皆さんこんにちは。
ご存知の方も多いと思いますが、MOのDaily Eventとプレミアイベントが長期のメンテナンスの為一時的に廃止になりました(注:リンク先は英語)。これによりメタの動きが以前と比べて読み難くなることが予想されます。しばらくはSCGO等リアルのイベントの結果が今後のスタンダードのメタを占うに際し今まで以上に重要になりそうです。読者の皆さんの参考になるようベストを尽くしていきたいと思います。
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open Series(SCGO) DallasとMagic Online Championship Series(MOCS) Season11の入賞デッキの解説をしていきたいと思います。
SCGO Dallas トップ8 デッキアーキタイプ
2013年11月10日
1位 GR Devotion/赤緑怪物
2位 RW Devotion/赤単
3位 UW Control/白青コントロール
4位 Esper Control/白青黒コントロール
5位 UW Control/白青コントロール
6位 WR Aggro/白単ビートダウン
7位 WR Aggro/白単ビートダウン
8位 UG Devotion/信心青単
SCGO DallasはGP LouisvilleやSCGO Indianapolisで多数の入賞者を出した Mono Black DevotionやMono Blue Devotionは数を減らし、Esper ControlやRW Devotion、前回のSCGO Los Angelesでも優勝していたWR Aggro等ビートダウンが中心でした。そんな中優勝したのはGR Devotionでした。
SCGO Dallas デッキ解説
「GR Devotion」 「RW Devotion」「WR Aggro」
9 《森》 2 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《奔放の神殿》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 4 《森の女人像》 4 《旅するサテュロス》 4 《炎樹族の使者》 2 《漁る軟泥》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 1 《狩猟の神、ナイレア》 3 《高木の巨人》 1 《自由なる者ルーリク・サー》 -クリーチャー(27)- |
4 《ドムリ・ラーデ》 2 《歓楽者ゼナゴス》 4 《獣の統率者、ガラク》 -呪文(10)- |
4 《霧裂きのハイドラ》 4 《ナイレアの信奉者》 3 《不毛の地のバイパー》 3 《燃え立つ大地》 1 《破壊的な享楽》 -サイドボード(15)- |
Esper Control等全体除去を撃ってくるデッキとは相性が悪く苦戦を強いられますが、今回のようにアグロデッキの多いメタではクリーチャーのサイズで勝るGR Devotionにとっては活躍しやすい環境であったことが予想されます。
苦手なEsper Controlに対しても《燃え立つ大地》や《霧裂きのハイドラ》が採られているのでサイド後の相性は多少改善されます。《不毛の地のバイパー》は 《世界を喰らう者、ポルクラノス》との組み合わせで相手の場を壊滅させることができます。クリーチャーにトランプルを付ける 《狩猟の神、ナイレア》との相性も抜群です。
12 《山》 4 《聖なる鋳造所》 4 《凱旋の神殿》 1 《ボロスのギルド門》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(24)- 4 《ラクドスの哄笑者》 4 《凍結燃焼の奇魔》 4 《炎樹族の使者》 4 《灰の盲信者》 4 《ボロスの反攻者》 4 《モーギスの狂信者》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 -クリーチャー(28)- |
3 《ミジウムの迫撃砲》 1 《オレリアの憤怒》 1 《岩への繋ぎ止め》 2 《パーフォロスの槌》 1 《軍勢の集結》 -呪文(8)- |
4 《ボロスの魔除け》 3 《岩への繋ぎ止め》 2 《摩耗+損耗》 2 《戦導者のらせん》 1 《ミジウムの迫撃砲》 1 《燃え立つ大地》 1 《軍勢の集結》 1 《紅蓮の達人チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
前回のSCGO Los Angelesでも準優勝していたRW Devotion。今回入賞したJaredのリストはDevotionを満たすことでマナを大量に生み出すことのできる《ニクスの祭殿、ニクソス》との相性が良い《オレリアの憤怒》をメインに採用しています。出た当初は対象を割り振る事ができる優秀なX火力として活躍が期待されましたが昨シーズンでは《忌むべき者のかがり火》の陰に隠れがちでした。しかし、現環境ではその《忌むべき者のかがり火》もローテーション落ちしており、特に最近はWR Aggro等クリーチャーのサイズの小粒なデッキの活躍し始めているのもありようやく日の目を浴びることができたようです。
10 《平地》 4 《聖なる鋳造所》 4 《凱旋の神殿》 4 《変わり谷》 -土地(22)- 4 《ボロスの精鋭》 4 《ドライアドの闘士》 4 《万神殿の兵士》 4 《管区の隊長》 3 《果敢なスカイジェク》 2 《威圧する君主》 3 《前線の衛生兵》 2 《ボロスの反攻者》 -クリーチャー(26)- |
4 《精霊への挑戦》 4 《ボロスの魔除け》 2 《ヘリオッドの槍》 2 《群れの統率者アジャニ》 -呪文(12)- |
3 《放逐する僧侶》 3 《鬼斬の聖騎士》 2 《頭蓋割り》 2 《ミジウムの迫撃砲》 2 《平和な心》 2 《燃え立つ大地》 1 《摩耗+損耗》 -サイドボード(15)- |
前回から引き続いて入賞した現環境の白ウイニー。軽いクリーチャーを多数採用しているため手数の多さが強みで、単体除去に頼ったMono Black Devotion等に対して有利が付きます。SCGO Los Angelesのリストから若干の変化が見られます。
まず目にするのは《威圧する君主》です。このカードが場に出ている状況では相手もブロッカーを用意することが難しくなります。また、速攻クリーチャーで捲られる心配もなくなるのでアグロデッキ同士のダメージレースを有利にしてくれます。前回のリストでは一枚のみの採用だった《ヘリオッドの槍》も今回は増量されています。レジェンダリーな為重ねて張ることができないのは残念ですが、全体強化はクリーチャーを多数並べるこのデッキにとっては必須です。
サイドにはこのデッキにとって非常に厄介なクリーチャーである《ヴィズコーパの血男爵》対策に《ミジウムの迫撃砲》、赤系のデッキ対策に《鬼斬の聖騎士》、Esper Control対策に《燃え立つ大地》、ライフゲイン対策に《頭蓋割り》と、非常に分かりやすくまとまっています。
MOCS Season11 トップ8 デッキアーキタイプ
2013年11月17日
1位 RWB/バーン
2位 UW Control/白青コントロール
3位 Esper Control/白青黒コントロール
4位 Mono Blue Devotion/信心青単
5位 Naya Hexproof/白赤緑ビートダウン
6位 Mono Blue Devotion/信心青単
7位 BG Aggro/黒緑ビートダウン
8位 GR Devotion/赤緑怪物
サーバークラッシュによって一週間延期される形で行われたMOCS Season11。優勝したのは多数のバーンスペルを搭載したRWBでした。他にも定番のEsper Control等《スフィンクスの啓示》を使ったコントロールデッキやMono Blue Devotionに混じって、Naya HexproofやBG Aggro等、今まであまり見られなかったデッキも入賞していました。プロツアー「テーロス」でもトップ8に入賞していた日本人プロプレイヤーの山本 賢太郎さんも参戦していました。惜しくも決勝戦で負けてしまいましたが、準優勝という優秀な成績を残しました。
MOCS Season11 デッキ解説
「RWB」「UW Control」「Naya Hexproof」「BG Aggro」
9 《山》 4 《聖なる鋳造所》 4 《静寂の神殿》 4 《凱旋の神殿》 -土地(21)- 4 《ラクドスの哄笑者》 1 《火飲みのサテュロス》 1 《灰の盲信者》 4 《チャンドラのフェニックス》 -クリーチャー(10)- |
4 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 4 《マグマの噴流》 4 《頭蓋割り》 4 《ボロスの魔除け》 2 《労苦+苦難》 3 《戦導者のらせん》 4 《岩への繋ぎ止め》 -呪文(29)- |
4 《ボロスの反攻者》 2 《若き紅蓮術士》 2 《火花の強兵》 2 《ミジウムの迫撃砲》 2 《神々の憤怒》 2 《労苦+苦難》 1 《峰の噴火》 -サイドボード(15)- |
バーンスペルを多めに搭載した赤単をベースに白と黒を足したデッキです。メインのクリーチャーは僅か10枚で、基本的に火力で相手を焼ききることが勝利手段のようです。本体火力を多数搭載している為《チャンドラのフェニックス》を使いまわすことが容易です。このデッキに採用されている《Toil》はコントロールに対して強く、融合した際に《Toil》 の対象を相手にすれば更に追加で4点のダメージを与えることが可能です。火力での対処の難しい大型クリーチャーも《岩への繋ぎ止め》で除去することができます。
メインのクリーチャーの少なさからサイド後に相手が除去を減らしてくることを想定していたようで、サイドには追加のクリーチャーとして《ボロスの反攻者》、《火花の強兵》、《若き紅蓮術士》が採られています。
8 《島》 8 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《アゾリウスのギルド門》 2 《変わり谷》 -土地(26)- 1 《霊異種》 -クリーチャー(1)- |
2 《中略》 4 《アゾリウスの魔除け》 3 《今わの際》 1 《本質の散乱》 4 《スフィンクスの啓示》 3 《解消》 2 《予言》 4 《至高の評決》 4 《拘留の宝球》 4 《思考を築く者、ジェイス》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(33)- |
4 《反論》 2 《テューンの大天使》 2 《天界のほとばしり》 2 《真髄の針》 1 《霊異種》 1 《摩耗+損耗》 1 《今わの際》 1 《否認》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
コントロールと言えばEsper Controlが目立ちますが、今回入賞したsyrup16gこと山本さんのリストは青白の2色です。Esper Controlは除去の種類の多さやハンデス、占術ランドによる安定したマナベースが強みですが、青白コントロールにも選択メリットが存在します。まず、タップインランドが《アゾリウスのギルド門》の4枚のみでショックランドの枚数も3色のEsperよりも少ないので土地によるライフロスも少なく、より安全に、そしてより確実に《至高の評決》等に間に合わせる事が可能です。2色になり基本地形を多数採用することができるようになったので赤単等がサイドインしてくる《燃え立つ大地》の被害が小さくなるのも2色であることのメリットの一つです。
メインに採用されている《今わの際》はこのデッキにとって厄介な 《変わり谷》や《チャンドラのフェニックス》、 《復活の声》対策になる他にも、《夜帷の死霊》 《波使い》《アスフォデルの灰色商人》等現環境にはパワー2以下のマスト除去のクリーチャーが多数存在するので、無駄になるシチュエーションが少ない優秀な除去スペルです。サイドの《テューンの大天使》は赤単等ライフを攻めてくるビートダウンデッキ対策です。最近の赤単は《岩への繋ぎ止め》の為に白を足した型があり注意が必要ですが、これを場に出してアンタップステップを迎えられれば勝利は目前です。
デッキの構成上Esper Controlよりも赤単等のデッキに対して相性が良いので、赤単が多いMOのメタではEsperよりも有効な選択となり得ます。
4 《森》 3 《平地》 4 《聖なる鋳造所》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《寺院の庭》 4 《セレズニアのギルド門》 1 《凱旋の神殿》 -土地(24)- 4 《林間隠れの斥候》 4 《復活の声》 2 《空殴り》 4 《魔女跡追い》 2 《加護のサテュロス》 1 《鬼斬の聖騎士》 -クリーチャー(17)- |
4 《天上の鎧》 3 《岩への繋ぎ止め》 4 《向こう見ずな技術》 4 《オルゾヴァの贈り物》 4 《ひるまぬ勇気》 -呪文(19)- |
3 《放逐する僧侶》 3 《鬼斬の聖騎士》 3 《繕いの接触》 2 《空殴り》 2 《ボロスの魔除け》 2 《聖なるマントル》 -サイドボード(15)- |
《魔女跡追い》や《林間隠れの斥候》等のHexproof持ちの生物に《ひるまぬ勇気》といったオーラを付けてビートダウンする、昨シーズンのBant Hex Proofを彷彿とさせるデッキです。構成上、単体除去に頼ったMono Black Devotionやクリーチャー除去が火力のみの赤単に対して有利です。《鬼斬の聖騎士》は多くのデッキに対してHexproof持ちのクリーチャーのように振る舞うことができます。
クリーチャーにオーラを付けるのに対応して《肉貪り》を撃たれるとキツイので《復活の声》をメインに4枚採用しています。また、全体除去の《至高の評決》も厳しいので、対策としてサイドに《ボロスの魔除け》と《繕いの接触》が採られています。特に《ボロスの魔除け》は、オーラで強化したクリーチャーに2段能力を与えたりと無駄になる場面がないので、メインに採用を検討しても良いと思います。
9 《森》 8 《沼》 4 《草むした墓》 3 《ゴルガリのギルド門》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ロッテスのトロール》 3 《漁る軟泥》 4 《加護のサテュロス》 4 《屑肉の刻み獣》 2 《縞痕のヴァロルズ》 4 《荒野の収穫者》 2 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 -クリーチャー(27)- |
4 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 2 《英雄の破滅》 -呪文(9)- |
4 《霧裂きのハイドラ》 3 《強迫》 2 《破滅の刃》 2 《究極の価格》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《オルゾヴァの贈り物》 -サイドボード(15)- |
Brian KiblerがStarcityGamesのサイトで記事にしたことで知れ渡ったBG Aggro。テーロスから加入したゴルガリクリーチャーの 《荒野の収穫者》をフィーチャーしています。マナが必要ですが除去耐性があり、接死を付けられるので戦闘に強く、他のクリーチャーが墓地におかれた際に発動する占術1の能力は除去を多く搭載したこのデッキとの相性が良く、ライブラリーのトップの質を常に高められます。
緑黒を選択するメリットの一つとしては、《突然の衰微》やサイドに採られている 《ゴルガリの魔除け》等のフレキシブルな除去スペルと、《思考囲い》といった妨害スペルにアクセスが可能なことです。これらのスペルは現在のトップメタに位置するEsper ControlやMono Black Devotionに対して劇的な効果が望めます。特に《拘留の宝球》をメインの除去として頼っているEsperに対してカウンター不能でインスタントの《突然の衰微》は有効な妨害手段となり、《ゴルガリの魔除け》は《至高の評決》からクリーチャーを護ります。《加護のサテュロス》は黒をベースとしたデッキにとって厄介な《ヴィズコーパの血男爵》と交換することが可能なカードです。
《屑肉の刻み獣》や《ロッテスのトロール》等黒いマルチカラーのクリーチャーがメインに多く搭載されているので、環境に多数存在する《破滅の刃》や《究極の価格》に引っかかりにくいのも強みです。
総括
SCGO Dallasのトップ8は白ウイニー系のデッキやRW Devotion等のビートダウンが中心のメタで、優勝はそれらのデッキに対してクリーチャーの質とサイズで勝るRG Devotionでした。
その翌週に行われたMOCS Season11は赤バーンデッキに白と黒をタッチしたデッキの優勝で幕を閉じました。現在のスタンダードのメタは、Mono Blue DevotionやRW Devotion等信心を活用したデッキとEsper Controlが多くを占め、次点に白ウイニーやBG Aggroと続いているようです。環境初期に存在したGW Aggro等は各種DevotionデッキとEsper Control等不利なマッチの多さから数を減らしたようです。メタが固まりつつある印象がありますが、MOCS Season11で優勝したRWBや同大会で入賞していたNaya Hexproof等、現在のスタンダードは様々なデッキにチャンスのある環境です。
以上SCGO DallasとMOCS Season11の解説でした。
次回の記事ではSCGO Providence, GP Albuquerque, GP Viennaの解説を予定しています。
それでは次回の記事で会いましょう。楽しいスタンダードライフを!