PT『マジック2015』がもっと楽しくなる3つの観戦ガイド Part3

高橋 純也



 Part2は【こちら】



■ 3.プロプレイヤー応援ガイド

 これまではプロツアー『マジック2015』の舞台となるリミテッドと構築の環境の事前知識について語ってきたが、注目すべきプロツアーの醍醐味はゲームや戦略だけではない。

 いったい「誰が」その舞台で戦うのか。

 そう、プレイヤーという個々人に注目してもプロツアーは楽しめるのだ。

 今回のプロツアー『マジック2015』は2013~2014のプロシーズンを締めくくるトーナメントで、これまでのプロツアーやグランプリで得てきたプロポイントのレースのクライマックスでもある。

 参加者一人一人にプロツアー『マジック2015』への思い入れはあるのだろうが、ここではシーズン最後のプロイベントという視点に絞って彼らのドラマを紹介しよう。


一.世界最強の座は誰に?熾烈なPOYレース


 これが現在のプロポイントレースの状況である。


 トップ集団を大きく引き離して争っている二人こそが今シーズンのPOY(Player of the year:年間最優秀賞)候補であるReid Duke(アメリカ)Jeremy Dezani(フランス)だ。





 3位以下が53ポイント以下であるにもかかわらず現時点で70ポイントを超えている二人は、プロツアーの優勝者に30ポイント入ることを加味しても、POY候補筆頭だといって差し支えないだろう。そんな二人のポイント差は1ポイントという僅差ながらもJeremy Dezaniが上回っており、Reid Dukeが逆転するためには最低でも75位以内の入賞が必要だ(参考:プロポイントについて)。

 昨年の『世界選手権2013』で準優勝という好スタートを切ったReid Dukeと、今シーズンの最初のプロツアー『テーロス』を優勝してポイントレースを開始したJeremy Dezani。

 今シーズンは最初から最後まで彼らの争いだった。

 果たして誰がPOYに輝くのだろうか。

 Reid DukeかJeremy Dezaniか。それとも3位以下に控える強豪のいずれかなのか。

 彼らの白熱したポイントレースから目が離せない。



二.日本代表をめぐる戦い!


 シーズンのプロポイントによって決まるものはPOYだけではない。そのシーズンを終えたプロポイントによって『WMC(World Magic Cup)2014』や『世界選手権2014』の国別代表の座が与えられるのだ。

 『WMC2014』には国内プロポイントランキング上位1名が招待され、『世界選手権2014』には国内プロポイントランキング上位2名が招待される運びとなっている。そして現在の日本人のポイントレースはというと、以下のようになっている。





 今シーズンの後半戦で息を吹き返した渡辺 雄也が49ポイントで1位、2位はプロツアー『テーロス』での上位入賞で躍進した山本 賢太郎(ちなみに彼は『Hareruya Pros』に加入したばかりだ)が42ポイントで追いかけている。





 彼らの差は7ポイントと大きく広がってはいるが、プロツアーでは何が起こるかわからない。優勝者には30ポイント、トップ8には20ポイントと、プレーオフにさえ進出してしまえば些細な差など吹っ飛ばしてしまうほどのポイントが手に入るのだ。

 そのため、現状23ポイントしかもたない齋藤 友晴にすら一発逆転のチャンスが残されている。

 今年の日の丸を背負うのは誰だ?!



三.それぞれの目標!プロプレイヤーズクラブの条件をクリアせよ!


 シーズンごとのプロポイントから与えられる恩恵として最後に紹介するのが「プロプレイヤーズクラブ」(参考ページ)という上位褒賞だ。

 「プロプレイヤーズクラブ」に参加しているプロプレイヤーは、プロイベントに参加するたびに参加報酬が与えられる。その額は『プロツアー』1回あたりゴールドレベルで$500、プラチナレベルで$3000と大きな隔たりがあるが、それもそのはず。ゴールドレベルには35ポイントで到達できるが、プラチナレベルには45ポイントと、さらに10点上乗せする必要があるのだ。

 現状でプラチナレベルの条件を満たしているプレイヤーは世界に21人しかいない。

 日本人では渡辺 雄也山本 賢太郎(山本は現在42ポイントしかないが、プロツアーに参加するだけで最低ポイントの3点が上乗せされるため45点に到達する)の2人だ。



 そして、その2人に続いてプラチナレベルを目標に今回のプロツアーに挑むのが中村 修平と三原 槙仁だ。それぞれ38ポイントと34ポイントを現時点で持っているため、中村は25位以上、三原は16位以上でプラチナレベルに到達できる。






 どちらも300人以上のトーナメントで上位9%以内を目指さねばならず、これは非常に苦しい条件だといえるが、彼らがこれまでのプロ活動の中で見せてきたパフォーマンスを鑑みるに決して絶望的な条件ではない。



 また、中村と三原がプラチナレベルに挑むなか、八十岡 翔太、市川 ユウキ、行弘 賢、齋藤 友晴はゴールドレベルへの挑戦となる。




 各人のクリア条件は、八十岡と市川が100位以上、行弘が25位以上、齋藤は16位以上となっている。

 八十岡と市川の条件は他の面々と比べると緩く思えるが、プロプレイヤーが300人以上もいる中での100位以内はいくら強豪の彼らといえども油断はできないだろう。



 このように彼らはそれぞれ簡単ではない目標を抱えている。

 プロプレイヤーズクラブのレベルはプロとしての活動の存続に大きくかかわる要素だ。

 そのため、彼らにとって今回のプロツアーとは、自身のプロ活動が天秤に掛けられたトーナメントなのかもしれない。

 どうか一世一代の大勝負に挑む彼らに暖かい声援を送ってほしい。

 それでは良いプロツアー観戦を!


※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『Magic Players Championship event coverage』
http://archive.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/tpc12/welcome
『Pro Tour Avacyn Restored event coverage』
http://archive.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/ptavr12/welcome
『2013 World Championship event coverage』
http://archive.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/wc13/welcome
『Pro Tour Theros event coverage』
http://archive.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/ptths13/welcome
『Grand Prix Atlanta event coverage』
http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpatl14