皆さんこんにちは。
新セットのテーロスがリリースされて1週間が経ちますが皆さんの好きなカードは見つかりましたか?
残念なことにSCGOレガシーが2週間連続でお休みでした。そこで、今回は番外編として日本国内で開催された大規模なレガシーのイベントであるEternal Festival Tokyo 2013の入賞デッキの解説と、おまけとしてテーロスのレガシー視点での新カードのレビューをしていきたいと思います。
Eternal Festival Tokyo 2013 トップ8 デッキアーキタイプ
2013年9月15日
1位 Sneak and Show/スニーク・ショー
2位 UWR Miracle/白青奇跡
3位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
4位 Elves/エルフ
5位 Sneak and Show/スニーク・ショー
6位 Omni-tell/スニーク・ショー
7位 Grixis Delver/青黒赤ジャンク
8位 UW Control/ソプターコントロール
参加者316名と大盛況だったEternal Festival Tokyo 2013を制したのはSneak and Showでした。歴代のパワーカードが飛び交うレガシーというフォーマットにおいても《実物提示教育》のカードパワーは頭一つ抜けている印象です。
Eternal Festival Tokyo 2013 デッキ解説
「Sneak and Show」「RUG Delver」「Grixis Delver」「UW Control」
2 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(19)- 2 《猿人の指導霊》 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(10)- |
2 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 4 《実物提示教育》 1 《直観》 4 《Force of Will》 1 《誤った指図》 4 《騙し討ち》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(31)- |
3 《血染めの月》 2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 2 《残響する真実》 2 《裂け目の突破》 2 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《大祖始》 1 《拭い捨て》 -サイドボード(15)- |
3 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 2 《汚染された三角州》 2 《霧深い雨林》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(20)- 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 4 《実物提示教育》 1 《定業》 1 《直観》 4 《Force of Will》 4 《騙し討ち》 2 《全知》 4 《水蓮の花びら》 1 《師範の占い独楽》 -呪文(32)- |
4 《神聖の力線》 3 《防御の光網》 2 《残響する真実》 2 《紅蓮地獄》 2 《裂け目の突破》 2 《血染めの月》 -サイドボード(15)- |
今大会優勝者の清水さんのリストは《猿人の指導霊》を採用することでコンボスピードを加速させています。追加のキャントリップに《ギタクシア派の調査》を採用しており、ドローを進めつつ安全確認も可能です。コンボデッキを意識していたようで《呪文貫き》をメインに3枚採用しています。他には、サイドに採用されている《大修道士、エリシュ・ノーン》は面白いアプローチです。部族デッキやDeath and Taxes等クリーチャーを多用したデッキに対して効きそうです。Dredge相手にもゾンビトークンを一掃することができるので有効な選択だと思います。
対して、堀江さんのリストは《全知》とのハイブリットになっています。カバレージによれば《全知》で5回勝利していたようです。《水蓮の花びら》を採用しているのでOmni-tellよりもコンボスピードが速く、手札によっては1ターン目に《実物提示教育》経由で《全知》を出して《グリセルブランド》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》でゲームを決めることも可能です。 両者共に《血染めの月》をサイドに採っています。Shardless BUG, RUG Delver, Deathblade, Jund等の特殊地形に頼ったデッキに対して刺さります。
3 《Tropical Island》 3 《Volcanic Island》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《もみ消し》 4 《稲妻》 2 《呪文貫き》 2 《呪文嵌め》 1 《死亡+退場》 4 《目くらまし》 1 《四肢切断》 4 《Force of Will》 -呪文(30)- |
3 《水没》 2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 2 《発展の代価》 2 《乱暴+転落》 1 《硫黄の精霊》 1 《古えの遺恨》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
SCGOでも常にコンスタントに入賞し続けているRUG Delver。その強さは日本の大会でも変わらないようです。今回入賞した市川さんのリストの特徴は、メインの《Dead+Gone》とサイドの《発展の代価》です。《Dead+Gone》はSCGOで入賞しているリストでは見かけないカードですが、相手の《タルモゴイフ》をバウンスしたりする他にも 《秘密を掘り下げる者》、《死儀礼のシャーマン》、《若き紅蓮術士》、《石鍛冶の神秘家》等を除去できます。《発展の代価》はこちらもダメージを受けますが、このデッキはあまり土地を並べるデッキではないのでそれ程気にはならないと思います。主にShardless BUG等に対してサイドインされるカードですね。《悪意の大梟》や《タルモゴイフ》で守りを固められてもライフを削りきることが容易になります。
3 《Underground Sea》 3 《Volcanic Island》 1 《Bayou》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《死儀礼のシャーマン》 3 《若き紅蓮術士》 1 《墓忍び》 -クリーチャー(12)- |
3 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 3 《もみ消し》 3 《思案》 3 《陰謀団式療法》 1 《呪文貫き》 1 《定業》 1 《二股の稲妻》 3 《目くらまし》 3 《Force of Will》 -呪文(29)- |
2 《イゼットの静電術師》 2 《呪文貫き》 2 《赤霊破》 2 《水没》 1 《外科的摘出》 1 《古えの遺恨》 1 《突然の衰微》 1 《非業の死》 1 《絶望の荒野》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
SCGO Cincinnatiでも優勝していたGrixis Delverとよく似たリストです。富沢さんのリストは、《闇の腹心》と《渋面の溶岩使い》の代わりに《死儀礼のシャーマン》と《墓忍び》が採用されています。《死儀礼のシャーマン》は軽いスペルを多用するこのデッキと相性が良く、使用済みのスペルを2点火力に変換することができます。このデッキにとって厄介な《敏捷なマングース》や《タルモゴイフ》のサイズダウンをさせることも可能です。《墓忍び》は《突然の衰微》で除去されず《稲妻》1枚で落ちないので、環境的に優秀なフィニッシャーになり得ます。メインに採用されている《陰謀団式療法》は《若き紅蓮術士》とも相性が良く、特にコンボデッキ相手に活躍が期待できます。
サイドの《イゼットの静電術師》はレガシーではあまり見かけないカードですが、《巣穴からの総出》や《未練ある魂》から出たトークンを一掃したりする他にも、このデッキにとっては厄介な《スレイベンの守護者、サリア》対策になりますし、さらにレガシーには《闇の腹心》、《渋面の溶岩使い》、《ゴブリンの従僕》、《遺産のドルイド》等、速やかな処理が求められるタフネス1のクリーチャーが数多く存在します。他には《水没》や《突然の衰微》、《非業の死》等、このデッキにとってやや処理し難い《タルモゴイフ》対策にサイドボードの多くが当てられています。サイドのカードで一番印象に残ったのは《絶望の荒野》で、《硫黄の渦》ではなくあえてこちらが優先されているのも興味深い所です。バーンデッキでもあるこのデッキにとっては《殴打頭蓋》や《梅澤の十手》、《死儀礼のシャーマン》のライフゲイン能力は厄介なので良チョイスです。
6 《島》 2 《平地》 2 《Tundra》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《沸騰する小湖》 3 《乾燥台地》 -土地(20)- 4 《戦隊の鷹》 2 《石鍛冶の神秘家》 -クリーチャー(6)- |
4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 2 《思案》 2 《至高の評決》 4 《Force of Will》 3 《相殺》 3 《忘却の輪》 4 《師範の占い独楽》 3 《飛行機械の鋳造所》 1 《弱者の剣》 1 《殴打頭蓋》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- |
2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《否認》 2 《仕組まれた爆薬》 2 《大祖始の遺産》 2 《遍歴の騎士、エルズペス》 1 《悪斬の天使》 1 《失脚》 1 《至高の評決》 1 《相殺》 1 《忘却の輪》 -サイドボード(15)- |
SCGOで良く目にするレガシーの青白コントロールは奇跡スペルを搭載したUW Miracleですが、松本さんのリストは《飛行機械の鋳造所》パッケージと《石鍛冶の神秘家》のハイブリッドです。青白の2色な為、特殊地形戦略を狙った《血染めの月》や《不毛の大地》に強いのが魅力です。コンボパーツの《弱者の剣》は装備品なので《石鍛冶の神秘家》でサーチすることができ、《飛行機械の鋳造所》コンボを封じられても《殴打頭蓋》をサーチすることで青白Stonebladeとして振る舞うことも可能です。
このリストの最大の特徴はメインに採用されている《戦隊の鷹》です。スタンダードで猛威を振るったCaw bladeでも《精神を刻む者、ジェイス》の+0能力との相性の良さから採用されていましたが、レガシーでは《渦まく知識》があるので、このデッキの《戦隊の鷹》はほぼ2マナの《Ancestral Recall》として見れます。Shardless BUGやJund等《Hymn to Tourach》を使ってくるデッキに対しても強いので、Shardless BUGがポピュラーなSCGOでも有効な戦略だと思います。また、Omni-tellや相手のPW対策に《忘却の輪》がメインに3枚と多目に採用されています。
サイドはコントロール同系に対して強い《ヴェンディリオン三人衆》と《遍歴の騎士、エルズペス》、追加の《忘却の輪》、《相殺》と《至高の評決》、コンボデッキ相手の追加のカウンターとなる《否認》と、分かりやすくまとまっています。サイドに1枚だけ採用されている《悪斬の天使》は、RUG Delver等には勿論のこと、《突然の衰微》で落ちないのでJundやShardless BUGに対してもサイドインされそうです。
新セット テーロス レビュー(レガシー視点)
新セットテーロスにも少数ながらレガシーでも使われそうなカードが見られました。
・《白鳥の歌》
カウンター合戦では《払拭》のように使うことができ、Omni-tellやSneak and Showに対しては相手の《実物提示教育》や《騙し討ち》をカウンターする事ができるので、コンボデッキなどを相手に《狼狽の嵐》の代わりに使われそうなカードです。しかし相手に2/2飛行クリーチャーをプレゼントしてしまうので、RUG Delver等のデッキよりもOmni-tellやSneak and Show等のコンボデッキが、相手の妨害対策として採用しそうです。
・《灰燼の乗り手》
《絶望の天使》よりも1マナ重くなりましたが、採用するであろうデッキは主にReanimator等なので特に気にすることはないと思います。場に出た時だけでなく死亡した際にも能力が誘発する上に、『破壊』ではなく『追放』なので、『破壊されない』パーマネントに対しても有効です。《絶望の天使》に代わって採用されることが予想されます。
ボーナスデッキリスト
1 《森》 4 《Tropical Island》 4 《樹木茂る山麓》 3 《吹きさらしの荒野》 2 《ペンデルヘイヴン》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(18)- 4 《貴族の教主》 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《荒廃の工作員》 -クリーチャー(12)- |
3 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《呪文貫き》 4 《巨森の蔦》 2 《Berserk》 2 《古きクローサの力》 2 《輪作》 1 《思案》 4 《目くらまし》 4 《激励》 -呪文(30)- |
3 《Force of Will》 2 《外科的摘出》 2 《はらわた撃ち》 2 《クローサの掌握》 1 《ボジューカの沼》 1 《Karakas》 1 《フェアリーの忌み者》 1 《自然の要求》 1 《精神壊しの罠》 1 《墓掘りの檻》 -サイドボード(15)- |
レガシー版のInfect。モダンのInfectと似た構成ですが、レガシーでは強力なパンプスペルである 《Berserk》とピッチスペルである《激励》が使用可能です。《激励》のピッチコストで相手がライフを得てしまうのも、ダメージでの勝利を目指していないこのデッキにとっては気になりません。また、安価で組めるのも魅力です。
総括
300人以上の参加者を出したEternal Festival Tokyo 2013はSneak and Showの優勝で幕を閉じました。上位8名のうち3名が《実物提示教育》系のデッキで入賞している等、《実物提示教育》のカードパワーの高さがうかがえます。その他のデッキもSCGOの入賞デッキリストでは見られないアプローチがあり、各自の工夫が見られました。残念ながら今回はSCGOが休みだったため解説ができませんでしたが、今週末にはClevelandが、その翌週にはMilwaukeeがあります。Clevelandは筆者も参加予定ですので、良い結果が出せるよう頑張りたいと思います。
以上、Eternal Festival Tokyo 2013の解説とテーロスのレガシー視点でのカードレビューでした。
次回の記事ではSCGO ClevelandとSCGO Milwaukeeの解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!