今週末にはBIG MAGICとStarcityとのコラボによって実現したStarCityGames.com Open Series(SCGO)のような大規模な賞金制の大会であるBIGMAGIC OPENがありますが皆さん参加される予定ですか?
さて、今回の記事ではヨーロッパで開催された大規模なエターナルの大会のBAZAAR Of MOXEN(BOM)とSCGO Cincinnatiの入賞デッキの解説をしていきたいと思います。
BAZAAR of MOXEN トップ8 デッキアーキタイプ
2014年5月2日
1位 4color Loam/土地単
2位 BUG Shardless/続唱青黒緑
3位 Elves/エルフ
4位 Death & Taxes/デス&タックス
5位 UWR Miracles/白青奇跡
6位 UWR Miracles/白青奇跡
7位 Death & Taxes/デス&タックス
8位 UWR Miracles/白青奇跡
BAZAAR Of MOXEN(BOM)はヨーロッパで毎年開催されるイベントで、モダン、レガシー、ヴィンテージの大会が開催され、レガシーは500人を超える参加者を出しました。
カバレージのデッキ分布によるとBUG MidrangeとUW Miracles、Death and Taxesが多かったようです。トップ8を見てみて印象に残ったのは、アメリカのレガシーの大会のSCGOと異なりRUG Delverを初めとしたDelver系のテンポデッキが不在であるということでした。Death and TaxesやUWR Miraclesが多かったのでDelver系のデッキにとってはきついメタだったようです。
今大会のトップメタの一角のUWR Miraclesがトップ8に3名と、今年2月に開催されたGP Parisのトップ8を彷彿させます。
BAZAAR of MOXEN デッキ解説
「4color Loam」「BUG Shardless」「UWR Miracles」「Death & Taxes」
4 《新緑の地下墓地》 2 《Taiga》 2 《Bayou》 2 《Scrubland》 2 《燃え柳の木立ち》 1 《地平線の梢》 1 《Savannah》 1 《Karakas》 1 《ドライアドの東屋》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 2 《やせた原野》 2 《平穏な茂み》 4 《不毛の大地》 1 《Maze of Ith》 -土地(26)- 4 《闇の腹心》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《タルモゴイフ》 1 《漁る軟泥》 4 《聖遺の騎士》 -クリーチャー(11)- |
3 《壌土からの生命》 2 《緑の太陽の頂点》 3 《突然の衰微》 3 《罰する火》 1 《森の知恵》 4 《虚空の杯》 4 《モックス・ダイアモンド》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(23)- |
4 《虚空の力線》 3 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《窒息》 2 《ゴルガリの魔除け》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《古えの遺恨》 -サイドボード(15)- |
久々に見る《壌土からの生命/Life from the Loam(MMA)》エンジンを搭載した中速デッキ。クリーチャー主体のデッキに特に強いのが特徴です。Delver系のデッキに対しても1ターン目に《モックス・ダイアモンド》スタートからの《虚空の杯》X=1が決まればかなり有利にゲームが進みます。
コンボ耐性が低いのが難点ですが、今大会のトップ8のようにフェアデッキが多い環境では無類の強さを発揮します。墓地を活用するデッキなので、サイド後は多くのデッキがサイドインしてくる《安らかなる眠り》等の墓地対策をかわすべく、サイドにはエンチャントを割れる《ゴルガリの魔除け》や《クァーサルの群れ魔道士》が採られています。《ゴルガリの魔除け》は《真の名の宿敵》対策にもなりつつ、小型のクリーチャーを並べてくるDeath and Taxesや部族対策になるので無駄になりにくいカードです。
コンボに対しては《Ethersworn Canonsit》等のヘイトベアーが採用されています。メインでも青いデッキに対して強いデッキですが、サイド後は《窒息》も投入されるため、このバージョンは特に青に強そうです。
1 《森》 1 《沼》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 1 《湿地の干潟》 1 《汚染された三角州》 4 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 1 《Bayou》 4 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 4 《断片無き工作員》 1 《墓忍び》 -クリーチャー(13)- |
4 《祖先の幻視》 4 《渦まく知識》 2 《毒の濁流》 4 《突然の衰微》 4 《Force of Will》 1 《森の知恵》 3 《ヴェールのリリアナ》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(24)- |
4 《翻弄する魔道士》 2 《強迫》 2 《思考囲い》 1 《Savannah》 1 《概念泥棒》 1 《大渦の脈動》 1 《魂の裏切りの夜》 1 《虚空の力線》 1 《墓掘りの檻》 1 《無のロッド》 -サイドボード(15)- |
最近またよく見かけるようになったShardless BUG。
Jean-Mary Accartのリストはサイドの《翻弄する魔道士》の為に白をタッチしています。苦手なコンボ対策のようです。このような欲張りなマナベースも《死儀礼のシャーマン》の存在がそれを可能にさせます。
単体除去が中心のこのデッキにとって厄介なクリーチャーである《真の名の宿敵》やプロテクションを持つ《ミラディンの十字軍》、複数のクリーチャーを並べてくるDeath and Taxesや部族デッキ対策に、《毒の濁流》をメインから採用しています。また、UW Miraclesの《天使への願い》のトークンも除去できます。ライフを支払うのは痛いときもありますが、単体除去が中心だったBUGにとっては貴重な全体除去です。
5 《島》 2 《平地》 1 《山》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 1 《Karakas》 -土地(22)- 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(2)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 2 《呪文嵌め》 2 《思案》 2 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 4 《Force of Will》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(36)- |
2 《石鍛冶の神秘家》 2 《狼狽の嵐》 2 《Wear》 2 《安らかなる眠り》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《至高の評決》 1 《殴打頭蓋》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
今大会で多くの入賞者を出したUWR Miracles。入賞した3名のプレイヤーのリストは細かいカードの選択の差はありますが、基本的には基本地形を多めに搭載した青白に《赤霊破》や《紅蓮破》のために赤をタッチし、サイドに追加のクロックの《石鍛冶の神秘家》パッケージを搭載したほぼ同様のリストでした。
11 《平地》 3 《Karakas》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《ファイレクシアの破棄者》 3 《セラの報復者》 2 《迷宮の霊魂》 3 《ちらつき鬼火》 2 《ミラディンの十字軍》 1 《オレスコスの王、ブリマーズ》 -クリーチャー(27)- |
4 《剣を鍬に》 1 《殴打頭蓋》 4 《霊気の薬瓶》 1 《火と氷の剣》 1 《梅澤の十手》 -呪文(11)- |
3 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《萎れ葉のしもべ》 2 《安らかなる眠り》 2 《解呪》 2 《墓掘りの檻》 1 《レオニンの遺物囲い》 1 《罠の橋》 1 《真髄の針》 1 《漸増爆弾》 -サイドボード(15)- |
9 《平地》 1 《地平線の梢》 1 《トロウケアの敷石》 3 《Karakas》 4 《リシャーダの港》 4 《幽霊街》 4 《不毛の大地》 -土地(26)- 3 《ルーンの母》 4 《迷宮の霊魂》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《レオニンの裁き人》 4 《ファイレクシアの破棄者》 2 《石鍛冶の神秘家》 2 《エイヴンの思考検閲者》 2 《コロンドールのマンガラ》 -クリーチャー(25)- |
3 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 -呪文(9)- |
2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《ミラディンの十字軍》 2 《石鍛冶の神秘家》 2 《安らかなる眠り》 1 《ルーンの母》 1 《古参兵の武具師》 1 《萎れ葉のしもべ》 1 《剣を鍬に》 1 《忘却の輪》 1 《墓掘りの檻》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
アグロデッキの中では今大会最大勢力を誇ったDeath and Taxesはヨーロッパでは特に人気のあるアーキタイプで、単色で非青デッキでありながら各種ヘイトベアーの存在によりコンボに強いのが特徴です。また、単色で基本地形を多数搭載できていることから《不毛の大地》に強い上に、《霊気の薬瓶》のおかげでカウンターを気にせずインスタントスピードでマナを支払うことなくクリーチャーを展開していけるので、Delver系のデッキに対しても有利です。
弱点としては現在のレガシーで多くのデッキに採用されている《真の名の宿敵》に対抗する手段が非常に少ないことが挙げられます。また、全体的にクリーチャーのサイズが小さいので、今大会優勝の《罰する火》エンジンを搭載したデッキも苦手なマッチとなりそうです。
Nick Steynsのリストは比較的スタンダードなリストです。《ヴェールのリリアナ》等のハンデス対策に《萎れ葉のしもべ》がサイドに採られています。コストが4なのでBUGのメインの除去の《突然の衰微》で死なないのも強みです。
一方、Wenzel Krautmannのリストは他のDeath and Taxesと大きく異なります。定番の《石鍛冶の神秘家》や《ルーンの母》の枚数を削り 《セラの報復者》や《ちらつき鬼火》も不採用で、代わりにヘイトベアーが多めに採られています。相手のフェッチランドで土地を探すのを妨害する《エイヴンの思考検閲者》と《レオニンの裁き人》が採られています。それらのカードと相性の良い《幽霊街》が採られている等マナ否定戦略に重点を置いているようです。 《コロンドールのマンガラ》+《Karakas》のコンボも採用されています。
両プレイヤーがメインに採用している 《迷宮の霊魂》は、《渦まく知識》を多用するデッキ(レガシーに存在する多くのデッキ)にとっては非常に厄介なクリーチャーです。相手の《渦まく知識》に対応して《霊気の薬瓶》から場に出すことが可能なので、《霊気の薬瓶》にカウンターが2個乗っているだけで《渦まく知識》をキャストし難くなります。また、《迷宮の霊魂》はElvesのコンボエンジンの《垣間見る自然》や《エルフの幻想家》をシャットアウトすることも可能です。
Born of the Godsから《迷宮の霊魂》が加入してからはコンボとのマッチアップが更に有利になった印象です。
SCGO Cincinnati トップ8 デッキアーキタイプ
2014年5月2日
1位 Death and Taxes/白ウィニー
2位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
3位 Reanimator/リアニメイト
4位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
5位 Elves/エルフ
6位 Esper Deathblade/デスブレード
7位 UWR Delver/白青石鍛冶
8位 Sneak and Show/スニーク・ショー
ヨーロッパのメタと大きく異なりアメリカのレガシーの大会らしくDelver系のデッキが高い入賞率を見せます。Reanimator, Elves, Sneak and Show等コンボもそこそこ見られます。しかし、優勝はBOMでも人気がありトップ8にも2名の入賞者を出したDeath and Taxesでした。
SCGO Cincinnati デッキ解説
「Esper Deathblade」「Sneak and Show」
4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《湿地の干潟》 4 《Tundra》 4 《Underground Sea》 1 《Scrubland》 1 《Tropical Island》 4 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《瞬唱の魔道士》 3 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(13)- |
4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 3 《思考囲い》 2 《ギタクシア派の調査》 2 《呪文貫き》 4 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(24)- |
3 《外科的摘出》 2 《翻弄する魔道士》 2 《狼狽の嵐》 2 《盲信的迫害》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《解呪》 1 《未練ある魂》 1 《名誉回復》 1 《墓掘りの檻》 1 《火と氷の剣》 -サイドボード(15)- |
Evan Wagstaff のDeathbladeは他のDeathbladeと比べると《ヴェールのリリアナ》と《突然の衰微》が不採用で、全体的に黒と緑が浅めになっています。
《死儀礼のシャーマン》を採用していますが黒黒を要求する《ヴェールのリリアナ》と緑黒の《突然の衰微》、青白の《翻弄する魔道士》、青青の《精神を刻む者、ジェイス》と《真の名の宿敵》とかなり欲張った構成だったリストと比べると、Evan Wagstaff のリストは3色のEsper Stonebladeに《死儀礼のシャーマン》を足したような構成で全体的にスッキリした印象です。《ギタクシア派の調査》も採用されているので 《瞬唱の魔道士》を2マナドロップとして扱いやすくなっています。
3 《島》 1 《山》 4 《沸騰する小湖》 3 《霧深い雨林》 3 《Volcanic Island》 4 《古えの墳墓》 1 《裏切り者の都》 -土地(19)- 4 《グリセルブランド》 2 《荒廃鋼の巨像》 2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《渦まく知識》 3 《呪文貫き》 4 《実物提示教育》 1 《直観》 4 《Force of Will》 1 《誤った指図》 4 《騙し討ち》 4 《水蓮の花びら》 -呪文()- |
3 《紅蓮地獄》 2 《灰燼の乗り手》 2 《白鳥の歌》 2 《裂け目の突破》 2 《血染めの月》 2 《墓掘りの檻》 1 《狼狽の嵐》 1 《赤霊破》 -サイドボード(15)- |
現在のレガシーの定番のコンボデッキの一つのSneak and Show。Patrick Nelsonのリストはクリーチャーの選択に特徴があります。
多くのリストでは《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《グリセルブランド》が4枚ずつ採られていますが、Patrickは《引き裂かれし永劫、エムラクール》の枚数を削って《荒廃鋼の巨像》を採用しています。《剣を鍬に》で追放されてしまうので除去耐性の高い《引き裂かれし永劫、エムラクール》と比べると性能的にはやや劣る印象がありますが、反面伝説のパーマネントでないので《Karakas》でバウンスされないのは強みです。《Karakas》を多数メインから採用しているDeath and Taxesが多いメタでは検討の余地があります。
総括
ヨーロッパで開催されたBAZAAR Of MOXEN(BOM)はアメリカのメタと大きく異なり、Delver系のデッキはトップ8には不在でUWR MiraclesやShardless BUG、Death and Taxesが中心でした。カバレージのデッキ分布によればコンボはSneak and Show, ANT, Elvesが多かったようですが、プレイオフにまで勝ち進めたのはElvesのみでした。優勝はコンボ以外のデッキに強い4C Loamで、コンボが少なかった今大会のプレイオフでは有利だったようです。
SCGO Cincinnatiは最近のレガシーのトップ8の中ではコンボデッキが多めでした。ヨーロッパのメタと異なりDelver系のデッキも見られます。優勝はBOMでも活躍していたDeath and Taxesでした。
Delver系のデッキと《渦まく知識》を使った青いデッキの活躍ばかりが目立ち環境の停滞が懸念されていましたが、非青デッキの優勝で幕を閉じたBOMとSCGO Cincinnatiの結果からもレガシーのメタが変わりつつあるのが分かります。《渦まく知識》を採用していないデッキの中でも特にコンスタントな入賞が目立つDeath and Taxesは今後もデッキの安定性からもよく見ることになりそうです。
以上、BOMとSCGO Cincinnatiの解説でした。
BIGMAGIC OPENに参加される方は頑張ってください。それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!