皆さんこんにちは。
先週末はGP北九州がありました。参加者1185人の大イベントでしたが皆さん楽しんでいただけたでしょうか?
さて、今回の記事ではGP北九州の入賞デッキとStarcity Games Open Series(SCGO) Baltimoreの入賞デッキの解説をしていきたいと思います。
GP北九州 トップ8 アーキタイプ
2013年8月24日-25日
1位 Bant Hexproof/呪禁バント
2位 GR Aggro/グルールミッドレンジ
3位 Bant Hexproof/呪禁バント
4位 Naya Midrange/ナヤミッドレンジ
5位 BG Midrange/黒緑コントロール
6位 WU Delver/白青デルバー
7位 Junk Tokens/ジャンクトークン
8位 GR Aggro/グルールミッドレンジ
大方の予想通りにGR Aggroが今大会でも2日目進出率最多というパフォーマンスを見せ、トップ8にも2名送り込んでいました。しかし優勝は、そのGR Aggroにとって困難な《鬼斬の聖騎士》をメインに採用したBant Hexproofでした。
今大会はGR Aggro等のトップメタだけでなくUW DelverやJunk Tokenといった独特の調整がされたデッキも勝ち残っており、スタンダード環境の終盤とは思えない多彩な内容のトップ8でした。
今回のトップ8で特に印象に残ったのは、マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2013でも活躍していたUWR Flashを初めとした《スフィンクスの啓示》を使ったコントロールデッキの不在です。《燃え立つ大地》をサイドに採用しているGR Aggroとの相性の改善は困難だったようです。同様に多色ミッドレンジデッキであるJund Midrangeも高い二日目進出率を出しながらもトップ8には残れませんでした。
GP北九州 デッキ解説
「Bant Hexproof」「GR Aggro」「Junk Tokens」「WU Delver」
4 《繁殖池》 4 《寺院の庭》 4 《神聖なる泉》 4 《陽花弁の木立ち》 3 《氷河の城砦》 2 《内陸の湾港》 1 《魂の洞窟》 -土地(22)- 4 《林間隠れの斥候》 3 《アヴァシンの巡礼者》 4 《不可視の忍び寄り》 4 《聖トラフトの霊》 3 《鬼斬の聖騎士》 -クリーチャー(18)- |
4 《天上の鎧》 4 《怨恨》 4 《幽体の飛行》 4 《ひるまぬ勇気》 3 《シミックの魔除け》 1 《群れの統率者アジャニ》 -呪文(20)- |
3 《繕いの接触》 2 《濃霧》 2 《天界のほとばしり》 2 《戦慄の感覚》 2 《天啓の光》 2 《否認》 1 《呪文裂き》 1 《拘留の宝球》 -サイドボード(15)- |
1 《森》 4 《繁殖池》 4 《寺院の庭》 4 《神聖なる泉》 4 《陽花弁の木立ち》 3 《内陸の湾港》 2 《氷河の城砦》 -土地(22)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 4 《林間隠れの斥候》 3 《復活の声》 2 《不可視の忍び寄り》 4 《聖トラフトの霊》 3 《鬼斬の聖騎士》 -クリーチャー(20)- |
4 《天上の鎧》 4 《怨恨》 4 《幽体の飛行》 4 《ひるまぬ勇気》 2 《高まる残虐性》 -呪文(18)- |
3 《濃霧》 3 《繕いの接触》 3 《呪文裂き》 2 《近野の巡礼者》 1 《天啓の光》 1 《否認》 1 《復活の声》 1 《鬼斬の聖騎士》 -サイドボード(15)- |
今回見事に優勝したRaymond Tan、3位に入賞したTzu-Ching KuoともにはGR Aggroにとって対処が難しい《鬼斬の聖騎士》をメインに採用した型のBant Hexproofです。Tzu-Ching Kuo のリストは、Raymond Tanのリストと異なり《復活の声》をメインに採用することで全体除去やインスタントによる妨害に耐性をつけています。
サイドには追加の《鬼斬の聖騎士》を採用するなどGR Aggroを意識していた事が伺えます。両プレイヤー共に同系対決と全体除去への対策用にサイドに《濃霧》と《繕いの接触》を採用しています。《鬼斬の聖騎士》や《不可視の忍び寄り》等に《ひるまぬ勇気》が付いてしまえばGR Aggroにとっては厳しいゲームになります。今回のようにGR Aggroが多い大会ではベストチョイスだったようです。
10《森》 6 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 -土地(24)- 4 《東屋のエルフ》 2 《エルフの神秘家》 4 《火打ち蹄の猪》 4 《絡み根の霊》 3 《漁る軟泥》 4 《地獄乗り》 4 《ゴーア族の暴行者》 4 《雷口のヘルカイト》 -クリーチャー(29)- |
3 《ミジウムの迫撃砲》 4 《ドムリ・ラーデ》 -呪文()- |
4 《燃え立つ大地》 2 《忌むべき者のかがり火》 2 《灼熱の槍》 2 《ウルフィーの銀心》 1 《紅蓮の達人チャンドラ》 1 《情け知らずのガラク》 1 《エルフの神秘家》 1 《自由なる者ルーリク・サー》 1 《ケッシグの狼の地》 -サイドボード(15)- |
8 《森》 6 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 1 《ケッシグの狼の地》 -土地(23)- 4 《東屋のエルフ》 2 《エルフの神秘家》 4 《火打ち蹄の猪》 3 《絡み根の霊》 3 《漁る軟泥》 4 《ゴーア族の暴行者》 4 《地獄乗り》 4 《雷口のヘルカイト》 -クリーチャー(28)- |
2 《ミジウムの迫撃砲》 3 《火山の力》 4 《ドムリ・ラーデ》 -呪文(9)- |
3 《燃え立つ大地》 2 《忌むべき者のかがり火》 2 《火柱》 2 《しがみつく霧》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 2 《ウルフィーの銀心》 2 《士気溢れる徴集兵》 -サイドボード(15)- |
もはや説明不要、現環境のトップメタであるGR Aggro。今大会でも二日目進出率ナンバーワンで、トップ8にも二人送り込んでいます。
今回入賞した工藤さんのリストは比較的オーソドックスな型です。サイドに採用されている《ウルフィーの銀心》は自軍のクリーチャーと結魂させることにより、サイズで盤面を圧倒すると共に火力の射程圏外のサイズにすることができるので同系対決で優位に立てます。谷口さんのリストは同系を意識していたようでメインから《火山の力》を採用しています。
サイドにはミラーマッチで強い《ウルフィーの銀心》の他に《士気溢れる徴集兵》を採用しています。相手の《雷口のヘルカイト》《スラーグ牙》を奪って殴り返したりする他にも、相手の忠誠度が溜まったプレインズウォーカーを奪って大マイナス能力を使用することも可能です。《しがみつく霧》も面白い選択です。[窮地/Fateful Hour]は狙って使用する事は難しいですが、決まればダメージレースを逆転させることも容易です。
1 《森》 4 《草むした墓》 4 《寺院の庭》 4 《神無き祭殿》 4 《陽花弁の木立ち》 3 《森林の墓地》 3 《孤立した礼拝堂》 1 《ガヴォニーの居住区》 1 《大天使の霊堂》 -土地(25)- 4 《復活の声》 3 《ヴィトゥ=ガジーの末裔》 -クリーチャー(7)- |
3 《悲劇的な過ち》 4 《議事会の招集》 4 《セレズニアの魔除け》 4 《未練ある魂》 1 《根生まれの防衛》 4 《ワームの到来》 4 《無形の美徳》 3 《イニストラードの君主、ソリン》 1 《情け知らずのガラク》 -呪文(28)- |
3 《強迫》 3 《突然の衰微》 3 《ひるまぬ勇気》 2 《天啓の光》 2 《漁る軟泥》 1 《根生まれの防衛》 1 《セレズニアの声、トロスターニ》 -サイドボード(15)- |
《未練ある魂》《ワームの到来》等でトークンを展開していき《無形の美徳》や《イニストラードの君主、ソリン》の-2能力で強化してビートダウンする緑白黒の中速デッキ。メインの殆どのカードがトークンを生み出す能力を持っており、特にこのデッキに4枚採用されている《セレズニアの魔除け》はトークンを生み出す以外にも流行の《雷口のヘルカイト》を除去することができる等非常に用途の広いカードです。
トークン戦略にとっては悩みの種である《漸増爆弾》等の全体除去の対策に、メインから《根生まれの防衛》を採用しています。
8 《島》 1 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 2 《ムーアランドの憑依地》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《瞬唱の魔道士》 4 《聖トラフトの霊》 4 《修復の天使》 -クリーチャー(16)- |
4 《送還》 4 《思考掃き》 2 《急かし》 4 《本質の散乱》 4 《アゾリウスの魔除け》 2 《熟慮》 3 《雲散霧消》 2 《ルーン唱えの長槍》 -呪文(25)- |
3 《漸増爆弾》 3 《潮縛りの魔道士》 2 《消去》 2 《正義の一撃》 2 《至高の評決》 2 《拘留の宝球》 1 《雲散霧消》 -サイドボード(15)- |
今大会の入賞デッキの中で、個人的に一番印象に残ったデッキです。今大会のデッキテクとしても紹介されています。
去年のスタンダードを支配していたUW Delver。その戦略を支えていた《蒸気の絡みつき》《思案》《マナ漏出》といった強力な軽量スペルが退場して以来、スタンダードで《秘密を掘り下げる者》を使ったデッキを構築するのは不可能だと思われていました。しかしフェアリーマスターとして知られている高橋さんは高い構築センスでUW Delverを現在のスタンダード向けに調整し、見事結果を残しました。
メインに4枚採用されている《本質の散乱》は《魂の洞窟》を採用しているデッキが少なく《雷口のヘルカイト》や《スラーグ牙》等の大型クリーチャーが主流である現環境では最高の打ち消し呪文として活躍します。2色でまとめているため流行の《燃え立つ大地》の影響も少なく、他の青白系のデッキと異なり《秘密を掘り下げる者》や《聖トラフトの霊》等の軽い優秀なクロックを展開してカウンターでバックアップしていくクロックパーミッション的な戦略をとることが可能なので、ミッドレンジやコントロールデッキに対して有利です。
反面、《復活の声》を使ったデッキやAristocrats系に弱くなっているので、サイドに《漸増爆弾》や《拘留の宝球》等の対策カードを多めに採用しています。サイドに採用されている《潮縛りの魔道士》はあまり見かけないカードですが、序盤はマナクリーチャーや小型のクリーチャーを止め、中盤以降は《修復の天使》の《一瞬の瞬き》能力によって《雷口のヘルカイト》の猛攻から身を護ったり、《聖トラフトの霊》の行く手を阻む《スラーグ牙》を退かしたりと幅広い活躍が期待できます。
SCGO Baltimore トップ8 アーキタイプ
2013年8月24日
1位 Big Red/赤単ミッドレンジ
2位 Junk Aristocrats/ジャンクアリストクラッツ
3位 Jund Midrange/ジャンドコントロール
4位 The Aristocrats/アリストクラッツ
5位 UW Flash/白青コントロール
6位 Jund Midrange/ジャンドコントロール
7位 UW Flash/白青コントロール
8位 BG Midrange/黒緑コントロール
SCGO BaltimoreではトップメタだったGR Aggroの姿が同週末に行われたSCGO Baltimoreでは見当たらず、色を減らす事で《燃え立つ大地》による被害を少なくしたWU Flash、BG Midrange等のコントロールデッキが活躍する、といったメタの変化が見られます。
そんな中優勝したのは赤単色のミッドレンジであるBig Redでした。他にもThe Aristocrats等のデッキも入賞しており、環境終盤とは思えないバラエティに富んだ顔ぶれでした。
SCGO Baltimore デッキ解説
「Big Red」「Junk Aristocrats」「The Aristocrats」
22 《山》 3 《変わり谷》 -土地(25)- 4 《灰の盲信者》 4 《チャンドラのフェニックス》 4 《ボロスの反攻者》 3 《地獄乗り》 3 《雷口のヘルカイト》 -クリーチャー(18)- |
4 《火柱》 4 《灼熱の槍》 3 《硫黄の流弾》 4 《燃え立つ大地》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 -呪文(17)- |
4 《貫かれた心臓の呪い》 3 《ミジウムの迫撃砲》 3 《轟く激震》 3 《漸増爆弾》 2 《士気溢れる徴集兵》 -サイドボード(15)- |
《燃え立つ大地》をメインに4枚採用した赤単色のミッドレンジ。アーキタイプとしてはミッドレンジですが、《灰の盲信者》と《チャンドラのフェニックス》、《地獄乗り》とマナカーブに沿ったビートダウンプランもあります。
14体の速攻クリーチャーを採用しているのでソーサリースピードの除去に耐性があり、《燃え立つ大地》をメインに採用しているので、JundやUWR Flash等の多色コントロールやミッドレンジに対して有利なゲームを展開していくことが可能です。アグロに対しても《ボロスの反攻者》とメインに採用されている各種火力スペルで互角以上に戦う事が可能です。
Bant Hexproofとの相性はお世辞にもあまり良いとは言えませんが、サイドに《轟く激震》と《漸増爆弾》が3枚ずつ採用されておりサイド後はいくらかマシになります。サイドに4枚採用されている《貫かれた心臓の呪い》はあまり見ないカードですが、UW Flash等のデッキに対してサイドインされたカードのようです。
1 《沼》 4 《草むした墓》 4 《寺院の庭》 4 《神無き祭殿》 4 《森林の墓地》 4 《孤立した礼拝堂》 2 《陽花弁の木立ち》 2 《ガヴォニーの居住区》 -土地(25)- 4 《宿命の旅人》 4 《血の芸術家》 4 《カルテルの貴種》 4 《復活の声》 2 《漁る軟泥》 2 《縞痕のヴァロルズ》 3 《冒涜の悪魔》 2 《幽霊議員オブゼダート》 -クリーチャー(25)- |
4 《悲劇的な過ち》 4 《未練ある魂》 2 《イニストラードの君主、ソリン》 -呪文(10)- |
3 《脳食願望》 3 《生命散らしのゾンビ》 2 《強迫》 2 《突然の衰微》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《情け知らずのガラク》 1 《化膿》 -サイドボード(15)- |
《カルテルの貴種》と《縞痕のヴァロルズ》+《血の芸術家》のサクリファイスシナジーを利用した中速デッキです。《未練ある魂》や《宿命の旅人》等クリーチャーを並べる事に長けたカードが多く採用されています。
今回入賞したCharles Johnsonのリストは普通のJunk Aristocratsと比べて重めに調整されています。
まず目に入るのは、デッキに3枚採用されている《冒涜の悪魔》です。元々《忌むべき者のかがり火》を使うGR AggroやJundに対して相性があまり良くないアーキタイプですが、《冒涜の悪魔》は火力で対処するにはサイズが大きいためそれらのデッキに非常に強力です。《冒涜の悪魔》自身の持つペナルティ能力も《血の芸術家》や《悲劇的な過ち》の陰鬱と相性が良いのでほぼ気になりません。
《幽霊議員オブゼダート》はデッキの戦略とのシナジーはありませんが単体で強力なクリーチャーで、ソーサリースピードの除去に対して耐性があります。
サイドは相手の全体除去から自軍のクリーチャーを護る《ゴルガリの魔除け》や《情け知らずのガラク》、《強迫》、《生命散らしのゾンビ》等コントロールやミッドレンジ対策カードが中心です。
4 《血の墓所》 4 《神無き祭殿》 3 《聖なる鋳造所》 4 《孤立した礼拝堂》 3 《竜髑髏の山頂》 2 《断崖の避難所》 3 《魂の洞窟》 1 《処刑者の要塞》 -土地(24)- 4 《教区の勇者》 4 《宿命の旅人》 4 《血の芸術家》 4 《カルテルの貴種》 3 《スカースダグの高僧》 4 《ザスリッドの屍術師》 4 《ファルケンラスの貴種》 -クリーチャー(27)- |
4 《悲劇的な過ち》 4 《町民の結集》 1 《戦慄掘り》 -呪文(9)- |
3 《未練ある魂》 3 《反逆の印》 3 《無形の美徳》 2 《イニストラードの君主、ソリン》 2 《テューンの戦僧》 1 《脳食願望》 1 《罪の収集者》 -サイドボード(15)- |
M14リリース直後に流行ったBW HumansとAristocratsのハイブリッド。《町民の結集》や《宿命の旅人》等クリーチャーを並べるカードとサクリファイスシステムである《ファルケンラスの貴種》や《カルテルの貴種》を利用して《血の芸術家》で一気にライフを奪ったり、《スカースダグの高僧》と《悲劇的な過ち》の陰鬱を誘発させたり《ザスリッドの屍術師》でアドバンテージを得たりと多角的に攻めることができます。
サイドの《反逆の印》はGR AggroやBG Midrangeなど大型クリーチャーを多く採用しているデッキに有効で、ターンを返す前に《ファルケンラスの貴種》《カルテルの貴種》でサクリファイスできるので実質的な除去として働きます。
総括
GP北九州は環境のトップメタのGR Aggroが二日目最大勢力を誇り決勝まで勝ち残りましたが、優勝はそのGR Aggroと相性が良いBant Hexproofでした。
同週末に開催されたSCGO Baltimoreでは、GP北九州と異なりトップ8にGR Aggroは一人も勝ち残れなかったようです。優勝は《燃え立つ大地》をメインに採用し多色コントロールをメタりつつ、メインに《ボロスの反攻者》を採用する等GR系のデッキに対しても耐性をつけたBig Redでした。
以上、GP北九州とSCGO Baltimoreの解説でした。
次回の記事ではSCGO CincinattiとPhiladelphiaの解説を予定しています。
それでは次回の記事で会いましょう。楽しいスタンダードライフを!