いよいよ待ちに待ったConspiracyがリリースされます。値上がりが著しい《誤った指図》や《もみ消し》、レガシーの必須カードの《渦まく知識》や《剣を鍬に》等が再録される予定ですが、皆さんの欲しかったカードはありましたか?再録カード以外にも《議会の採決》など、現環境に影響を与えそうなカードも見られます。
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open Series(SCGO) SomersetとSCGO Indianapolisの入賞デッキの解説をしていきます。
SCGO Somerset トップ8 ~珍しいデッキが活躍~
2014年5月25日
Craig Krempels |
1位 UWR Delver/白青石鍛冶
2位 Shardless BUG/続唱青黒緑
3位 12 Post/12ポスト
4位 RW Painter/ぺインター
5位 UG Infect/感染アグロ
6位 Merfolk/マーフォーク
7位 Esper Deathblade/デスブレード
8位 NO BUG/続唱青黒緑
優勝はUWR Delverでした。今大会ではUG InfectやRW Painter、8位に入賞していたShardless BUGに《自然の秩序》パッケージを加えたNO BUGなど、珍しいタイプのデッキの入賞が目立ちました。
SCGO Somerset デッキ解説
「Shardless BUG」「NO BUG」「RW Painter」
4 《新緑の地下墓地》 4 《霧深い雨林》 3 《汚染された三角州》 3 《Underground Sea》 2 《Bayou》 2 《Tropical Island》 2 《忍び寄るタール坑》 2 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 2 《悪意の大梟》 4 《断片無き工作員》 -クリーチャー(14)- |
4 《祖先の幻視》 4 《渦まく知識》 3 《思考囲い》 1 《毒の濁流》 4 《突然の衰微》 1 《Hymn to Tourach》 3 《Force of Will》 2 《ヴェールのリリアナ》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(24)- |
2 《見栄え損ない》 2 《狼狽の嵐》 2 《Hymn to Tourach》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《虚無の呪文爆弾》 1 《悪意の大梟》 1 《毒の濁流》 1 《Force of Will》 1 《無のロッド》 1 《ヴェールのリリアナ》 -サイドボード(15)- |
今大会準優勝のJames Rynkiewiczは比較的スタンダードなShardless BUGですが、1枚差しで全体除去の《毒の濁流》をメインに採用しています。レガシーではDeath and TaxesやElvesのようにクリーチャーが横に並ぶデッキも多く、《真の名の宿敵》やUW Miraclesの《天使への願い》からのトークン対策にもなるので、現環境ではメインに入れていても腐りにくいカードです。
サイドの《無のロッド》は装備品や《師範の占い独楽》、コンボデッキがマナ加速として使う《ライオンの瞳のダイアモンド》や《水蓮の花びら》等をまとめてシャットダウンできます。
1 《島》 1 《沼》 1 《森》 4 《新緑の地下墓地》 4 《霧深い雨林》 3 《汚染された三角州》 3 《Tropical Island》 2 《Bayou》 1 《Underground Sea》 1 《ガイアの揺籃の地》 -土地(21)- 4 《貴族の教主》 4 《死儀礼のシャーマン》 2 《漁る軟泥》 4 《悪意の大梟》 4 《断片無き工作員》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《トレストの密偵長、エドリック》 1 《孔蹄のビヒモス》 1 《大祖始》 -クリーチャー(23)- |
4 《渦まく知識》 3 《思考囲い》 1 《コジレックの審問》 1 《Hymn to Tourach》 1 《突然の衰微》 3 《自然の秩序》 3 《Force of Will》 -呪文(16)- |
2 《ハートウッドの語り部》 2 《突然の衰微》 2 《花の絨毯》 2 《仕組まれた疫病》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《無のロッド》 1 《ドライアドの東屋》 1 《Karakas》 1 《最後のトロール、スラーン》 -サイドボード(15)- |
2位入賞のShardless BUGと異なり、Eli Kassisのリストは《不毛の大地》が不採用で《自然の秩序》のパッケージを搭載しています。サーチ先の緑のクリーチャーには《大祖始》と《孔蹄のビヒモス》が採用されています。他のBUGと比較すると奇襲性が高く、中速デッキのShardless BUGとしてゲームを進めつつコンボによる突然死のプレッシャーをかけることが可能になっています。
サイドに採用されている 《ハートウッドの語り部》はUW Miracles等のコントロールとのマッチアップで活躍が期待できそうです。最悪除去されてもカードを1枚引くことが可能です。
《仕組まれた疫病》は部族デッキだけでなく、タフネス1のクリーチャーを多数採用しているDeath and Taxesや《真の名の宿敵》デッキに対してもサイドインされます。
4 《平地》 4 《山》 3 《乾燥台地》 1 《Plateau》 1 《Karakas》 4 《古えの墳墓》 2 《埋没した廃墟》 -土地(15)- 4 《絵描きの召使い》 4 《猿人の指導霊》 -クリーチャー(8)- |
3 《悟りの教示者》 3 《剣を鍬に》 2 《赤霊破》 2 《紅蓮破》 2 《信仰無き物あさり》 2 《紅蓮地獄》 1 《安らかなる眠り》 4 《血染めの月》 2 《忘却の輪》 1 《神聖の力線》 2 《師範の占い独楽》 4 《丸砥石》 2 《罠の橋》 1 《三なる宝球》 1 《Helm of Obedience》 1 《槌のコス》 -呪文(37)- |
2 《月の大魔術師》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《迷宮の霊魂》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 1 《剣を鍬に》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《破壊放題》 1 《Wear》 1 《紅蓮地獄》 1 《火山の流弾》 1 《神の怒り》 1 《安らかなる眠り》 1 《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
赤白のPainterコンボデッキ。Zachary Sigmanのリストは白を足したことにより除去の《剣を鍬に》や 《忘却の輪》、サーチスペルの《悟りの教示者》にもアクセスが可能になり、コンボを揃えるのも容易になりました。《Helm of Obedience》+《安らかなる眠り》のコンボも採用しています。
コンボ対策の《エーテル宣誓会の法学者》や《迷宮の霊魂》、全体除去の 《神の怒り》、ハンデス対策の《神聖の力線》など、白を足したことによりサイドのカード選択の幅も広がりました。
SCGO Indianapolis トップ8 ~エルフの快進撃、続く~
2014年6月1日
1位 Elves/エルフ
2位 Esper Stoneblade/白青石鍛冶
3位 Maverick/マーベリック
4位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
5位 BUG Delver/チームアメリカ
6位 Manaless Dredge/発掘
7位 Sneak and Show/実物提示教育
8位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
Riley Curran |
トップ8の半分がDelverデッキで占められる中、BMOでも優勝していたElvesがタイトルを獲得しました。
SCGO Indianapolis デッキ解説
「Elves」「Esper Stoneblade」「Maverick」
3 《森》 4 《新緑の地下墓地》 3 《霧深い雨林》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《樹木茂る山麓》 2 《Bayou》 4 《ガイアの揺籃の地》 2 《ドライアドの東屋》 -土地(20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《クウィリーオン・レインジャー》 4 《ワイアウッドの共生虫》 3 《遺産のドルイド》 3 《イラクサの歩哨》 2 《樺の知識のレインジャー》 1 《ラノワールのエルフ》 4 《エルフの幻想家》 1 《漁る軟泥》 1 《ヴィリジアンのシャーマン》 2 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(29)- |
4 《垣間見る自然》 4 《緑の太陽の頂点》 4 《自然の秩序》 -呪文(12)- |
3 《陰謀団式療法》 3 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 1 《大祖始》 1 《世界棘のワーム》 1 《森の知恵》 1 《弱者の石》 1 《無のロッド》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
Riley Curranはこれまでに何度もElvesで入賞している強豪プレイヤーです。今回Rileyの使用したリストは最近よく見かけるようになった青を足したバージョンではなく純正緑黒です。墓地対策の《漁る軟泥》がメインに採用されており、《タルモゴイフ》や《敏捷なマングース》のように強さが墓地に依存したクリーチャーを採用しているRUG Delver対策になります。
装備品などをシャットダウンする《無のロッド》はこのデッキのサイドにも採用されています。厄介な《梅澤の十手》やUW Miracles等の《師範の占い独楽》を止めることができるので、ゲームを有利な方向に進めることが出来ます。UW Miracles側は《師範の占い独楽》の起動を禁止されると《終末》等の「奇跡」カードをセットアップするのが困難になります。
また、サイドにはコンボ対策としてカウンターの《白鳥の歌》の代わりにハンデスの《陰謀団式療法》《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》が多めに採用されています。
6 《島》 2 《平地》 1 《沼》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《湿地の干潟》 3 《汚染された三角州》 2 《Tundra》 1 《Scrubland》 1 《Underground Sea》 -土地(23)- 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《瞬唱の魔道士》 3 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(9)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 3 《狼狽の嵐》 2 《対抗呪文》 2 《未練ある魂》 2 《至高の評決》 4 《Force of Will》 3 《仕組まれた爆薬》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(28)- |
4 《思考囲い》 3 《白鳥の歌》 2 《外科的摘出》 2 《真髄の針》 1 《悟りの教示者》 1 《安らかなる眠り》 1 《基本に帰れ》 1 《仕組まれた疫病》 -サイドボード(15)- |
最近のStonebladeはテンポ寄りのUWR Delverや多色のDeathbladeをよく見かけますが、今回準優勝したJoe Bernalのリストは基本地形を多数採用した青白タッチ黒の懐かしい型です。黒は《未練ある魂》とサイドの《思考囲い》や《仕組まれた疫病》のためで、色拘束の強い《ヴェールのリリアナ》は不採用です。メインはほぼ青白の2色で、コンボやコントロールに対してはハンデスの代わりに《対抗呪文》や《狼狽の嵐》等カウンターが多めに採用されています。
採用されている基本地形の合計が9枚とUW Miraclesよりも多く、《至高の評決》もメインから採用しているのでRUG Delver等のテンポデッキに対して他のStonebladeよりも有利な印象です。 1/1飛行クリーチャートークンを並べる《未練ある魂》はコントロールや単体除去が中心のBUGに対して強さを発揮しそうです。
《発展の代価》や《血染めの月》といったアンチ特殊地形カードに耐性があり、BUG等特殊地形に頼ったデッキに対しては自ら《基本に帰れ》を置いて機能不全に陥りさせることも可能です。サイドには《悟りの教示者》によるシルバーバレット戦略も採られています。
2 《森》 1 《平地》 4 《新緑の地下墓地》 2 《Savannah》 1 《Bayou》 1 《Scrubland》 1 《地平線の梢》 4 《吹きさらしの荒野》 1 《Karakas》 1 《ガイアの揺籃の地》 1 《ドライアドの東屋》 4 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《ルーンの母》 4 《死儀礼のシャーマン》 1 《貴族の教主》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《クァーサルの群れ魔道士》 2 《石鍛冶の神秘家》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《漁る軟泥》 4 《聖遺の騎士》 -クリーチャー(24)- |
4 《剣を鍬に》 4 《緑の太陽の頂点》 2 《森の知恵》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《光と影の剣》 -呪文(13)- |
4 《思考囲い》 2 《流刑への道》 2 《盲信的迫害》 2 《忘却の輪》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《漁る軟泥》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《窒息》 -サイドボード(15)- |
Thomas Herzogは筆者の地元ミシガン出身のプレイヤーで、SCGO Detroitでも同デッキで入賞していました。筆者とも面識があり、インタビューすることができました。
◆Interview with Thomas Herzog
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Thomas: Maverickはずっと使い続けているデッキで、僕のプレイスタイルにもフィットしている。アグロとしてもコントロールとしても振る舞える、フレキシブルなところが気に入っている。
--相性の良いマッチアップや悪いマッチアップは?
Thomas: Maverickは《漁る軟泥》等の墓地対策や装備品対策の《クァーサルの群れ魔道士》、コンボ対策の《ガドック・ティーグ》といったクリーチャーをメインに採用していて、それらを《緑の太陽の頂点》でサーチしていけるおかげで非常に万能なデッキで、Belcherのように1ターンキルをしてくるデッキ以外には互角以上に戦える。Delverのように低コストの除去やキャントリップを多数搭載したデッキには《ルーンの母》や《スレイベンの守護者、サリア》があるから有利だと思う。不利なマッチはBelcherのような高速コンボや《罰する火》エンジンを搭載したPunishing Jund、スイーパーを採用しているUW Miracles。それとクリーチャーを多く並べてくるうえにコンボによる勝利手段を持つElvesもきつい。だからサイドには《ガドック・ティーグ》や《思考囲い》、《エーテル宣誓会の法学者》等コンボ対策を多めに入れている。
--カード選択について、《石鍛冶の神秘家》のサーチ用の装備品に 《梅澤の十手》、《光と影の剣》、 《火と氷の剣》が採用されているね。《殴打頭蓋》は不採用だけど何故?
Thomas: Maverickは他の《石鍛冶の神秘家》デッキと違って《石鍛冶の神秘家》戦略を重視していないんだ。このデッキには他にも場を支配できるクリーチャーを多く採用されているからね。あと、《石鍛冶の神秘家》自体も2枚しか採用していないから《殴打頭蓋》を引いてしまった時も2マナで場に出すことは難しくて、多くの場合は5マナと重い装備品でしかないのも不採用の理由かな。一方、《火と氷の剣》と《光と影の剣》は装備品の対象となるクリーチャーを多く採用しているこのデッキにとってベストだ。《火と氷の剣》はこのデッキにとってこれといった対処法のない《真の名の宿敵》を乗り越える手段になる。《光と影の剣》はクリーチャーが墓地に数体落ちていることの多いこのデッキと相性が良く、ライフゲインもダメージレースを有利にしてくれる。レガシーの定番の除去の《剣を鍬に》に耐性が付くプロテクション(白)も重要だ。
--SCGO Detroitの入賞リストからの変更点は?
Thomas: サイドの《エーテル宣誓会の法学者》の1枚を解雇して《盲信的迫害》の2枚目を追加した。苦手なElvesとの相性を少しでも改善させると同時に相手の《真の名の宿敵》に対する回答にもなり、小型クリーチャーを多数採用しているDeath and Taxesにも強いこのカードは全大会を通して大活躍だったよ。
最近あまり見なくなったMaverickですが、Thomas Herzogはこの短期間に2度の入賞を果たしています。今回の入賞でSCGO Detroitでのパフォーマンスがフロックでないことが証明されました。2週間後のSCG Invitational Columbusにも参戦されるようなので、彼の今後の動向にも注目です。
総括
SCGO Somersetは優勝こそオーソドックスなリストのUWR Delverでしたが、個性的なローグデッキも多数入賞を果たすなど、このフォーマットの可能性を感じさせる結果となりました。SCGO Indianapolisはテンポデッキがトップ8の半分を占め、それらのデッキと相性の良いMaverickや基本地形を多数採用することによってマナ否定戦略に耐性を付けたオリジナリティーの高いEsper Stonebladeも見られました。優勝はテンポデッキやクリーチャーデッキのMarverick等のデッキに強いElvesでした。
いよいよ来週末に迫ったSCG Invitational Columbusではどのようなデッキが活躍するのか楽しみです。
以上SCGO SomersetとSCGO Indianapolisの解説でした。
次回の記事ではSCGO ProvidenceとSCG Invitational Columbus、SCGO Columbusの解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『SCGO Somerset event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/240514_somerset.html
『SCGO Indianapolis event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/310514_indianapolis.html