情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【プロツアー『マジック・オリジン』】
もし生放送を視聴していない・あるいはこれからタイムシフト視聴をするという方は、ぜひ【プロツアー観戦ガイド】を読んでみてほしい。
【八十岡 翔太選手ほか2名がプロツアー殿堂入り】
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八十岡 翔太選手、ウィリー・エデル/Willy Edel選手(ブラジル)、エリック・フローリッヒ/Eric Froehlich選手(アメリカ)の3選手が、2015年度プロツアー殿堂に選出された。
プロツアー殿堂とは、
・生涯獲得プロツアー・ポイントが150点以上であること。
・初めてプロツアーないし世界選手権に出場してから10年間が経っていること。
・現在DCIから出場停止処分を受けていないこと。
・初めてプロツアーないし世界選手権に出場してから10年間が経っていること。
・現在DCIから出場停止処分を受けていないこと。
上記3つの条件を満たすプレイヤーの中から、
(8月5日編注:記事内に誤りがありました。プロツアー関係者および上位のプロプレイヤーによるコミュニティ「選考委員会」の投票で選出されます。)
殿堂入りしたプレイヤーは生涯全てのプロツアーへの参加資格などを得る。
また、今年度の殿堂入りプレイヤー投票では【コミュニティ投票】という制度が導入されたことで話題を呼んだ。
日本の殿堂入りプレイヤーにはHareruya Pros所属の津村 健志選手やChannel Fireball所属の中村 修平選手などがおり、八十岡 翔太選手は日本で6人目の殿堂入りプレイヤーとなる。
【プロツアー『タルキール龍紀伝』】で《氷瀑の執政》や《龍王シルムガル》を採用した【独創的な青黒コントロール】を使用し、準優勝という好成績を残したことが記憶に新しい八十岡 翔太選手だが、今回の殿堂入りもあり今後更なる活躍に期待が高まる。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. ケラル砦の修道院長
今回のプロツアーで見事優賞を収めたのはヨエル・ラーション/Joel Larsson選手(スウェーデン)の駆る【赤単】だった。
21 《山》 -土地(21)- 4 《稲妻の狂戦士》 4 《僧院の速槍》 3 《火飲みのサテュロス》 3 《鐘突きのズルゴ》 4 《ケラル砦の修道院長》 -クリーチャー(18)- |
4 《乱撃斬》 1 《焦熱の衝動》 4 《稲妻の一撃》 4 《灼熱の血》 4 《極上の炎技》 4 《かき立てる炎》 -呪文(21)- |
4 《大歓楽の幻霊》 3 《サテュロスの火踊り》 4 《焙り焼き》 2 《弧状の稲妻》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
上のリストの中でも一際目立つのは4枚積まれた『マジック・オリジン』の新戦力、《ケラル砦の修道院長》だ。
下馬評では「2ターン目にプレイすると旨みを十分に発揮できないウィニークリーチャーはいかがなものか」とその性能には懐疑的な声が多かったが、蓋を開けてみれば「ただ強」なクリーチャーだった。
単体でも2マナ2/1に加えて「果敢」持ちと十分なステータスで、軽量カードを多く擁する【赤単】では、その《紅蓮の達人チャンドラ》の「±0」能力と同様の誘発型能力も効果的に働く場面が多い。
クロックとして優秀かつカードアドバンテージを得られる可能性もある《ケラル砦の修道院長》は今後も【赤単】や、赤が絡むアグロ系のデッキでは必須カードとなっていくことだろう。
2. 天啓の神殿
今回の【プロツアー『マジック・オリジン』】で最も多くのプレイヤーが選択したデッキは【緑信心】だったが、最も多くのプレイヤーを2日目へと送り込んだデッキは【魂込めビートダウン】だった。
ご存知《天啓の神殿》は『ニクスへの旅』初出の2色土地で、ETB能力で占術1を行う。
青赤で組まれる【魂込めビートダウン】では当然この土地も4枚採用されている。
6 《島》 1 《山》 4 《シヴの浅瀬》 4 《天啓の神殿》 1 《マナの合流点》 4 《ダークスティールの城塞》 1 《領事の鋳造所》 -土地(21)- 4 《鋳造所の隊長》 4 《搭載歩行機械》 4 《羽ばたき飛行機械》 4 《ファイレクシアの破棄者》 4 《つむじ風のならず者》 -クリーチャー(20)- |
3 《頑固な否認》 1 《巻き添え被害》 4 《爆片破》 4 《アーティファクトの魂込め》 4 《幽霊火の刃》 3 《バネ葉の太鼓》 -呪文(19)- |
3 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《引き裂く流弾》 4 《焙り焼き》 3 《大地の断裂》 3 《飛行機械の諜報網》 -サイドボード(15)- |
長らくローグデッキとして細々と活躍していたアーキタイプだったが、『マジック・オリジン』で強力なアーティファクト・クリーチャーやシナジーを持ったカードを得て、一気にメタゲーム上位へと羽ばたいた。
流行に敏感なプレイヤーが多いMO(Magic Online)では早速多くのプレイヤーがこのデッキを組もうと動き出しているようで、《天啓の神殿》は入手困難になりつつあるようだ。
対策されると脆いが、メタゲーム上では有利な立ち位置に存在しているこの【魂込めビートダウン】は、ローテーションを迎えるその日まで恐らく一線で活躍することだろう。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』
http://mtg-jp.com/
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