情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【『デュエルデッキ:ゼンディカーvsエルドラージ』収録カードリスト公開】
8月28日に発売される『デュエルデッキ:ゼンディカーvsエルドラージ』の収録カードリストが米公式サイトにて公開された。
本セットでは10月2日発売の『戦乱のゼンディカー』から6枚のカードが先行収録されるようだ。
カードが無色であることを定義する能力語の「Devoid」や、プレイヤーに戦闘ダメージを与えるたびに対戦相手のライブラリーを追放する「Ingest」といった新たなキーワードも垣間見える。
また「上陸」や「同盟者」など、我々にも聞き馴染みのあるキーワード能力/種族が再録されるようだ。
その他にも《原初の命令》や《弱者の消耗》が新規アートで収録されるとのことだ。詳しくは【米公式サイトのエントリ】を参照されたし。
【ケーキ屋にエムラクールのバルーンアート】
アメリカの大手スーパーマーケットチェーン、【Kroger】内のケーキ売り場に、突如として巨大な《引き裂かれし永劫、エムラクール》のバルーンアートが現れた。
ケーキ屋さんに突如登場したエムラクール。 http://t.co/DyrKQQtoKu pic.twitter.com/HAq1bLM8cs
— リュウビンタイの置き場所に悩むアムざん (@GhostArms) 2015, 8月 17
この衝撃的な画がアメリカのみならず日本国内にも広まり、大きな話題を呼んでいる。
【作者の”DJdrummer”氏】は他にも多くのバルーンアート制作を手掛けているようで、過去には《解放された者、カーン》なども制作している。今回の制作は【Kroger】からの依頼だったようだが、その他の詳細については不明である。
なぜケーキ屋に《引き裂かれし永劫、エムラクール》なのかは誰にも分からないが、凄まじいクオリティなのは間違いない。氏の次回作(もしあれば)にも期待が高まる。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 搭載歩行機械
【vol.4】でも触れた《搭載歩行機械》だが、先週末開催された【GPロンドン】(スタンダード)ではトップ8のリストの中で合計20枚使用されるという驚異的なパフォーマンスを見せた。
下記にあるリストが今回の【GPロンドン】を制したデッキリストである。
3 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《疾病の神殿》 3 《コイロスの洞窟》 3 《ラノワールの荒原》 1 《マナの合流点》 1 《静寂の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 4 《搭載歩行機械》 1 《始まりの木の管理人》 4 《棲み家の防御者》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4 《包囲サイ》 -クリーチャー(21)- |
4 《ドロモカの命令》 2 《究極の価格》 4 《アブザンの魔除け》 1 《英雄の破滅》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 1 《英雄の導師、アジャニ》 -呪文(13)- |
4 《思考囲い》 2 《自傷疵》 2 《悲劇的な傲慢》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 1 《アラシンの僧侶》 1 《黄金牙、タシグル》 1 《異端の輝き》 1 《正義のうねり》 1 《究極の価格》 -サイドボード(15)- |
《搭載歩行機械》と相性のいい《ドロモカの命令》や《先頭に立つもの、アナフェンザ》の組み合わせは多くのリストで採用されており、今後はこれらを採用した【白黒緑ビートダウン】がスタンダードの一大勢力となりそうだ。
【モダンの黒単にも採用された】という《搭載歩行機械》、その実力にもはや疑いの余地はない。
一部で「ポスト《ゴブリンの熟練扇動者》」などと呼ばれている《搭載歩行機械》だが、無色であり色を選ばず採用できるこのクリーチャーならば、全盛期の《ゴブリンの熟練扇動者》を凌ぐ活躍を見せてくれることだろう。
2. 悲劇的な傲慢
【GPロンドン】トップ8のうちの7つは白いデッキだった。そして、それらの白いデッキすべてのサイドボードに仕込まれていた必殺スペルがある。
テキストは現代版《大変動》といったカードだが、戦場に残すパーマネントは《悲劇的な傲慢》のコントローラーが選択することができ、優位な盤面を築きやすい。
呪禁や破壊不能もこのカードの前には無力で、「怪物化」した《羊毛鬣のライオン》も《悲劇的な傲慢》があれば容易に対処することができる。
実際【GPロンドン】の準決勝、Matteo Moure対Erik Skinstadの試合ではErikの率いる《太陽の勇者、エルズペス》と兵士トークンたち、《羊毛鬣のライオン》の群れに対しMatteo Moureは《包囲サイ》しかクリーチャーをコントロールしていないという危機的状況から、《悲劇的な傲慢》によって大逆転を収めている。
あくまでフェアな勝ち筋しか持たないアグロデッキにとって、こういった一発逆転の大技のようなカードは選択肢自体決して多くない。今後【赤単】や【魂込めビートダウン】のような5マナソーサリーでは間に合わないデッキが減れば、メインボードに採用されることも大いにあり得るだろう。
3. 嵐の息吹のドラゴン
さて、そこまで白いデッキが隆盛しているのであれば、白いカードに強いクリーチャーの評価も相対的に上がるだろう。
《嵐の息吹のドラゴン》はまさに現環境における理想的な1枚で、【GPロンドン】ではBrad NelsonやMartin Juzaといった強豪プレイヤーも使用していた。
特にMartin Juzaはこれを4枚採用した【赤緑ビートダウン】を操り、トップ8唯一の非白デッキとして結果を残している。
《究極の価格》や《英雄の破滅》といった除去には引っかかってしまうものの、速攻を持ち素早くライフを詰められる《嵐の息吹のドラゴン》は、アブザンに対するキラーカードとして機能するだろう。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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