のぶおの部屋 -第8回 リアニメイト(後編)-

斉藤 伸夫



第8回 前編は【こちら】


斉藤 「前回はデッキについて解説していただきました。続く今回は、リアニメイトの弱点やサイドボーディングなどプレイ中のテクニックについて教えていただきたいと思います。林 将人さん今回もよろしくお願いします。」

「はい。よろしくお願いします。」




■弱点・やられて嫌なことは?

斉藤 「リアニメイトを使っていて、やられたら嫌なことや苦手なカードを教えてください。」

「墓地を利用したデッキなので、やはり墓地対策カードが苦手ですね。出されないとメイン同様比較的楽に勝てるのですが、一度出されるとすぐには勝てなくなります。」

斉藤 「いろいろな墓地対策用のカードがありますが、どのようなカードをよく見るのでしょうか?」

《安らかなる眠り》《死儀礼のシャーマン》《大祖始の遺産》は比較的よく見ますね。またそれら3枚に比べると遭遇する回数は少ないですが、盤面で見えない分ケアしにくいので《外科的摘出》も嫌ですね。」

斉藤 「なるほど、確かに見えてない《外科的摘出》はよく刺さりそうですね。墓地対策のカード以外に使われて嫌なカードはありますか?」

「墓地対策以外では、軽いカウンターも苦手な部類ですね。《呪文嵌め》《呪文貫き》《もみ消し》《紅蓮破》《目くらまし》など、《Force of Will》とは違って1対1交換になるカウンターが特に苦手です。《Force of Will》はカードカウントで見れば得をしているので、後々こちらのマストカウンターを巡る攻防で勝利しやすくなりますが、1対1の交換になると相手のカウンターを突破し切れない可能性が高くなりがちです。

リアニメイトは重い(強い)アクションで勝負を仕掛ける構造になっているので、多くの場合相手とのカウンターや墓地対策の枚数との勝負になります。勝ちに繋がるスペルとバックアップするカウンター(多くの場合《Force of Will》)を揃える必要があるので、枚数の勝負で分が悪くなる、というわけです。」

斉藤 「コンボデッキの一種である以上、やはりカウンターは比較的苦手なのですね。青くないデッキ相手はいかがですか?」

「最近遭遇する苦手なアクションとしては、デス&タックスの『1ターン目《Karakas》から《霊気の薬瓶》』は厳しいと感じますね。リアニメイト先のクリーチャーの多くが《Karakas》で対処されてしまいますし、リアニメイトは普通《不毛の大地》のようなカードを採用していないので、なかなか《Karakas》を触ることができません。私は《Karakas》を意識して、一般的なレシピより『伝説のクリーチャー』を減らす工夫をしています。

斉藤 「一般的なレシピですと、

1 《灰燼の乗り手》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》
1 《エメリアの盾、イオナ》
4 《グリセルブランド》

というクリーチャー選択のうち、《灰燼の乗り手》以外はすべて《Karakas》で戻されてしまいますね。
それと比べてみると、林さんのレシピでは 《灰燼の乗り手》とは別に《Karakas》への耐性がある生物 《浄火の大天使》 《魅力的な執政官》 《墓所のタイタン》が採用されていますね。」

「はい。また最近ではデス&タックスだけでなく、RUGデルバーやパトリオット(WURデルバー)など、火力をもった早いデルバーデッキのサイドボードに《Karakas》が積まれているという要因もあります。」

斉藤 「そうですね。《秘密を掘り下げる者》デッキはレジェンダリー生物が出てきてあと1歩が届かなかったり、《スレイベンの守護者、サリア》などのマナを使いにくくするカードが苦手ですから、採用されているのを最近よく見かけますね。」

「せっかく《グリセルブランド》を釣ったのに、《Karakas》で退場させられてそのまま負けてしまうのは悲しいですね。また、リアニメイトは《実物提示教育》デッキの対策カードも結構刺さってしまうので、墓地対策をケアするために《実物提示教育》を撃ったら《造物の学者、ヴェンセール》が出てきたり……という経験も多いです。」






■各主要デッキに対するサイドボーディング



林 将人 「Reanimate」 BIGMAGIC OPEN (4位)

2 《島》
2 《沼》
4 《Underground Sea》
4 《汚染された三角州》
2 《血染めのぬかるみ》
2 《霧深い雨林》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(17)-

4 《不運な研究者》
2 《グリセルブランド》
1 《墓所のタイタン》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》
1 《灰燼の乗り手》
1 《浄火の大天使》
1 《魅力的な執政官》
1 《核の占い師、ジン=ギタクシアス》

-クリーチャー(12)-
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《納墓》
4 《再活性》
1 《思考掃き》
4 《死体発掘》
2 《目くらまし》
4 《Force of Will》
2 《動く死体》
1 《真髄の針》
1 《ヴェールのリリアナ》

-呪文(31)-
3《実物提示教育》
3《魂の洞窟》
2《ヴェンディリオン三人衆》
2《造物の学者、ヴェンセール》
2《ザルファーの魔道士、テフェリー》
1《エメリアの盾、イオナ》
1《暗黒破》
1《真髄の針》

-サイドボード(15)-
hareruya



斉藤 「それでは、各主要アーキタイプへのサイドチェンジの考え方を教えてください。」

「具体的なサイドボードプランを挙げていきましょう。」

●対RUGデルバー


 むずかしいマッチアップになります。なんでもいいので1体ファッティを釣ることが目標になります。それは生物を選んで墓地に送ることのできる《納墓》が比較的弱いということを意味します。
 このマッチはライフ管理がきつくなるので、《再活性》を減らし、《動く死体》《もみ消し》が刺さってしまうのでサイドアウトします。
 
いろいろ試した結果、《魂の洞窟》からエンド時に《ザルファーの魔道士、テフェリー》を出して、返しに《実物提示教育》を通すのが一番簡単な勝ち方になります。いかに土地を並べていくかがカギになりますので、このマッチは《師範の占い独楽》が欲しくなります。

 相手の墓地対策は1~2枚の《墓掘りの檻》がメインになります。《納墓》がない分《暗黒破》の「発掘」の能力で墓地に生物を落とせることも頭にいれておきましょう。



●対スニークショー



 スニークショー戦はコントロール同士の試合のように、細かく捌きあいを繰り返すことになります。どちらも決定打を通すとそのまま負けてしまうため、大ぶりなアクションを比較的取りづらいからです。

 釣っても効果の薄い生物をサイドアウトして妨害を増加します。相手の妨害が非常に多い場合は《魂の洞窟》までサイドインしましょう。
 スニークはゆったりコントロールのように攻めるプレイヤーとコンボを繰り返し目指すプレイヤーの2つに分かれると思います。なので、相手のプレイングを見ながら攻めに回るか受けに回るかを考えながらプレイしています。

 キープ基準としては『カウンターをたくさん持っている手札』か、もしくは捌き合いになる前に決着を付けられる『2ターン目に釣りにいける手札』を基準としています。
 また、相手の《実物提示教育》に合わせることのできるファッティを持っておくとなお良いです。



●対BG系



 BG系にはいろいろありますが、《ヴェンディリオン三人衆》はカウンターのあるBUGにはもちろんJundにもサイドインします。サイド後《実物提示教育》を通すゲームにもなるので、サイドインされるであろう《赤霊破》《紅蓮破》を使わせることができるからです。

 メインは勝つことが多いので、サイド後、特に後手ならば常に《死儀礼のシャーマン》を考えることにしましょう。
 《死儀礼のシャーマン》を対策できる方法はいくつかあります。

1.《真髄の針》を刺す
2.《造物の学者、ヴェンセール》でバウンス
3.《実物提示教育》で墓地を経由しない
4.《Force of Will》などでカウンターする
5.《不運な研究者》《納墓》を構えながら《死体発掘》

 《死儀礼のシャーマン》を乗り越えることができれば、勝利は目前です。



●対エスパー石鍛冶ミラクル



 エスパー石鍛冶ミラクルは様々な妨害手段で攻めてきます。カウンター、手札破壊、《安らかなる眠り》のような置物、《翻弄する魔道士》のようなヘイトベアーなど、相手のデッキ構成や流行によって変わってきます。その時のメタにあわせてサイドカードを選択してきますので、今どんな対策が使われているか、傾向をしっかり把握しておくことが重要です。

《大修道士、エリシュ・ノーン》は、ヘイトベアー・《ヴェンディリオン三人衆》《真の名の宿敵》と負けている盤面を引っくり返せる力のある強い生物なので、保険として抜くべきではありません。

 《真髄の針》の指定は盤面次第で変えていきましょう。《Karakas》指定の場合もあれば、《精神を刻む者、ジェイス》《師範の占い独楽》指定の場合もあるでしょう。
 やはり青相手は《魂の洞窟》から《ザルファーの魔道士、テフェリー》を出して《グリセルブランド》を着地させるのが安心のプランです。 《グリセルブランド》さえ着地させてしまえば勝ったも同然です。



●対ANT



 お互い早いコンボです。1~2ターン目から勝負になりますので、スピードを意識しましょう。
 釣りたい生物としては、《核の占い師、ジン=ギタクシアス》《エメリアの盾、イオナ》がとても頼もしいです。
 サイド後はよく《闇の腹心》《ザンティッドの大群》が入ってきますので、それらをケアするならば《暗黒破》もサイドインした方がいいかもしれません。



●対エルフ



 このマッチは《再活性》の賞味期限が基本的に長いため、対RUGデルバーなどと異なり1枚もサイドアウトはしません。

 対エルフ戦の場合、《トーモッドの墓所》のような墓地対策は1回弾いたら当分こないとみていいです。ただし、《緑の太陽の頂点》から、《死儀礼のシャーマン》《漁る軟泥》がサーチされることは頭に入れておかなければなりません。
 「《実物提示教育》をサイドインしないのか」?とよく聞かれるのですが、私は純粋な釣り=速さで勝負します。相手は《実物提示教育》に合わせて《世界棘のワーム》を構えていることがありますし、1番の勝ち手段である《大修道士、エリシュ・ノーン》が必ずハンドにくるとは限らないからです。

 《造物の学者、ヴェンセール》は墓地対策をどかしながら、細かくライフを狙おうとするエルフへの妨害になります。余談ですが、BIGMAGIC OPENの時は、《自然の秩序》から《世界棘のワーム》が着地してしまった後に《造物の学者、ヴェンセール》でバウンスして勝利しました。

 

●対リアニメイト同系



 これもコンボ同士なので、基本はスピード勝負です。
 同系戦は《死体発掘》がなかなか打てないので、少し減らします。《死体発掘》スタックで相手に《納墓》を打たれたりすると、ただで相手からファッティが出てきてしまうからです。 その分《再活性》がとても大切になります。ハンデスやカウンターでお互い妨害をしますが、ハンデスと《再活性》が一緒に打てるターンに相手の生物をハンデスしながら釣ってしまうということもできます。

 《ヴェンディリオン三人衆》はとても優秀な妨害兼アタッカーというだけでなく、カウンターされた後墓地に他の生物が落ちないので、よく釣る対象にもなります。

 もし同系が増えるようでしたら、サイドに《虚無の呪文爆弾》《外科的摘出》《棺の追放》などをとることを検討します。《不運な研究者》は、やはり《入念な研究》と違い相手から墓地を利用されにくいのもメリットになっています。



■細かいテクニックや初歩テクニック

斉藤 《死体発掘》スタックで墓地対策を解決した後に再度墓地に生物を落とすと釣れる、ということを前編で伺いましたが、他に初歩的なテクニックや細かい注意点などがあれば教えてください。」

「メイン戦で先手をとった時など、相手のデッキが分からない時は、メインで<納墓>を打たないようにしています。エンド時に相手にあった生物を落とせるからです。逆に《目くらまし》《呪文貫き》などのカードをもつテンポデッキには、メインで唱えることによってカウンターをケアするのが良い手になります。

 それと、リアニメイト呪文を唱える順番は気をつけましょう。スペルは重いものから打つことが多いかもしれませんが、リアニにおいては2マナの釣竿より《再活性》を優先します。<再活性>は賞味期限があるカードだということを頭にいれておくべきです。
軽い《再活性》の方がカウンターされにくいですし、カウンターをされたとしてもその後に《死体発掘》を通した方がライフを失わずに済むからです。」

斉藤 《納墓》を打つタイミングは腕の見せどころですよね。」

「2ターン目でのリアニメイト=勝利を狙いにいくような時は、『1ターン目エンド時に《渦まく知識》を打った後にアップキープに《納墓》をプレイしてシャッフルし、メインで《再活性》をプレイ』という流れもありますね。」

斉藤 「いわゆる『ブレストフェッチ』みたいな動きができますよね。シャッフル手段になるスペルを有効活用するのもレガシーにおいては大切ですね。」





「あとは練習も大事ですが、デッキ構成や相手の動き・カードを知っているかが大事ですね。例えば対エルフの時は《大修道士、エリシュ・ノーン》スニークショーの時は《魅力的な執政官》、ジャンドの時は《墓所のタイタン》と、ファッティの特性も知っておくことが大事です。
 デッキを組む時は、何をしたいかを明確にして、生物の選択にセンスがでます。これはメタ先を明確にすることも意味しています。
 ただ単に強い《グリセルブランド》に依存しないでも勝てるプレイヤーになることが大事だと思っています。」

斉藤 「生物の選択の基準みたいなものは、どう決めているのでしょうか?」

「生物選択の基準としては、1枚で勝てる、もしくは逆転できる生物がオススメです。
今は《騙し討ち》《秘密を掘り下げる者》《Karakas》《真の名の宿敵》といったカードを想定されるので、私は《魅力的な執政官》を好んで使っています。」

斉藤 「なるほど、そういえばサイドチェンジで《納墓》をサイドアウトするということをうかがって驚きました。」

《納墓》をサイドアウトする場合があることも頭に入れるべきです。《納墓》の長所として『墓地に落とるカードを選べる』という点がありますが、マッチアップによっては場に出すファッティを選ぶ必要がない、または<実物提示教育>で攻めるので墓地に落とす必要がない場合もあるので、そのような場合はサイドアウトして問題ありません。」






■まとめ、リアニメイトに興味がある人へ

斉藤 「最後に、このデッキに興味がある人へ一言お願いします。」

「私のサイドプランは独特なので、あまりリアニメイトを使ったことない方はまずは基本に沿って追加の手札破壊(《思考囲い》)と《実物提示教育》のプランを取ることをオススメします。慣れてきたら追加の手札破壊を《陰謀団式療法》に変更するのもいいですね。《納墓》で墓地に落として、《不運な研究者》を生贄にしてフラッシュバックしたりと面白い動きができる上に、《Force of Will》2セットを抜いたりできる優秀な手札破壊ですので。

 リアニメイトというデッキは新セットに比較的影響されるデッキだと思います。毎回のように新しいファッティが登場するからです。これからも環境に影響を与えるファッティが出るたびに、リアニメイトは強くなりますよ!

斉藤 「今回はありがとうございました!これからも変化し続けるリアニメイトに期待しています!」



次回は、ドレッジを使っているあの人を招待して、一緒に解説していきたいと思います。
それでは、また第9回でお会いしましょう!


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