特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【SCGOシカゴ】
先週末には『マジック・オリジン』リリース後初となる大規模なトーナメントがアメリカ・シカゴで開催された。特にスタンダードフォーマットでは複数の新たなアーキタイプが誕生するなど大きく環境が変化したようだ。
また、7月31日-8月2日にはプロツアー『マジック・オリジン』も開催され、環境が定義されることになるだろう。
【菊名合宿『マジック・オリジン』カバレージ】で見られる国内のトッププレイヤーたちの意見も今後のデッキ構築の一助となるはずだ。
【第4期スタンダード神挑戦者決定戦】
7月20日には国内でも『第4期スタンダード神挑戦者決定戦』が開催された。
《衰滅》、《巨森の予見者、ニッサ》擁する【白黒緑コントロール】や、《悪魔の契約》を採用した【青黒緑コントロール】など数々のデッキのなか、優勝を収めたのは【赤単】ゴブリンだった。
他にもエルフの躍進やトークンデッキの再興など見どころは盛りだくさん。まだカバレージに目を通していない方は要チェックだ。
1. ヴリンの神童、ジェイス
『マジック・オリジン』で誰もが注目していたカードの一つに、両面PWがあった。
中でも【LSVの記事】が火付け役となって、特に注目されていた《ヴリンの神童、ジェイス》だったが、先週末の【SCGOシカゴ】と【第4期スタンダード神挑戦者決定戦】で目覚ましい活躍を見せ、名実ともに『マジック・オリジン』のトップレアと称されるようになった。
2 《島》 2 《山》 1 《平地》 3 《溢れかえる岸辺》 4 《神秘の僧院》 4 《凱旋の神殿》 3 《戦場の鍛冶場》 3 《シヴの浅瀬》 2 《天啓の神殿》 -土地(24)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《道の探求者》 -クリーチャー(12)- |
1 《荒野の確保》 3 《乱撃斬》 1 《ドラゴンの餌》 2 《稲妻の一撃》 3 《急報》 4 《軍族童の突発》 4 《ジェスカイの隆盛》 2 《オジュタイの命令》 4 《かき立てる炎》 4 《宝船の巡航》 -呪文(28)- |
4 《軽蔑的な一撃》 3 《スフィンクスの後見》 2 《否認》 2 《勇敢な姿勢》 2 《神々の憤怒》 1 《龍王オジュタイ》 1 《焙り焼き》 -サイドボード(15)- |
《ジェスカイの隆盛》は《ヴリンの神童、ジェイス》の第1面・第2面両方と相性がよく、目から鱗が落ちる組み合わせだ。また、《オジュタイの命令》により墓地にある《ヴリンの神童、ジェイス》を戦場に戻すこともできる。
今回の結果を鑑みるにスタンダードでの成功はほぼ約束されたようなものだが、より強いスペルの多いモダンでも活躍が期待される1枚だ。
2. 先祖の結集
SCGを中心に、いつも独創性溢れるデッキを使用するMatthew Tickalが今回SCGOシカゴに持ち込んだデッキはローグデッキの【先祖の結集コンボ】だった。
上述した《ヴリンの神童、ジェイス》も4枚入っており、【デッキテク】も公開されている。
2 《森》 1 《平地》 3 《吹きさらしの荒野》 4 《マナの合流点》 3 《華やかな宮殿》 2 《砂草原の城塞》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《開拓地の野営地》 1 《神秘の僧院》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(20)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《サテュロスの道探し》 3 《森の女人像》 2 《棲み家の防御者》 4 《ナントゥーコの鞘虫》 3 《死霧の猛禽》 3 《不気味な腸卜師》 2 《モーギスの匪賊》 1 《異端の癒し手、リリアナ》 -クリーチャー(30)- |
4 《群れの結集》 4 《先祖の結集》 2 《召喚の調べ》 -呪文(10)- |
4 《前線の僧侶》 3 《思考囲い》 2 《英雄の破滅》 2 《コラガンの命令》 1 《棲み家の防御者》 1 《隠れたる龍殺し》 1 《層雲の踊り手》 1 《再利用の賢者》 -サイドボード(15)- |
《群れの結集》や《サテュロスの道探し》で墓地を肥やし、《先祖の結集》で一挙にクリーチャーを釣り上げ、《モーギスの匪賊》のETB能力によって速攻を得た《ナントゥーコの鞘虫》で釣り上げたクリーチャーを生け贄に捧げて大ダメージを与えるデッキだ。
《ヴリンの神童、ジェイス》に速攻を与えれば即座に変身することも可能で、1枚だけ採用されている《異端の癒し手、リリアナ》もこのデッキならば戦場に出たターン中に変身してくれることだろう。
同デッキは【第4期スタンダード神挑戦者決定戦】でもトップ8に入賞を果たしている。【先祖の結集コンボ】は一大勢力となりえるのか、今後の動向に要注目だ。
3. 搭載歩行機械
SCGOシカゴで7位の【白青コントロール】、11位の【赤白ビートダウン】、43位の【白青黒コントロール】に共通して採用されていたカードがある。
ちなみに《平地》ではない(43位の【白青黒コントロール】に平地は入っていない)。そのカードは《搭載歩行機械》だ。
国内ではカードビジュアルが公開された日から別角度で話題になっていたこのカードだったが…
こいつ六本木ヒルズで見たことあるやつだ! pic.twitter.com/RN8523VI1i
— 狂堂@1日目/西へ-07b (@kyou_dou) 2015, 6月 30
【リリアナを変身させる】のもさることながら、死亡時にはトークンをバラ撒き、ロングゲームでも強力な能力はアグロデッキでもコントロールデッキでも役割を持てる強力なクリーチャーだ。
無色なため今後も広く使われる可能性があり、これからの活躍に目が離せない。
4. ウルドのオベリスク
【第4期スタンダード神挑戦者決定戦】で優勝を収めたのはHareruya Prosの1人、高橋 優太の駆る【赤単】ゴブリンだった。
20 《山》 -土地(20)- 4 《鋳造所通りの住人》 4 《ゴブリンの栄光追い》 4 《僧院の速槍》 2 《激情のゴブリン》 4 《ゴブリンの群衆追い》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 -クリーチャー(22)- |
4 《ドラゴンの餌》 4 《軍族童の突発》 4 《かき立てる炎》 2 《凱旋の間》 4 《ウルドのオベリスク》 -呪文(18)- |
4 《マグマのしぶき》 4 《焙り焼き》 3 《引き裂く流弾》 2 《洗い流す砂》 1 《ゴブリンの踵裂き》 1 《鍛冶の神、パーフォロス》 -サイドボード(15)- |
《ウルドのオベリスク》はこのリストに4枚採用されている。《かき立てる炎》の「招集」が《軍族童の突発》や《ドラゴンの餌》と相性がよいことはすでに既知の事実だが、《ウルドのオベリスク》もその例に漏れない。
自軍のクリーチャー全体に+2/+2修正を与える強化能力は1枚でも十分に強力だが、2枚重ね張りした日には《衰滅》を唱えられてもなお戦線を維持するゴブリン軍団が対戦相手を蹂躙することだろう。
惜しむらくは『基本セット2015』のローテーション落ちの日が近いことだが、いずれくるその日まで一線級の活躍をすることだろう。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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