皆さんこんにちは。
神々の軍勢がリリースされて一週間が過ぎましたが皆さんの好きなカードは見つかりましたか?
さて、今回の記事では新環境初の大規模なレガシーのイベントのStarCityGames.com Open Series(SCGO) Nashvilleの解説をしていきたいと思います。
SCGO Nashville トップ8 デッキアーキタイプ
2014年2月9日
1位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
2位 Sneak and Show/スニーク・ショー
3位 Elves/エルフ
4位 ANT/むかつきストーム
5位 UWR Delver/白青石鍛冶
6位 BUG Delver/青黒緑アグロ
7位 Lands/土地単
8位 Shardless BUG/続唱青黒緑
新環境に入って初めて行われたSCGO Nashvilleは、コンボデッキの活躍が目立ちました。Sneak and ShowがLandsを、ANTがUWR Delverを、ElvesがBUG Delverを破ってそれぞれ準決勝まで駒を進め、それらをコンボに強いRUG Delverが切るという結果に終わりました。 《真の名の宿敵》を無視することが可能で、最近流行りの《暗黒の深部》を使ったデッキに対しても有利なコンボデッキが勝ち残りやすいメタでした。その結果、《真の名の宿敵》の対処法が少なく最近はあまり勝ち切れていなかったRUG Delverにもチャンスが巡ってきたといったところです。
SCGO Nashville デッキ解説
「RUG Delver」「Elves」「BUG Delver」「Shardless BUG」「Death and Taxes」
3 《Tropical Island》 3 《Volcanic Island》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 4 《もみ消し》 2 《二股の稲妻》 2 《呪文貫き》 2 《呪文嵌め》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 -呪文(30)- |
3 《赤霊破》 3 《水没》 2 《硫黄の精霊》 2 《外科的摘出》 2 《狼狽の嵐》 2 《Rough》 2 《墓掘りの檻》 1 《古えの遺恨》 -サイドボード(15)- |
前回のSCGO Baltimoreでは惜しくも準優勝だったRUG Delverでしたが今大会では優勝タイトルを手にしました。 《真の名の宿敵》の加入で環境が変化した後も上位卓で度々見かけてはいましたが、優勝は久しぶりです。
《石鍛冶の神秘家》等を意識していたようで、《呪文嵌め》が2枚メインに採られています。また、小型クリーチャーを多く採用したDeath and Taxesや部族デッキに対して高い効果が期待できる《二股の稲妻》を追加の火力として採用しています。この選択は準決勝でのElvesとのマッチアップの勝利に貢献しています。
サイドにも《硫黄の精霊》や《Rough》を採用する等小型クリーチャー対策に集中しています。《迷宮の霊魂》の加入でDeath and Taxesが増える事を想定してサイドボードを構築しているようです。
1 《森》 2 《Bayou》 1 《Savannah》 2 《ドライアドの東屋》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 2 《吹きさらしの荒野》 4 《ガイアの揺籃の地》 -土地(20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《遺産のドルイド》 4 《イラクサの歩哨》 4 《クウィリーオン・レインジャー》 4 《ワイアウッドの共生虫》 1 《樺の知識のレインジャー》 1 《エルフの神秘家》 4 《エルフの幻想家》 1 《ヴィリジアンのシャーマン》 2 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(29)- |
4 《緑の太陽の頂点》 4 《垣間見る自然》 3 《自然の秩序》 -呪文(11)- |
4 《思考囲い》 3 《陰謀団式療法》 3 《突然の衰微》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《漁る軟泥》 1 《大祖始》 1 《世界棘のワーム》 1 《自然の秩序》 -サイドボード(15)- |
Elvesの部族シナジーを活用したコンボデッキ。《緑の太陽の頂点》から必要に応じたクリーチャーをサーチすることが可能なため、レガシーでは珍しい《渦まく知識》を使わないデッキであるにも関わらず、デッキの回りが安定しているのが特徴です。
《垣間見る自然》はコンボに繋がるカードで、エルフクリーチャーを展開しつつカードを引き続け、《遺産のドルイド》等から大量のマナを得て《緑の太陽の頂点》から《孔蹄のビヒモス》で勝負を決められる可能性があるので、相手にとっては厄介なカードです。《垣間見る自然》をキャストすれば相手もカウンターをしなければならず、もう一つの勝ち手段の《自然の秩序》も決まりやすくなります。
サイドにはこのデッキよりも速いコンボ対策に、《思考囲い》や《陰謀団式療法》等ハンデスが多めに積まれています。《垣間見る自然》や《エルフの幻想家》からのドローを無効化してくる《迷宮の霊魂》対策として、《突然の衰微》や《クァーサルの群れ魔道士》は今まで以上に重要になりそうです。
今後流行りそうなDeath and Taxesや最近流行りのBUG Delverに対して有利が付くデッキなので、現在のレガシーではお勧めのアーキタイプの一つです。プレイングの難易度が高めなのでこのデッキで大会に出場する際は良く練習しておくことを強くお勧めします。
4 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 1 《Bayou》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《タルモゴイフ》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《思考囲い》 1 《ギタクシア派の調査》 4 《目くらまし》 4 《突然の衰微》 4 《Force of Will》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(27)- |
3 《ゴルガリの魔除け》 3 《四肢切断》 3 《トーモッドの墓所》 2 《呪文貫き》 2 《Hymn to Tourach》 1 《森の知恵》 1 《忍び寄るタール坑》 -サイドボード(15)- |
UWR DelverやRUG Delverに次ぐ第3のDelverデッキとして最近人気が出てきているBUG Delver。今回入賞したScott Tompkinsのリストは《Hymn to Tourach》が《思考囲い》に、《墓忍び》が《真の名の宿敵》にそれぞれ差し替えられています。
BUG系のハンデスはランダム要素があるものの確実にアドバンテージが取れ、捨てられたカードによってはその後のゲームが有利になりやすい《Hymn to Tourach》の方が優先される傾向がありますが、《思考囲い》はこのデッキにとって対処が厄介な部類に入る《石鍛冶の神秘家》からの《殴打頭蓋》を確実に捨てさせることが可能です。また、相手の情報を掴むことができる点も重要です。相手側も《渦まく知識》で狙った有効札をライブラリのトップに隠すことが可能なので、仕掛けるタイミングには注意が必要です。
このデッキの《真の名の宿敵》はUWR DelverやDeath Bladeと異なり装備品等の強化手段が無いのでややインパクトに欠けますが、《死儀礼のシャーマン》経由で2ターン目に場に出すことが可能で除去耐性の高さも健在です。相手の《真の名の宿敵》はメインの《ヴェールのリリアナ》とサイドの《ゴルガリの魔除け》で対処していきます。エンチャントを破壊できる《ゴルガリの魔除け》は神々の軍勢から加入した《迷宮の霊魂》対策としても有効です。
4 《Underground Sea》 2 《Bayou》 2 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 3 《霧深い雨林》 3 《新緑の地下墓地》 2 《忍び寄るタール坑》 3 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 4 《断片無き工作員》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(14)- |
4 《祖先の幻視》 4 《思考囲い》 4 《渦まく知識》 4 《突然の衰微》 4 《Force of Will》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(23)- |
4 《Hymn to Tourach》 3 《虚無の呪文爆弾》 2 《ファイレクシアの破棄者》 2 《概念泥棒》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《虐殺》 -サイドボード(15)- |
最近流行りのBUG Delverではなく《断片無き工作員》からの続唱や《祖先の幻視》からアドバンテージを稼いでリソースの物量で相手を圧倒していく中速寄りのShardless BUGです。《真の名の宿敵》が多数存在するという環境の変化に合わせて《ヴェールのリリアナ》を増量しています。
また、コンボに耐性を付ける為に《ヴェンディリオン三人衆》がメインに2枚採られており、それらのスペースを確保する為に《精神を刻む者、ジェイス》が外されています。青い中速デッキの定番だと思われた《精神を刻む者、ジェイス》が不採用だったことには驚きましたが、このデッキにはアドバンテージ獲得手段が他にも多く存在するので特に問題にならないと判断されたようです。
このデッキもメインのハンデスとして《思考囲い》が《Hymn to Tourach》に優先して採用されています。サイドにも調整が加えられており、Sneak and Showの《騙し討ち》《グリセルブランド》の起動能力を封じる《ファイレクシアの破棄者》や、墓地対策の《虚無の呪文爆弾》、コンボのキャントリップや同系対策の《概念泥棒》と追加のハンデスの《Hymn to Tourach》、小型クリーチャーや《真の名の宿敵》対策の《虐殺》と《ゴルガリの魔除け》と、バランス良く構築されています。
4 《平地》 3 《Scrubland》 4 《湿地の干潟》 3 《Karakas》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《迷宮の霊魂》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《ファイレクシアの破棄者》 3 《セラの報復者》 2 《エイヴンの思考検閲者》 2 《ちらつき鬼火》 -クリーチャー(27)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(11)- |
3 《盲信的迫害》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《萎れ葉のしもべ》 2 《大変動》 2 《安らかなる眠り》 2 《忘却の輪》 1 《悟りの教示者》 1 《墓掘りの檻》 -サイドボード(15)- |
プロプレイヤーのAndrew Shroutは早くも注目の新カードである《迷宮の霊魂》をフル搭載したDeath and Taxesを持ち込み、惜しくもトップ8には残れなかったもののマネーフィニッシュラインのトップ64入賞を果たし、今大会のデッキテクとしても紹介されました。
他のDeath and Taxesと異なる点は、サイドの《盲信的迫害》の為に黒を足しているところです。インタビューによると《迷宮の霊魂》の加入により同系が増加することを想定していたようです。同系に対する切り札になる上、Elvesや《真の名の宿敵》対策にもなるので、色を足すことで特殊地形が増え《不毛の大地》に弱くなるリスクを考慮しても、採用する価値はあるようです。また、BUG Delver等が最近サイドボードに採用している《ゴルガリの魔除け》対策にもなります。
《迷宮の霊魂》の枠を確保するために《セラの報復者》や《ちらつき鬼火》の枚数が調整されています。《迷宮の霊魂》はコンボデッキやテンポデッキなどの多くのデッキに搭載されている《渦まく知識》や《思案》等をシャットダウンする、歴代のヘイトベアーと比較しても優秀なクリーチャーです。エンチャントでもあるので《悟りの教示者》でサーチしてくることも可能です。
デッキはまだまだ試行錯誤の段階のようなので今後の展開が楽しみです。黒を既に足しているので、アドバンテージを稼ぐことができる《闇の腹心》を採用してみるのも面白そうです。
総括
新環境初の大規模なレガシーの大会となったSCGO Nashvilleを制したのは、RUG Delverでした。相性が比較的悪いとされるShardless BUGとElvesに勝利したほか、決勝戦ではSneak and Showに勝利しており、デッキのポテンシャルを再確認させられる結果となりました。一時期は《真の名の宿敵》の対処法が限られていたため勝ち残れないことが多かったRUG Delverですが、最近人気が出てきているLoamデッキとの相性の良さからコンボデッキが増加傾向にあるので、以前よりも活躍しやすい環境と言えます。今週末にはGP ParisとSCGO Somersetがありますが、今後どのようにメタが動くのか目が離せません。
以上SCGO Nashvilleの解説でした。
次回の記事ではSCGO SomersetとGP Paris、SCGO St. Louisの解説を予定しています。特にGP Parisは去年のGP Washington DC以来のレガシーのGPなので楽しみです。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!