皆さんこんにちは。
来週末はいよいよ待ちに待った新セット『テーロス』のプレリリースです。カードギャラリーが続々と公開されていますが、新スタンダードで試してみたいカードはありましたか?
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open Series(SCGO) Cincinnatiと SCGO Philadelphiaのスタンダード部門の解説をしていきたいと思います。
SCGO Cincinnati トップ8 デッキアーキタイプ
2013年8月31日
1位 The Aristocrats/アリストクラッツ
2位 Archangel Aggro/緑白ビートダウン
3位 BW Midrange/白黒コントロール
4位 UWR Flash/トリコフラッシュ
5位 BG Midrange e/黒緑コントロール
6位 Naya Midrange/ナヤミッドレンジ
7位 Junk Reanimator/リアニメイト
8位 Big Red/赤単ミッドレンジ
環境終盤にも拘らず上位8名が異なるデッキで入賞していたSCGO Cincinnati。そんな中、優勝したのはThe Aristocratsでした。
《漁る軟泥》を採用したデッキの多さから衰退したJunk Reanimatorが入賞していたり、GP北九州の上位には見られなかったUWR Flashが復権していたりとメタに動きが見られます。
SCGO Cincinnati デッキ解説
「The Aristocrats」「Archangel Aggro」「BW Midrange」「UWR Flash」
1 《平地》 4 《血の墓所》 4 《神無き祭殿》 4 《聖なる鋳造所》 4 《孤立した礼拝堂》 2 《竜髑髏の山頂》 1 《断崖の避難所》 3 《魂の洞窟》 -土地(23)- 4 《教区の勇者》 4 《宿命の旅人》 4 《カルテルの貴種》 4 《血の芸術家》 3 《スカースダグの高僧》 4 《ザスリッドの屍術師》 4 《ファルケンラスの貴種》 -クリーチャー(27)- |
4 《悲劇的な過ち》 4 《町民の結集》 2 《未練ある魂》 -呪文(10)- |
3 《テューンの戦僧》 2 《無形の美徳》 2 《イニストラードの君主、ソリン》 2 《生命散らしのゾンビ》 2 《罪の収集者》 2 《士気溢れる徴集兵》 1 《未練ある魂》 1 《ボロスの反攻者》 -サイドボード(15)- |
SCGO Baltimoreでも入賞していた、サクリファイスシステムを利用したアグロコントロールデッキのThe Aristocrats。今回優勝したNicholas Muddはメインは比較的オーソドックスなタイプです。前回紹介したデッキと異なる点は《未練ある魂》がメインに採用されているところです。サクリファイスシステムをより有効に使うことを重視しているようです。
サイドには相手がサイドインしてくる《死の支配の呪い》《イゼットの静電術師》対策である《無形の美徳》、Bant Hexproof対策の《テューンの戦僧》、《修復の天使》等の厄介なクリーチャーを相手の手札から取り除く事ができる《生命散らしのゾンビ》等を中心にまとめられています。
9 《森》 4 《平地》 4 《寺院の庭》 4 《陽花弁の木立ち》 3 《ガヴォニーの居住区》 -土地(24)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 3 《東屋のエルフ》 4 《復活の声》 3 《漁る軟泥》 4 《銀刃の聖騎士》 4 《ロクソドンの強打者》 2 《悪鬼の狩人》 2 《セレズニアの声、トロスターニ》 4 《テューンの大天使》 -クリーチャー(30)- |
4 《ワームの到来》 2 《情け知らずのガラク》 -呪文(6)- |
3 《ひるまぬ勇気》 2 《無視》 2 《天界のほとばしり》 2 《セレズニアの魔除け》 2 《覚悟+意欲》 2 《原初の狩人、ガラク》 1 《原始の報奨》 1 《悪鬼の狩人》 -サイドボード(15)- |
M14で新登場した強力な神話レア《テューンの大天使》を軸にした緑白アグロ。《アヴァシンの巡礼者》と《東屋のエルフ》でマナ加速していき《ロクソドンの強打者》や《復活の声》等緑白の優秀なクリーチャーでビートしていくデッキです。中盤以降もデッキ名にもなっている《テューンの大天使》でライフを回復しつつ自軍のクリーチャーを強化していく事が可能です。
《テューンの大天使》と《銀刃の聖騎士》が結魂すれば、2段攻撃によって能力が2度誘発し、軍勢はより圧倒的になります。《テューンの大天使》の能力をより有効に活用する為にメインに《セレズニアの声、トロスターニ》が採用されています。
サイドにはBant Hexproof等のアグレッシブなデッキ対策に《無視》《天界のほとばしり》、大型クリーチャー対策に《セレズニアの魔除け》、スイーパー対策に《覚悟+意欲》、赤緑アグロ対策に《ひるまぬ勇気》と分かり易い構成です。サイドに1枚のみ採用されている《原始の報奨》は興味深い選択です。巧く使えばアドバンテージ獲得手段となります。特にBG Midrangeのようなコントロールデッキとのマッチアップで活躍するでしょう。
この緑白デッキは《東屋のエルフ》等のマナクリーチャーと《陽花弁の木立ち》、《ガヴォニーの居住区》等の一部の土地以外はローテーション後も残るカードが多く、マナクリーチャーはM14収録の《エルフの神秘家》があるので白緑というアーキタイプは『テーロス』発売後のスタンダードでも活躍が予想できます。
12 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《孤立した礼拝堂》 3 《オルゾフのギルド門》 2 《変わり谷》 -土地(25)- 3 《ゲラルフの伝書使》 3 《吸血鬼の夜鷲》 4 《修復の天使》 3 《冒涜の悪魔》 2 《ボーラスの信奉者》 2 《幽霊議員オブゼダート》 -クリーチャー(17)- |
2 《悲劇的な過ち》 2 《破滅の刃》 2 《夜の犠牲》 1 《究極の価格》 4 《血の署名》 2 《もぎとり》 1 《盲従》 2 《忘却の輪》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(18)- |
3 《強迫》 2 《地下世界の人脈》 1 《真髄の針》 1 《究極の価格》 1 《盲従》 1 《安らかなる眠り》 1 《ヴェールのリリアナ》 1 《もぎとり》 1 《死の支配の呪い》 1 《ゲラルフの伝書使》 1 《吸血鬼の夜鷲》 1 《幽霊議員オブゼダート》 -サイドボード(15)- |
BG Midrangeをベースに、緑の代わりに白を使ったBW Midrange。
《血の署名》で失ったライフを回復させる事ができた《スラーグ牙》にアクセスができなくなりましたが、白の優秀なクリーチャーである《修復の天使》と《幽霊議員オブゼダート》や万能除去の《忘却の輪》にアクセスができるようになりました。ライフ獲得も《スラーグ牙》には適いませんが《幽霊議員オブゼダート》と《ボーラスの信奉者》があります。《修復の天使》によって《ゲラルフの伝書使》や《ボーラスの信奉者》等の能力を使いまわすことでアドバンテージを稼ぎます。
メインとサイドに1枚ずつ採られている《盲従》は速攻クリーチャーを多く採用したGR Aggroをスローダウンさせる事ができます。Extortはあくまでオマケ程度ですがライフを獲得できるので発動できる場面では積極的に狙いたいところです。
2 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《蒸気孔》 3 《聖なる鋳造所》 4 《氷河の城砦》 4 《硫黄の滝》 3 《断崖の避難所》 1 《僻地の灯台》 1 《幽霊街》 -土地(26)- 3 《ボーラスの占い師》 3 《瞬唱の魔道士》 4 《修復の天使》 -クリーチャー(10)- |
3 《火柱》 3 《アゾリウスの魔除け》 3 《熟慮》 2 《変化+点火》 2 《本質の散乱》 2 《雲散霧消》 2 《戦導者のらせん》 2 《至高の評決》 2 《中略》 3 《スフィンクスの啓示》 -呪文(24)- |
2 《天界のほとばしり》 2 《否認》 2 《漸増爆弾》 2 《盲従》 2 《拘留の宝球》 2 《霊異種》 1 《ギルドとの縁切り》 1 《安らかなる眠り》 1 《至高の評決》 -サイドボード(15)- |
環境序盤から存在するUWR 3色のコントロールデッキ。バーンスペルやカウンターで相手の脅威を捌いていき、中盤以降で《スフィンクスの啓示》でリソースの補充とライフの回復をしてそのアドバンテージ差で勝利します。バーンスペルを多く採用しているのでEsper Control等他の青いコントロールと異なり相手のPWに触り易いのがこのデッキの強みです。
サイドには追加の勝ち手段として《霊異種》を採用しています。GR Aggroに有効な《盲従》や追加のカウンターの《否認》以外は多様な除去スペルでまとめられています。クリーチャー以外のパーマネントにも触れる《漸増爆弾》《拘留の宝球》、Bant Hexproof相手にサイドインされる《天界のほとばしり》、追加のスイーパーである《至高の評決》と相手や状況に合わせてサイドボードしていけるのが強みです。
SCGO Philadelphia トップ8 デッキアーキタイプ
2013年9月8日
1位 GR Aggro/グルールミッドレンジ
2位 Naya Midrange/ナヤミッドレンジ
3位 BW Midrange/白黒コントロール
4位 Junk Aristocrats/ジャンクアリストクラッツ
5位 UW Flash/白青コントロール
6位 BG Midrange/黒緑コントロール
7位 The Aristocrats/アリストクラッツ
8位 Junk Reanimator/リアニメイト
優勝したのはGR Aggroでした。前週のSCGO Cincinnati同様に多様なデッキが結果を残しています。
去年のUW Delver一強のような大きな差は見られないものの、GR Aggroのコンスタントな強さが目立ちます。
SCGO Philadelphia デッキ解説
「GR Aggro」「UW Flash」「Junk Reanimator」
9 《山》 6 《森》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 1 《ケッシグの狼の地》 -土地(24)- 4 《東屋のエルフ》 2 《エルフの神秘家》 4 《火打ち蹄の猪》 4 《絡み根の霊》 3 《漁る軟泥》 4 《地獄乗り》 4 《ゴーア族の暴行者》 4 《雷口のヘルカイト》 -クリーチャー(29)- |
3 《ミジウムの迫撃砲》 4 《ドムリ・ラーデ》 -呪文(7)- |
4 《燃え立つ大地》 3 《火山の力》 2 《炬火の炎》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 2 《士気溢れる徴集兵》 1 《火柱》 1 《自由なる者ルーリク・サー》 -サイドボード(15)- |
コンスタントに入賞を続けているGR Aggro。デッキが完成されているのか、これと言って大きな変化はありません。
《地獄乗り》や《雷口のヘルカイト》等主要なカードがローテーション落ちしてしまう為残念ながら『テーロス』後のスタンダードでは現在の型を留めるのは不可能です。しかし、このデッキに4枚採用されているPW《ドムリ・ラーデ》や優秀なクリーチャーである《漁る軟泥》や《ゴーア族の暴行者》は残ります。『テーロス』から《鍛冶の神、パーフォロス》や《嵐の息吹のドラゴン》等、ローテーション落ちしたカードの穴を埋められそうなポテンシャルを持つ赤いカードが新たに加入する予定です。過去のBig Redでも使われていた《マグマの噴流》も採録される予定なので、赤緑というアーキタイプ自体はローテーション後の環境でも見る機会がありそうです。
7 《島》 6 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 2 《変わり谷》 1 《魂の洞窟》 1 《浸食する荒原》 1 《ムーアランドの憑依地》 -土地(26)- 4 《ボーラスの占い師》 2 《瞬唱の魔道士》 4 《修復の天使》 1 《霊異種》 -クリーチャー(11)- |
4 《アゾリウスの魔除け》 3 《熟慮》 2 《本質の散乱》 1 《天界のほとばしり》 2 《雲散霧消》 2 《中略》 3 《至高の評決》 3 《スフィンクスの啓示》 2 《拘留の宝球》 1 《思考を築く者、ジェイス》 -呪文(23)- |
3 《終末》 2 《払拭》 2 《否認》 2 《空召喚士ターランド》 1 《真髄の針》 1 《天界のほとばしり》 1 《戦慄の感覚》 1 《忘却の輪》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 1 《霊異種》 -サイドボード(15)- |
手軽な除去になり本体にも当てる事ができるバーンスペルの為に赤を足したUWRが主流の時期もありましたが、M14解禁後は特殊地形に頼った3色以上の中速デッキにとってキツイ《燃え立つ大地》を使ったGR AggroやBig Redが流行っているため、現在は2色に絞ったUW Flashの方が多数派のようです。
今回入賞したKevin Jonesのリストはミラーマッチ用にサイドに《空召喚士ターランド》を採用しています。サイド後は《至高の評決》等がサイドアウトされる可能性が高く、軽いスペルを多く採ったこのデッキでは活躍が期待できそうです。ダメージ以外の勝利手段として《記憶の熟達者、ジェイス》も採用されています。Jund Midrange等《殺戮遊戯》で 《スフィンクスの啓示》《霊異種》を取り除いてくる相手にも追加のアドバンテージ獲得手段兼フィニッシャーとしてサイドインされます。
3 《森》 4 《草むした墓》 4 《寺院の庭》 2 《神無き祭殿》 3 《孤立した礼拝堂》 2 《森林の墓地》 2 《陽花弁の木立ち》 2 《魂の洞窟》 1 《大天使の霊堂》 -土地(23)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 2 《悪鬼の狩人》 4 《修復の天使》 1 《ボーラスの信奉者》 4 《スラーグ牙》 2 《幽霊議員オブゼダート》 1 《影生まれの悪魔》 2 《静穏の天使》 -クリーチャー(20)- |
4 《忌まわしい回収》 3 《根囲い》 3 《遥か見》 1 《化膿》 4 《堀葬の儀式》 2 《情け知らずのガラク》 -呪文(17)- |
4 《酸のスライム》 3 《罪の収集者》 3 《ロウクスの信仰癒し人》 2 《セレズニアの声、トロスターニ》 2 《ヴィズコーパの血男爵》 1 《突然の衰微》 -サイドボード(15)- |
M14解禁後は多くのデッキがメインから採用している《漁る軟泥》の存在で環境から姿を消していたJunk Reanimatorですが、メインからクリーチャー除去の《化膿》や《悪鬼の狩人》を採用する等環境に対応する事で上位に姿を現し始めました。
M14から新たに加入した《影生まれの悪魔》がメインに1枚採用されています。《冒涜の悪魔》等一部を除けば環境の大半のクリーチャーを除去することができ、ペナルティ能力もこのデッキなら自身をサクリファイスさせて《堀葬の儀式》で能力を使いまわすといったことが可能です。単体でも強力な《幽霊議員オブゼダート》や《情け知らずのガラク》がメインに採用されているので、もし《堀葬の儀式》プランを封じられてもJunk Midrangeとしても充分ゲームになるように調整されています。
メインのスペースにクリーチャー除去を採っているのと《スフィンクスの啓示》を使ったデッキが比較的少数なのもあり《罪の収集者》はサイドに落とされています。《ヴィズコーパの血男爵》はJunk Aristocrats等を相手に活躍が期待できます。
総括
SCGO CincinnatiはBW Midrange, UWR Flash, Junk Reanimator等多くの異なるデッキが入賞する混沌としたメタの中優勝したのはThe Aristocratsでした。その翌週の SCGO PhiladelphiaでもSCGO Cincinnatiと同様に多用なデッキが入賞する中環境のトップメタであるRG Aggroの優勝で幕を閉じました。
今週末は現環境最後のスタンダードのSCGO Atlantaがあります。そして今月末に行われるSCGO Worcestorではいよいよ新セット『テーロス』を加えたスタンダードで大会が行われます。新環境ではどのようなデッキが登場するのか楽しみです。
以上、SCGO CincinnatiとSCGO Philadelphiaの解説でした。次回の記事ではSCGO Atlantaの解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!