Worlds Week 2014到来!世界最強を決める戦いを見届けよう!

高橋 純也


◆ 2014年最強のプレイヤーは誰だ!? Worlds Week 2014がやってきた!


 いよいよ「Worlds week 2014」がやってきた。


 「Worlds week 2014」は、フランスはニースで同時開催される「世界選手権2014」「ワールド・マジック・カップ2014」の模様を、12/2 (火) ~ 12/7 () の約1週間を通じて余すことなく観戦できる、すべてのマジックファンにお勧めしたい最高のイベントだ!



 昨シーズン(2013~2014プロシーズン)に好成績を残した24人が集い、世界最強のプレイヤーを決める個人戦トーナメントである「世界選手権2014」。


 各国を代表するトッププレイヤー1人と代表選考予選を勝ち抜いた3人の計4人でチームを組み、世界最強の国を決めるチーム戦トーナメントこと「ワールド・マジック・カップ2014」。


 これら2つのトーナメントの模様は、公式テキストカバレージとニコニコ生放送で実況中継される。

 
 以下がイベントの進行予定放送・カバレージページへのリンクだ。

 今回はフランスでの開催ということもあって、平日のイベントながらも時差的に日本のファンにやさしい時間帯で観戦できる。学校帰りや仕事終わりに友人たちとワイワイ観戦するのも楽しそうだ。


●Worlds Week 2014日程・ニコニコ生放送予定



放送日 放送時間 日程 放送ページ
12/2 (火)17:00 ~ 翌4:00世界選手権1日目こちら
12/3 (水)17:00 ~ 翌4:00世界選手権2日目こちら
12/4 (木)中日休憩
12/5 (金)18:00 ~ 翌4:00ワールド・マジック・カップ1日目こちら
12/6 ()18:00 ~ 翌4:00ワールド・マジック・カップ2日目こちら
12/7 ()17:00 ~ 翌4:00決勝ラウンドこちら


・マジック世界一を決める1週間!「ワールド・ウィーク」をニコ生で観戦しよう!
http://mtg-jp.com/reading/special/0011510/

・「世界選手権2014」イベントカバレージ
http://coverage.mtg-jp.com/mtgwc14/

・「ワールド・マジック・カップ」イベントカバレージ
http://coverage.mtg-jp.com/wmc14/

 

 本記事では、これら2つの世界最強決定戦の見どころと、世界最強の頂に挑む日本を代表するプレイヤーたちを紹介する。



◆選抜されたトッププレイヤー24人が争う! 「世界選手権2014」開幕!


 プロツアー優勝者、Player of the Year、Rookie of the Yearなどの2014プロシーズンのタイトルホルダーたち。


 プロポイントレース上位、各大陸を代表する強豪、電脳世界Magic Onlineの雄といった様々なフィールドの強豪たち。



 そんな世界最強候補24人が集い、『本当の』世界最強は誰なのかを白黒つけよう、という賞金総額1500万円をかけたオールスタートーナメントが「世界選手権2014」だ。

 彼らは2日間で4つの予選フォーマットを14回戦を戦い、4人の成績上位者が3日目のスタンダードによるプレーオフに進出する。


 まずは、彼らが予選ラウンドを競う4つのフォーマットを紹介しよう。



●4つの予選フォーマットについて


・『Vintage Masters』ドラフト(初日3回戦)

 『Vintage Masters』ドラフトは、Magic Online上で発売されたエキスパンションである『Vintage Masters』を使用したドラフト戦だ。リミテッド専用にデザインされたエキスパンションながら、収録されているカードは侮れない性能をもったものばかり。


Black LotusAncestral RecallMox RubyLibrary of Alexandria


 こんな史上最高クラスのカードまで登場する可能性がある、速度とスペックともに規格外のドラフト環境にトッププレイヤーたちはどのような戦略で立ち向かうのだろうか?


参考記事:山本 賢太郎の”ヴィンテージマスターズドラフト アーキタイプ紹介”
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/381



 この記事内でも紹介されているように、《金切るときの声》を中心にした「白系アグロ」が強力なアーキタイプである一方で、人気が集中するであろう「白系アグロ」を避けて有利なドラフティングを狙うのも又一つ有力な戦略だろう。

 トッププロたちの思考の探り合いが興味深く、一手一手を見逃せないエキサイティングなドラフトピックには要チェックだ。


 また、『Vintage Masters』には昔懐かしい様々なギミックやカードが多く収録されている。

 《野生の雑種犬》+”マッドネス”。

 ”サイクリング”+《霊体の地滑り》

 《大あわての捜索》+《苦悶の触手》

 《暗黒の儀式》+強力なクリーチャー。

 などなど、あなたの思い出の断片のひとつがそこにはあるはずだ。


・モダン(初日4回戦)

 これも『Vitange Masters』ほどではなくとも同様に懐かしいカードを使用するフォーマットだ。『第8版』以降の”新枠カード”を使用できるモダン環境は、「《出産の殻》」や「《風景の変容》」、「親和」、「ジャンド」など、ここ10年以内に耳にしたことがある強力なデッキの数々が覇権を争っている。それぞれが一時代を築いた、あるいはそれらに対抗しうるだけの強固なシナジーと爆発力を秘めたデッキばかりだ。

 そして、今回の「世界選手権2014」におけるモダンで注目すべきトピックは、『タルキール覇王譚』で一大旋風を巻き起こした1枚のコモンカードを使用したデッキである。


宝船の巡航


 既にレガシー環境に大変化をもたらした”新しい《Ancestral Recall》”は、モダン環境においても同様の影響を与えつつある。

 先日に開催されたグランプリ・マドリードではその片鱗を見せ、2日目進出者の最大手が《宝船の巡航》を採用した「Delver」デッキだった。


GPマドリッド 2日目進出者 メタゲームブレイクダウン(英語)
http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpmad14/day-2-metagame-breakdown-2014-11-16



 青赤、青赤緑、青赤白。可能性を感じさせるヴァリエーションに富んだ構成がどのような形で『世界選手権2014』の舞台に登場するのかが今から楽しみだ。

 その他のデッキが気になる方は、以下のリンクから現環境を彩るデッキの数々に触れてみてほしい。


最近のモダンデッキを検索
http://www.happymtg.com/decks/search/Format.name:Modern/Deck.start:2014-10-01




・『タルキール覇王譚』ドラフト(2日目3回戦))

 『Vitange Masters』にモダンと古き良きカードに触れることが多い初日のテーマが「歴史」ならば、2日目は最新カードをフィーチャーした「現代」がテーマかもしれない。

 そんな2日目の口火を切るフォーマットは、最新エキスパンションを使用する『タルキール覇王譚』ドラフトだ。


what we need -KTKドラフト環境分析 part1-
http://www.happymtg.com/column/minsu/22990/

what we need -KTKドラフト環境分析 part2-
http://www.happymtg.com/column/minsu/23270/

what we need -KTKドラフト環境分析 part3-
http://www.happymtg.com/column/minsu/23445/



 詳しい環境の姿と戦略については、ドラフトマスターこと金 民守の記事に解説を任せるが、ぐだぐだと膠着してしまいがちなカードプールの中で「いつ」「どのように」勝つのかという明確なプランをいかに立てられるかが焦点となる。


 多色の対戦相手がマナベースの問題でまごついているところを素早く殴りきるのか。


アイノクの盟族アイノクの盟族矢の嵐


 色の少ない淡白な対戦相手をレイトゲームで多色ならではのカードパワーで押しつぶすのか。


軍備部隊死の投下熊の仲間


 マナトラブルのリスクから際限のない多色化は嫌われているものの、それもただの程度問題であり、さほど大きなリスクでないならば多色化は推奨されるはずなのだ。

 そして、トッププレイヤーばかりのハイレベルなドラフト環境では、参加者の誰もに緩手は許されない。

 より高い勝率の一手はなにか。そのためには大かれ少なかれリスクを背負わざるをえない場面もあるだろう。

 彼らの一進一退の攻防と、ピック段階のリスク管理には注目したい。



・スタンダード(2日目4回戦)

 プレイヤーたちを待ち受ける最後のフォーマットは、すべてのプレイヤーの原点であり、最も多くのプレイヤーが触れているであろう大人気のスタンダードだ。


 『テーロス』ブロック3つ、『マジック基本セット2015』、『タルキール覇王譚』。計5つのエキスパンションのみがカードプールの構築フォーマットである。

 ”信心”など単色寄りのコンセプトが強かった『テーロス』に、楔の3色を中心とした多色エキスパンションである『タルキール覇王譚』を加えた混沌とした環境は、現在では2つの有力なデッキを中心に落ち着きつつある。

 
 「マルドゥミッドレンジ」「アブザンミッドレンジ」だ。


はじける破滅包囲サイ


 クリーチャー中心の環境における除去コントロールである「マルドゥミッドレンジ」はまさに環境にフィットしたデッキで、カードプールで最高のクオリティを誇るパーマネントを端から放り込んだパワーハウスが「アブザンミッドレンジ」だ。


津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
~海外グランプリ特集~
http://mtg-jp.com/reading/tsumura/0011497/

~世界選手権2014直前!メタゲームのおさらいと新デッキ特集~
http://mtg-jp.com/reading/tsumura/0011544/



 詳細なデッキ構成やメタゲームについては、上の連載が詳しいのでぜひそちらもご覧頂きたい。

 本戦で注目のトピックとしては、環境の大半を占める「ミッドレンジ」と呼ばれる強力なパーマネントデッキに対して、トッププレイヤー達が用意する回答はなにかというものだ。

 
 消耗戦を制する《女王スズメバチ》+《エレボスの鞭》


女王スズメバチエレボスの鞭


 それとも「緑系ミッドレンジ」へのカウンターストラテジである「青白英雄」や「赤白系トークン」?


イロアスの英雄軍族童の突発


 プロツアー『タルキール覇王譚』からこれまでのしばらくの間、スタンダードは変化に乏しいと感じるフォーマットなので、ここはひとつ環境を一新するようなアイデアを期待してしまう。
 
 
 このスタンダードは、二日目終了後の成績上位者4人が進出するプレーオフのフォーマットでもある。

 つまり、スタンダードを制するものこそが世界一に最も近いとも言い換えられるだろう。

 「世界選手権2014」で競われる4つのフォーマットの中でも最も重要度が高いであろうスタンダードの行方から目が離せない。
 


●「世界選手権2014」に参加する3人の日本人トッププレイヤー

 以上が「世界選手権2014」の舞台となるフォーマットの紹介だ。

 だが、見どころはそれだけではない。そこで戦うプレイヤーこそが今回のイベントの華なのだ。

 
 ここでは「世界選手権2014」に参加する3人の日本人選手を紹介しよう。

 

世界選手権2014 出場日本選手インタビュー
http://mtg-jp.com/reading/special/0011538/



・市川 ユウキ



 昨シーズンの開始時に、市川 ユウキという名前がプロポイント獲得者上位にリストアップされていることを予想していた人はおそらく少なかったことだろう。

 しかし、プロツアー『ニクスへの旅』プロツアー『マジック2015』での連続Top8入賞によって文字通り一躍トッププレイヤーの仲間入りを果たした彼は、今では日本を代表とする強豪として世界中から知られる存在にまで成長した。


準々決勝:市川 ユウキ(日本) vs. Jackson Cunningham(カナダ)
http://coverage.mtg-jp.com/ptm15/article/010968/


 プロツアー『マジック2015』の準々決勝、Cunninghamとの第2ゲームで見せた《ゴルガリの魔除け》のトリックプレーは世界中のマジックファンを大いに沸かした。そのマッチは結果的に敗北してしまうものの、そこで見せた冷静沈着な一手は多くのファンの心をつかみ、その確かな実力と市川 ユウキの名を世界に知らしめることとなった。

 このように世間から見ると突如として現れたJapanese rising starだが、そんな彼にも確かなバックボーンがある。

 それは「瀬畑」というアカウントで行っている大人気のニコニコ生放送だ。このチャンネルには、これまで3500人が登録し、延べ10万人もの人々が彼のMagic Onlineのプレイを視聴している。


市川「”プレイも構築力もとても酷いものだったけれども、見ていたリスナー達は非常に親身にアドバイスをくれました。匿名で名もなき彼らだけど、ここに辿り着くまでで私に一番影響を与えた人物であるのは間違いないですね、とても感謝しています。”」


 このように出場者インタビューでも”影響を与えた人物、経験”として、これらの配信を通した経験と出会いに触れている。

 これまでプロシーンに登場したプレイヤーの中にもMagic Onlineの経験をベースとしたプレイヤーは多かれ少なかれいたものの、市川のようにそれを配信することでフィードバックを積み上げたプレイヤーというのは確かに稀だろう。

 そんな珍しく特異な経験こそが市川の強みなのかもしれない。

 今回の『世界選手権2014』は見渡すかぎりの強豪揃いで、正直にいって市川よりも「格上」のプレイヤーばかりだといえるフィールドだ。

 ただ、彼が活躍したイベント数や期間はまだ少なくとも、その短い中で成し遂げた成績は凄まじいものであることも事実である。

 2勝3敗の初日敗退を目前とした崖っぷちからの10連勝でのTop8入賞を果たしたプロツアー『ニクスへの旅』

 またもや2勝3敗の初日敗退を目前とした崖っぷちからのTop8入賞を果たしたプロツアー『マジック2015』

 そんな逆境に強い彼だからこそ「今回もやってくれるんじゃないか?」と、大活躍を期待したい。



・山本 賢太郎



 山本 賢太郎がトーナメントシーンで活躍し始めたのは決して最近のことではない。

 少なくとも10年前にはプロツアーへと出場しているうえに、7年前のTwo-Head Giantで行われた「プロツアーサンディエゴ2007」では盟友・高橋 優太とともに惜しくも準優勝しているのだ。

 一度掴みかけた世界最強のタイトル。

 その後も幾度かのグランプリTop8やプロツアー出場を果たしたものの、その度に掴みそこねたタイトルは山本の手からすり抜けていってしまった。

 それでも山本は挑戦し続け、出場者インタビューの中で語っていたようにMagic Onlineにおいて研鑽を積んだ。


山本「”経験で言うならば、ここ2年間で費やした膨大なマジック・オンラインのプレイ時間です。ひとりのPTQプレイヤーだった自分が、この世界選手権に出られるようになった理由は、間違いなくマジック・オンラインのおかげです。”」



 そして、昨シーズンのプロツアー『テーロス』。山本は再びチャンスを手にすることになる。

 伊藤 光英と行弘 賢からアイデアを託された「黒信心」を手に、山本は再びTop8の舞台に再び登り詰めたのだ。


準々決勝:Sam Black(アメリカ) vs. 山本 賢太郎(日本)
http://coverage.mtg-jp.com/ptths13/article/006549/


 しかし、強豪のSam Blackを相手に善戦するものの、当時は《群れネズミ》が少なく、未完成だった「黒信心」はBlackの「青信心」の前に敗れ去ってしまったのだった。

 またも最強のタイトルは山本から遠ざかってしまった。

 それでも、その後のシーズンを苦戦しつつもポイントを積み重ね、ついに「世界選手権2014」の出場権利を勝ち取ったのだ。

 プロツアー『マジック2015』の決勝戦が終わるまで出場権利は確定せず(優勝者がIvan Flochだったため、ポイントレースによる権利が繰り下がったのだ)、固唾を呑んで朗報を待ち、無事に繰り下がったことを聞いてホッとしたことは今でも覚えている。

 そして今。

 「世界選手権2014」を目前に、山本は幾度目かの世界の頂点への挑戦権を手に入れた。

 今度の対戦相手は世界から選りすぐりの強豪24人だ。


山本「”本音を言うならば誰とも対戦したくないですよ。皆、実績も実力も格上ばかりなので。”」


 まさしく本音に違いないのだろう。

 それでも山本は7年前においてきた夢を追い続ける挑戦者だ。


山本「”ただ、チャンスはあると思っています。そのための練習もしていますから。”」


 今度こそしっかりと握りしめるために。

 山本 賢太郎はまた世界最強の座へと挑む。
 


・渡辺 雄也



 これまでの二人が挑戦者ならば、2012年に一度世界王者に輝いている渡辺 雄也は、その挑戦を迎え撃つ王者側のプレイヤーだろう。

 予選ラウンドを11勝1敗という驚異的なスコアで駆け抜けた八十岡 翔太を退けた決勝戦は今でも語り継がれる名勝負だ。


Finals:Crushing Cascades Yuuya Watanabe (Jund) vs.Shouta Yasooka (U/R/G Control)……(英語)
http://archive.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/tpc12/finals


 昨シーズンの渡辺は苦戦につぐ苦戦を強いられていたが、最終的には自身7度目のグランプリ優勝によってプロポイントをブーストし、国別代表の座と「世界選手権2014」の出場権を無事に手にした。

 そして、昨シーズンの活躍は様々なメディアで取沙汰された。

 一つでは、形式が変更されてから参加する難度が増した「世界選手権」に3年連続で出場する数少ないプレイヤーであると。

 また一つでは、3年連続の国別代表を獲得したことは素晴らしいと。

 更なる一つでは、これで史上最強に並んだと。


 この史上最強とは20年ほど前に連勝につぐ連勝でトーナメントシーンを圧倒したKai Buddeのことである。
 
 昨シーズンの「グランプリ北京」を優勝したことでKai Buddeのグランプリ優勝記録である7勝に並んだというのだ。


渡辺「”グランプリ7勝目をして、カイ・ブッティの記録に並んだこと。
どこかでもう1回グランプリを勝って、自分だけの記録にしたいです。”」
 

 この記録は渡辺自身も意識しており、出場者インタビューでも昨年の総括とともに抱負を語っている。

 自分だけの記録にしたい。

 それが王者の原動力なのだろう。

 世界選手権優勝、最優秀新人賞、最優秀プレイヤー賞、グランプリ優勝。

 彼の華々しい成績を前にすると、ふと何を目標にしているんだろうと素朴な疑問を持ってしまうことがある。

 ただ、彼もまた挑戦者なのだ。

 目の前の勝利をひたすらに積み重ねて”自分だけの記録”を作っていくことは、王者としての終わることのない挑戦である。

 
 3度目の舞台。幾度も見えたライバル。一度手にしたトロフィー。

 彼にとってはありふれた光景かもしれない「世界選手権」はまた幕を開ける。

 しかし、王者として、そして挑戦者として。

 何より2014年の「世界王者」を自分の記録に刻むため、渡辺 雄也は全力をもってすべてのライバルを退けるだろう。




◆世界で一番マジックは強い国はどこだ?! 国別対抗戦「ワールド・マジック・カップ2014」!

 各国のプロポイントレース最上位者と国内予選通過者3人の計4人を一つの国代表のチームとし、各国の代表チームが2つのフォーマットで「世界最強の国」の座をかけて競うチーム戦が「ワールド・マジック・カップ2014」だ。



 今回の日本代表は以下の4名。

 渡辺 雄也(プロポイントレース日本最上位)
 アリャビマ・アウリア・ラーマン東京予選優勝者)
 金川 俊哉大阪予選優勝者)
 清永 翔(名古屋予選優勝者)



左から、金川 俊哉、渡辺 雄也、清永 翔、アリャビマ・アウリア・ラーマン



特集:ワールド・マジック・カップ2014 日本代表
http://mtg-jp.com/reading/special/0011550/

ワールド・マジック・カップ2014 日本代表チームプロフィール
http://mtg-jp.com/reading/special/0011536/



 「ワールド・マジック・カップ2014」は、やや複雑なトーナメント形式で進行する。




1. まずは初日に7回戦を行い、その成績上位チーム32チームが2日目に進出する。

2. 二日目に進出した32チームは、2日目開始時に4チームずつの8ブロックへと割り振られ、それらのブロックごとで総当りの3回戦を行う。

 その3回戦の結果、ブロックごとの上位2チームが次のラウンドへと進出する。

3. この時点で16チームまで絞られ、次に16チームを4チームごとの4ブロックへと割り振る。

 これが予選の最終ブロックとなり、再び総当りの3回戦を行い、ブロックごとの上位2チームが3日目のプレーオフへと進出する。


4. 決勝トーナメントとなる3日目は、これまでに勝ち残った8チームによるシングルエリミネーションで行われる。

 そして最終的に勝ち残った1チームこそが栄えある「ワールド・マジック・カップ2014」の優勝国だ。


 それでは、各国の代表が競うフォーマットの紹介に移ろう。



●2つのチームフォーマット


・『タルキール覇王譚』チームシールド戦(初日 3回戦、二日目 3回戦)

 個人戦のシールド戦ではブースターパック6パックを使用してデッキ構築をするが、チームシールド戦では使用するブースターパックがなんと倍の12パック。

 カードの枚数は2倍、カードの性能も約2倍だが、その巨大なカードプールからデッキを構築することは個人戦の数倍もの難易度になる。

 それもそのはず、その12パックから3人分のデッキを構築しなければならないのだ。


龍語りのサルカン


 個人戦ならば喜んでデッキに投入する《龍語りのサルカン》のような強力なボムカードも、チームシールド戦では「誰のデッキに入れるか」を悩まなければならない。

 また、3人のうち2勝しないと勝ち点は入らないため、それぞれが使用するデッキの強さが偏ることはリスキーな選択でもあるのだ。

 その複雑な構築のなかで一つだけ確かに言えるのは、カードプールの良質なカードを使い切ることが最良の選択肢の一つだということだ。

 それらの良質なカードををより良いデッキに配分し、最終的に3つの良いデッキを構築することがベストな戦略だろう。
 

クイックインタビュー:チーム・シールドと個人戦シールドの最大の違いは?
http://coverage.mtg-jp.com/wmc13/article/023252/

 
 このようにただでさえ複雑なチームシールド戦が、今年は更に難しいのではないかと噂されている。

 それは『タルキール覇王譚』という多色かつ難易度の高いエキスパンションで行われるからである。

 個人戦ですらトッププレイヤーが構築ミスを起こしてしまう環境なので、それがチームシールド戦ともなれば構築制限時間以内に最善の選択を下すことが難しいことは簡単に想定できる。

 
 果たして日本チームは最難関のフォーマットにどう立ち向かうのだろうか?



・チームスタンダード(初日 4回戦、二日目 3回戦、三日目 シングルエリミネーション)

 通常ならば一人で同名のカードを4枚までしか使えないという構築制限が、3人にまで拡大されたチームフォーマットである。

 つまり、自分が《包囲サイ》を4枚使用したならば、チームメイトは《包囲サイ》を1枚も使うことができないということだ。

 その他のルールは個人戦とほぼ同様で、デッキ構築の不自由がチーム戦ならではの難しさだろう。

 
 その難しさとは、チーム戦ならではの構築制限が奇妙なメタゲームを生み出すことにある。

 例えば自分の使用するデッキが《包囲サイ》を4枚採用したデッキに弱かったとしよう。


包囲サイ


 個人戦ならばメタゲーム次第ではボロボロに負けてしまうようなデッキかも知れないが、チーム戦ではそうはならない可能性が高い。

 それは相手チームには一人しか《包囲サイ》を4枚使うことができるプレイヤーはいないからだ。

 このことから弱点との遭遇率が33%でキャップされることはチーム戦ならではの現象だといえる。

 この弱点をカードではなくデッキタイプ(「赤単」など)に限定すると相手チームの構成によっては、こちらに不利がない有利なマッチアップも狙うこともできる。


 また、チーム戦ではチームメイトにプレーの相談をすることができるため、中央に着席するプレイヤーはより早く両脇の相談役となれるよう早いデッキタイプを選択する傾向があるなど、着席やチーム戦の構造ならではの技術を前提としたメタゲームが発生する。

 デッキ同士に有利不利の相性がある以上は、着席順、デッキ選択は成績を左右する大きな要素だといえる。

 チームスタンダードのラウンドでは、それぞれのチームのどこに座っているプレイヤーがなんでそのデッキを使っているのか、を考えながら観戦してみると面白いだろう。

 昨年の優勝チームであるフランスは、個人戦では見かけることが少なかった「緑単《捕食者のウーズ/Predator Ooze(DKA)》」をリーダーのRaphael Levyが使用し、優勝への原動力として大活躍していた。

 このようなチーム戦だからこそ見かけるアーキタイプもチーム構築の醍醐味だ。


 はたして日本チームはどのようなデッキを選択するのだろうか? 今から彼らのゲームが待ち遠しい。



◆がんばれニッポン!

 以上が「Worlds Week 2014」の見どころ紹介だ。

 再びの掲載となるが、これが「Worlds Week 2014」の日程と放送予定表である。


●Worlds Week 2014日程・ニコニコ生放送予定

放送日 放送時間 日程 放送ページ
12/2 (火)17:00 ~ 翌4:00世界選手権1日目こちら
12/3 (水)17:00 ~ 翌4:00世界選手権2日目こちら
12/4 (木)中日休憩
12/5 (金)18:00 ~ 翌4:00ワールド・マジック・カップ1日目こちら
12/6 ()18:00 ~ 翌4:00ワールド・マジック・カップ2日目こちら
12/7 ()17:00 ~ 翌4:00決勝ラウンドこちら


・マジック世界一を決める1週間!「ワールド・ウィーク」をニコ生で観戦しよう!
http://mtg-jp.com/reading/special/0011510/

・「世界選手権2014」イベントカバレージ
http://coverage.mtg-jp.com/mtgwc14/

・「ワールド・マジック・カップ」イベントカバレージ
http://coverage.mtg-jp.com/wmc14/




 どの日も夕方からの放送となるため観戦しやすいのではないかと思う。

 もちろん、最後まで観戦すると午前4時なので一週間にわたってすべてのゲーム追いかけることは難しいかもしれないが、世界選手権という最高峰のトーナメントであることからもきっとどれもが最高に面白いゲームになるだろう。ついつい夜更かししてしまうかも知れない。

 しかし、このお祭りは一週間も続くのだ。くれぐれも体調に気をつけて楽しんでほしい。


 日本代表の6人の活躍を祈って!僕もいちファンとして大きな声援を彼らに送りたいと思う。

 それでは、最高の一週間を思う存分楽しもう!


※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『MAGIC: THE GATHERING』
http://magic.wizards.com/en
『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』
http://mtg-jp.com/