第6回 前編は【こちら】
伸夫 「前回はデッキについて紹介していただきましたが、今回はデッキの弱点や、プレイするにあたって上手い人がどんなことを考えているかを紹介していきたいと思います。
では、今回も齋藤 友晴さんよろしくお願い致します。」
友晴 「よろしくお願い致します。」
■弱点・やられて嫌なことは?
伸夫 「マーフォークを使っていて苦手なカードや嫌な動きを教えてください。」
友晴 「クリーチャーデッキの宿命として、《瞬唱の魔道士》、《罰する火》、《終末》、《仕組まれた疫病》などのアドバンテージを取られるタイプの除去は非常に厳しいです。
デッキタイプとしては、ハンデスを絡めながら攻めてくるANTのようなコンボデッキと、除去がとても多いUWRデルバー(パトリオット)などを苦手としています。対除去デッキのために《真の名の宿敵》が入っていますが、追加で《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》の採用もありですね。」
伸夫 「《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》は除去耐性を上げるだけでなく、飛行の少ないマーフォークデッキで相手の飛行クロックを止める働きもありますね。」
■各主要デッキに対するサイドボーディング
伸夫 「それでは、各主要アーキタイプへのサイドチェンジの考え方を教えてください。」
友晴 「具体的なサイドボードプランを挙げていきましょう。」
13 《島》 4 《魂の洞窟》 4 《変わり谷》 -土地(21)- 4 《呪い捕らえ》 4 《銀エラの達人》 4 《アトランティスの王》 4 《真珠三叉矛の達人》 4 《真の名の宿敵》 3 《メロウの騎兵》 2 《波使い》 -クリーチャー(25)- |
3 《目くらまし》 4 《Force of Will》 3 《行き詰まり》 4 《霊気の薬瓶》 -呪文(14)- |
4 《白鳥の歌》 3 《呪文貫き》 3 《水没》 3 《梅澤の十手》 2 《基本に帰れ》 -サイドボード(15)- |
●対RUGデルバー
サイド後のゲームプランは、《秘密を掘り下げる者》を最優先で処理するようにしてゲームスピードを落とし、《波使い》か《真の名の宿敵》を着地させればかなり有利に試合を運べます。
《呪い捕らえ》は効果が薄く、《メロウの騎兵》は対処しやすい重いカードということでサイドアウトを推奨します。
●対スニークショー
《真の名の宿敵》はこのマッチではとても弱いのでまず真っ先にサイドアウトされます。《メロウの騎兵》も3マナと少し重いのでプレイできるタイミングが少なく、《赤霊破》で除去されてしまうと大きなテンポ損となるので、その次のサイドアウト候補です。
ゲーム全体を通じて、通してしまうと負けにつながるスペルをカウンターしながらクロックを刻むことになります。
しかし、<実物提示教育>は必ずしもカウンターするとは限りません。
《騙し討ち》が通ってしまったら負けてしまうタイミングでも、《実物提示教育》であれば、パーマネントを出せる上にターンが返ってくる場合が多く考えられ、そのターン中に島渡りを持ったクリーチャー達で殴り勝つこともあります。《実物提示教育》をプレイされた場合は、自分の場や手札とよく相談しましょう。
●対BG系
《仕組まれた疫病》が入っているようであれば、《ヴェールのリリアナ》対策を兼ねて《呪文貫き》を入れることもあります。《真の名の宿敵》が間に合うかでゲームの勝敗が決まるため、キープ基準の一つにしましょう。
《ヴェールのリリアナ》はできる限りケアすべきカードで、例えば手札にカウンターと《水没》があるときは、相手のクリーチャーを一回出させてから《水没》をすることにし、カウンターを残すようプレイしています。
カウンターは相手のキラーカードである《真の名の宿敵》や《基本に帰れ》を通すために使います。
特定のカードに依存するマッチなので、ロードよりも周りのキーカードがとても大事になってきます。特定カードを引き当てることにつながる《銀エラの達人》も非常に大事なカードとなります。
●対エスパー石鍛冶
相手はたくさんの除去で攻勢を捌き、《石鍛冶の神秘家》+装備品のパッケージで勝負しようとしてきます。こちらは息切れしないよう意識ながら、相手がドローソースで除去を探させないように攻め続けましょう。
《至高の評決》はケアしたいですが、なかなか難しいところです。クリーチャーを温存すると《瞬唱の魔道士》で捌かれてしまいますので、ゆっくりゲームを進めるよりは、ガンガン攻めることを意識しています。
最近の《石鍛冶の神秘家》デッキは《火と氷の剣》まで採用されることが多く、マーフォークにとっては非常に問題になる装備品の1つです。装備品を持ったクリーチャーの攻撃が間に合わないよう攻めきりましょう。
後手の場合はワンテンポ遅くなる分相手からの除去が増えますので、それを弾くために《呪文貫き》を追加します。
●対ANT
先ほども触れましたが、手札破壊が刺さりやすく、不利なマッチになりやすいです。《呪文貫き》はドローソースにあてることによりコンボスタートを遅らせます。遅れているところをマーフォークのシナジーを利用して高打点で殴りきりましょう。
《水没》や《梅澤の十手》は本来はサイドインしたくないカードなのですが、最近主流の《ザンティッドの大群》対策のために入れざるを得ないと感じています。
●対ミラクル
基本地形を多く採用しており土地が伸びやすい上、軽いコストで除去を打ってくるミラクルには《目くらまし》《呪い捕らえ》などの1マナ要求はあまり効果的ではありません。なので《白鳥の歌》《呪文貫き》に変更します。
このマッチは《行き詰まり》と《変わり谷》が非常に強力です。特に《行き詰まり》を2枚引いたマッチは、展開と除去の応酬の後、そのアドバンテージを活かして勝てるでしょう。
基本的に触ることのできない《罠の橋》は辛いですが、《行き詰まり》を貼り、自分からスペルを唱えることによって、相手の手札を増やしてから一気にダメージを入れることで対応することが可能です。
●対エルフ
島渡りができないため攻めきれないことが多く、基本的に不利なマッチアップです。《クウィリーオン・レインジャー》+《ドライアドの東屋》、《エルフの幻想家》+《ワイアウッドの共生虫》はこちらの攻撃を簡単に止めてしまいます。
先手のときは《目くらまし》を、後手のときは《呪文貫き》を優先して、テンポ良く攻めるイメージになります。
そして何より《梅澤の十手》がこのマッチの大きな武器になります。《ワイアウッドの共生虫》を《水没》で退けたり、《真の名の宿敵》に装備させて攻撃を通しましょう。
■細かいテクニックや初歩テクニック
伸夫 「マーフォークを使う上で、なにかテクニックや細かい注意点などがあれば教えてください。」
友晴 「シンプルなデッキなので、マリガン基準はとても大切です。
基準としては、クロックがあり、ちゃんと展開できるかを考えてキープしましょう。
通常のクロックパーミッションと違いドロー操作がなく、さらに後から引いて強いカードが少ないので、初手は非常に重要なのです。
また、今の環境的に『1ランド+《霊気の薬瓶》』で即キープはできなくなったと思います。
相手のデッキに《突然の衰微》が入ってないと分かっているマッチアップ以外ではしないようにして下さい。」
伸夫 「《不毛の大地》を抜いて《魂の洞窟》にしましたが、《魂の洞窟》をプレイする上で何か注意する点はありますか?」
友晴 「《魂の洞窟》について言えば、早いターンに出すと《不毛の大地》を食らいやすいので、《真の名の宿敵》や《波使い》を出すタイミングまでセットを我慢し、これらの強力なクリーチャーを確実に場に出せるようにしましょう。相手によってはその対象が《銀エラの達人》になる場合もあります。」
友晴 「また、単純な生物デッキなので、クリーチャーを出す順番はよく考えましょう。
例えば、《メロウの騎兵》の能力をうまく使うと爆発的に展開できたりもします。相手のクリーチャーをタップするだけでなく、自分の土地や<霊気の薬瓶>をアンタップしてさらに展開できるということは覚えておいて下さい。
《波使い》の+修正は、2体並んだ時は+2になるので、注意しないと忘れてしまいます。自分も忘れていて危うく負けそうになったことがあります(笑)」
伸夫 「友晴さんのような強豪プレイヤーでもそういうことがあるんですね(笑)」
■まとめ、マーフォークに興味がある人へ
伸夫 「最後に、マーフォークについて一言アドバイスをお願いします。」
友晴 「今回紹介したレシピは、ジャンド・BUG・スニークショー・RUGデルバーが多い環境ではとても強く、《石鍛冶の神秘家》デッキ・ミラクル・墓地を利用したコンボが多い時は形を変えなければ苦戦を強いられます。
確定パーツが多いデッキですが、クリーチャーやスペルの選択を少し変えるだけで、色々なデッキとの相性が改善されます。デッキ調整のし甲斐はかなりあると思いますよ。
また、レガシーは高いカードが多いですが、比較的安価で強いデッキが組めるという点も優れたデッキです。新しくレガシーをはじめる人にも、セカンドデッキを持ちたい人にもおすすめですよ!」
伸夫 「ありがとうございました!これからの活動にも期待しています!」
次回は、エルフを使っているあの人を招待して、一緒に解説していきたいと思います。
それでは、また第7回でお会いしましょう!