白黒ビートダウン
5位 Mono Black Devotion/黒単
6位 UW Control/白青コントロール
7位 UW Control/白青コントロール
8位 RW Burn/バーン

冬の嵐により交通機関が荒れたため参加者が834名と、近年アメリカで開催されたGPの中ではかなりの小規模となったGP DallasSCGO Oaklandの結果と異なりMono Blue Devotionがトップ8に一人も居ないという、最近のスタンダードの大会では珍しい結果となりました。

SCGO Oaklandでも優勝していたUW Controlはトップ8に3人送り込むなど、優勝こそ逃しましたが今大会では勝ち組デッキだったと言えます。優勝は《ヴィズコーパの血男爵》をメインにフル搭載したBW Controlでした。



GP Dallas デッキ解説

「BW Control」「UW Control」「WB Aggro」


Marlon Gutierrez 「BW Control」 GP Dallas (1位)

12 《沼》
1 《平地》
4 《神無き祭殿》
4 《静寂の神殿》
4 《変わり谷》

-土地(25)-

4 《群れネズミ》
1 《罪の収集者》
4 《冒涜の悪魔》
4 《ヴィズコーパの血男爵》

-クリーチャー(13)-
4 《思考囲い》
2 《強迫》
4 《肉貪り》
2 《究極の価格》
2 《今わの際》
4 《英雄の破滅》
4 《地下世界の人脈》

-呪文(22)-
3 《生命散らしのゾンビ》
3 《闇の裏切り》
3 《ファリカの療法》
2 《罪の収集者》
1 《強迫》
1 《減縮》
1 《破滅の刃》
1 《真髄の針》

-サイドボード(15)-
hareruya


今回優勝したMarlon Gutierrezのリストは、Mono Black Devotionから《アスフォデルの灰色商人》等のDevotion要素を除外し代わりに白を足したことで、《ヴィズコーパの血男爵》やハンデス兼クロックの《罪の収集者》、さらに現在のメタでは優秀な除去スペルである《今わの際》にアクセスが可能になっています。黒への『信心』を集める必要がなくなったので、《今わの際》で除去られやすい《夜帷の死霊》も不採用です。また、コントロールを強く意識しているようで、《思考囲い》の他にも《強迫》も2枚メインに採用されています。

《ヴィズコーパの血男爵》をメインにフル搭載しているので、Mono Black Devotionに対して有利が付きます。また、《罪の収集者》も含めメイン・サイド合わせて合計10枚ものハンデススペルを搭載しているので、今大会で多くの入賞者を出したUW Controlに対しても、中盤以降に《スフィンクスの啓示》をトップデッキされない限りは、有利なゲームになります。赤単等の速攻デッキに対してはやや不利が付きますが、サイド後は追加の除去で時間を稼ぐことができる《ファリカの療法》《減縮》等で序盤を凌いで《ヴィズコーパの血男爵》に繋げるというプランが見えます。

ヴィズコーパの血男爵罪の収集者今わの際





William Jensen 「UW Control」 GP Dallas (2位)

8 《島》
8 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《アゾリウスのギルド門》
2 《変わり谷》

-土地(26)-


-クリーチャー(0)-
2 《中略》
2 《急かし》
4 《アゾリウスの魔除け》
4 《スフィンクスの啓示》
4 《解消》
4 《予言》
4 《至高の評決》
4 《拘留の宝球》
1 《不死の霊薬》
1 《漸増爆弾》
3 《思考を築く者、ジェイス》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(34)-
3 《鬼斬の聖騎士》
3 《今わの際》
3 《反論》
2 《否認》
1 《盲従》
1 《真髄の針》
1 《漸増爆弾》
1 《記憶の熟達者、ジェイス》

-サイドボード(15)-
hareruya


ここのところ上位入賞し続けている殿堂入りプレイヤーのWilliam Jensen。今回はデッキビルダーで特に青白系のコントロールを得意とするAndrew Cuneoの制作したUW Controlで、惜しくも優勝こそ逃しましたが準優勝という優秀な成績を収めました。

Stanislav Cifkaのリストと異なり、メインのフィニッシャーは1枚の《太陽の勇者、エルズペス》のみです。相手の脅威をひたすら捌いていき、《スフィンクスの啓示》でアドバンテージを稼ぐと、《不死の霊薬》で墓地に落ちたカードを回収して、相手のリソースが尽きたあとに《太陽の勇者、エルズペス》で勝負を決めるという、とても気の長いデッキです。一応その間も《変わり谷》でダメージを稼ぐことはできますが、基本的に勝つよりも負けないようにゲームを運んでいく事がこのデッキのスタイルです。

タップインランドを嫌っているようで、他のUW Controlのリストと異なり『占術』ランドは不採用です。メインはカウンターが多めで除去が少なく、最近の定番除去である《今わの際》もサイドに落とされています。メインに採用されている《急かし》は主に軽いキャントリップとして使われますが《予言》《至高の評決》が手札にある際は積極的に狙っていきたいところです。

スフィンクスの啓示不死の霊薬急かし





Ben Stark 「WB Aggro」 GP Dallas (4位)

8 《平地》
1 《沼》
4 《神無き祭殿》
4 《静寂の神殿》
1 《オルゾフのギルド門》
4 《変わり谷》

-土地(22)-

4 《ボロスの精鋭》
4 《万神殿の兵士》
4 《ドライアドの闘士》
4 《果敢なスカイジェク》
4 《管区の隊長》
3 《威圧する君主》
4 《放逐する僧侶》
2 《ザスリッドの屍術師》

-クリーチャー(29)-
4 《精霊への挑戦》
3 《オルゾフの魔除け》
2 《ヘリオッドの槍》

-呪文(9)-
3 《闇の裏切り》
3 《破滅の刃》
2 《罪の収集者》
2 《ザスリッドの屍術師》
2 《思考囲い》
2 《Profit》
1 《オルゾフの魔除け》

-サイドボード(15)-
hareruya


殿堂入りプレイヤーのBen Starkが今回持ち込んだのは、《ザスリッドの屍術師》や除去スペルのために黒を足した白ウィニーでした。現スタンダードの白ウィニーはSCGO Los AngelesでBen Lundquistが使用して優勝したタッチ赤バージョンがポピュラーですが、黒を足したことにより《ザスリッドの屍術師》《破滅の刃》等の各種除去スペルと、ハンデスの《思考囲い》へのアクセスが可能になりました。《ザスリッドの屍術師》はMono Black Devotionやスイーパーを搭載したUW Controlに対して特に活躍が期待できるカードで、ビートダウンミラーでも相手のクリーチャーと相打ちすることによりアドバンテージを取れます。

メインに採用されている《オルゾフの魔除け》は悩みの種だった 《波使い》《ボロスの反攻者》を除去したり、墓地に落ちた1マナのクリーチャーをインスタントスピードで場に戻したり、自軍のクリーチャーを除去から護ったりと、このデッキの戦略にマッチしたスペルです。サイドボードは《闇の裏切り》をはじめとして除去が多めに採用されています。《思考囲い》《罪の収集者》《至高の評決》などの致命的なスペルをあらかじめ取り除くことが可能なだけでなく、相手の手札の情報を得ることでその後のプランが立てやすくなることも強みです。《Profit》/《Loss》は同型戦などのビートダウンミラーにおいてクリーチャーの並べ合いになった際に使えば多大なアドバンテージが稼げます。

万神殿の兵士ザスリッドの屍術師オルゾフの魔除け





SCGO Las Vegas トップ8 デッキアーキタイプ

2013年12月15日
1位 Mono Black Devotion/黒単
2位 UWR Control/白青コントロール
3位 WR Aggro/白単ビートダウン
4位 Mono Black Devotion/黒単
5位 Mono Black Devotion/黒単
6位 UW Control/白青コントロール
7位 Mono Black Devotion/黒単
8位 Mono Blue Devotion/信心青単

最近はMono Blue Devotionの陰に霞みがちだったMono Black Devotionでしたが、今大会ではトップ8の半分を占めるという驚異的なパフォーマンスで、優勝もMono Black Devotionでした。このところコンスタントに入賞しているUWも、準優勝したタッチ赤バージョンも含めると2人勝ち残っていました。Mono Blue Devotionはトップ8に一人と少数で、メタが変化していることが窺えます。



SCGO Las Vegas デッキ解説

「Mono Black Devotion」「UWR Control」


Timothy Rivera 「Mono Black Devotion」 SCGO Las Vegas (1位)

19 《沼》
3 《欺瞞の神殿》
4 《変わり谷》

-土地(26)-

4 《群れネズミ》
4 《夜帷の死霊》
4 《冒涜の悪魔》
1 《死者の神、エレボス》
4 《アスフォデルの灰色商人》

-クリーチャー(17)-
4 《思考囲い》
4 《肉貪り》
1 《ファリカの療法》
4 《英雄の破滅》
4 《地下世界の人脈》

-呪文(17)-
4 《強迫》
3 《生命散らしのゾンビ》
2 《闇の裏切り》
2 《破滅の刃》
2 《ファリカの療法》
1 《死者の神、エレボス》

-サイドボード(14)-
hareruya




Owen Turtenwald 「Mono Black Devotion」 SCGO Las Vegas (5位)

19 《沼》
3 《欺瞞の神殿》
4 《変わり谷》

-土地(26)-

4 《群れネズミ》
4 《夜帷の死霊》
4 《冒涜の悪魔》
4 《アスフォデルの灰色商人》

-クリーチャー(16)-
4 《思考囲い》
4 《肉貪り》
2 《ファリカの療法》
4 《英雄の破滅》
4 《地下世界の人脈》

-呪文(18)-
4 《強迫》
3 《生命散らしのゾンビ》
3 《死者の神、エレボス》
3 《闇の裏切り》
2 《ファリカの療法》

-サイドボード(15)-
hareruya


GP LuisvilleGP Albuquerqueの二つのアメリカのGPを制したMono Black Devotion。その後は上位から数を減らしていましたが、ここに来てトップ8の半分を占め優勝を果たす等、トップメタの一角としての強さを見せつけました。

今回優勝したTimothy Riveraはメインに《肉貪り》をフル搭載し《破滅の刃》をサイドに落とすなど、メタを的確に読んだ構築がされています。《破滅の刃》《夜帷の死霊》《群れネズミ》をはじめとして環境に存在するクリーチャーに黒が多く活躍の場が少ないので、サイド落ちも納得です。《肉貪り》は他の並んでいるクリーチャーを先に除外しておく必要がありますが、《ヴィズコーパの血男爵》に対する数少ない回答です。苦手とする赤単や白ウィニー対策に《ファリカの療法》もメインに1枚採用されています。

サイドの《生命散らしのゾンビ》は白ウィニーや緑系のミッドレンジ、《ヴィズコーパの血男爵》を搭載したBW Controlの他にも、最近流行りのUW Controlにもサイドインされます。パワーが3あるので《今わの際》で除去されず、『威嚇』で《太陽の勇者、エルズペス》から生み出されるトークンにもブロックされないのも強みです。

同デッキでGP Albuquerqueを制したOwen Turtenwaldも、《肉貪り》をフル搭載した上で《ファリカの療法》をメインに2枚採用しています。コントロールや同型戦ではキーとなる《死者の神、エレボス》はメイン不採用ですが、サイドには3枚と多めに採られています。《死者の神、エレボス》が場に出ている間は《不死の霊薬》《スフィンクスの啓示》でライフを回復されることを防ぐことができるので、UW Control相手にこのカードを通せばその後の展開がかなり楽になります。BW Controlに対しても、《ヴィズコーパの血男爵》の絆魂でライフゲインされなくなるので、ダメージレースを挑むことが容易になります。

群れネズミ肉貪り死者の神、エレボス





Steven Phillips 「UWR Control」 SCGO Las Vegas (2位)

4 《島》
4 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《蒸気孔》
1 《聖なる鋳造所》
4 《凱旋の神殿》
3 《アゾリウスのギルド門》
2 《変わり谷》

-土地(26)-


-クリーチャー(0)-
2 《中略》
2 《急かし》
4 《アゾリウスの魔除け》
4 《スフィンクスの啓示》
4 《予言》
2 《解消》
2 《対抗変転》
4 《至高の評決》
4 《拘留の宝球》
1 《不死の霊薬》
1 《漸増爆弾》
3 《思考を築く者、ジェイス》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(34)-
3 《鬼斬の聖騎士》
3 《反論》
2 《今わの際》
1 《ショック》
1 《摩耗+損耗》
1 《否認》
1 《対抗変転》
1 《盲従》
1 《真髄の針》
1 《記憶の熟達者、ジェイス》

-サイドボード(15)-
hareruya


GP Dallasでも準優勝していたUW Controlに、同型に強い《対抗変転》とエンチャントとアーティファクトを破壊できる《Wear》/《Tear》のために赤をタッチした形となっています。《対抗変転》は確かに同型相手に強いカードですが、他のデッキ相手には『占術』持ちで色拘束が弱い《解消》の方が優秀です。決勝戦で当たったMono Black Devotionとのマッチアップがきついので、赤を足したアドバンテージを活かしてMono Black Devotionにとっては対処のしづらい《軍勢の集結》を数枚採用することをお勧めします。

対抗変転至高の評決摩耗+損耗




SCG Invitational Las Vegas トップ8 デッキアーキタイプ

2013年12月15日
1位 Mono Black Devotion/黒単
2位 Mono Blue Devotion/信心青単
3位 Esper Control/白青黒コントロール
4位 GW Aggro/緑白ビートダウン
5位 RW Devotion/赤単
6位 Esper Control/白青黒コントロール
7位 UW Control/白青コントロール
8位 RW Devotion/赤単

SCGOやSCG Invitationalでコンスタントに入賞し続けているBrian Braun-Duin(BBD)や同じくSCG Invitationalでの優勝経験もあるErik Smith等、強豪揃いのトップ8のSCG Invitational Las Vegas。年内最後のSCG Invitationalを制したのは、現スタンダードのトップメタの一角であるMono Black Devotionを持ち込んだMax Brownでした。Openでの優勝もMono Black Devotionだったことからも、スタンダードのベストデッキの一つであることは間違いありません。同デッキについての解説はSCGO Las Vegasの所でもしていたので、他の入賞デッキの解説を優先したいと思います。



SCG Invitational Las Vegas デッキ解説

「Mono Black Devotion」「Esper Control」「Mono Blue Devotion」「RW Devotion」「GW Aggro」


Brian Braun-Duin 「Esper Control」 SCGO Las Vegas (6位)

3 《島》
3 《平地》
1 《沼》
4 《神無き祭殿》
4 《神聖なる泉》
4 《湿った墓》
4 《欺瞞の神殿》
4 《静寂の神殿》

-土地(27)-

4 《ヴィズコーパの血男爵》

-クリーチャー(4)-
3 《思考囲い》
3 《肉貪り》
2 《ディミーアの魔除け》
1 《究極の価格》
4 《スフィンクスの啓示》
1 《英雄の破滅》
4 《至高の評決》
4 《拘留の宝球》
4 《思考を築く者、ジェイス》
3 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(29)-
4 《夜帷の死霊》
3 《群れネズミ》
3 《罪の収集者》
2 《破滅の刃》
1 《霊異種》
1 《異端の輝き》
1 《思考囲い》

-サイドボード(15)-
hareruya




Shaheen Soorani 「Esper Control」 SCGO Las Vegas (3位)

4 《島》
2 《平地》
4 《神無き祭殿》
4 《神聖なる泉》
4 《欺瞞の神殿》
4 《静寂の神殿》
4 《湿った墓》

-土地(26)-

2 《ヴィズコーパの血男爵》
1 《霊異種》

-クリーチャー(3)-
1 《中略》
2 《思考囲い》
4 《アゾリウスの魔除け》
2 《肉貪り》
3 《スフィンクスの啓示》
2 《解消》
2 《英雄の破滅》
4 《至高の評決》
1 《無慈悲な追い立て》
4 《拘留の宝球》
4 《思考を築く者、ジェイス》
2 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(31)-
3 《破滅の刃》
2 《鬼斬の聖騎士》
2 《罪の収集者》
2 《否認》
2 《真髄の針》
1 《ヴィズコーパの血男爵》
1 《異端の輝き》
1 《反論》
1 《交易所》

-サイドボード(15)-
hareruya


コンスタントに入賞を果たしているBBDは、今回かなり特徴のある構成のEsper Controlを持ち込んだようです。予選ラウンドのスタンダード部門でも8-0という好成績を残しています。SCGOでは多数の入賞者を出していたMono Black Devotionや最近流行りの白ウィニーデッキに対して強い《ヴィズコーパの血男爵》がメインにフル搭載されています。《解消》等の定番のカウンター呪文がメインに一切採られていないのも印象的です。

サイドには《夜帷の死霊》《群れネズミ》が搭載されているなど、コントロールミラーや除去をサイドアウトしてくる相手に対する変形サイドボードプランが用意されています。

対してShaheenのリストは比較的普通のEsper Controlです。追加のスイーパーに《無慈悲な追い立て》を採っています。クリーチャーのみならずエンチャントにも触ることができ、『追放』なので各種Godさえも除去することができます。

ヴィズコーパの血男爵夜帷の死霊無慈悲な追い立て





Gregory Hatch 「Mono Blue Devotion」 SCGO Las Vegas (2位)

20 《島》
4 《変わり谷》

-土地(24)-

4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《潮縛りの魔道士》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《海の神、タッサ》
4 《夜帷の死霊》
4 《波使い》

-クリーチャー(28)-
3 《急速混成》
2 《家畜化》
2 《タッサの二叉槍》
1 《思考を築く者、ジェイス》

-呪文(8)-
4 《反論》
3 《漸増爆弾》
2 《本質の散乱》
2 《家畜化》
2 《思考を築く者、ジェイス》
2 《記憶の熟達者、ジェイス》

-サイドボード(15)-
hareruya


固定パーツが多く使用者の個性を出すのが難しいMono Blue Devotionですが、今回入賞したGregory Hatchのリストはメインに《家畜化》を2枚採用するなど、現在のメタに合わせて入念に調整された痕跡が見られます。メインとサイド合わせて4枚採用されている《家畜化》は、現在のスタンダードのトップメタのMono Blue DevotionとMono Black Devotionの主力《夜帷の死霊》に対する切り札になります。相手の『信心』カウントを著しく減少させつつこちらの『信心』を一気に5まで上げる事ができ、《海の神、タッサ》も容易に目覚めさせることができます。

サイドには《漸増爆弾》が多めに積まれています。白ウィニーなど低コストのクリーチャーを展開してくるデッキに対しては勿論のこと、コントロールの《拘留の宝球》を牽制したりもできます。X=1でサクリファイスすれば青単では処理が困難な《霧裂きのハイドラ》も除去することができます。サイドのカウンターのチョイスが《否認》ではなく《本質の散乱》なのも面白いアプローチです。最近はコントロールも青単側が《否認》《反論》をサイドインしてくる事を想定して《群れネズミ》《テューンの大天使》をサイドインしてくるので、現在のメタでは《否認》よりも役に立つシチュエーションが多いのかもしれません。

海の神、タッサ家畜化漸増爆弾





Thea Steele 「RW Devotion」 SCGO Las Vegas (5位)

12 《山》
4 《聖なる鋳造所》
4 《凱旋の神殿》
1 《ボロスのギルド門》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス》

-土地(25)-

4 《灰の盲信者》
4 《炎樹族の使者》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《ボロスの反攻者》
4 《モーギスの狂信者》
2 《鍛冶の神、パーフォロス》
4 《嵐の息吹のドラゴン》

-クリーチャー(26)-
3 《ミジウムの迫撃砲》
3 《岩への繋ぎ止め》
2 《パーフォロスの槌》
1 《紅蓮の達人チャンドラ》

-呪文(9)-
4 《ボロスの魔除け》
3 《神々の憤怒》
3 《戦導者のらせん》
2 《Wear》
2 《軍勢の集結》
1 《岩への繋ぎ止め》

-サイドボード(15)-
hareruya




Erik Smith 「RW Devotion」 SCGO Las Vegas (8位)

11 《山》
4 《聖なる鋳造所》
4 《凱旋の神殿》
1 《ボロスのギルド門》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス》

-土地(24)-

4 《ラクドスの哄笑者》
4 《灰の盲信者》
4 《炎樹族の使者》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《ボロスの反攻者》
4 《モーギスの狂信者》
2 《鍛冶の神、パーフォロス》
4 《嵐の息吹のドラゴン》

-クリーチャー(30)-
2 《ミジウムの迫撃砲》
2 《岩への繋ぎ止め》
2 《パーフォロスの槌》

-呪文(6)-
4 《火飲みのサテュロス》
3 《ボロスの魔除け》
2 《ミジウムの迫撃砲》
2 《岩への繋ぎ止め》
2 《軍勢の集結》
1 《今わの際》
1 《紅蓮の達人チャンドラ》

-サイドボード(15)-
hareruya


今回トップ8に二人送り込んだRW Devotion。Thea Steeleは今大会スタンダード部門で全勝という優秀な成績を残しています。《炎樹族の使者》《ボロスの反攻者》で赤への『信心』を稼いで 《モーギスの狂信者》で相手のライフを一気に削ったり、《ニクスの祭殿、ニクソス》でマナを大量に出して《ミジウムの迫撃砲》で相手の盤面を一掃して《嵐の息吹のドラゴン》を走らせたりします。Theaのリストは中速寄りで、メインから《ミジウムの迫撃砲》《岩への繋ぎ止め》が3枚ずつと除去が多目に採られています。サイドにも《神々の憤怒》《戦導者のらせん》など追加の除去が多く採られているのが印象的です。

RW Devotionはカードパワーの高さが魅力ですが、全体的に重い構成のため、《ニクスの祭殿、ニクソス》を引けなかった場合に展開が遅れがちです。Erik Smithはメインに《ラクドスの哄笑者》、サイドにも《火飲みのサテュロス》といった軽いクリーチャーを採ることで、Mono Red Aggroのようにクリーチャーを速攻で展開してビートダウンしていくことも可能にしています。メインの除去は少なめですが、サイドには追加の除去でこのデッキにとっては厄介な《波使い》を取り除くことができる《今わの際》が採用されています。

ボロスの反攻者モーギスの狂信者岩への繋ぎ止め





Andrew Shrout 「GW Aggro」 SCG Invitational Las Vegas (4位)

8 《森》
8 《平地》
4 《寺院の庭》
3 《セレズニアのギルド門》

-土地(23)-

4 《霧裂きのハイドラ》
4 《実験体》
2 《エルフの神秘家》
4 《空殴り》
4 《復活の声》
2 《羊毛鬣のライオン》
1 《漁る軟泥》
4 《放逐する僧侶》
3 《加護のサテュロス》

-クリーチャー(28)-
4 《セレズニアの魔除け》
1 《今わの際》
4 《ワームの到来》

-呪文(9)-
4 《ひるまぬ勇気》
3 《魔女跡追い》
3 《今わの際》
3 《異端の輝き》
1 《漁る軟泥》
1 《加護のサテュロス》

-サイドボード(15)-
hareruya


Andrew ShroutのGW Aggroのリストは、《霧裂きのハイドラ》《空殴り》がメインにフル搭載されているなど、かなり青をメタった構成になっています。《放逐する僧侶》はクリーチャーを直接除去する手段に乏しいGWにとって《波使い》やクリーチャー化した《海の神、タッサ》に対する回答です。 《魔女跡追い》は単体除去を多用するMono Black Devotionに対してサイドインされます。追加の除去として《今わの際》もメイン・サイドと合わせて4枚採用されています。サイド後は《波使い》《潮縛りの魔道士》を除去する手段が増加するので、Mono Blue Devotionとも互角以上に戦えそうです。

霧裂きのハイドラ空殴り今わの際




総括

SCGO OaklandはMono Blue Devotionが多く上位に残る中でUW Controlが優勝しました。同デッキはGP Dallasでもトップ8に3人送り込む活躍を見せています。しかし、GP Dallasを制したのはMono Blue DevotionでもUW Controlでもなく、《ヴィズコーパの血男爵》をメインにフル搭載したBW Controlでした。ところがこのMono Black Devotionをメインからメタったデッキが優勝した直後の大会なのにもかかわらず、Mono Black Devotionは環境のトップメタのMono Blue Devotionを抑えてSCGO Las VegasとSCG Invitational Las Vegasの両大会を制する強さを見せます。固定パーツが多く完成されていたと思われたMono Black DevotionとMono Blue Devotionですが、Owen TurtenwaldやTimothy Riveraのメインフル搭載の《肉貪り》やInvitational準優勝者のGregory Hatchのメインに多めに採用された《家畜化》《急速混成》など、現在のスタンダードはまだまだ工夫の余地があることを再確認させられました。

さて、いよいよ今週末に迫ったGP静岡ですが、トップメタのMono Blue DevotionやMono Black Devotionがいつものように結果を出すのか、それとも他のデッキがトロフィーを手にするのか、楽しみです。参加される皆さんは良い結果が出せるようがんばってください。

以上、SCGO Oakland、GP Dallas,SCGO Las Vegas, SCG Invitational Las Vegasの入賞デッキの解説でした。

それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!