皆さんこんにちは。
先週末はEternal Festival Tokyo 2013がありました。参加者300人以上と大盛況だったそうですが参加した皆さんの成績はいかがでしたか?
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open Series(SCGO) PhiladelphiaとSCGO Atlantaの解説をしていきたいと思います。
SCGO Philadelphia トップ8 デッキアーキタイプ
2013年9月8日
1位 Elves/エルフ
2位 Reanimate/リアニメイト
3位 Sneak and Show/スニーク・ショー
4位 Goblins/ゴブリン
5位 The Epic Storm/むかつきストーム
6位 Dark Maverick/マーベリック+黒
7位 Dredge/発掘
8位 WBR Deathblade/チームイタリア
部族とコンボが多いトップ8でした。コンボが特に多く、デッキの種類もElves, Reanimate、Sneak and Show, The Epic Storm, Dredgeと多彩です。そんな中優勝したのはアメリカのトッププレイヤーReid Dukeの操る部族コンボのElvesでした。
SCGO Philadelphia デッキ解説
「Elves」「Dredge」「Sneak and Show」
1 《森》 2 《Bayou》 1 《Savannah》 2 《ドライアドの東屋》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 1 《霧深い雨林》 1 《新緑の地下墓地》 4 《ガイアの揺籃の地》 -土地(20)- 4 《遺産のドルイド》 4 《クウィリーオン・レインジャー》 4 《イラクサの歩哨》 4 《ワイアウッドの共生虫》 4 《死儀礼のシャーマン》 2 《Fyndhorn Elves》 1 《ラノワールのエルフ》 4 《エルフの幻想家》 2 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(29)- |
4 《緑の太陽の頂点》 4 《垣間見る自然》 3 《自然の秩序》 -呪文(11)- |
4 《思考囲い》 3 《陰謀団式療法》 2 《突然の衰微》 2 《精神壊しの罠》 1 《自然の秩序》 1 《漁る軟泥》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《大祖始》 -サイドボード(15)- |
アメリカのトッププロであるReid Dukeが今回Elvesを使用し優勝しました。Elvesは何度か上位入賞はしていますが優勝は久々です。Reidのリストは《輪作》が採用されておらず代わりに《ガイアの揺籃の地》が4積みされています。レジェンドルールの変更により《ガイアの揺籃の地》でマナを出した後に2枚目の《ガイアの揺籃の地》を出してマナを大量に出す事が可能になり強化されました。
《ティタニアの僧侶》よりも1マナのElvesクリーチャーが優先的に採用されており、爆発力よりも安定性が重視されています。《緑の太陽の頂点》X=0でサーチ可能で擬似マナクリーチャーとして使用できる《ドライアドの東屋》も2枚採られています。《自然の秩序》のサーチ先はメインでは《孔蹄のビヒモス》のみです。従来のリストでは《孔蹄のビヒモス》と《威厳の魔力》が1枚ずつ採用されていましたが、《威厳の魔力》でなければならない場面は少ないですし、《孔蹄のビヒモス》の2枚目は相手の想定外な事も多く、場に出ればほぼ勝ちである事が優先的に採用されている理由だと思われます。
サイドボードはこのデッキにとって苦手なマッチアップの対策に当てられています。UW Miracle等が採用している、低マナ域のスペルが多いこのデッキにとって辛い《相殺》対策に《突然の衰微》、このデッキよりもコンボスピードの速いコンボデッキのANT対策に《思考囲い》、《陰謀団式療法》《精神壊しの罠》、墓地対策に《漁る軟泥》が採用されています。
-土地(0)- 4 《ゴルガリの凶漢》 4 《ナルコメーバ》 4 《冥界の影》 4 《よろめく殻》 4 《臭い草のインプ》 4 《イチョリッド》 4 《欄干のスパイ》 4 《ゴルガリの墓トロール》 4 《通りの悪霊》 1 《憎悪縛りの剥ぎ取り》 4 《変幻影魔》 4 《別館の大長》 -クリーチャー(45)- |
4 《ギタクシア派の調査》 3 《陰謀団式療法》 4 《黄泉からの橋》 4 《戦慄の復活》 -呪文(15)- |
4 《神聖の力線》 4 《精神壊しの罠》 4 《Contagion》 2 《不快な群れ》 1 《陰謀団式療法》 -サイドボード(15)- |
今回入賞したTheo Van Doosselaereは他のDredgeとは少し異なるアプローチをしています。最近上位で目にするDredgeは《ライオンの瞳のダイアモンド》を採用した爆発力重視型ですが、Theo Van Doosselaereのリストは土地を全く採用していないManaless Dredgeと呼ばれているバージョンです。
この型は《ライオンの瞳のダイアモンド》等のように能動的に発掘カードを墓地に送る手段が少ないので、ダイスロールで勝利した際は後手を取ることが基本戦略となります。そうすることで、マリガンをしなかった場合最初のターンに手札が8枚になるので発掘持ちのカードか《変幻影魔》をディスカードし、ドレッジをスタートすることができます。
このリストに採用されている《ギタクシア派の調査》はマナを支払うことなくデッキを掘り進めることが可能なカードで相手の手札を見る事で《陰謀団式療法》をより有効に使う事ができます。
このリストで一番の注目カードは《欄干のスパイ》です。土地を全く採用していないこのリストでは《欄干のスパイ》が場に出た能力によってデッキの全てのカードを墓地に落とす事ができます。まず《戦慄の復活》で《欄干のスパイ》を場に出してデッキを墓地に落とします。この時点で《ナルコメーバ》が手札に来ていなければカードの能力により場に4枚出ている筈です。同様に《黄泉からの橋》も4枚墓地に落ちるので場に出た《ナルコメーバ》をコストに《陰謀団式療法》をフラッシュバックして安全確認します。その後に《黄泉からの橋》から出たゾンビトークンをコストに《戦慄の復活》で《憎悪縛りの剥ぎ取り》を出し、その後3枚目の《戦慄の復活》をフラッシュバックして《ゴルガリの墓トロール》を釣って《憎悪縛りの剥ぎ取り》の能力で大ダメージを与えて勝利です。
3 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 3 《霧深い雨林》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(19)- 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《渦まく知識》 3 《呪文貫き》 4 《実物提示教育》 1 《直観》 4 《Force of Will》 1 《誤った指図》 4 《騙し討ち》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(33)- |
3 《血染めの月》 2 《墓掘りの檻》 2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 2 《残響する真実》 2 《紅蓮地獄》 2 《裂け目の突破》 -サイドボード(15)- |
StarCityGamesのサイトのライターでもあり、SCG Invitational等で何度も入賞しているアメリカのプロプレイヤーBrian Braun-Duin(BBD)は、今回Sneak and Showを使って入賞しています。BBDのリストは《目くらまし》が採用されていません。後手で弱く《騙し討ち》を素出しするのにマナを伸ばす必要があるので代用コストを支払い難い事ということで不採用になったようです。
このリストの特徴はメインに4枚採用された《ギタクシア派の調査》とサイドに3枚採られた《血染めの月》です。《ギタクシア派の調査》は相手の手札を覗くことで《実物提示教育》をキャストする前に安全確認をしたり相手の情報を掴む事で《渦まく知識》をより有効に使っていけます。《血染めの月》はマナ基盤を特殊地形に大きく依存したShardless BUGやDeathbladeに対して出せばそれだけでほぼ勝ちと言っても良い程です。
SCGO Atlanta トップ8 デッキアーキタイプ
2013年9月15日
1位 Omni-tell/実物提示教育+全知
2位 Shardless BUG/青黒緑アグロ
3位 Burn/赤単
4位 UWR Delver/トリコトラフト
5位 Merfolk/マーフォーク
6位 UR Delver/青赤デルバー
7位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
8位 Jund/ジャンド
前週のSCGO Philadelphiaと異なりSCGO Atlantaではコンボが少なく、トップ8は青いデッキ特にテンポデッキが多かったです。しかし、優勝は今回のトップ8で唯一のコンボデッキのOmni-tellでした。レガシーの低予算デッキであるBurnも久しぶりに入賞していました。
SCGO Atlanta デッキ解説
「Omni-tell」「Burn」「UWR Delver」「UR Delver」
9 《島》 3 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 1 《霧深い雨林》 1 《沸騰する小湖》 3 《古えの墳墓》 1 《裏切り者の都》 -土地(20)- 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(1)- |
4 《思案》 4 《定業》 4 《渦まく知識》 3 《狡猾な願い》 2 《直観》 4 《Force of Will》 3 《否定の契約》 4 《実物提示教育》 4 《無限への突入》 3 《ドリーム・ホール》 4 《全知》 -呪文(39)- |
4 《神聖の力線》 3 《防御の光網》 1 《否定の契約》 1 《殺戮の契約》 1 《サファイアの魔除け》 1 《計略縛り》 1 《エラダムリーの呼び声》 1 《蟻の解き放ち》 1 《直観》 1 《急流》 -サイドボード(15)- |
最近は数を減らしていましたが今回見事に優勝したOmni-tell。Brian Hoodのリストは勝利手段に《蟻の解き放ち》を採用しています。
比較的オーソドックスなリストで、強いて特徴をあげれば《否定の契約》が3枚と多目に採用されている点です。スペルを無理やり通す事に重点を置いているようで、今回のように青いデッキの多かったメタでは正解だったようです。
19 《山》 -土地(19)- 4 《ゴブリンの先達》 3 《渋面の溶岩使い》 3 《地獄火花の精霊》 3 《ケルドの匪賊》 2 《若き紅蓮術士》 -クリーチャー(15)- |
4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 2 《Chain Lightning》 4 《火炎の裂け目》 4 《発展の代価》 4 《裂け目の稲妻》 4 《火炎破》 -呪文(26)- |
3 《粉々》 3 《紅蓮光電の柱》 3 《絶望の天使》 3 《フェアリーの忌み者》 2 《硫黄の渦》 1 《拘留の宝球》 -サイドボード(15)- |
久々の上位入賞のBurn。フェッチランドやデュアルランドを使用しないのでレガシーの低予算デッキとして有名ですが決して弱いと言うわけではありません。《発展の代価》を4枚メインに採用しているので、特殊地形に依存したShardless BUGやEsper Deathbladeなどに対して強いデッキです。
最近流行ってきている《若き紅蓮術士》もメインに2枚採られています。軽いバーンスペルを多用するこのデッキと相性の良いカードです。
Omni-tellやSneak and Show対策の為にサイドに《絶望の天使》と《拘留の宝球》を採っていますが、優勝したBrian Hoodの操るOmni-tellに負けてしまっているところを見ると決して有利なマッチとは言えないようです。
4 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 2 《渋面の溶岩使い》 3 《石鍛冶の神秘家》 2 《聖トラフトの霊》 -クリーチャー(11)- |
2 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《渦まく知識》 3 《もみ消し》 2 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 3 《Force of Will》 4 《稲妻》 2 《剣を鍬に》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(30)- |
3 《水没》 2 《狼狽の嵐》 2 《安らかなる眠り》 2 《翻弄する魔道士》 1 《剣を鍬に》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《摩耗+損耗》 1 《Force of Will》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
UWRのテンポデッキ。メインの《もみ消し》と《剣を鍬に》が減量され代わりに《ギタクシア派の調査》が採用されています。カードプールが広いレガシーでは相手の情報を掴む事は重要でドローもできるのでデッキの安定性も増します。相手の状況を把握する事で《もみ消し》や《渦まく知識》を有効に使う事ができます。
サイドには《水没》が3枚採用されているなど緑系のデッキに対してテンポを取る事を意識しています。《安らかなる眠り》も《渋面の溶岩使い》との相性が悪い事を除けば優秀な墓地対策です。
5 《島》 4 《山》 2 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 3 《乾燥台地》 1 《霧深い雨林》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《ゴブリンの先達》 3 《渋面の溶岩使い》 4 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(15)- |
4 《渦まく知識》 3 《思案》 2 《もみ消し》 1 《方向転換》 3 《目くらまし》 3 《Force of Will》 4 《稲妻》 3 《Chain Lightning》 3 《発展の代価》 -呪文(26)- |
3 《外科的摘出》 2 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 2 《粉々》 2 《水没》 2 《硫黄の渦》 1 《発展の代価》 1 《Force of Will》 -サイドボード(15)- |
最近流行の《若き紅蓮術士》を採用した型ではなく、以前から見かけるUR Delverの型です。
特徴はメインに採用されている《もみ消し》と《方向転換》です。《もみ消し》を採用していますが、このリストは《不毛の大地》を採用していないのでマナ否定戦略を取る事は不可能です。このリストの《もみ消し》は相手のフェッチランドの起動能力をカウンターして事故らせるよりもコンボ対策として採用されているようです。ストームの誘発を打ち消したり、《グリセルブランド》等の起動能力を打ち消したりが主な使い道だと思います。
《方向転換》は相手の除去を相手のコントロールするクリーチャーに跳ね返したりと巧く使えば、こちらのクロックを護りながら相手のクリーチャーを除去することができます。カウンターではなく対象を変更しているだけなので《突然の衰微》等カウンターできないスペルに対しても使用できます。
デュアルランドが《Volcanic Island》数枚のみなので、レガシーの青いデッキの中では比較的安価で組む事が出来ます。あまり金額を掛けずにレガシーをプレイしてみたいが《渦まく知識》や《Force of Will》等は使ってみたい、という方にもお勧めできます。
総括
SCGO Philadelphiaはコンボが多く優勝も部族コンボのElvesでした。
その翌週のSCGO Atlantaでは前回と異なりコンボが少なく青いデッキの多いトップ8でした。しかし、優勝したのは今回唯一トップ8に残ったコンボデッキのOmni-tellでした。2週間後にはいよいよテーロスが発売されます。レガシーに影響を与えるカードが出現するのか楽しみです。
以上SCGO PhiladelphiaとSCGO Atlantaの解説でした。
次回の記事ではSCGO WORCESTERの解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!